【事例付き】営業のPDCAサイクルを回す手順とポイントを解説

最終更新日時:2022/09/07

業務効率化・業務改善

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多くの企業で活用されているPDCA。営業においてもPDCAサイクルを活用することで成果につなげることが可能です。本記事では、そんな営業におけるPDCAについて、サイクルを回す手順やポイントなど詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

営業におけるPDCAとは?

お客様や取引先に対して、直接、製品やサービスを紹介する営業は、企業が利益を上げるための、いわば最前線のポジションと言えるでしょう。

しかしながら、営業活動には、非定型的な業務が多く含まれており、また、ビジネス環境の変化を受けて業務の課題や問題点も変化するといった特徴を持っています。そのため、担当者のスキルや経験値による差が、実績や生産性に大きく影響してしまうことも珍しくはありません。

そのような営業において、現状の課題を把握し、改善策の実行と検証を繰り返すPDCAサイクルは、非常に役立つ実践的なフレームワークとなります。

営業活動でPDCAが重要な理由

営業活動においてPDCAサイクルを実行する主な目的は、「個人スキルの向上」と「チームと個人の業務の最適化」がメインとなるでしょう。

つまり、営業活動においてのPDCAサイクルは、

  • 個人スキルの向上による売上の拡大
  • 業務の最適化による利益の最大化

の両方の実現につながる取り組みであり、これらは企業の成長に欠かせない要素であることから、必然的にその重要度も高まることになるのです。

営業におけるPDCAの回し方・手順

営業の業務にPDCAサイクルのフレームワークを適用することで得られるメリットは大きいものですが、もちろん運用方法や目的意識が「適切」でなければ、その効果を得ることができません。

ここでは、P(計画)・D(実行)・C(評価)・A(改善)の各段階におけるポイントを説明していきます。

1.Plan(計画)

まずは改善すべき課題に対して、目標値を設定します。目標値は、できる限り定性ではなく定量(数値)で設定しましょう。目標を数値化することで、実行中の進捗が把握しやすくなるだけでなく、その後の評価やさらなる改善策の立案もしやすくなります。

また、部署全体の成約件数10%UPといった大きな目標値も必要ですが、その場合は、チームの全体目標を達成するための各個人の目標値も併せて設定しましょう。個人のやるべきことが明確になるだけでなく、モチベーションの維持もしやすくなるはずです。

さらに計画は、実現可能な数値であることも重要です。例えば年間1〜2件程度の受注が通例の案件に対して、何の施策を講じることもなく月20件の受注を目標とするのは現実的とは言えず、担当者のモチベーションを下げる結果にもつながりかねません。

目標値は、必ず現場の状況を理解した上で設定するようにしてください。

2.Do(実行)

現実的かつ具体的な数値目標があれば、実行における施策の進捗管理もしやすくなるでしょう。ただし、実行段階で重要となるのは、原則として計画通りに進めることです。

PDCAサイクルは計画と実行、評価と改善を繰り返し行っていく仕組みのため、当初の計画を大幅に変えてしまうと、正確な評価ができなくなることもあります。あくまで計画した仮説にそって目標との乖離を確認しつつ実行、その結果を定性・定量の両面で記録し、評価段階での正確な判断につなげてください。

3.Check(評価)

次に、実行結果をもとにした評価を行います。目標達成できたかどうか、未達の場合、どのような点がボトルネックとなっていたのか、計画の実行により新たな課題が発生することはなかったかなど、詳細を洗い出し、施策の効果を総合的に判断します。

成功要因、失敗要因を洗い出すことで、次のサイクルに向けた改善策の精度を上げることができるようになります。

4.Action(改善)

改善は、評価結果をもとに、具体的な改善策を考える段階です。

改善の際は、「失敗した策の修正」だけでなく、「成功要因のさらなる拡大」といった視点を持つことも重要です。このような視点を持つことで、成約率の高い営業担当者のスキルの共有といった施策も見えてくるでしょう。

営業におけるPDCAのポイント

営業におけるPDCAサイクルで、「サイクルを回すこと」が目的になってしまうケースは、絶対に避けなくてはなりません。ここからは、主に運用におけるポイントについて、詳しく解説していきます。

目的を明確にする

まず、営業業務にかかわる従業員全員が、PDCAサイクルを実行する目的を正しく理解していることが大切です。営業部門におけるPDCAサイクルは、多くの場合、売上の拡大と利益の最大化が導入の目的となっているはずです。

そのため、個人のスキルを磨いて成約率を上げることのほかにも、業務を効率化し残業(人件費)を減らして利益を最大化するといった、様々なアプローチが考えられます。

目的を明確にし、それぞれが目的意識を持って、自分ごととして業務改善やPDCAサイクルの実行にかかわることで、多様なアイデアが創出され、目標達成もしやすくなります。

根本的な課題を見つける

例えば、売上の拡大には、単価、新規契約件数、解約件数の要素がかかわってきます。そのため、10%の売上拡大を目標に掲げたとしても、課題の在りかによって、達成までのプロセスは異なってくるはずです。

最適な改善策を最短で見つけ出すためにも、「根本的な課題を見つけ出す」作業は、特に丁寧に行うべきと言えます。

定量的な数値を設定する

定量的な目標は、目標達成までの各プロセスごとに設定するのが理想です。受注を獲得するまでのプロセスには、訪問や架電のアプローチから始まり、アポ獲得、商談の設定、有効商談化、成約の段階があります。

この場合、月10件の受注を目標とするのであれば、有効商談は何件必要なのか、20件の有効商談を達成するには、何件の商談が必要なのかといった具合で、逆算思考で各プロセスの数値を設定していくと良いでしょう。

それぞれの段階ごとに目標値を設定しておくことで、目標達成のためにやるべきことが明確になるだけでなく、目標達成に向かって計画が進捗しているかを確認しながら実行することができます。

長期的な視点で取り組む

PDCAサイクルは、繰り返しサイクルを回し改善を継続する手法です。サイクルを何度も、スピーディに、回すことで初めて成果が得られる仕組みのため、一度で多くの効果を期待できるものではありません。

そのため、長期的な視点と思考が重要になりますが、とはいえ、1つのサイクルをダラダラと実行するのではなく、完了させる期間は必ず設定するようにしましょう。スピーディなサイクルの実行を繰り返すことが大切です。

成長した部分を確認する

PDCAサイクルの評価と改善では、つい上手くいかなかったことばかりに視点が偏りがちですが、成功した取り組みを伸ばすことによる成長の促進を続けることも大切です。

成功した取り組みをしっかりと評価することは、担当者のモチベーション向上や、社内ナレッジの蓄積の意味でも重要なポイントとなるでしょう。

営業におけるPDCAの成功事例と失敗事例

続いて、営業の業務改善にPDCAサイクルを活用することによる、成功例と失敗例を具体的な事例でみていきましょう。

情報の共有にPDCAサイクルを活用した成功事例

営業成績が慢性的に低迷していることが課題となっていたA社の事例です。

A社ではまず、半年間の日報から「顧客へのアプローチ不足および方法」に業績低迷のボトルネックがあるという仮説を立て、成績の良い2人の営業担当者の営業スタイルを体系化して共有しました。

そこで急激に成約の成果が上がることはなかったものの、従業員が課題感を持ち、プロセスの目標値を達成するために計画的に営業を行うようになるなどの意識改革に成功します。

評価段階では、各プロセスの数値目標が達成できたことを評価し、さらに「アポイントメント時の聞き取りの甘さ」や「訪問時の準備不足が成約率の低さに影響している」などの具体的な課題が可視化されました。

そこで次のサイクルでは、架電のトークスクリプト見直し、訪問時の資料確認やプレゼンリハーサルに注力するなどの計画を実行。またこれらのサイクルを「5営業日」というスピーディなサイクルで実行することで、営業成績を向上することに成功したのです。

【成功の要因】

  • 成績の良い従業員のノウハウの共有
  • 行動の回数等の具体的な数値目標の設定
  • 行動記録&評価
  • 成長に対する正当な評価
  • スピーディなサイクルの実行

非現実的かつ曖昧な目標設定によるPDCAの失敗事例

目標設定を誤り、改善や目標達成に至れなかったB社の事例です。

新型コロナ感染症拡大の影響を受けて売上が激減してしまった広告制作会社のB社は、新規案件を開拓しようと既存の取引先へのアプローチに注力していました。

しかし、どのようなカテゴリーで勝算があるのか、どのようなアプローチをすべきなのかなどの分析や各プロセスの目標設定はなく、「新規開拓案件をとにかく積み上げる」といった曖昧な目標のみでPDCAを実行したところ、やるべきことが明確にならず、当然、1度目のサイクルで実績を上げることはできませんでした。

具体的な目標設定がないことから適切な評価もできず、ボトルネックを的確に見出すこともできなかったため、2サイクル目で効果的な改善策を講じることもできません。

その結果、PDCAサイクルは形骸化し、単なる中身のない取り組みとなったことで改善に失敗してしまいます。

【失敗の要因】

  • 計画段階での情報収集の甘さ
  • 達成プロセスの分解をせず、目標設定もなかった
  • 実行スパンを設定しなかった
  • 根本的な課題の洗い出しができていない
  • 評価のための指標がない

営業のPDCAに役立つ「SFAツール」

日本語では、営業支援システムと訳される、SFA(Sales Force Automation)ツールは、顧客管理、見込み客管理、商談管理、受注管理、営業プロセスの記録などを通して、営業活動の効率化を図ることのできるシステムです。

SFAツールは、営業活動と親和性の高い情報を一元管理することで共有性を高め、業務の品質や生産性の向上を実現するものですが、なかには、集約された顧客情報や商談状況などを自動的に分析し、傾向を可視化する機能が搭載されているものもあります。

このような機能は、営業活動や市場の傾向を知り、有効な計画を立てる上で、大いに役立つ情報と言えます。また、計画実行後の変化も即座に把握できるため、評価の手間を省くこともできるでしょう。

営業におけるPDCAは、「取引先」「競合」といった相手が常にいるため、「改善に時間を要しているうちに失注してしまう」ことは十分に起こり得ます。そのため、PDCAサイクルのスピード感は非常に重要です。そういった意味でも、手間を各プロセスの手間を効果的に軽減することのできるSFAツールは、有効な手段となるのです。

営業のPDCAに役立つおすすめSFAツール4選

多様な機能で営業を支援するSFAツールですが、その「守備範囲」の広さ故に、ツールにもさまざまな特徴の違いがあります。

ここでは、ビズクロがおすすめする4つのツールについて、それぞれの機能や特徴を詳しく解説していきます。

1.Zoho CRM

Zoho CRMは、営業管理の基本的な機能が網羅されている一方で、初期費用がなく導入ハードルが低いことが特徴です。状況に応じて柔軟にユーザ数を増減できる点は、スモールスタートにより効果を検証したい企業や、中小企業、スタートアップ向けのツールと言えるでしょう。

提供元ゾーホージャパン株式会社
初期費用0円
料金プラン※1ユーザあたり月額

スタンダード 1,848円(税込)

プロフェッショナル 3,036円(税込)

エンタープライズ 5,280円(税込)

アルティメット 6,864円(税込)

導入企業数世界250,000社以上
機能・特徴〈主な機能〉

顧客管理、商談管理、マルチチャネル連携、帳票管理、AI支援、承認プロセスなど

〈特徴〉

導入先のビジネスモデルに応じてレイアウトをカスタマイズ可能です。また自分だけのレイアウトを作成することも可能。それぞれが使いやすいCRMを作ることができます。GmailやOffice365など他社アプリとの連携機能も高く拡張性に優れています。

URL公式サイト

2.GENIEE SFA/CRM

GENIEE SFA/CRMは、以前「ちきゅう」のサービス名で提供されていた中小企業向けのSFA・CRM一体型のツールです。

定着率99%の実績は、 直感的な操作が可能な画面のほか、「国産SFA」ならではのカスタマイズ性の高さが、満足度に貢献した結果と言えるでしょう。MAツールやチャットシステムとの連携も可能です。

提供元株式会社ジーニー
初期費用※要件により見積もり
料金プラン※1ユーザあたり月額

ライト 1,628円(税込)

スタンダード 3,278円(税込)

プロ 5,478円(税込)

エンタープライズ 10,780円(税込)

導入企業数非公開
機能・特徴〈主な機能〉

顧客管理、商談管理、名刺管理、グラフ作成、外部ツール連携、活動報告、タスク管理、レポート機能、プロセスビルダー

〈特徴〉

顧客情報と取引履歴を紐づけて管理する閲覧性の高さ。また、商談管理では、フェーズごとのステータス管理により進捗状況がひと目で確認できます。さらにレポート作成も簡略化されているため資料作成に無駄な時間を要しません。

URL公式サイト

3.Salesforce Sales Cloud

主に大企業を中心に導入されている、世界最大のシェアを誇るクラウド型SFAツールです。

見込み客へのアプローチから既存顧客との関係強化、商談成立など成果に直結する分析機能が充実しています。

提供元株式会社セールスフォース・ジャパン
初期費用※要件によりアドオンなど別途見積もり
料金プラン※1ユーザあたり月額

Essentials 3,300円(税込)

Professional 9,900円(税込)

Enterprise 19,800円(税込)

Unlimited 39,600円(税込)

導入企業数Salesforce全体で世界150,000社以上
機能・特徴〈主な機能〉

顧客管理、案件管理、見込み客管理、レポートとダッシュボード、モバイル、売上予測、メールの連携、ワークフローと承認、ファイルの同期と共有

〈特徴〉

部署の垣根を超えた全社横断的な情報共有が可能。見込み客開拓の仕組みづくり、マルチデバイス対応、操作画面の高いカスタマイズ性など、営業活動のスマート化に役立つ機能が充実しています。

URL公式サイト

4.Senses

情報収集機能に優れたSensesは、「現場ファースト」を追求して開発されたSFAツールです。そのため、営業活動に必要なありとあらゆる情報が一元管理でき、かつ、入力作業を軽減するための運用面の効率をサポートする自動化機能に優れている点が特徴です。

売上実績や推移、着地見込みなどのレポート機能も充実しており、営業活動を包括的に効率化、有効化することが可能です。

提供元株式会社マツリカ
初期費用0円
料金プランStarter

月額30,250円(税込)から(追加ユーザー6,050円(税込)/月)Growth

月額121,000円(税込)から(追加ユーザー12,100円(税込)/月)

Enterprise

月額330,000円(税込)から(追加ユーザー18,150円(税込)/月)

スタートアップ支援プラン

要問い合わせ

導入企業数1,000社以上
機能・特徴〈主な機能〉

外部情報を取得、アクション管理、コメント機能、レポーティング機能、マルチデバイス対応、サポート機能、企業データベース、名刺管理、ダッシュボード、見積書管理、コミュニケーション

〈特徴〉

取引先の企業情報を自動取得するなど高い情報収集機能が特徴。取引先との行動履歴管理では、過去の類似案件から、有効なネクストアクションをレコメンドしてくれる機能など、現場主義ならではの「実践的」な機能に優れたツールです。

URL公式サイト

▼「現場主義」をとことん追求したSFAツール「Senses」をもっと知りたい方はこちら▼

営業でもPDCAを徹底して営業力を強化していこう

PDCAは、営業の業務改善や品質向上にも役立つ取り組みですが、運用方法を誤ってしまうと、効果が期待できないばかりか、ただ手間だけが増えてしまう結果となります。

適切なPDCAの実行には、まず、目的意識の共有と自社の現状を正確に把握するための情報収集やデータ分析が重要となるでしょう。会社の売上を上げるには、営業活動における課題の解決、業務の効率化、品質の向上は、避けて通ることのできない取り組みです。

ここでご紹介したポイントを参考に、PDCAにおける目標設定や評価を正常化させ、営業活動の課題改善や売上の「高成長」を目指していきましょう。

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ビズクロ編集部
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