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企業生存率とは?年数による生存率や高めるための施策について

2024/01/24 2024/01/24

経営

企業生存率とは

廃業や倒産せずに経営を継続している企業の割合を「企業生存率」と呼びます。これから起業したい方や経営者の方には、興味深い数値ではないでしょうか。当記事では、企業生存率の定義や年数ごとの生存率、生存率を高めるための施策などを紹介します。

この記事の要約

・企業生存率とは、創業した企業の中で倒産、廃業をせずに存続している企業の割合のこと
・設立年数が長くなるほど企業生存率は低くなる傾向がある
・消費者ニーズを把握し、競合他社との差別化ができている企業が生存率が高い

企業生存率とは?

企業生存率とは、起業・創業した企業のうち、倒産・廃業せずに存続している企業の割合を指す指標です。

日本においては、創業からわずか10年で約30%の企業が倒産・廃業しているというデータが出ており、このデータだけでも企業の経営を維持・発展させていくことは容易ではないと伺えます。

どんなに綿密に計画を立てていても、コロナ禍のような想定外の事態によって業績が急変してしまう場合もあるでしょう。

【設立年数別】企業生存率の推移

設立年数別に、実際の企業生存率の推移を見ていきましょう。

1年後~3年後の生存率

中小企業庁が公開している帝国データバンクの企業概要ファイルに基づく中小企業生存率のグラフによると、創業1年〜3年後の生存率は以下のとおりです。

  • 1年後:95%
  • 2年後:91%
  • 3年後:88%

これらの数値から、創業から3年で約10%以上の企業が何らかの理由で倒産・廃業していることがわかります。

5年後~10年後の生存率

さらに、同グラフによると、創業5年〜10年後の生存率は以下のとおりです。

  • 5年後:82%
  • 6年後:78%
  • 7年後:76%
  • 8年後:74%
  • 9年後:72%
  • 10年後:70%

開業から5年後には約20%の企業、10年後には30%の企業が何らかの理由で倒産・廃業していることがわかります。

20年後~36年後の生存率

同調査の結果をさらにたどると、創業から20年後の生存率は約54%で、30年後の生存率は43%となっています。

その後、創業後32~33年間の41%を底に微増に転じ、2016年版のこちらのグラフの最大値である36年目は46%です。

[出典:中小企業庁「中小企業の稼ぐ力を決定づける経営力

企業生存率に影響を与える課題とは

ここでは、企業生存率に影響を与える6つの課題について解説します。

業績の悪化

倒産や廃業に直接的な影響を与える要因としてまず挙げられるのが、業績の悪化です。

業績不振に陥る理由は、企業によって大きく異なります。近年では新型コロナウイルスの蔓延による影響が顕著であり、多くの業界・企業が苦境に立たされました。

また、台風や地震といった天災、為替の急激な変動などの影響を受けて業績が悪化するケースもあります。想定外の事態が続くことで損失が膨らみ、最終的には倒産や廃業に至ってしまうのです。

資金繰りの悪化

資金繰りが悪化することで事業の継続が困難になる場合も少なくありません。資金繰りが悪化する原因は、大半が以下のいずれかであるといわれています。

  • 継続的な赤字経営
  • 売掛金の回収遅延
  • 借入金の返済遅延や返済不能
  • 過剰在庫

商品やサービスの販売が好調であるにもかかわらず、売掛金の回収遅延などによって決済資金が不足し倒産に陥ってしまう、いわゆる黒字倒産にも注意が必要です。

後継者や人員の不足

後継者の不在や人員不足で事業の継続が困難になるケースも散見されます。

日本は現在、歯止めのきかない少子高齢化の最中にあり、労働人口の減少や慢性的な人手不足が大きな問題となっています。

事業そのものに問題がなくても、後継者や人員がいなければ将来的な事業の継続は困難です。この問題に対しては現状有効な解決策が見つかっておらず、今後ますます深刻化すると考えられています。

日本で人手不足が深刻化しているのはなぜ?現状と原因・対策を紹介

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企業イメージや信用の失墜

何らかのトラブルによって企業イメージや信用が失墜することで、業績が急速に悪化する場合もあります。

業務上の違法性や商品に重大な欠陥が見つかった場合、または個人情報の流出などが発生した場合、既存の顧客や取引先が一気に離れてしまい、事業の存続が困難となります。

一度社会的な信用を失ってしまうと、回復には多大な時間と努力が必要となり、立て直すことができずにそのまま倒産・廃業となってしまうケースも珍しくありません。

経営者の能力不足

経営者の能力不足で事業が立ち行かなくなる場合もあります。

代表的な例としては、経営者の代替わりが挙げられるでしょう。先代がどんなに安定した業績を残し、堅牢な組織を構築していたとしても、次の代で方針転換してしまったことで急激に業績が悪化する可能性があります。

どれだけビジネスモデルが良く、優秀な社員が揃っていても、組織を牽引するリーダーに経営者としての手腕や戦略がなければ、組織は露頭に迷ってしまうでしょう。

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天災による企業への悪影響

天災も、事業の継続が困難になる原因の1つです。

たとえば、工場設備が台風や地震などの被害に遭ってしまった場合、設備を修理したり買い替えたりする資金がなければ生産ラインの再開は困難です。異常気象の影響によって原材料となる農作物が不足する場合もあるでしょう。

こうした天災は、どんなに備えていても影響を防ぎきれない場合があり、事業継続を断念する企業があることも事実です。

企業生存率を高める方法

ここからは、企業生存率を高める7つの方法を紹介します。

起業前に資金を確保する

起業前になるべく多くの資金を確保することで、企業生存率を高められます。なぜなら、企業が倒産・廃業に追い込まれる理由の多くは資金不足だからです。

開業時に十分な資金を用意できないケースは、決して珍しくありません。しかし、資金が少なければ少ないほど、軌道に乗るまで事業を存続させられる可能性は低くなります。

起業してから必要なタイミングで必要なだけの資金を調達できるとも限らないため、助成金などの公的制度を最大限に活用し、可能な限り資金を調達してから起業することが大切です。

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後継者を早めに育成する

後継者を早めに育成することも、生存率を高めるポイントです。事業が好調にもかかわらず、後継者不足で廃業してしまう企業は珍しくないためです。

経営者が「そろそろ……」と思った頃合いで都合良く後継者が見つかるとは限らないうえ、病気や怪我などで急に一線を退くといった不測の事態が起こる可能性もあります。

引退時期を考えておくことに加え、後継者候補の教育や引き継ぎを早めに始めておくことが重要です。社内や身近な人に適任者がいない場合は、M&Aの検討や引き継ぎセンターなどへの相談も方法の1つでしょう。

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市場や環境の変化に対応する

常に革新・改善を繰り返し、市場や環境の変化に対応することも、生存率を高めることにつながります。

人々の価値観やニーズは時代とともに変化し続けるため、変化への対応は不可欠です。事実、長期にわたって継続している会社の多くは、さまざまな変化に対応し、組織・製品・サービスを柔軟に変えてきた歴史があります。

企業を長く存続させていくためには、時流に合わせ、変えるべきものは変え、変えてはならないものは大切に残すといった、バランスの良い経営が求められます。

リスクに対処できる体制を整える

組織または個人として、リスクに対処できる体制を整えておくことも重要です。どんなに成功していても、来月、来年もうまくいっている保証はどこにもないためです。

すべてのリスクを予測して対策を行うのは困難ですが、万が一の場合に備えてリスクヘッジしておくことで、生存率が高まるのは間違いありません。

事業に対するリスクヘッジを講じるのはもちろんのこと、経営者個人がセーフティネット保証制度や経営者保険などの制度を活用することも検討しましょう。

余計なコストを削減する

企業の生存率を高めるためには、余計なコストを削減することも大切です。利益が下がるとコストが資金を圧迫しはじめ、業績の悪化につながる場合があります。

特に見直しておきたいのは、オフィスの賃料などに代表される固定費です。売上や業績に関係なく発生する固定費は、最小限に抑えておくのが理想といえます。

また、業務時間や作業量といった「見えないコスト」に気を配ることも大切です。これらを意識・改善することで、生産性や企業価値の向上、離職率の低下といった効果を期待できるでしょう。

売掛金を現金化する

売掛金をできる限り現金化しておくことも、リスクヘッジの1つです。事業のサイクルによっては、売掛金回収前の支払いに対応できずに起こる「黒字倒産」にも警戒する必要があるでしょう。

売掛金を現金化する手段としては、売掛金(債権)を売却する「ファクタリング」が挙げられます。手数料を差し引かれるなどのデメリットはありますが、最短即日で売掛金を現金化でき、契約によっては売却先が売掛先から資金を回収できなくなっても責任を負う必要がないなどのメリットがあります。

このような仕組みを上手に使うことで、資金がショートすることを未然に防げる可能性があるのです。

M&Aで会社を売却する

M&Aで会社を売却するのも1つの方法です。

後継者不在の問題を解決できる可能性があるほか、買い手とのシナジーによるさらなる事業の発展も期待できます。創業者の場合は自社に対して特段の思い入れがあるかもしれませんが、後継者不在による黒字廃業は避けたいものです。

M&Aは国が推奨している手法でもあるため、企業の存続を図る方法として、把握・理解だけでもしておくとよいでしょう。

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生存率が高い企業の特徴

ここでは、生存率が高い企業に共通する3つの特徴を解説します。

消費者のニーズを把握している

生存率が高い企業は、消費者のニーズを正確かつ継続的に把握し、それらに応える製品・サービスを提供し続けています。

インターネットの普及以降、顧客の生活様式や価値観は急速に変化しており、個々の製品やサービスが短命化している傾向があります。

生存率を高めるためには、一度ニーズを捉えて成功できたからといって甘んじることなく、常に社会の状況や消費者のニーズを分析・研究し続ける必要があるでしょう。

競合他社と差別化されている

生存率が高い企業は、競合他社との明確な差別化に成功しているのも特徴です。

その製品・サービスにしかない価値が確立されていれば、消費者は継続的にその製品・サービスを利用することになり、結果的に企業の存続につながります。

すでに差別化に成功している場合であっても、新規参入や新製品・サービスのローンチがないとは限りません。競合となり得る企業・製品・サービスに常にアンテナを張り、研究・開発を続けることが重要です。

利益の一部を確保している

生存率が高い企業は、常に利益の一部を確保しています。これは「内部留保」と呼ばれ、急な状況変化や新たな事業・設備への投資に利用されるのが一般的です。

特に近年は、先行きが不透明で将来の予測が困難であることを意味する「VUCA」と呼ばれる時代であることも踏まえると、利益の一部を確保しておくことは当然のリスクヘッジともいえるでしょう。

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課題や対策を把握して企業生存率を高めよう

起業・創業した企業のうち、倒産・廃業せずに存続している企業の割合を指す企業生存率。10年後には約30%、20年後には約半数の企業が倒産・廃業しているというデータがあることからも、企業の存続が容易ではないことがわかります。

一方で、企業が倒産・廃業してしまう理由にはいくつかのパターンがあり、それらに対処することで企業生存率を高めることができます。企業生存率に影響を及ぼす課題を把握し、企業生存率を高める対策を講じていきましょう。

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