プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)とは?メリットやプロジェクト管理との違い

最終更新日時:2023/10/25

プロジェクト管理ツール

PPMとは

組織内のすべてのプロジェクトを一覧化し、依存関係にも注意しながら統合的に管理する「プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)」は、複数の事業を展開する企業ほど、その効果が高いとされています。プロジェクトポートフォリオ管理とは、どのような管理手法なのか、メリットやプロジェクト管理との違いを詳しく解説します。

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)とは?

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)は、組織のすべてのプロジェクトやプログラムを一元的に把握、評価、優先順位をつけて管理する手法を指します。

有限のリソースを優先順位が高いプロジェクトやプログラムに集中的に配分することを可能とし、組織の目的や戦略に最も合致するプロジェクトの選択や実行をサポートします。

また、ビジネス上のリスクを評価し、それに基づき最適な意思決定を行う手助けにもなるのです。プロジェクトポートフォリオ管理は組織の投資効果を最大化するための戦略的なアプローチといえるでしょう。

プロジェクト管理との違いとは?

プロジェクト管理とプロジェクトポートフォリオ管理(PPM)の主な違いは、対象範囲と目的にあります。

プロジェクト管理は、単一のプロジェクトを効果的に実施、完了させるための方法です。これに対して、プロジェクトポートフォリオ管理は複数のプロジェクトやプログラムを統合的に捉え、組織の戦略や目標に合わせて、依存関係にも注意しながら、最適なリソース配分や優先順位付けを行うものです。

言い換えれば、プロジェクト管理は「どのように」プロジェクトを成功させるかに集中するのに対し、プロジェクトポートフォリオ管理には「どの」プロジェクトに投資すべきかを決定するための戦略的な視点を持ちます。

このようなアプローチの違いが、両者の役割と重要性を明確に分けています。

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プロジェクトポートフォリオ管理における事業の分類

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)において、各事業の性質や価値を正確に理解した事業の分類は、的確な戦略的意思決定やリソース配分の鍵となります。

ここからは、事業の分類についてそれぞれを詳しく紹介します。

花形

「花形」は、高い市場成長率と高い市場シェアを持つ事業を指します。

これらの事業は成長率が高いため競争も激しく、市場の拡大と共に大きな収益を上げる可能性があり、積極的な投資が推奨されます。

利益を維持するためにはそれに応じたリソースや資金の投入が必要となる点に注意が必要ですが、将来の収益源として最大限に成長させる戦略を検討すべき事業といえます。

問題児

「問題児」とは、高い市場成長率を持ちながらも市場シェアが低い事業です。

「問題児」は「花形」としての地位を獲得する可能性を秘めた事業である一方、成長が見込まれる市場での競争力がまだ確立されていないため、どのようにして市場シェアを拡大すべきかが課題となります。

しかし、適切な対応がなされないと、資金やリソースを浪費するリスクもあるため注意しましょう。企業は「問題児」の事業について、投資の可否やリソースの配分、戦略的な取り組みを慎重に検討し、市場でのポジションを確立することが求められます。

金のなる木

「金のなる木」とは、低い市場成長率と高い市場シェアを持つ事業を指します。

市場の成長は鈍化しているものの、すでに高い市場シェアが確立されているため、企業は比較的少ない投資で安定した収益を享受することが可能です。

しかし、市場の成長が停滞していることから、積極的な投資には向かず、常にコストダウンを図る必要があります。新たな成長機会を求める戦略や、事業の多角化も検討しましょう。

「金のなる木」は、安定した収益源として大切に管理し、その安定した収益をほかの成長機会への投資に活用することが推奨されます。

負け犬

「負け犬」とは、市場成長率が低く市場シェアも低い事業を指します。

これらの事業は、競争力が不足しており、さらに市場の拡大も期待しにくいため、持続的な収益が確保されにくい状態です。事業として、投資の見直しや再構築、撤退の検討が求められるフェーズといえるでしょう。

継続的な投資やリソースの供給は、期待されるリターンに対して過剰となるリスクがあるため、慎重な戦略的判断が求められます。しかしながら、すべての「負け犬」が必ずしも不利益であるわけではなく、成長期に入る前の導入期であれば隠れた価値や将来の転機を持つ事業も存在します。

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プロジェクトポートフォリオ管理活用のメリット

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)の適切な活用は、企業の戦略的成功を後押しします。ここでは、プロジェクトポートフォリオ管理の採用による主なメリットを解説します。

組織のリスクを最小限に抑えられる

プロジェクトポートフォリオ管理では、各プロジェクトの目標、予算、期間、およびリソース要件を組織全体の戦略と照らし合わせて総合的に評価します。

これにより、プロジェクトの過度な重複やリソースの不足、さらには競合するプロジェクト間の優先順位の不整合など、潜在的なリスク要因を早期に発見し、適切な対応策を講じることが可能です。

また、ビジネスにおいては、市場の変化に応じたプロジェクトの目標変更や調整が求められることも少なくありません。ポートフォリオによってプロジェクトの依存関係が明確になっていれば、スピーディな軌道修正による、迅速な対応もしやすくなるでしょう。

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組織全体のコミュニケーションを改善できる

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)の導入により、組織全体のプロジェクトを通貫したパフォーマンス向上の視点が生まれることから、チームや部署の垣根を越えたコミュニケーションも活性化されます。

通常のプロジェクト管理は、個々のプロジェクトの成功が目標となります。しかし、プロジェクトポートフォリオ管理は、組織全体としての価値の最大化を目的としているため、プロジェクトの相互関係なども関係者全員に共有されることになるのです。

このような情報共有は、組織全体の事業戦略の解像度を上げ、チーム間の連携やコミュニケーションを強化するきっかけとして機能する効果も期待できるでしょう。

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プロジェクトをスピーディに進められる

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)の採用により、組織はプロジェクトの進行速度を大幅に向上させることが可能です。

プロジェクトポートフォリオ管理では、すべてのプロジェクトが一元的に監視・管理されるため、リソースの適切な配分やプロジェクト間の依存関係の理解が容易となります。これにより、無駄な待ち時間やリソースの重複を避けることができ、各プロジェクトがスムーズに進行します。

プロジェクト成功率の向上が期待できる

プロジェクトポートフォリオ管理では、組織全体でプロジェクトを管理します。リソース配分、各プロジェクトの進捗状況、リスク管理、すべてのフェーズにおいて、組織の戦略と一致する適切な意思決定がしやすくなるため、プロジェクトの成功確率を高められるのです。

また、チーム間のコミュニケーションが最適化されることで醸成される、一体感やモチベーションの向上もまたプロジェクトを成功に導く大きな要因となります。

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プロジェクトポートフォリオ管理のステップ

ここからは、プロジェクトポートフォリオ管理を効果的に実施するための基本的なステップ5つを詳しく解説します。

ビジネスの目標を設定する

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)の初期ステップとして、ビジネスの目標の明確化は極めて重要です。目標は組織のビジョンやミッションから派生し、短期・中期・長期の成果を具体的に示すものとして設定します。

これらの目標は、プロジェクトやプログラムの選択、優先順位付け、リソースの配分などの基盤となります。明確なビジネス目標を持つことで、組織全体が一貫した方向性を持ち、各プロジェクトの成果が組織の総体的な成功にどのように寄与するかの理解が深まるのです。

目標設定により、プロジェクトの評価や意思決定が客観的かつ効果的に行われ、組織全体のリソースが最大の価値を生み出すプロジェクトに集中的に配分されるようになります。

プロジェクトのアイデアを把握する

プロジェクトのアイデアは、チームメンバーによるディスカッションや顧客のフィードバックなど、あらゆる場所から生まれるため、些細なことでもメモしておくとよいでしょう。

収集したアイデアはドキュメント化し、組織の戦略やビジネス目標との関連性、実現可能性、期待されるリターンなどの基準をもとに評価します。明確にアイデアを把握し、それらを組織の目標と照らし合わせることで、アイデアの効率的な利用とプロジェクトの成功確率を最大化することが可能です。

最適なプロジェクトを選択する

プロジェクトのアイデアを集めて把握した後、組織の戦略やビジネス目標に基づいて、各プロジェクトの重要性や優先度を評価します。

期待される収益、リスク、コスト、リソースの要件、およびプロジェクトにかかる時間など、さまざまな要因から評価し、最適なプロジェクトを見極めることで組織のリソースを最も価値のあるプロジェクトに集中的に割り当てることが可能となります。

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ポートフォリオの実現性を検証してプロジェクトを開始する

選ばれた各プロジェクトが実際に実施可能であるか、リソースや時間、技術的な制約などの側面から詳細に検証します。実現性を確認することで、課題やリスクの可能性も見えてくるでしょう。

検証の結果、一部のプロジェクトが実現不可能または非効率的であると判断される場合、そのプロジェクトの再評価や修正を行います。

ポートフォリオの管理をする

ポートフォリオの管理では、各プロジェクトの進捗やパフォーマンスを定期的にモニタリングし、その情報を組織の戦略や目標と照らし合わせることで、必要な調整や最適化を行います。

具体的には、リソースの再分配やプロジェクトの再評価などを実行しながら、最大の利益を目指すことになりますが、この過程では、変化に適応する組織力が強化されるといった副産物的なメリットも生まれます。

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プロジェクトポートフォリオ管理を経営に活かそう

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)は、組織のビジョンや戦略の達成をサポートする強力なツールとして位置づけられます。

プロジェクトポートフォリオ管理の適切な実施は、リソースの効率的な利用、プロジェクトの成功率の向上、組織のリスクの最小化、そしてチームの連携を強化へとつながります。

持続的なポートフォリオの管理を通じて、変動するビジネス環境に即座に対応できる競争力の向上を目指してみてはいかがでしょうか。

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