チャットボットの効果測定方法!効果測定の方法や参考にすべきKPIについて解説
効果測定は、目標の達成度合いの確認に必要な要素で、チャットボットの運用においても重要です。しかし、どのように実施すればよいか、分からない方も多いのではないでしょうか。この記事では、チャットボットの効果測定や設定すべきKPIについて解説します。
目次
チャットボットにおける効果測定とは?
チャットボットの効果測定とは、導入によってどのような効果があったかを調べることです。チャットボットを導入したことで、どのような効果があったかを把握しておかなければ、費用対効果が得られているかの判断ができません。
また、いまいち効果を得られていないと感じた場合に、どのように改善していけばよいのかを判断することも難しくなります。そのため、チャットボットの導入目的を達成するためには、定期的に効果測定を行うことが重要です。
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チャットボットの効果測定方法
チャットボットの効果測定方法を、6つの手順に分けて紹介します。
1.運用目的を定める
チャットボットを導入する前に、何を達成したいのか具体的な目的を設定します。「顧客サポートの質を向上させたい」「よくある質問への返答時間を短縮したい」「販売促進を図りたい」など、企業によっても導入する目的は異なるでしょう。
このようにできるだけ具体的で明確な目標に落とし込み、効果検証のゴールを決めることが大切です。
2.評価指標を設定する
目標を達成するためには、チャットボットのパフォーマンスを測定するための具体的な評価指標(KPI)を設定する必要があります。
チャットボットの効果を測る指標としては、回答率や正答率、解決率などが挙げられます。これらの指標を明確にすることで、チャットボットの効果を定量的に測定し、必要に応じて改善策を講じることができるようになるでしょう。
3.目標値を決める
評価指標を設定した後は、それぞれの指標に対して達成すべき具体的な目標値を定めます。それを達成するためのKPIを立てることで、改善が必要な部分が見えやすくなるでしょう。その結果、ユーザーが利用しやすいチャットボットを提供できるようになります。
4.データを測定する
目標が設定されたら、チャットボットの運用データを定期的に収集し、測定します。これにより、チャットボットの実際のパフォーマンスを理解でき、目標達成の進捗を確認することができます。
5.導入前後で比較する
チャットボットの効果を正確に把握するためには、導入前と導入後のパフォーマンスを比較することが重要です。
顧客対応の速度や問い合わせ解決率、顧客満足度などのデータを見比べて、目標に対してどの程度達成できているかを確認する必要があります。この比較により、チャットボットが期待通りの成果をもたらしているか、または改善が必要かを判断することが可能です。
6.改善方法を策定する
チャットボットの運用において改善すべき点が明らかになったら、具体的な改善策を策定します。
改善策の例としては、応答時間を短縮するためのスクリプトの最適化、顧客満足度を高めるための返答の質の向上、より高度な質問に対応するためのAIの学習データの追加などが挙げられます。導入後のデータを見比べながら、繰り返し改善を行っていくことが大切です。
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チャットボットの効果測定で設定すべきKPI
チャットボットの効果を測定する際は、どのようなKPIを設定すべきなのでしょうか。ここでは、チャットボットの効果測定で設定されるKPIの意味について紹介します。
起動数
起動数は、チャットボットがどれだけの頻度で利用されているかを示す指標です。起動数が高ければ、多くのユーザーがチャットボットを利用していると判断できます。一方で、起動数が低い場合は、ユーザーへの露出不足や使い勝手の問題がある可能性があり、改善の必要があると考えられるでしょう。
対応件数・回答率
対応件数は、チャットボットの起動数のうち、実際に問い合わせに対応した件数を示します。一方回答率は、ユーザーの質問に対してどの程度回答できたかを測定した数値です。
起動数に対して対応数が著しく低い場合は、チャットボットを表示させるタイミングや表示した際のメッセージを見直すことで改善が可能です。また、回答率が低い場合は、チャットボットが想定した質問以外の内容が来ていることが考えられるため、シナリオを見直す必要があるでしょう。
正答率(解決率)
正答率は、チャットボットがユーザーの問い合わせに対して正確に答え、問題を解決できた割合を示すものです。これは、解決率と言われることもあります。
正答率が高ければ、チャットボットの能力が高いことを意味し、顧客満足度の向上に貢献します。正答率を向上させるためには、チャットボットのデータベースを定期的に更新し、学習アルゴリズムを最適化することが重要です。
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商品・サービスサイトへの遷移数
商品やサービスサイトへの遷移数とは、チャットボットを通じてユーザーを企業の商品ページやサービスサイトに誘導した回数を示す数値です。
この数値が高いほど、チャットボットがビジネス目標の達成に寄与していることを意味します。遷移数を増やすためには、ユーザーの関心を引くコンテンツの提供や、自然な会話の流れの中で適切なページへのリンクを挿入することが効果的です。
顧客満足度
顧客満足度は、チャットボットを利用したユーザーがどれだけサービスに満足しているかを測る重要な指標です。これは、質問の回答完了後に「問題は解決しましたか?」といった簡単に答えられるアンケートを表示することで計測できます。
顧客満足度が高ければ、チャットボットがユーザーの期待に応え、問題解決や情報提供に成功していることを示します。満足度を向上させるためには、ユーザーフィードバックに耳を傾け、継続的な改善とカスタマイズを行うことが必要です。
有人対応の件数
有人対応の件数を把握することで、チャットボットの導入による業務効率化の効果を測定できます。この数が少ないほど、チャットボットが多くの問い合わせを解決できていると判断できるでしょう。
導入効果を確認する際は、有人対応の件数だけでなく担当者の勤務時間の変化も計測することで、経費削減につながっているかを把握できます。
CVR
CVR(Conversion Rate)は、チャットボットを介して行われた対話のうち、商品購入や資料請求といった最終的な成果に至った件数の割合を測定できます。この数値が高いほど、チャットボットがユーザーを効果的に目的の行動へと導いていることを意味します。
CVRを向上させるためには、ユーザーの意図を正確に理解し、適切なタイミングで関連情報やアクションへの誘導を行うことが重要です。
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チャットボットの効果測定によるメリット
ここからは、チャットボットの効果測定を行うことで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
有人による問い合わせ対応の負担軽減
効果測定を行うことで、チャットボットでは解決できない問い合わせを有人で対応する運用体制を構築できます。これにより、オペレーターの負担を軽減することが可能です。また、オペレーターに接続されるまでの待ち時間を改善することもできるため、ユーザー体験の向上にもつながります。
人件費の削減
チャットボットを導入する目的として、人件費の削減を挙げている企業は多いと思います。チャットボットの効果測定によって有人対応の負担が軽減されれば、対応するスタッフの勤務時間の削減につながります。その結果、人件費削減を実現できるでしょう。
より良いサービスの提供
チャットボットの効果測定を行うことで、利用状況が可視化されます。これにより、ユーザーニーズにもとづいたQ&Aを設計したり、回答内容や利用しやすいデザインへと的確に改善していくことが可能です。その結果、よりよいサービス提供ができるようになり、顧客満足度の向上につながります。
チャットボットを活用した企業事例
チャットボットは、さまざまな企業で活用されています。ここでは、3つの企業の活用事例を見ていきましょう。
株式会社テンダの事例
クラウドサービスやアプリ開発などを手がける株式会社テンダは、製品・サービスの導入数増加にともなう人手不足や、受付時間外の問い合わせに対応できないことを解決するためにチャットボットを導入しました。
その結果、問い合わせ全体の2割程度をチャットボットのみで対応できるようになったそうです。登録したFAQ数は25件から70件に増え、今後は150件を目指して運用していく予定で、これにより問い合わせの半数以上をカバーできるようになると期待しています。
参照元:株式会社サンソウシステムズ「導入後半年で2割のお問い合わせを削減」
花キューピット株式会社の事例
フラワーギフトの受注事業を展開する花キューピット株式会社は、人材の採用難や感染対策によるカスタマーセンターの確保に課題を感じていました。
また、フラワーギフトという商品の特性上、母の日などの繁忙期の問い合わせに対応しきれない状況が続いていたため、チャットボットの導入を決意したそうです。チャットボットを導入したことで、顧客の離脱を最小限に食い止められ、大きなコストメリットを実感しています。また、回答までのタイムラグも大幅に削減できたそうです。
参照元:株式会社サンソウシステムズ「「お花を贈りたい」という思いに寄り添ってお客様の手間をチャットボットで軽減」
宇津救命丸株式会社の事例
子ども向けの総合医薬品メーカーである宇津救命丸株式会社では、特定の商品に対する問い合わせや決まった内容の質問が多く寄せられていました。このような問い合わせに対しては定型化し、より複雑な問い合わせにより注力するためにチャットボットを導入しています。
導入後は、比較的簡単に応えられて件数も多い「服用年齢」や「服用方法」といった質問に対する電話対応が2割程度減少しました。その結果、薬の飲み合わせなど慎重な対応が必要な問い合わせにリソースを集中させることが可能になったそうです。
参照元:株式会社サンソウシステムズ「江戸時代から続く秘薬はチャットボットでさらなる飛躍へ」
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KPIを設定してチャットボットの効果を検証しよう
チャットボットを導入することで、スタッフの業務負担軽減や顧客満足度の向上を実現できます。しかし、導入すれば必ず効果が得られるわけではありません。自社の目的を達成しているかを確かめるには、適切なKPIを設定し、効果検証を行いながら改善していく必要があります。
本記事で紹介したポイントを参考にしながら、チャットボットの導入効果が現れているかを確認しましょう。
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