ユニークな経営戦略に取り組んでいる企業|参考にすべきポイント

2023/11/29 2023/11/29

経営

ユニークな経営戦略

企業の発展に欠かせない「経営戦略」。変化の激しい現代社会において、ユニークな経営戦略を実行することで、多数の企業が成功を収めていることをご存じでしょうか。本記事では、ユニークな経営戦略に取り組んでいる企業を参考にすべきポイントと併せて解説します。

ユニークな経営戦略に取り組んでいる企業

企業を成長させるには、効果的な経営戦略を実行することが大切です。それでは、実際に成功を収めた企業は、どのような経営戦略に取り組んでいたのでしょうか。

ここでは、ユニークな経営戦略に取り組んでいる企業を紹介します。

株式会社中川政七商店

株式会社中川政七商店は「日本の工芸を元気にする!」をテーマに掲げ、日本の工芸技術を生かした生活雑貨の製造小売事業や、コンサルティングなどの人的資源管理を行う企業です。

同社は全国で直営店を営業しており、企画から製造、販売までを一貫して行うSPA業態を工芸業界で初めて取り入れました。また、製造小売業から得たノウハウを生かし、他社のコンサルティングも行っています。

また、各地の工芸メーカーに商品企画の提供・製造依頼を行い、完成品を買い取る「日本市プロジェクト」も実施しています。さらに、プロジェクトを通して販売ノウハウを提供することで、現地の土産物屋の成長にも貢献しているのです。

これらの差別化戦略が評価され、2015年にはユニークな競争戦略を実施していることを評価する、ポーター賞を受賞しています。

[参考:ポーター賞 受賞企業・事業レポート「株式会社中川政七商店」]

株式会社ハイデイ日高

株式会社ハイデイ日高は、大手ラーメンチェーン「日高屋」を経営している企業です。日高屋には「駅前の、しかも1階という立地」に出店するというこだわりがあります。駅前という、利便性が高く、多くの人が立ち寄りやすい場所を選んでいるのです。

また、大手ファストフードチェーンのすぐ近くに出店するというこだわりも持っています。大手ファストフードチェーンがその場所を選んだということが指標になるため、立地調査にコストをかけずに、顧客が集まりやすい場所への効率的な出店を実現しています。

コスト・リーダーシップ戦略を行っているのも特徴といえるでしょう。コストを抑え、低価格路線にすることで、大手ファストフードチェーン店との競合を可能にしています。さらに、さまざまなニーズに対応できる多彩なメニュー展開や、開業当時は珍しかった深夜営業などの差別化戦略も事業の成功に寄与しています。

[参考:株式会社ハイデイ日高「日高屋のこだわり」]

[参考:東洋経済オンライン「日高屋が「圧倒的に儲かっている」根本的な理由」]

株式会社サイゼリヤ

株式会社サイゼリヤでは、コスト・リーダーシップ戦略によって、リーズナブルな価格でイタリア料理を提供しています。顧客がより注文したくなる価格を目指して、徹底的なコストカットを行っているのが特徴です。

同社は自社農場を保有しており、品種改良も自社で行っています。食材の生産から提供までをシステム化することで、大幅なコストカットの実現に成功し、食材を下処理した状態で各店舗に配送することで現場での作業量を減らしています。

また、ホールとキッチンを区別せずにすべての業務をマニュアル化することで業務を効率化し、人件費の削減を実現しているのもポイントです。さらに、直感的に操作しやすいiPod touchをモバイルオーダー端末として導入し、オーダーミスの削減や新人教育の効率化にも成功しました。

これらの徹底的なコスト・リーダーシップ戦略によって、低価格での料理の提供を実現しているのです。

[参考:株式会社サイゼリヤ「サイゼリヤのこだわり」]

スズキ株式会社

スズキ株式会社は、国内の軽自動車市場において大きなシェアを獲得しています。軽自動車に特化して開発・製造を行ったことで大手との競合を避け、「軽自動車といえばスズキ」というイメージの確立にも成功しました。

さらに、1980年代には、当時ブルーオーシャンであったインド市場に進出しました。低価格自動車の需要に応えるべく、インド国営会社との合弁会社「マルチスズキ」を設立し、開発から製造、販売までを一貫して現地で行う手法を採用したのです。

現在では、世界的にも上位の自動車販売台数を誇るインドにおいて、スズキは圧倒的なシェアを誇っています。

[参考:東洋経済ONLINE「スズキがインドでシェア50%超を維持する理由」]

株式会社ドン・キホーテ

株式会社ドン・キホーテは、若年層をターゲットとした戦略が特徴です。商品を天井まで届く高さに積み上げて高密度に陳列する圧縮陳列や、手書きの店内POPなどによって、若者が買い物を楽しめる売り場づくりを行っています。

商品を低価格で提供するために、徹底的なコスト管理を実施しているのもポイントです。また、スポット商品を全体の3〜4割仕入れており、需要の高い商品の横にPOPと共に配置することで売り上げを伸ばす工夫を施しています。

各店舗の売り場担当者に商品選定や価格設定の権限を与えているのも独自の戦略といえるでしょう。これによって出店地域ごとに異なるニーズに対応できるだけでなく、成果主義によって担当者のモチベーション向上も見込めます。

[参考:キャククル「【3分で理解】ドンキホーテから学ぶ経営戦略・マーケティング戦略」]

スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーは、日本に進出して以来「サードプレイス」という概念を提唱しています。サードプレイスとは、第一、第二の場所である自宅や職場とは異なる、リラックスできる第三の場所という意味です。

高級感のある空間設計や提供するコーヒーの品質へのこだわり、女性向けの商品開発などによって、「ビジネスマンの休憩場所」という従来の喫茶店のイメージの払拭に成功しました。また、ほかのコーヒーチェーン店よりも高価格帯でありながら、ファンの獲得にも成功しています。

[参考:スターバックス コーヒージャパン株式会社「「おかえり」「ただいま」が聞こえてくる居心地の良い場所。サードプレイスの価値とは(大阪府・豊中市)」]

株式会社モスフードサービス

株式会社モスフードサービスは、大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開しています。モスバーガーは創業当時からの競合である「マクドナルド」との差別化を徹底してきました。

モスバーガーでは「安さ」ではなく「おいしさ」を追求し、販売価格が多少高くなっても素材や味にこだわったハンバーガーを提供しています。その結果、ほかのハンバーガーチェーンにはない「高価格ではあるが高品質」という独自のポジションの確立に成功しました。

[参考:株式会社モスフードサービス「モスのこだわり・安全安心」]

ソニーグループ株式会社

ソニーグループ株式会社は、世界的な電機メーカーでありながら、エンターテインメント事業や保険・証券などの金融事業まで、多角的な事業展開を行っている企業です。

もともとはテレビやオーディオ機器などのAV家電市場を主軸に経営しており、新規事業や海外市場の開拓も積極的に行っていました。2010年代の業績低迷期には金融ビジネスへの依存を強め、経営の安定化を模索。さらに、事業間のシナジー効果による企業の発展も実現しています。

[参考:ソニーグループ株式会社「総合報告書」]

ヤマハ株式会社

ヤマハ株式会社は、大きく分けて楽器事業・音響機器事業・その他電子部品の3つの事業で構成されています。

半導体を開発したり、パソコン機器・スポーツ用品などに事業領域を広げたりした時期もありましたが、巨額の赤字を出してしまいました。そこで、事業整理を行い、楽器・音楽事業に注力し直すことを決めたのです。さらに、現在の3つの事業領域に再編成を行った結果、業績回復に成功しました。

[参考:ヤマハ株式会社「事業紹介」]

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスは「セブン-イレブン」や「イトーヨーカドー」などの小売業を中心とした企業です。コンビニエンスストア事業の業績悪化から、M&Aによる事業の多角化を進めている最中です。

また、プライベートブランドの商品を製造したり、銀行などの金融業にも進出したりするなど、小売り以外の事業にも進出しています。これらの経営戦略によって、市場や環境の変化に対応した事業成長を可能にしているのです。

[参考:株式会社セブン&アイ・ホールディングス「セブン&アイの挑戦 グループ成長戦略と事業構造改革」]

株式会社しまむら

株式会社しまむらは、メインターゲットを20〜50歳の主婦層に絞って「ファッションセンターしまむら」を展開しています。

店舗運営のマニュアル化や物流オペレーションの効率化によってコスト削減に成功しているのが「ファッションセンターしまむら」のポイント。この結果、主婦層のニーズに合った低価格帯の商品展開を実現しています。

徹底的なコスト削減とターゲットを絞った商品展開によって、国内で高いシェアを獲得している事例です。

[参考:株式会社しまむら「ビジネスモデル」]

株式会社ファーストリテイリング

株式会社ファーストリテイリングは、大手ファッションチェーン「ユニクロ」などを運営している企業です。徹底したコスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略によって、高品質ながら低価格という独自のポジションを確立しました。

ユニクロでは、商品の企画から製造、販売までを一貫して自社で行うSPA業態を採用しています。生産や物流にかかるコストを削減できるため、商品の利益率を向上させられるのです。

ヒートテックやエアリズム、ブラトップといった機能性に優れた独自の商品展開も特徴です。ブルーオーシャンとなっていた市場を開拓し、他社の追随を許さない確固たるポジションを確立しています。

[参考:株式会社ファーストリテイリング「プレスリリース」]

任天堂株式会社

世界的な家庭用ゲーム機器メーカーである任天堂株式会社は、ブルーオーシャン戦略を生かした独自の市場開拓を成功させています。

2006年に発売された家庭用ゲーム機器「Wii」ではファミリー層をターゲットとし、まだゲームに触れていない小さな子どもや、ゲームに良い印象を抱いていない大人などにも向けた商品開発を行いました。

リモコンを使って家族みんなで遊べる体感型のゲームや、大人をターゲットにしたフィットネスなどのゲームを多数展開し、独自の市場開拓に成功したのです。

現在では、歴代の家庭用ゲーム機器と持ち運びやすいスマートデバイスの強みを掛け合わせた「Nintendo Switch」を展開し、世界中で人気商品となっています。

[参考:任天堂株式会社「質疑応答」]

経営戦略の種類

ここまで、具体的な内容とともに各企業の経営戦略を紹介してきました。大まかにまとめると、経営戦略には、以下のような種類があります。

  • 差別化戦略
  • 多角化戦略
  • 集中戦略
  • ブルーオーシャン戦略
  • コストリーダーシップ戦略

ここでは、それぞれの経営戦略について解説します。

差別化戦略

差別化戦略とは、他社との差別化を図ることで自社の競争優位性を確立する経営戦略のことで、経営学者であるマイケル・ポーターが提唱した「競争優位の戦略」における3つの基本戦略の1つです。

差別化戦略によって商品独自の魅力が伝われば、価格が高くても顧客に選ばれる仕組みをつくれます。ただし、単に他社商品と異なるというだけでは不十分です。他社製品とは異なる価値を付加し、自社商品の方が価値があると顧客に思わせる必要があります。

多角化戦略

多角化戦略とは、それまで注力してきた市場とは異なる市場で新商品や新規事業を展開する経営戦略のことです。既存事業のみで売り上げの向上を狙うよりも高い収益を見込めます。また、複数の市場で事業を展開することは、リスクの分散にもつながるでしょう。

ただし、複数市場での事業展開には多くのコストがかかります。さらに、経営リソースを分散しなければならないため、非効率な経営に陥りやすいのもデメリットといえるでしょう。多角化戦略を行う際は、既存事業とのシナジーを考慮した市場選択や、綿密な下準備などが重要です。

集中戦略

集中戦略とは、特定のターゲットや地域などに絞って経営資源を投入することです。これも経営学者であるマイケル・ポーターが提唱した「競争優位の戦略」における3つの基本戦略に含まれます。

集中戦略はコスト・リーダーシップ戦略や差別化戦略と組み合わせて実行されることが多い経営戦略です。特定の領域に集中することで、少ない経営資源でもその地域でのシェアの拡大を狙えるでしょう。大企業に対抗する手段として、中小企業でよく取り入れられています。

ブルーオーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略とは、これまで開拓されていなかった新しい市場を創出し、事業を展開することです。競合のいない市場で事業を展開できるため、価格競争に巻き込まれることなく高い収益をあげられます。

反対に、競合が多く競争が激化している市場、レッドオーシャンでは、安定した収益をあげるのは難しいといえるでしょう。ブルーオーシャンではそもそも競争が生まれないため、無駄なコストを抑えて商品価値を高めることに注力できるのです。

コスト・リーダーシップ戦略

コスト・リーダーシップ戦略とは、他社よりも安価に商品を提供することで競争優位性を確立する経営戦略です。経営学者であるマイケル・ポーターが提唱した「競争優位の戦略」における3つの基本戦略の最後の1つがこれです。

具体的には、大量生産で単価を安くする、直接仕入れや原価の安い材料の使用による仕入れコストの削減、生産工程の効率化といった方法を用いて低コスト化を実現し、他社よりも安い価格で販売を行います。価格を下げずに他社と同程度の価格で提供する場合でも、製造コストを抑えることによる利益率の向上が見込めるでしょう。

経営戦略とは?定義や種類・事例、フレームワークを解説

ユニークな経営戦略の参考にすべきポイント

他社とは異なる経営戦略に取り組む上で、実際の事例のどのような部分を参考にすればよいのでしょうか。最後に、ユニークな経営戦略の参考にすべきポイントについて解説します。

自社の現状を理解する

経営戦略を実行するには、自社の現状をよく理解しておくことが重要です。自社の持つ強みや独自の技術などを把握することで、市場における自社の優位性を見つけられるでしょう。この優位性を活かすことで、効果的な経営戦略を実行できるようになります。

また、既存事業の成熟度も把握する必要があります。経営基盤が整っているか、資本力は十分かなど、新たな経営戦略を実行していけるだけのリソースがあるか確認しましょう。

失敗・変化を恐れない

ユニークな経営戦略には、前例がないことが常です。しかし、失敗や変化を恐れて挑戦を避けていては成功は生まれません。「失敗するのは当たり前」「成功には変化がつきもの」といった考え方を持つことが大切です。

自社の目指すべき未来を明確にする

経営戦略を成功させるには、その上流にある企業理念やビジョンが明確である必要があります。したがって、経営戦略を練る前に、自社の目指すべき未来を明確にしましょう。

目指す未来を明らかにしておくことで、軸がぶれることを防ぎ、市場の変化にも柔軟に対応できます。また、企業として進むべき方向性が定まるため、組織力の向上や一貫性のある経営も可能となるでしょう。

経営戦略を学びたい人におすすめの本|参考になる名著を紹介

他社のユニークな経営戦略を参考にしよう

経営戦略にはさまざまな種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。企業を発展させるには、効果的なだけでなく、適切な経営戦略を選択・実行する必要があるでしょう。

現代ではさまざまな企業がユニークな経営戦略に取り組んでおり、成功事例も多数あります。今回紹介した事例を参考に、効果的な経営戦略を実行しましょう。

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ビズクロ編集部
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