経営戦略のフレームワーク集|活用する際のポイントも解説

最終更新日時:2024/01/18

経営

経営戦略のフレームワーク

経営戦略の策定に役立つ「フレームワーク」。今までに数多くのフレームワークが考案されてきましたが、経営戦略に活用できるフレームワークにはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、経営戦略に役立つフレームワークを紹介します。活用する際のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

経営戦略におけるフレームワークとは?

フレームワークとは、経営戦略・目標達成・課題解決などを行う際に共通して利用できる思考方法やその枠組みのことです。戦略の立案や策定に役立つことから、世界中のあらゆる企業や・ビジネスシーンで活用されています。また、立案後のブラッシュアップにフレームワークを用いることも可能です。

経営戦略におけるフレームワーク活用のメリット

経営戦略においてフレームワークを活用するメリットは、思考時間の短縮と適切なアウトプットを得られることです。いちから経営戦略を立案する場合、多くの時間を要するだけでなく、何から考え始めれば良いかわからないという人もいるでしょう。

フレームワークは、特定の分析目的に対して考えるべき項目や順番が指定されているため、専門知識がなくとも、手順に沿うだけで一定のアウトプットを得られるメリットがあります。また、分析に用いるさまざまな要素に対する認識は人それぞれ異なります。一定の基準や指標がなければ、分析結果やアウトプットにばらつきが生じてしまうでしょう。

フレームワークを使うことで、その場にいる人たちが共通の認識を持てるようになり、統一性のある経営戦略を策定できるようになります。

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経営戦略に活用できるフレームワーク

経営戦略にフレームワークを活用する際は、目的や事業内容に合ったものを選択することが重要です。ここでは、経営戦略に活用できる代表的な13種類のフレームワークを紹介します。

アンゾフのマトリックス

アンゾフのマトリックスとは、経営環境が変化するなかで、どのような成長戦略を取るべきかを分析するためのフレームワークです。

縦軸を市場、横軸を製品として区切り、それぞれに「既存・新規」の2区分を加えた4象限のマトリックスで表します。具体的には、以下のように分類されます。

  • 既存製品×既存市場:市場浸透戦略
  • 新規製品×既存市場:新製品開発戦略
  • 既存製品×新規市場:新市場開拓戦略
  • 新規製品×新規市場:多角化戦略

このフレームワークを有効活用するためには、自社の強みやビジネスモデルの付加価値などを正しく把握すること、それらを利用しながら成長できるオプションを抽出することが求められます。

PPM分析

PPMとは「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」の頭文字であり、事業活動を4つの領域に分け、経営資源の効率的な分配方法を導き出すフレームワークです。

市場成長率の高低、相対的な市場シェアの大小をかけ合わせ、以下の4つに分類します。

  • 花形(Star):市場成長率も市場シェア率も高い事業
  • 金のなる木(Cash Cow):市場成長率は低いが、市場シェア率が高い事業
  • 問題児(Problem Child):市場成長率は高いが、市場シェア率が低い事業
  • 負け犬(Dog):市場成長率も市場シェア率も低い事業

なお、PPM分析は市場成長率と市場シェアの項目を入れ替えることで、ほかの分析にも応用できる点もメリットといえます。

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3C分析

3C分析とは、自社を取り巻く内部環境・外部環境を分析する際に用いられるフレームワークです。「3C」は以下を意味しています。

  • Customer(市場・顧客):存在する市場、顧客の属性やニーズ
  • Competitor(競合): 競合の強み・弱みは何か、市場シェア率はどのくらいか
  • Company(自社):自社の強み・弱みは何か、どのようなリソースがあるか

3C分析はシンプルで使いやすいことが特徴で、環境分析をする際の定番手法として広く活用されています。その一方で、変化や流動性が著しい業界・環境では分析結果と現実がずれやすい傾向にあるため、定期的な再分析や見直しが必要とされています。

PEST分析

PEST分析とは、自社の外部環境・マクロ環境を分析するフレームワークです。「PEST」は、分析のベースとなる以下4つの要因の頭文字から取られています。

  • Politics(政治的要因):法律・条例・税制度などの改正や政権交代など
  • Economy(経済的要因):為替・株価・金利・経済成長率・景気動向など
  • Society(社会的要因):人口の変動や密度・少子高齢化・世帯構成の変化・世論など
  • Technology(技術的要因):ITインフラの変化・新テクノロジーの普及・技術革新など

PEST分析を行うことで、現在の外部環境が自社にどのような影響を及ぼすかという予測が立つほか、参入すべき領域などを導き出したい際に役立ちます。

ただし、来月の事業戦略など短期的な分析には向きません。市場の移り変わりなど、今後の変化に対応する事業戦略を考えるときに適した手法といえるでしょう。

STP分析

STP分析とは、市場を細分化することで自社の立ち位置や参入市場を分析するフレームワークです。「STP」は以下3つの要素を表します。

  • Segmentation(市場細分化):市場の全体像の把握
  • Targeting(狙うべき市場):参入すべき市場の決定
  • Positioning(自社の立ち位置の明確化):競合他社との位置関係・パワーバランス

STP分析をすることで顧客のニーズが整理され、他社との差別化や自社が行うべきプロモーション戦略のヒントを得られます。ただし、効果的に運用するためには、多角的な視点を持つことや市場規模を考慮することも重要です。

SWOT分析

SWOT分析とは、内部環境・外部環境を分析したうえで課題の解決方法を導き出すことを目的としたフレームワークです。「SWOT」はそれぞれ以下の4つを意味します。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

SWOT分析では、競合との比較・顧客視点・従業員の声などから強みや弱みを見つけることに加えて、外部環境における脅威とは切り離して考えることを重視しています。

社内・社外それぞれの分析を行うことで異なる分析結果を得られる特徴があるため、マーケティング領域で広く用いられている手法です。また、経営上のリスク分析にも応用できることから、経営分析にも活用されています。

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バリューポートフォリオ

バリューポートフォリオとは、「ビジョンとの整合性」と「ROI(投資資本率)」の2軸で区切った4象限を元に、事業の達成度合いを評価するフレームワークです。

「ビジョンにつながる事業か」という経営者視点と、「投資に対してどのくらいの利益が出ているか」という株主の視点から事業を分析し、以下4つの領域に振り分けます。

  • 本命事業:ビジョンとの整合性も、ROIも高い
  • 課題事業:ビジョンとの整合性は高いが、ROIが低い
  • 機会事業:ビジョンとの整合性は低いが、ROIが高い
  • 見切り事業:ビジョンとの整合性も、ROIも低い

この分析結果から、本命事業は継続または強化、見切り事業は撤退すべきと判断できます。さらにこの結果を元に、課題事業と機会事業をいかにして本命事業にしていくかを考え、事業の再構築を図ることで、さらなる成長機会を見出します。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析とは、外部環境における自社の脅威・競争要因を分析することで優位性を探るフレームワークです。この分析には以下の5つの要素が用いられます。

  • 競合他社:業界内における競争
  • 新規参入業者:業界への新規参入者
  • 代替品:代替品の存在
  • 買い手:顧客の交渉力
  • 売り手:サプライヤーの交渉力

これらの要素から、収益性が見込める参入領域や、どの部分に手を加えれば十分な収益性を確保できるかなどの方向性が見えてきます。

また、現在進行中の事業が思うように進まない場合に、業界動向や環境要因を見誤っていないかなどを分析したい場合にも役立ちます。

VRIO分析

VRIO分析とは、自社の内部環境を分析し、自社の競合優位性や経営資源を客観的視点で把握するフレームワークです。「VRIO」は以下4つの要素を表します。

  • Value(経済的価値):自社の経営資源は外的脅威やチャンスに対応できるか
  • Rarity(希少性):自社の経営資源・ビジネスモデル・ノウハウは希少性が高いか
  • Imitability(模倣可能性):他社が自社を模倣する場合に必要な費用や時間
  • Organization(組織):経営資源を最大限活用できる体制が整っているか

この分析でいう経営資源には、有形・無形資産のほかに組織的能力も含まれ、組織としての強みや方向性などを探りつつ経営戦略に活かします。

ただし、経営資源には組織力や従業員なども含まれるため、これらを正確に把握して正しく分析するには相応の時間がかかるのが難点といえるでしょう。

7S

7Sとは、企業が持つ7つの経営資源をもとに、自社に最適な事業戦略を検討するためのフレームワークです。世界的コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したことから、「マッキンゼーの7S」とも呼ばれています。

7Sは、大きく「3つのソフト面の経営資源」と「4つのハード面の経営資源」の2つに分類されます。

  • Strategy(戦略):優先順位や事業の方向性
  • System(システム):各種システムやツールの活用
  • Structure(組織):指揮命令系統・適材適所な人材配置
  • Skill(スキル):組織や従業員個人が持つ能力
  • Shared Value(価値観):経営理念・ビジョン
  • Style(スタイル):企業風土・文化・経営方針・業務フロー
  • Staff(人材):従業員の能力や本質

これら7つの要素に分けて組織を分析することで、取り組むべき課題や組織の問題点を洗い出し、施策の立案・実行・改善などに役立てます。

4P分析

4P分析とは、自社の強み・弱みを分析してマーケティング戦略を検討するフレームワークです。以下4つの「P」から構成されます。

  • Product(製品・サービス):どのような製品・サービスを提供するか
  • Price(価格):いくらで提供するか
  • Place(販売場所・提供方法):どのように提供するか
  • Promotion(販促活動):どのように販促・広告するか

主にマーケティングの施策を立案する段階で用いられ、STP分析などで立案した戦略を具体化する際にも役立ちます。一方で、分析結果が主観的になりやすい性質がある点には注意が必要です。

ポーターの基本戦略

ポーターの基本戦略とは、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーターが提唱した経営戦略論です。世界中の企業で競争戦略のフレームワークとして広く活用されています。

ポーターが提唱している具体的な基本戦略は、以下の3つです。

  • コスト・リーダーシップ戦略
  • 差別化戦略
  • 集中戦略

ポーターの基本戦略では、これら3つの基本戦略から1つを選択して実行することを基本としています。各戦略にはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、自社に適したものを選択することが重要です。

PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つの行動を繰り返すことで効果測定やブラッシュアップを行うフレームワークです。さまざまなビジネスシーンで広く活用されており、経営戦略の立案にも役立てられています。

PDCAサイクルは「既存のものをより良くする」ことに重きを置いたフレームワークのため、アイデア出しやいちから経営戦略を立案するシーンには不向きといえるでしょう。

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経営戦略を策定する際の手順

ここからは、経営戦略を策定する手順を5つの段階に分けて解説します。

経営理念や経営目標を決める

経営戦略を策定するにあたり、まずは経営理念や経営目標を決めましょう。

経営理念は自社の価値観・存在意義・ミッションなどを言語化したものであり、経営戦略の核ともいえます。抽象的な概念のため、より具体化・数値化することで経営目標に変えていくことが重要です。

組織の現状を分析する

経営理念や経営目標が固まったら、フレームワークなどを用いて組織の内部環境・外部環境を分析します。

内部・外部の両面から分析することで、自社の強みや活用できるリソース、自社を取り巻く環境や立ち位置が明確になり、現実的かつ効率的な戦略の立案が可能です。

業界や業種、企業規模などによって、最適な分析方法や分析結果が異なります。より正確なアウトプットを得るためには、複数のフレームワークを使ってみたり、組み合わせてみたりといった試行錯誤が大切です。

企業戦略を明確にする

分析から有効な情報が得られたら、いよいよ企業戦略を明確にしていきます。この段階では以下のような項目を決めていきましょう。

  • 参入する市場
  • 資源の分配方法や割合
  • 顧客に提供する具体的な商品やサービス
  • 売上・利益目標

これらの枠組みを組み立てることに加えて、可能な限り想定される問題・課題や採算などのシミュレーションをしておくことも重要なポイントです。

事業戦略・機能戦略を明確にする

企業戦略を構築したら、より具体的な事業戦略・機能戦略に落とし込んでいきましょう。

事業戦略とは、具体的に「顧客は誰か」「どのようにアプローチするか」「どのような結果を得たいか」などを決めていくことです。一方機能戦略は、自社内における人事・財務・マーケティングなどの各部門の目標・役割・方向性などを決め、具体的な行動まで落とし込むことを指します。

事業戦略・機能戦略のあらゆる方向から、目標を達成できる仕組みを考え構築していきましょう。

評価体制を整える

最後に、評価体制を整えます。これは「どうなれば事業が成功したといえるのか」を定義し、その程度を評価できる指標を明確にすることです。

売上目標などの金額を指標にすることはもちろん大切ですが、プロセスや関連する数値にも指標を設定しておくとよいでしょう。これらの評価はKPIとしても活用でき、評価結果をもとにPDCAサイクルなどに組み込むことも可能です。

評価に対して一喜一憂するだけではなく、その後の改善や向上につながるような評価体制を整えることが重要です。

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経営戦略にフレームワークを活用する際の注意点

ここからは、経営戦略にフレームワークを活用する際の注意点を見ていきましょう。

フレームワークの活用はあくまでも分析手段であることを理解する

フレームワークの活用はあくまでも分析手段にすぎず、それ自体が目的ではないということを常に念頭に置く必要があります。

フレームワークは種類が多いにもかかわらず、どれも素晴らしいアウトプットをもたらしてくれる方法です。そのため、学習や分析そのものに没頭してしまうこともあるでしょう。

また、フレームワークによるアウトプットは必ずしも正しいとは限りません。あくまでも数ある分析方法の1つであることに留意して、フレームワークに依存しすぎないよう注意しましょう。

自社に適したフレームワークを選ぶ

自社に適したフレームワークを選ぶことも大切です。フレームワークは種類が多く、それぞれ分析対象や得られるアウトプットが大きく異なります。

分析対象が同じであっても、活用するフレームワークを変えたことで分析結果が異なるケースも珍しくありません。また、同じフレームワークであっても、分析した時期や用いた指標が変化することで分析結果が変わる場合もあります。

有効なアウトプットを得るためには、このような特性を十分に理解したうえで、自社の特性や分析の目的に合ったフレームワークを選ぶ必要があります。

経営分析とは?目的や重要となる指標・分析手法について

フレームワークを活用し経営戦略の達成を目指そう

経営戦略の策定には、さまざまな視点から内部環境と外部環境について分析することが求められます。そのための手段として役立つのがフレームワークです。ただし、それぞれ目的や分析対象が異なるため、分析の目的や自社の特性に適したものを選択する必要があります。

また、フレームワークによるアウトプットが必ずしも正確とはいえないため、複数のフレームワークを組み合わせたり、定期的に分析し直すなどの工夫も必要です。

それぞれのフレームワークの特性を理解し、経営戦略の立案や目標の達成に活かしていきましょう。

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ビズクロ編集部
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