VoIPとは?仕組みやメリット・SIPサーバーとの違いをわかりやすく解説

最終更新日時:2023/02/28

IP電話・ビジネスフォン

Volpとは

IP電話の技術であるVoIPをご存知でしょうか。実は私たちの身近なところにVoIPの技術は使われています。本記事では、VoIPとはという基本的な概要から仕組み、メリットについて解説します。ぜひVoIPの理解を深める際の参考にしてください。

VoIPとは

VoIPとは、「Voice over Internet Protocol」の略でインターネット回線を通じて音声データをやり取りする技術のことです。音声通話をするためには、VoIPの技術が欠かせません。

そもそもデータのやり取りには、「通信プロトコル(IP)」が必要です。通信プロトコルとは、すべてのネットワーク機器同士が適切に通信を行えるように定めたルールのようなものです。データの宛先を特定する方法や、データを伝送する仕組みなどが決められています。

VoIPもまた、通信プロトコルで音声データのやり取りをしています。

VoIPの仕組み

VoIPによって音声データを送受信できる仕組みについて解説します。

音声データは、通信プロトコルによって小分けのデータへと分割されます。この分割された小分けのデータが「IPパケット」です。

そしてIPパケットがインターネット回線を通じて相手に伝送され、相手のもとへ到着するときにIPパケットが再び音声データへと復元されることによって音声通話が成立しています。

VoIPを利用するために必要な物

VoIPは、あくまでも通信プロトコル(IP)によって音声データをやり取りする技術のことです。そのため、VoIPを利用するには「端末」「音声サーバ」「IPネットワーク」の3つが必要となります。

端末は「IP電話機」「ソフトフォン」「VoIPゲートウェイ」、音声サーバは「IP-PBX」があげられます。IPネットワークは、通信プロトコルによるインターネット回線のことです。3つの要素が揃ったとき、VoIPを利用したデータ通信が可能となります。

VoIPを使用するIP電話の種類

VoIPを使用するIP電話には、「ハードウェアタイプ」「ソフトウェアタイプ」があります。

ハードウェアタイプは固定電話のような見た目で、もともとIP電話として利用できるものやVoIPゲートウェイを使ってアナログ電話をIP電話として利用するものがあります。

そしてソフトウェアタイプは、パソコンなどの端末にソフトウェアをインストールすることで利用が可能になるIT電話のひとつです。例えばLINEやSkypeなどが、ソフトウェアタイプのIP電話として分類されます。

またビデオ通話もIP電話のひとつで、VoIP技術の応用で利用が可能です。

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IP電話を活用するメリット

IP電話を活用する際には、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 導入や運用にかかるコストを抑えられる
  • 音質が安定している

IP電話を導入する際に必要な回線はインターネット回線のみで、電話加入権も必要ありません。また、IP電話が登場する以前に主流だったアナログ電話に比べ通話料金が安い傾向にあるため、導入や運用にかかるコストを抑えられます。

さらにアナログ電話は距離が遠いと音質が悪いという問題がありましたが、インターネット回線を使用するIP電話は距離に関係なく安定した音質での音声通話が可能です。

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VoIPのプロトコルとは

VoIPは通信プロトコルで音声データをやり取りしていますが、VoIPプロトコルを細かくみると、「SIP」と「RTP」のプロトコルが用いられています。それぞれのプロトコルがどのような役割を担っているのか、1つずつみていきましょう。

SIP

SIPとは、「Session Initiation Protocol」の略で、IP電話で音声通話を行う際に「呼制御」を行うプロトコルのことです。呼制御とは、音声通話でいう「発信」「着信」「保留」などの機能を指します。つまり、SIPだけでは音声が届かずVoIPには音声を届けるプロトコルが別に必要だということです。

SIPが登場する以前にも呼制御を行うプロトコルは存在していました。しかしSIP以前のプロトコルは、電話回線の通信が前提だったためインターネット回線に対応したSIPが登場したのです。

RTP

RTPとは、「Real-time Transport Protocol」の略で、IPパケットを伝送するためのプロトコルです。VoIPでは、音声データをIPパケットと呼ばれる小分けデータに分割して伝送します。このIPパケットの伝送に必要となるのがRTPです。

RTPは、データの送受信を素早く行うことに長けています。そのため、一部のデータが伝送できないといったことも起こりがちです。例えば、音声通話で音声が途切れ途切れになるものの、会話は続いている状態をイメージするとよいでしょう。

音声の途切れは、一部のデータが適切に伝送されていないことで起こるトラブルです。しかし伝送されていないデータがあっても次々と新しいデータが届くため、会話ができる状態になっています。

このようにRTPは、すべてのデータを確実に伝送できなくてもリアルタイム性に優れていることからVoIPを構成するプロトコルとして用いられています。

SIPサーバーとは

「発信」「着信」「保留」などの呼制御を行うSIPですが、この呼制御の信号を送受信するサーバーがSIPサーバーです。

例えば電話を発信した際、電話番号やIPアドレスが信号としてSIPサーバーに送信されます。そして信号を受け取ったSIPサーバーは、電話番号やIPアドレスをもとに相手の電話端末を特定し、その電話端末へ信号を送信することで相手の電話端末が着信を受けるという仕組みです。

つまりSIPサーバーは、通話を行う端末同士をつなげる役割を担っています。

IP-PBXとSIPサーバーの違い

そもそもPBXとは、複数の電話回線を一元的に管理し内線同士や外線と内線の接続をコントロールするものです。例えば外線から事務部門に届いた着信を営業部門に転送するような場合、PBXによって接続が切り替えられています。このPBXをIP電話に対応させたものがIP-PBXです。

一方でSIPサーバーは電話端末同士をつなげることが主な役割であり、接続をコントロールする機能はありません。つまりIP-PBXとSIPサーバーは、そもそもの機能が異なるのです。そのため、IP-PBXの呼制御としてSIPが用いられることもあります。

IP-PBXとSIPは相性がよく、IP-PBXにSIPを活用するとIPアドレスではなく電話番号情報での発着信が簡単に行える点がメリットです。

IP-PBXとSIPサーバーの違いとは?仕組みや構築方法についても解説

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VoIPとSIPの違い

VoIPとSIPはよく混同されますが、VoIPを構成するために用いられるプロトコルのひとつがSIPであることを覚えておいてください。VoIPは、呼制御を行う「SIP」とIPパケットの伝送を行う「RTP」の2つのプロトコルで成り立っています。

つまりVoIPは、インターネット回線を使った音声データのやり取りを可能にする技術の総称でプロトコルの一種ではありません。このようにVoIPとSIPには明確な違いがあるため、それぞれの意味を確認しておきましょう。

ゲートウェイとは

ゲートウェイとは、異なるプロトコルであっても通信を可能とするために設置されるネットワークの中継機器です。プロトコルが「言語」で、ゲートウェイが「通訳」という考えです。

本来は日本語と日本語や英語と英語のように、同じ言語を用いて会話や意思疎通を行います。しかしこの世には多くの言語が存在するため、日本語と英語のような組み合わせになることもあるでしょう。この場合、通訳を用いることで日本語と英語でも会話・意思疎通が可能になります。

このように異なる「言語=プロトコル」でも通信を可能とするため、「通訳=ゲートウェイ」が活用されているのです。また、VoIPを利用するためのゲートウェイを「VoIPゲートウェイ」といいます。

ゲートウェイの役割

アナログ電話をIP電話として利用したい場合、VoIPゲートウェイが必要です。アナログ電話はアナログ電話回線を使用しており、IP電話はIPネットワーク回線を使用しています。そのためアナログ電話のままでは、通信ネットワークの種類が異なり適切な通信が行えません。

そこでアナログ電話にVoIPゲートウェイを接続することで、アナログ電話回線とIPネットワーク回線の中継・変換を行います。このようにVoIPゲートウェイを活用すれば、アナログ電話でもIP電話としての利用が可能となるのです。

IP電話の技術であるVoIPの仕組みを理解しておこう

IP電話には、ネットワーク回線を通じた音声データのやり取りを可能とする「VoIP」という技術が欠かせません。VoIPはRTPとSIPのプロトコルから構成されており、現在の音声通話を支えています。

近年ではVoIPの技術が応用され、ビデオ通話も一般化しています。本記事を参考にIP電話の要ともいえるVoIPの仕組みを理解し、VoIP技術が今後どのように展開するか注目していきましょう。

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