ビジネスフォン導入の設定方法!繋ぎ方や自分で設定できるのかを解説
会社規模や事業フェーズにあったビジネスフォンを導入することはビジネスシーンにおいてとても重要です。しかし、ビジネスフォンについて疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。本記事では、ビジネスフォン導入の設定方法や繋ぎ方について解説します。
目次
ビジネスフォンとは
ビジネスフォンとは、2回線以上の回線を共有できる業務用電話システムのことです。
家庭用電話は基本的に1契約につき1回線または2回線しか利用できませんが、ビジネスフォンなら、例えば192チャネル設けて192人が同時に外線通話をすることもできます。
同時に多くの外線通話ができるという特徴のほか、ビジネスフォンは保留・転送機能、内線機能など、業務効率化やコスト削減につながる多くの機能を備えていることも特徴です。
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主装置について
ビジネスフォンの導入設定において、欠かすことのできない機器がビジネスフォンの主装置です。ビジネスフォンの主装置とは小型交換機のことで、専用電話機と繋いで利用します。
主装置には外線ユニットや内線ユニット、拡張ユニットなどの基盤(ユニット)が内蔵されており、これによって外線制御や内線制御などを行っています。
つまりこの主装置によって、家庭用電話とは異なるさまざまな機能がビジネスフォンに備えられているのです。
ビジネスフォン導入のための準備
ビジネスフォン導入のためには、主装置以外に、次の3つを準備する必要があります。
- 電話回線
- ビジネスフォン
- 回線工事
それぞれどのようなものなのか、どのように準備すれば良いのかについて確認していきましょう。
電話回線
電話回線とは、電話をつなぐための回線のことを指し、具体的にはアナログ回線やISDN回線、光回線などがあります。なお、ビジネスフォンを利用する場合には基本的にアナログ回線は利用しません。
電話回線の準備は、例えば光回線を利用する場合、「フレッツ光」など光回線・インターネット接続サービスを契約します。別途料金を負担することになるので、あらかじめ把握しておきましょう。
ビジネスフォン
ビジネスフォンの導入には、当然ながらビジネスフォンとして利用する電話機端末が必要です。ビジネスフォンには次の3種類があるため、設置場所や用途に応じて適切なものを選びましょう。
種類 | 特徴 |
卓上タイプ | デスクに設置する電話機端末 |
コードレスタイプ | 持ち運びが可能な電話機端末 |
カールコードレスタイプ | 受話器部分がコードレスになっている電話機端末 |
回線工事
ビジネスフォンの導入には、回線と電話機端末があるだけでなく回線工事も必要です。まずはビジネスフォンの設置工事を行ったうえで、電話を使うための電話回線工事が必要となります。
電話回線工事では、電話回線の引込口からケーブルを引いて主装置に接続します。その次に、主装置と各電話機端末を接続します。すでに回線工事が終了していれば、かかる手間やコストは比較的抑えることが可能です。
ビジネスフォン導入前に確認すべきこと
ビジネスフォン導入前に確認すべきこととして、次の3つが挙げられます。
- 同時接続数
- 導入台数
- 必要機能
詳細をチェックしていきましょう。
同時接続数
同時接続数(チャネル数)とは、社内で同時に外線通話が可能な数のことです。多すぎると費用がかさみ、少なすぎると業務の円滑な進行に支障が出る可能性があるため、適切な数に設定することが求められます。
具体的な同時接続数については、NTT西日本が推奨している「社員数の3分の1」を目安とすると良いでしょう。例えば、社員数30人であればチャネル数は10程度が目安となります。
[出典:NTT西日本「電話機台数・チャネル数の選び方」]
導入台数
導入台数とはビジネスフォンの電話台数のことです。導入台数についても、NTT西日本が推奨する「デスクの数+会議室の数」を目安として参考にすると良いでしょう。例えば、デスクの数が38台で会議室の数が2つならば40台が一つの目安です。
ただし、外勤営業が多く社員のほとんどが社内に在籍しない場合などは、必要に応じて目安の台数よりも少なくするなど調整が必要です。
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必要機能
ビジネスフォンには多種多様な機能を付加させることができます。そのため、自社にとって必要な機能の選定を行っておきましょう。
例えば、NTTではスマートフォンをオフィス電話の内線電話機として利用できる「スマホ内線」機能を提供しています。これにより、テレワークや外出時でも社内の電話番号を使って発着信が可能です。
その他、電話とコンピュータを連携させて顧客情報を表示したり、通話内容を録音・保存したりできるCTI連携機能などがあります。
ビジネスフォン導入の流れ・繋ぎ方
ビジネスフォン導入の流れや繋ぎ方について確認していきましょう。
ビジネスフォンを利用するためには主装置と電話機の設置だけでなく各種設定が必要であり、設置と設定はそれぞれ別工程で工事が進みます。
1.主装置・電話機の設置
ビジネスフォンを導入するためには、主装置と電話機の設置が必要です。具体的には、回線の引込口と主装置をケーブルで繋ぎます。電話回線が光回線の場合、回線終端装置(ONU)などから専用アダプターを通じて主装置に繋ぎます。
その後、主装置と電話機をモジュラーケーブルで接続することによって設置と配線が完了するという流れです。
2.主装置のデータ設定
ビジネスフォンは、主装置と電話機の設置・配線が完了しただけでは利用できません。主装置のデータ設定が必要です。
具体的には、主装置に収容した電話番号を電話機のボタンに着信させたり、社員に割り振る内線番号の設定などを行います。その他、ワンタッチダイヤルの登録や留守番電話の設定などが可能です。
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ビジネスフォン導入の設定は自分でできる?
ビジネスフォン導入の設定を自分でできるかどうか気になる人もいるでしょう。結論からいえば、ビジネスフォン導入の設定は経験者でなければ困難であり、自分で行うのは現実的ではありません。
また、そもそもビジネスフォンの工事には国家資格が必要であるため、無資格者が設定等を行うと電気通信事業法に反します。
設置工事の資格が必要なため業者に頼むのが一般的
ビジネスフォンの工事には、一定の場合を除いて「工事担任者」という国家資格の保有者による工事または監督が必要です(電気通信事業法第71条第1項)。
(工事担任者による工事の実施及び監督)
第七十一条 利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。
[出典:e-Gov法令検索「電気通信事業法」]
無資格者が設置工事などを行うと、場合によっては2年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることもあります。そのため、ビジネスフォンの工事は専門業者に依頼することが一般的です。
ビジネスフォンの工事に必要な国家資格の区分
ビジネスフォンの工事に必要な国家資格「工事担任者」には、次の区分があります。
- 総合通信(旧:AI・DD総合種)
- 第一級アナログ通信(旧:AI第一種)
- 第二級アナログ通信(旧:AI第三種)
- 第一級デジタル通信(旧:DD第一種)
- 第二級デジタル通信(旧:DD第三種)
なお、紹介している区分は令和3年(2021年)4月1日に変更された後の区分です。参考として旧称も併記しています。
AI第二種とDD第二種は、令和3年4月1日をもって廃止される運びとなりましたが、令和3年度から3年間に限って試験は実施されます。
各区分について概要を解説していきますので、どのような資格なのか把握するために参考にしてください。
[出典:総務省「電気通信関係資格手続きの案内」]
[出典:一般財団法人 日本データ通信協会「令和3年4月1日から工事担任者試験が変更されます」]
総合通信(旧:AI・DD総合種)
総合通信は、アナログ伝送路設備またはデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事が可能な資格区分です。
工事担任者として、すべての工事範囲を網羅しています。そのため、中・大規模の工事にも対応可能です。
第一級アナログ通信(旧:AI第一種)
第一級アナログ通信は、アナログ伝送路設備・総合デジタル通信(ISDN)用設備に端末設備等を接続するための工事が可能な資格区分です。
第二級アナログ通信(旧:AI第三種)
第二級アナログ通信は、アナログ伝送路設備・総合デジタル通信(ISDN)用設備に端末設備を接続するための工事が可能な資格区分です。
第一級アナログ通信との違いとしては、アナログ回線の場合は1回線のみ、ISDN回線については基本インターフェースが1回線のみの工事に限定されています。
第一級デジタル通信(旧:DD第一種)
第一級デジタル通信は、デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事が可能な資格区分です。ただし、総合デジタル通信(ISDN)用設備の工事はできません。
第二級デジタル通信(旧:DD第三種)
第二級デジタル通信は、デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事が可能な資格区分です。ただし、総合デジタル通信(ISDN)用設備の工事はできません。
第一級デジタル通信との違いは、デジタル信号の入出力速度が1Gbps以下のインターネット接続工事に限られている点です。
ビジネスフォンの増設工事について
すでにビジネスフォンを利用しているものの、社員の増加や部署新設などに伴い、増設工事を行いたいという場合もあるでしょう。
ビジネスフォンの増設工事を検討している場合、まず確認すべき点が主装置の内線ユニットに増設分の空きがあるかどうかです。
空きがあれば問題ありませんが、なければ主装置の交換または拡張をする必要があります。空きがない場合はコスト負担が大きくなるため、コストを考慮しながら増設台数を検討しましょう。
また、主装置の種類によって追加できる電話機の種類は限定されてしまいます。そのため、増設する際は電話機から選ぶのではなく、主装置が対応できる電話機を確認したうえで電話機を選ぶことが必要です。
その他、増設時に追加する主装置から電話機までの配線も準備しなければなりません。オフィスのレイアウトや配線方法によっては工事コストが高くなる可能性もあるため注意しておきましょう。
ビジネスフォンは業者に依頼して導入しよう
ビジネスシーンにおいて便利なビジネスフォンですが、導入や設定に際しては、原則として専門業者に依頼することが必要です。
そのため、同時接続数や導入台数、必要機能などを事前に、または業者と相談しながらビジネスフォンの導入を進めることになります。
ぜひこの記事を参考に、ビジネスフォンを円滑に導入・設定し、業務に活用してみましょう。
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