チャットボットの導入事例15選|導入時のポイントや成功する方法・メリットを解説

2024/01/16 2024/01/16

チャットボット

チャットボットの導入事例

業界問わずさまざまなシーンで活用されている「チャットボット」。昨今は自治体でも導入が進み、対応時間外での問い合わせが可能になりユーザーの満足度が向上しています。本記事では、チャットボットの導入事例15選を、導入メリットや導入を成功させる方法とあわせて解説します。

【業界・業種別】チャットボットの導入事例10選

自動的にメッセージを返す便利なチャットボットは、さまざまな業界・業種で導入されています。ここでは成功例・失敗例を含めて10社の導入事例を紹介します。

1.エイチアールワン株式会社

エイチアールワンは、約300社、延べ30万人の顧客に人事給与のアウトソーシングサービスを提供している会社です。

同社では10月下旬から急増する年末調整の問い合わせに対応するため、人工無能型のチャットボットを導入した経緯があります。しかし期待するような効果が出ず、AIチャットボットに切り替えたところ、問い合わせが激減したのです。

導入前は、繁忙期における受電率が100%に満たない日々もありました。チャットボットによる大幅な業務効率化で受電率100%を叶えるなど、コールセンター本来の機能を取り戻しています。

2.キリンホールディングス株式会社

大手飲料メーカーのキリンホールディングスは、公式サイトのお客様相談室でAIチャットボットを導入しています。

顧客の問い合わせに対して、シナリオ型と自由文の2種類で自動対応していました。運用当初の解決率は20%に留まっていたものの、1年かけて倍以上に高めることに成功しています。

また、約800件あったFAQのデータベースを200件以下まで減らす施策を試みた結果、質問に対する解決率が33%も上昇したそうです。

導入して終わりではなく、その後のメンテナンスによって効果を高められるという良い事例です。

3.ライフネット生命保険株式会社

ライフネット生命保険は、サービスの入口となる保険診断・保険見積もりにチャットボットを導入しています。

プラットフォームはLINEやFacebook Messengerで、ユーザーはガイダンスに従って生年月日・性別・希望条件などを入力するだけです。入力内容をもとに適した保険を案内してくれるだけでなく、必要に応じて有人対応に切り替わります。

入力と回答のシンプルなチャットボットですが、それ故にコミュニケーションコストの削減効果は高く、提供しているサービスと相性の良い使い方といえます。

4.SBI損害保険株式会社

SBI損害保険は、自動車保険のトップページ上にチャットボットを導入し、商品や操作方法への質問を受け付けています。

同社は有人対応とチャットボットを併用しているのが特徴です。平日9:30〜17:30はオペレーターによる有人対応、17:30以降と休日はチャットボットが対応します。

これにより、オペレーターやコールセンターの負担を軽減しつつ、ユーザーは24時間365日問い合わせが可能です。窓口の対応時間拡大にともない、双方にとって有益な体制づくりに成功しています。

5.株式会社阪急阪神ホテルズ

関西・首都圏を中心にサービスを展開している阪急阪神ホテルズは、大量に寄せられる海外からの問い合わせに対応するためにチャットボットを導入しました。

チェックイン時間の確認や荷物の預かりに関する問い合わせが大半を占めており、定型的な返答で対応できると踏んだことから、AIチャットボットの導入を決めています。

チャットボットは日本語以外の言語も扱えるため、有人対応よりもスムーズな案内が可能になりました。また、対応の統一性が出たことも高く評価しています。

6.山三交通株式会社

タクシー会社である山三交通は、LINE内で動作するチャットボットを導入しています。同社が抱えていたのは、やや複雑なシフト体制と従業員の高齢化という課題です。操作が難しいシステムを導入しても使いこなせず、電話連絡が多いことによる業務負担も生じていました。

そんななか「LINEなら使える」という従業員が多かったことを受け、LINE内アプリのチャットボットを導入しています。コミュニケーションコストの大幅な削減に成功し、電話業務の負担も減りました。

7.ヤマト運輸株式会社

運送会社の大手であるヤマト運輸は、2021年6月にチャットボットの使い勝手を刷新しています。従来のFAQモードだけでは問題解決に至らなかったという顧客の意見を受け止め、新たにシナリオモードを用意しました。

シナリオモードでは、チャットボットからの質問に答えていくだけでさまざまな疑問を解消できます。電話からショートメッセージを通じての利用もできるため、ネットに不慣れな方も使いやすいでしょう。

また、LINE上でメッセージを送ると、チャットボットが荷物の情報を教えてくれます。LINEは従来のメールよりも開封率が高く、再配達の軽減とそれにともなうドライバーの負担軽減に優れた効果が期待できるのです。

8.西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)

JR西日本は、乗客の遺失物の問い合わせに対応するため、チャットボットを活用した「お忘れ物チャットサービス」を提供しています。

ユーザーが落としたもの・時間・場所などを入力してからオペレーターに繋がり、入力内容をもとに遺失物を探します。これによりオペレーターの初期対応が削減され、1件あたりの対応速度が向上しました。1人が対応できる件数も増え、遺失物の発見率も上昇しています。

また、導入前は忘れ物センターなどで電話を受ける有人対応だったため、対応できる時間帯に限りがありましたが、チャットボット導入により24時間問い合わせが可能になりました。

9.株式会社CHINTAI

賃貸不動産の検索サイトであるCHINTAIは、LINE上で動作するチャットボットで物件の紹介サービスを提供しています。

初期費用の相場価格や室内の写真など、簡単な要望をLINEのトーク上で投げかけると自動でメッセージが返される仕組みです。定期的におすすめ物件を通知する機能も備え、ユーザーが積極的にアクションをとる必要がないのも魅力でしょう。

簡単な質問への自動対応はチャットボットが得意とする作業であり、CHINTAIの事例も適材適所な活用といえます。

10.株式会社ナビタイムジャパン

導入したチャットボットがうまく機能・浸透せず、サービスを終了してしまった事例もあります。乗換案内大手のナビタイムジャパンのケースもその一つです。

同社はLINEのトーク上で入力した行き先に対し、経路や交通費などを返信するというチャット機能を導入していました。

しかし、乗り換え検索をする度にナビタイムとのチャットルームを探す手間があるなど、細かい点でユーザーのニーズを反映できていなかったことが、終了の一因となったようです。

乗換案内は専用アプリのほうが使い勝手が良く、現在の形に落ち着いています。

【自治体】チャットボットの導入事例5選

一般企業だけでなく、多くの地方自治体でもチャットボットは活躍しています。チャットボットを導入している自治体の事例を5つみていきましょう。

1.神奈川県横浜市

神奈川県横浜市では、市民のゴミの分別方法に関する疑問を手軽に解消できるようチャットボットを導入しています。チャットで処分したいゴミを入力することで、分別方法やゴミの出し方を返信してくれるシンプルな仕組みです。

総務省によると、チャットボットの対応によるコストはコールセンターの数百分の1でありつつ、コールセンターの営業時間外の問い合わせにも対応できているというデータが出ています。

一見シンプルなサービスですが、ユーザーの多さと作業内容にうまく合致した画期的な仕組みといえるでしょう。

2.大阪府富田林市

大阪府富田林市は、市民から寄せられるよくある質問に対応できるよう、公式サイト上にチャットボットを導入した自治体です。

たとえば、税金・住民票・ゴミの分別・水道に関することなどがカテゴリー分けされているほか、フリーワードによる検索も可能です。

共働き世帯が増え続けている昨今において、平日の昼間はなかなか問い合わせができないため、24時間自動応答が可能なチャットボットはニーズが高いことが予想されるでしょう。従来の問い合わせ窓口とチャットボットを併用することで地域住民の利便性を高めており、さらなる回答精度の向上も目指しています。

3.岡山県和気町

岡山県和気町も、AIチャットボットの導入で地域住民のニーズに応えている自治体のひとつです。

チャットボットの導入前は、担当者が直接問い合わせに対応していました。土日や夜間には十分に対応できない状態だったほか、問い合わせ内容ごとに窓口が分かれ、情報が探しづらいのも課題でした。

チャットボットはこのような課題解決に適しており、問い合わせ窓口の統一や24時間対応の実現で、検索の簡易化と利便性の向上を果たしています。

4.愛知県春日井市

市のマスコットキャラクターとチャットボットを連携したケースは多く、愛知県春日井市の「教えて!道風くん」もその代表例です。

市民から質問の多い住民票・マイナンバー関連・ゴミの分別のほか、子育てや育児支援に関する疑問など、さまざまな問い合わせに24時間365日体制で対応しています。

選択肢から選ぶ方法とフリーワード検索に対応しており、幅広い年齢層がスムーズに利用できるよう工夫がなされています。

5.福島県会津若松市

住民からのリクエストを参考にチャットボットを導入した福島県会津若松市では、LINEで使えるAI型自動応答サービスを提供しています。

導入前は「公式サイトが見づらい」「対応時間を増やしてほしい」といった課題がありました。職員による直接の対応であったため、問い合わせの集計もできていない状態だったのです。

AIチャットボットが簡単な質問への回答を担うことで、職員は複雑な対応に集中できるようになっています。また、AIの連携でデータの収集・分析も実現し、約80%以上の住民が当該サービスに好意的な意見を持っています。

チャットボットの市場規模について!日本・海外の規模や成長している背景

チャットボット導入のメリット

チャットボットを導入する2つの大きなメリットを解説します。具体的なメリットを知れば、どのような課題の解決に役立つのかを判断可能です。

問い合わせ業務を効率化できる

チャットボットの導入により、問い合わせを自動化することができるため、従業員の負担を大幅に効率化できます。

そのため、問い合わせ件数の減少が見込め、対応人員・対応時間・コストなどの削減効果が期待でき、リソースに余裕が生まれて効率的に業務をこなすことができるでしょう。

チャットボットは繰り返し発生するやり取りと相性が良いため、従業員からの社内問い合わせの対応にも適しています。教育業務の効率化という視点でも有効活用が可能です。

顧客満足度の向上が図れる

顧客満足度の向上が図れる点も、チャットボットの強みです。24時間365日いつでも必要なときに問い合わせ可能になり、顧客の利便性を向上できます。

「電話しても出ない」という状況や、情報検索の手間がなくなり、問い合わせ側の負担が大幅に軽減されます。有人窓口よりも心理的ハードルが低く気軽に問い合わせできることから、問題解決率の増加、表面化しなかった潜在的な問題の解決などにも繋がるでしょう。

チャットボットが夜間や休日の問い合わせに対応すれば、顧客の声を幅広く受け止めることが可能です。要望や改善点などの重要なフィードバックを逃さず、機会損失のリスク低下が望めます。

チャットボットの分析方法について|分析すべきデータやポイントを解説

チャットボットの導入を成功させる方法

チャットボット導入を成功させる方法として、6つの具体的なポイントを紹介します。製品選びの段階から気をつけたい点をまとめました。

導入目的にあった製品を選ぶ

チャットボットは自社の導入目的にあった製品を選びましょう。顧客からの問い合わせ数を減らしたいのか、社内FAQとして使いたいのかなど、具体的な目的によって適した製品は異なります。

あらかじめ自社の現状と解決したい課題を明確にしておき、解決できる機能を備えた製品を選ぶことが重要です。機能の数だけでなく、回答精度や外部ツールとの連携可否といった、機能の品質まで見極めてください。

そのうえで、自社の予算にあった適切な料金プランのものかどうか、自社が属する業界や同業他社への導入実績があるかなどを確認すると良いでしょう。

ユーザーの利便性を重視する

チャットボットは、導入後に使用するユーザーの利便性を重視して選びましょう。具体的には、迅速に回答が得られるもの、回答から商品などの詳細な情報にアクセスできるものが挙げられます。

ユーザーの利便性が低いと浸透・定着しづらく、かけたコストが無駄になり、ユーザーからの信頼も低下してしまいます。

製品選びの際は「ユーザー体験が向上する製品かどうか」という視点を持つことで、顧客満足度の高いサービスを提供可能です。

チャットボットの会話デザインとは?UXを設計するコツやデザインのポイントについて

解決できない場合の回避策を考える

チャットボットで解決できない問題が発生した場合の回避策を考えておくべきです。最終的にユーザーの問題を解決できなければ、信頼の低下やユーザー離れに繋がる恐れがあります。

どんなに優れた機能を持つチャットボットでも、すべての問題を解決するのは不可能です。質問の仕方を変えてもらうよう促したり、必要に応じてオペレーターに繋いだりするといった別の解決策を用意しましょう。図やイラストなどでFAQをわかりやすく視覚化するなど、チャットボット以外の手段を充実させるのも有効です。

定期的な見直し・改善を繰り返す

定期的な見直しや改善を繰り返し、チャットボットの効果を高める必要があります。分析をもとに改善すれば、回答精度の向上が可能です。

分析すべき点として、チャットボットで解決できなかった問題はなにか、ユーザーの離脱率はどの程度か、回答の内容は適切だったかなどが挙げられます。

分析結果と改善を反映していくことでより効果的なチャットボットになっていくため、システムを育てるつもりで継続的に取り組みましょう。

チャットボットにキャラクターを設定するべき?メリットや事例を解説

運用・管理の責任者を決める

チャットボット導入にあたって、運用・管理の責任者を決めておきましょう。自動的に動作はするものの、アップデートやチューニングなどの継続的な管理・調整を行う必要があるためです。

担当者がいないとシステムのエラーやユーザーとのやり取りに不備があっても、検証や改善のプロセスが実行されず、精度が向上しません。

規模によっては担当者を置くだけでは対応しきれない場合もあるため、他部門との兼任や部門の新設も検討すべきでしょう。

費用対効果が得られるツールを導入する

チャットボット選びにおいて、一定の費用対効果が見込めるツールであるかは重要です。高性能・多機能なシステムを選んでも使いこなせなかったり、使う必要がない機能ばかりだったりすると、かけたコストに見合った効果が得られません。

製品によって機能や費用は大きく異なるため、自社の規模や利用範囲に応じて費用対効果を見積もるべきです。予算と照らし合わせながら、導入するに値するシステムかどうかをしっかり吟味しましょう。

【2024年最新】おすすめのチャットボット29選比較|無料ツールや比較ポイント

チャットボット導入にかかる費用

チャットボットの導入には、導入費用と運用費用がかかるのが一般的です。それぞれどのような費用がかかるのかや、価格の目安を紹介します。

導入費用

導入費用とは、利用環境の構築や導入サポートなどにかかる初期費用のことです。金額はシステムの内容や提供しているベンダーによって大きく異なります。

比較的シンプルなチャットボットであれば、無料〜数万円程度で導入可能です。一方、AI搭載型の高性能なものや、カスタマイズ性が高いものは15万〜50万円程度の導入費用が発生するのが一般的です。

運用費用

製品の月額利用料やメンテナンス代など、運用費用も念頭に置いておきましょう。

チャットボットの多くはクラウド型を採用しており、月ごとに利用料金がかかります。AIを使わないリーズナブルな製品で月額5万円以下、AIを搭載したタイプだと月額10万円以上が目安となり、高性能な場合は100万円程度かかることもあるでしょう。

そのほか、運用に際するコンサルティング費用や、担当者の数だけ人件費も必要です。メンテナンスをベンダーに依頼するのか、自社で行うのかでもコストは変わります。チャットボットの運用にかかるさまざまな費用を含めたうえで、導入を検討してください。

無料で利用できるおすすめのチャットボット比較!選び方やメリットを解説

事例を参考にチャットボット導入を成功させよう

ユーザーの利便性と自社の負担軽減を実現するため、さまざまな会社や自治体がチャットボットを導入しています。

チャットボットを選ぶ前に、自社の抱えている課題を明確にすることが大切です。より効果的なチャットボットにしていくためには、担当・責任者を決めて継続的にブラッシュアップしていく必要があります。

本記事の事例を参考に、チャットボットの導入を成功させ、ユーザー体験の向上と信頼の獲得を目指しましょう。

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ビズクロ編集部
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