VUCAとは?VUCA時代に対応できる組織作り・求めるスキルを解説

最終更新日時:2023/12/13

組織・マネジメント

VUCAとは

変化の激しい社会を表す「VUCA」。元々軍事用語として用いられていましたが、2010年代からビジネスにおいても使われはじめ、実際に耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。本記事ではVUCAの意味とともに、VUCA時代に対応できる組織作り・スキルを解説します。

この記事の要約

・VUCAとは将来の予測がしにくいことを意味する言葉
・VUCAは、Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとっている

VUCAとは?

VUCA(ブーカ)とは、将来の予測をつけるのが難しいことを意味する言葉です。

ビジネス環境を説明するために使用されるアクロニムで、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字がとられています。VUCAは新たなビジネスチャンスを捉えるため、またはリスクを予測・管理するために理解しておくべき要素です。

それぞれの頭文字が示す言葉の意味について、深堀りしていきましょう。

Volatility(変動性)

Volatilityが指す変動性とは、市場環境や経済状況といったあらゆる事象の急激な変化です。その変化は速度だけでなく、スケールや範囲も含まれます。

テクノロジーの急速な進歩や、地政学的な出来事による商品価格の変動などが具体的な例です。近年でいえば、新型コロナウイルスによる生活・労働環境の変化も該当するでしょう。

Uncertainty(不確実性)

不確実性を意味するUncertaintyは、将来の出来事や結果が予測困難である状況を表しています。不確実性は情報が不十分であるか、または予測の精度が低いために起こります。

突如として訪れる異常気象なども、不確実性の高い事象です。新型ウイルスの世界的な流行や、政策の変更による影響が具体例として挙げられます。

Complexity(複雑性)

Complexityは日本語で複雑性であり、事象や状況が多数の要素で構成され、それらが相互に関連している状況を指します。

グローバル化の進行によりビジネスは国境を越え、多様な文化、法律、規制に影響を受けるようになりました。このような複雑性のある状況を理解・管理するには、物事を適切に分解して考える能力が求められます。

Ambiguity(曖昧性)

曖昧性を示すAmbiguityは、情報が不完全または不明確な状態のことで、変動性・不確実性・複雑性の影響を受けて発生します。英語のニュアンスは単に曖昧性を意味するだけでなく、「複数の解釈が可能な状況」という趣旨も含まれているのです。情報が不完全であるがゆえに、いくつもの考え方ができてしまう状況を表すでしょう。

ビジネスにおける曖昧性は、インターネットやSNSの普及でより顕著になっているといえます。

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VUCA時代に対応できる組織作りの方法・ポイントとは?

VUCA環境下で成功するためには、組織として対応力と柔軟性を持つことが重要です。以下に、VUCAに対応可能な組織作りのための主要な要点を解説します。

1.企業のビジョンを明確に定める

VUCAの環境下で企業が生き残るためには、企業のビジョンである理想的な未来を明確に定義し、共有することが重要です。企業のビジョンは組織の行動指針となり、変動性や不確実性・複雑性・曖昧性に対応するための一貫性と方向性を提供します。

明確なビジョンは、組織全体が一体となって行動するための共通の理解と目標を創出し、VUCAの環境下でも一貫した方向に進めるエネルギーとなるでしょう。

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2.日本的な雇用方法・働き方を見直す

長時間労働や生涯雇用といった、日本的な働き方の改善もVUCAに有効です。長く働くだけでは能力を発揮しきれるとは言い難いほか、生涯雇用によって新しい人材の加入が鈍化する可能性があります。多様な働き方の導入、仕事とプライベートのバランスを保つための支援など、従業員の能力と満足度を最大化するための新たなアプローチが求められます。

日本的な慣習にこだわっているとVUCAを打破できず、ビジネスチャンスの流失を加速させてしまうでしょう。働き方の選択肢を増やす以外にも、キャリアや価値観を幅広く認める施策が不可欠です。

3.管理職層・リーダーシップのある人材を育成する

管理職層・リーダーシップのある人材育成は、VUCA対策の一つです。リーダーは組織の方向性を示し、不確実性や曖昧性に対する適切な対応を促します。管理職など組織を統べる層がリーダーシップを発揮すれば、従業員の統率がとれ適応力向上にも寄与するでしょう。

高いリーダーシップ能力がある人材は、主体性にも優れます。主体性のある従業員は自ら考えて変化に対応しようとするため、VUCA環境下でも高い成果をあげることが期待できるのです。

また、VUCAには素早い意思決定能力も必要です。権限を持つ管理職層・リーダーが的確な判断を下せるよう、スキルアップのための育成を行いましょう。

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4.多様な人材を雇用する

VUCA時代には、一方的な視点や思考では対応が難しい課題が数多く出現します。このため、多様な視点と経験を持つ人材を採用することで、異なる解決策を見つけ出す可能性が高まるのです。

スキルや経験のほか、得手不得手も人によって異なります。多様な能力を持つ人材が集まることで適材適所への配置がしやすくなり、個々人に得意な分野で力を発揮してもらうことが可能です。人材の多様性は新たな視点をもたらすだけでなく、VUCAへの適切な対策を生み出す環境作りにもなるでしょう。

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5.利害関係者に積極的に情報を提供する

VUCA環境下では、情報の透明性と通信の効率性が極めて重要です。利害関係者に対する定期的な情報提供は、VUCA対策に必要な信頼関係の構築に寄与します。情報提供先は、社内外すべてのステークホルダーが対象となるでしょう。

積極的に情報を開示することで、従業員や取引先とのフォロワーシップを強化できます。利害関係者が同じ情報を共有・理解することで、各個人やチームがVUCAの環境に適応し、有効な意思決定を行うための基盤を構築可能です。

6.OODAループを活用する

OODAループの活用も、VUCA対策に役立ちます。観察(Observe)、指向(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)の頭文字をとった戦略的意思決定フレームワークです。状況が急速に変化し、予測が困難なVUCA環境下で特に有効です。

複雑で曖昧性の高い事象に遭遇したとき、観察により現状を理解する必要があります。観察内容から対策を指向し、最良の決定に基づいて行動することで有効性を発揮できるでしょう。

OODAループサイクルを素早く繰り返すことで変化に適応し、VUCA環境下でも競争優位を保つことが可能となります。

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7.挑戦し続ける組織を作る

VUCAの時代では、組織として常に新しい試みを恐れずに挑戦することが必要です。安全圏に留まるのではなく、新しいアイデアやアプローチを試し、新たな機会を探求する組織文化の育成が求められます。

失敗は避けるべきものではなく、学びと成長のための重要な一部であるとの視点を持つことが重要です。挑戦的な精神は、組織がVUCA環境下での変化に適応し、競争力を維持するための鍵となります。

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VUCA時代に求められるスキル

VUCA時代には、新たな課題や予期しない変化に対応するためのスキルが求められます。どのようなスキルが必要なのかをチェックし、時代の変化に対応する能力を身につけましょう。

スピーディに判断・決断を下せるスキル

VUCA環境下では変化が激しく、一瞬で状況が変わるケースがあるため、変化に応じてスピーディに判断し、決断を下す能力が求められます。情報を迅速に分析し、不確実性の中でも的確な行動をとるための重要なスキルです。

特に決裁権を握るリーダーや上層の立場において、優れた判断・決断力は欠かせません。自分だけの考えで決めず、メンバーの意見も柔軟に取り入れて意思決定に反映しましょう。高速で正確な判断を下すためのスキルは、VUCA環境下での生存と成功に不可欠なものとなります。

柔軟に対応するスキル

VUCAの時代には、固定された思考や手法に固執するのではなく、柔軟に対応する能力が重要です。新たな状況にも迅速かつ柔軟に適応し、必要ならば計画や方針を変更するスキルが求められます。

革新的なアイデアを受け入れるなど、未知の状況に対する新しいアプローチが必要でしょう。対応力の柔軟性は、VUCA時代には欠かせないスキルです。

コミュニケーションスキル

VUCA時代には、メンバーや関係者と効果的にコミュニケーションを取る能力が非常に重要です。コミュニケーションスキルは情報の正確な伝達を促し、組織全体の対応力を向上させる効果があります。

VUCA対策には多様性のある人材が求められますが、コミュニケーションスキルが低いと交流が円滑に進みません。価値観の受け入れや認め合いを促進するには、高いコミュニケーション能力が要求されます。良好なコミュニケーションによって組織の連携が強まると、共通の理解と目標に向けた行動が可能になるのです。

問題を解決するスキル

VUCA環境では予測困難な問題が頻繁に発生するため、創造的な問題解決スキルが必須です。問題解決スキルには、問題の本質を理解し、可能な解決策の生成と最適なアプローチを選択する能力が含まれます。

複雑で予期せぬ問題が起こったとき、既存の対策では追いつかない恐れがあるでしょう。従来の策に頼らず、自ら新しい解決策を提案する能力も欠かせません。不確実性や複雑性に対処し、問題を効果的に解決するうえで必要なスキルです。

情報を収集・分析するスキル

VUCA時代を生き抜くには、情報を収集・分析するスキルが高く要求されます。膨大な量の情報から重要なデータを抽出し、正しく理解して行動に反映しなくてはなりません。

情報社会の現代において、デマやフェイクニュースに惑わされないよう情報精査は必定です。ネットリテラシーを高く維持するほか、日常的に多くの異なる情報・意見に触れる機会を増やすことでスキルを磨いていきましょう。

VUCA環境下では、情報の妥当性を評価し、現状や未来の戦略にどのように影響するかを理解する情報処理スキルが必要です。

実行するスキル

VUCA環境下では、アクションを起こす能力が絶対的に重要です。理論や戦略を理解するだけでなく、それを具体的な行動に変換し、計画を現実にするスキルが求められます。

優れた知識や経験があっても、最終的に行動に移さなければ意味がありません。変化にひるまない、失敗を恐れない行動力こそ、VUCA時代を乗り越えるバイタリティになるでしょう。

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VUCA時代を生き抜くためには適切な組織作りが必要

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代には、組織が柔軟かつ迅速に対応できるような組織作りが求められます。明確なビジョンや多様な人材の活用など、企業が行うべき対策を柔軟に取り入れましょう。同時に、VUCA対策となるスキルを向上させることも大切です。

VUCA時代を生き抜くために、時流に適合した組織作りを行ってください。

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