チャットボットの運用における課題とは?事例や解決策を詳しく解説
チャットボットを導入すると、業務効率化や負担軽減などの魅力的な効果を得られます。しかし、導入さえすれば満足する効果を必ず得られるというわけではありません。導入・運用の失敗を避けるためには、よくある問題の把握と対策が重要です。本記事で、チャットボットの運用における課題や解決策、おすすめチャットボットを確認しましょう。
目次
チャットボットの導入後・運用体制における課題
チャットボットの導入は、顧客サポートや社内業務を効率化するという面で、多くの企業にとって魅力的な手段でしょう。しかし実際のところ、導入後に想像以上の課題に直面することが少なくありません。
ここでは、よくある課題を具体的に見ていきましょう。
適切な効果測定ができていない
チャットボットを導入する目的は、顧客サポートや社内問い合わせ業務の効率化にあります。しかし、その効果を正確に測定することに関しては、見落とされることもしばしばです。
効果測定のためのKPIを事前に設定し、定期的な検証を行わなければ、導入の効果を実感することは難しいかもしれません。数値などの比較可能な指標がなく、目に見える成果がないという印象が強まってしまうと、チャットボット導入の価値を疑問視されてしまう可能性もあるでしょう。▷チャットボットの効果測定方法!効果測定の方法や参考にすべきKPIについて解説
チャットボットの利用率が低い
チャットボットはウェブサイトやアプリケーションに組み込まれますが、ユーザーがこれに気づかずに利用率が低迷するケースがあります。たとえば、チャットボットが目立たない位置に設置されている、利用のメリットが明確でないといった場合には、導入前に期待した効果を得られないことがあるのです。
▷チャットボットの利用率が低い原因|向上させる方法やメリットを解説
ユーザーの離脱率が高い
チャットボットは24時間自動で対応を行ってくれるため、顧客サービスと社内対応の両面で、多くの企業にとって非常に便利なものです。ただし、求める情報にたどり着けない場合、ユーザーは途中で利用を断念してしまうことがあります。ユーザーの離脱率が高い場合、チャットボットは期待する役割を果たせていないということになります。
効果的なメンテナンス・改善のノウハウがない
チャットボットの運用には専門的な知識や技術が必要ですが、導入企業のすべてにITの知識を持つ社員が在籍しているわけではありません。ITに詳しい社員がいない結果として、オペレーションの設計や改善、メンテナンスが思うように進まず、チャットボットの効果を最大化できない場合があるのです。
オペレーターとの連携ができていない
チャットボットはあくまで機械であり、人間のように柔軟な対応はできません。そのため、チャットボットだけで解決できない問題については、人間のオペレーターに引き継ぐ必要があります。
この連携体制が整っていない場合、ユーザーは知りたい情報にたどり着けずじまいになるため、満足度や利用率の低下につながってしまうのです。
チャットボットの運用における課題の解決策
チャットボットの導入と運用は、企業にとって大きなメリットをもたらす一方で、管理を適正化し、常に改善していく姿勢が求められます。ここでは、運用上の課題を乗り越え、チャットボットを最大限に活用するための解決策を見ていきましょう。
導入前後で効果測定を行う
チャットボットの運用は、その効果を正確に測定することが成功への鍵となります。適切な指標を設定し、導入前後のデータを比較することで、具体的な成果を把握しやすくなるでしょう。以下に、チャットボットの効果測定に使用される主な指標を示します。
- 利用率(起動率):チャットボットがどれだけ使用されているかを示す。
- 回答率:ユーザーの問いに対してチャットボットがどれだけ回答を提供しているか。
- 正答率:チャットボットが正確な回答をどれだけ提供できているか。
- 有人対応件数:チャットボットから人間のオペレーターへの切り替えが何度発生したか。
- サイト遷移数:チャットボット経由でのウェブサイト内の他ページへの遷移回数。
- コンバージョン率:チャットボットを介して達成された目標(たとえば、問い合わせの送信、商品購入など)の割合。
これらの指標を活用してチャットボットの効果を定量的に測定し、必要に応じて改善策を講じるようにしましょう。
▷チャットボットの分析方法について|分析すべきデータやポイントを解説
チャットボットをわかりやすい箇所に配置する
チャットボットの認知度を上げるためには、ユーザーが気づきやすい位置に配置することが極めて重要です。ウェブサイトやアプリケーション内の目立つ位置への配置、バナーやポップアップを利用した誘導、直感的な動線設計によるアプローチなどが効果的です。
ユーザーが自然とチャットボット利用にたどり着く環境を整え、利用率の向上を目指しましょう。
運用体制・ルールを確立する
チャットボットの運用には、明確な体制とルールが必要です。担当者を明確にし、適切な人数で管理を行います。そのうえで、定期的なシナリオの見直しや改修タイミングの設定などのルールを策定しておくことが大切です。
社内に専門知識が乏しい場合は、利用するチャットボットのサポートに助言を求めるのもよいでしょう。
チャットボットの導入に失敗しないためのポイント
チャットボットの導入には、事前の準備やそれぞれの製品に対する理解が不可欠です。成功への道は、適切な計画と理解から始まります。
ここでは具体的なポイントを3点紹介します。
導入前に自社の環境を整えておく
チャットボットを導入する前に、関連知識を持った運用担当者を選任し、運用と改善がスムーズに行える体制を構築しておくことは大前提となるでしょう。これには、社内の意思決定プロセスの見直しや、必要な技術的な準備、担当チームのトレーニングなども含まれます。
事前にしっかりと準備することで、導入後のトラブルを低減し、チャットボットを有効に活用できるようになるのです。
目的に適したチャットボットを選ぶ
自社の抱える課題を明確にしたうえで、それらを解決できる機能を持つチャットボットを選びましょう。たとえば、顧客サービスの効率化を目指す場合と、社内のFAQ対応を自動化したい場合では、求めるチャットボットの機能は異なります。
目的に応じたチャットボットを選ぶことで、導入後にイメージしていた使用感との違いに気付くという失敗を避け、成功率を高めることができます。
▷【2024年最新】おすすめのチャットボット29選比較|無料ツールや比較ポイント
サポートの厚いチャットボットを利用する
特に、リソースやノウハウが限られている企業では、サポート体制が充実しているチャットボットサービスを選ぶことが重要です。導入から運用、さらには改善までを網羅的にサポートしてくれるサービスであれば、技術的な問題や運用上の疑問が生じた際に迅速に解決策を得ることができます。サポートの質が、スムーズな導入と運用の実現を左右するといえるでしょう。
▷チャットボットの導入費用とは?費用の内訳や相場・費用別にチャットボットを紹介
参考にしたいチャットボット運用の成功事例
チャットボットの運用に成功している企業の事例は、導入を検討している企業にとって貴重な学びの機会となります。ここでは、成功事例をいくつか紹介します。
株式会社Aコープ東日本
スーパーマーケットや食品宅配事業などを展開する株式会社Aコープ東日本は、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに増えた、顧客からの問い合わせに効率よく対応する必要に迫られていました。そこで、チャットボットの導入を決定。
チャットボットを導入したことで、これまで電話などで対応していた従業員の負担が軽減されたのはもちろんのこと、「疑問に思っているけれど、電話やメールをするほどではない」といった小さなニーズを把握できるようになりました。
チャットボットに入力される質問内容をホームページに反映するなどし、顧客サービスの向上を図っています。
[参照元:リコージャパン株式会社「株式会社Aコープ東日本」]
メディカルフードサービス株式会社
病態食に関する事業や健康食品・保健機能食品の通信販売を展開しているメディカルフードサービス株式会社は、コールセンターの業務負荷の大きさを課題としていました。また、顧客に対するより分かりやすい情報提供や社内業務の効率化を目指すため、チャットボットの導入を決定。
チャットボットは月100~150件の利用があり、そのうちの4割で回答内容に対する満足を獲得しています。割合としては全体の4~5%ですが、その分を他の業務に回すことで業務効率化を実現しているのです。
また、希望の食事メニューが見つからない場合にもチャットボットで確かめられるため、顧客の離脱率の低減にもつながり、売上機会損失の防止にも貢献しているといえるでしょう。
[参照元:リコージャパン株式会社「メディカルフードサービス株式会社」]
株式会社テンダ
マニュアル自動作成ソフトなど、自社開発のツールを提供する株式会社テンダは、顧客からの問い合わせの増加や、営業時間内にしか顧客対応ができない点に課題を抱えていました。そこで、FAQ型のチャットボットを導入することで、リアルタイムの顧客対応を実現したのです。
導入後は平均して4割程度の質問、問い合わせ全体からすると2割程度をチャットボット対応とすることができました。当初25件のFAQからスモールスタートしたチャットボットですが、継続的に件数を増やし、ユーザーサポートサイト内で問い合わせ対応ができる仕組みの完成を目指しています。
[参照元:株式会社サンソウシステムズ「導入後半年で2割のお問い合わせを削減」]
▷チャットボットの導入効果|効果測定の方法や事例・注意点を解説!
▷チャットボットの導入事例15選|導入時のポイントや成功する方法・メリットを解説
運用が初めての方も安心!おすすめのチャットボット
チャットボットを導入したいと考えても、運用が初めての場合は不安があるかもしれません。そこで、ここでは、使いやすさと機能性を兼ね備えたおすすめのチャットボットを紹介します。
Tebot
Tebotは、管理画面のわかりやすさと見やすくシンプルなUIで運用が初めての方にもおすすめのチャットボットです。高性能AIを標準搭載しており、入力された質問の表記ゆれなどにも自動で対応することができます。回答候補が複数あると判断される場合に、回答をサジェスト表示できるのも特徴です。
ウェブからのリード獲得率が約240%増、顧客サポート部門の業務の30%軽減、社内問い合わせの30~50%を自動化するなど、多くの効果を発揮しています。
提供元 | 株式会社アノテテ |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 45,000円/月 (ライトプラン:9,800円/月) |
機能・特徴 | 性能AI、回答サジェスト、シナリオ登録、有人チャット切り換え、カテゴリ管理、Q&A対話登録、フォーム挿入や画像添付、高度な分析・QA解析、外部ツール連携ほか |
URL | 公式サイト |
Chat Plus
非常に幅広い業種で利用されているChat Plusは、運用が初めての方でも安心して利用できるように、サポート体制を備えたチャットボットサービスです。リアルタイムでの顧客や社内問い合わせ対応だけでなく、データ収集や解析機能も搭載しており、ユーザーのニーズや行動を深く理解することができます。また、Chat Plusは、約5,000個もの機能を搭載しているのも特徴。新機能を常にアップデートしているため、充実度や利便性が増していくでしょう。
提供元 | チャットプラス株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 年契約
月契約 |
導入実績 | 10,000社以上(※2019年時点) |
機能・特徴 | AI会話機能、シナリオ設定、Q&A予測表示、ウィンドウデザイン、Excelで管理、レポート・データ分析、ファイル添付機能、有人チャット、回答支援・簡易入力、外部サービス連携、API連携、IPアクセス制限ほか |
URL | 公式サイト |
OfficeBot
OfficeBotは、ChatGPTの技術を取り入れているのが特徴で、質問に対する複数の情報源を要約して一度で回答を導き出すことができます。これにより、従来のチャットボットで見られた、回答にたどり着くまでの一問一答の繰り返しを避けられるのです。
WordやExcelなどの既存のドキュメントを有効活用できる点や、セキュリティ基準が堅牢な点もおすすめのポイントです。多言語対応も可能なため、活用の場は広いと言えるでしょう。
提供元 | ネオス株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | FAQ学習AI、ドキュメント学習AI、365日24時間対応、多言語対応、ニーズの解決ほか |
URL | 公式サイト |
チャットボットの効果は導入後の「運用体制」で決まる
チャットボットの導入によって顧客サポートや社内問い合わせ対応をどこまで効率化できるかは、運用体制に大きく依存します。適切な運用体制を整え、定期的な検証と改善を行うことで、チャットボットをより効果的に活用しましょう。
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