文書管理を効率化させる方法とは?複雑化する原因と改善の秘訣

最終更新日時:2023/03/07

文書管理システム

文書管理を効率化させる方法

業務課題の1つ文書管理方法。ビジネスシーンで作成される文書は個人文書から機密文書まで多岐にわたり、単に書類を保管するだけではなく効率的・効果的、さらに安全面も考慮した管理が求められます。本記事では、文書管理が複雑化する原因を効率化させる方法とあわせて解説します。

文書管理が抱える課題

企業内で保管されている文書はさまざま場面で必要となります。企業の規模が大きくなればなるほど、膨大な量の文書を管理しなければなりません。

文書管理が抱える主な課題としては以下のようなものがあげられます。

  • 膨大な量の紙の文書により社内のスペースを圧迫する
  • 探したい文書がすぐに見つからない
  • 紙の文書は紛失や情報漏洩などのセキュリティリスクがある
  • 外出先では文書を確認できない
  • 文書を資産として活用しにくい

紙の文書をそのまま管理すると、維持費がかかったり管理が煩雑になったりするほか、文書内のデータを企業の資産として蓄積できず、活用する機会を損失する恐れがあります。

文書管理が複雑化する原因

仕事をする様々なシーンで発生する文書の管理がなぜここまで複雑になってしまうのか、複雑化する原因について説明していきます。

文書の過剰な細分化

過剰な細分化は文書管理を複雑にしてしまいます。細分化は一見、文書がどこにあるのかわかりやすくなり、探す時間を削減できるように思われるかもしれません。

しかし、細分化もいきすぎると文書が分散したり、文書の保存場所を把握するのに時間がかかったりなど、文書管理の効率を下げてしまう可能性があります。

そのため、フォルダは細分化しすぎず、大まかにカテゴリー分けをして、関連ファイルや文書を保存すると良いでしょう。

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文書管理のルールが不明確

文書の保管・廃棄などに関するルールが不明確であることも、文書管理が複雑になる原因です。膨大な文書を管理するにはどこに、何を保存するかといったルールを全員に徹底する必要があります。

しかしルールが不明確だと、本来の場所とは違うところに保存したり、似たようなフォルダをいくつもつくってバラバラに保存したりなど、文書がどこにあるのかわからない状態になってしまいます。その結果、廃棄すべき文書を処分せずに文書があふれかえったり、目的の文書を探すのに時間がかかったりといった問題が発生してしまうのです。

文書管理のルールはわかりやすく、明確にしておきましょう。

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効果的な文書管理のポイント・方法

文書管理を効率的に進めるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、効果的な文書管理のポイントと方法を解説します。

1.目的を社員へ周知する

なぜ文書管理が必要なのか目的を社員へ周知しておきましょう。適切な文書管理をおこなうには、社員全員の協力が必要です。

もし一人でも目的を理解していない社員がいたら、ルールとは違う行動をとってしまい、文書管理が正しくおこなわれない可能性があります。

最悪の場合、大切な文書がわからなくなったり、重要情報が流失したりするなど、取り返しのつかない事態になりかねません。

文書管理の目的や適切に管理しなかった場合のリスクを社員全員に共有し、社員一人ひとりに文書の重みをしっかり理解してもらいましょう。

2.文書を適切に分類する

文書は個人文書と組織文書を明確化し、文書のライフサイクルにあわせて適切に分類することが重要です。

文書の分類方法としては主に以下の2つがあります。

ワリツケ式

ワリツケ式は、総務部などの社内文書管理を担当する部門がルールを設定し、文書を「大分類→中分類→小分類」と上から下へ分類する方法です。まずは大分類として大きなカテゴリを設定し、書類を細分化しながら中分類、小分類へと分けていきます。

トップダウンで文書を分類していくため、管理体系が統一され、管理や共有がしやすいのが特徴です。一方で、実際には分類に収まりきらない文書も多く、必ずしも実務的ではないというデメリットもあります。

ツミアゲ式

ツミアゲ式は、部署ごとに文書のルールを設定し、ワリツケ式とは逆に文書を「小分類→中分類→大分類」と下から上へ分類していく方法です。

担当部署の社員が小分類で文書を整理したあと、小分類を集約して中分類を作成、中分類を集約して大分類を作成します。

ツミアゲ式は多くの企業や行政機関で採用されている文書管理方法であり、現場の実情に合わせて文書を分類できるのが特徴です。デメリットとしては、全社で情報を共有しづらく、既存の文書に目を通して分類する手間と時間がかかる点があげられます。

機密文書の分類も必要

文書管理では機密文書の分類も必要です。機密文書の分類方法として「VAPS」という考え方があります。

VAPSとは重要度の分類を行うべき文書について、どのような尺度で分類すべきかを示すフレームであり、「Vital・Archival・Personal・Security」という4つの指標の頭文字をとったものです。

それぞれの特徴については、以下のとおりです。

バイタル情報資産(Vital)

企業が保有する情報資産のうち、最も機密性が高いのがバイタル情報資産です。

バイタル情報資産には、地震や火災、盗難などのリスクが発生したときに事業の継続や再起に必要不可欠な情報が含まれています。万が一情報が漏洩・紛失した場合は、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。

アーカイバル情報資産(Archival)

企業の歴史を編纂する際に必要となるのがアーカイバル情報です。創業者の理念や経営方針、合併の歴史といった企業の歩みについて記録されています。

個人情報資産(Personal)

個人情報とは、氏名や生年月日、住所、顔写真など、その情報によって特定の個人を識別できるものを指します。

個人情報は個人情報保護法という法律によって守られていますので、もし法律に反した利用をされた場合、罰せられる可能性があります。

セキュリティレベル(Security)

セキュリティレベルとは、上記のVAPのいずれかに該当すると評価された情報資産を、機密情報の重要度に応じてランク付けしたものです。具体的には、機密レベルの高い順から「極秘文書・秘文書・社外秘文書」として分類します。

3.ルールを策定する

文書管理のルールを策定することは非常に重要です。

文書名の付け方やフォルダーの階層レベルの統一・保管方法・保存場所・アクセス権限など、社員全員が理解できるよう、わかりやすいルールを策定し、運用を徹底させる必要があります。

ルールが策定されていない場合、様々な様式のファイルが混在してしまって紛失や探しても見つからないなどのリスクがあるので、ルールの策定〜運用は厳重にしておきましょう。

4.ファイリングする

文書ごとに適切にファイリングすることによって文書管理がスムーズになります。代表的なファイリングの方法としては、以下の3つが挙げられます。

バーチカルファイリング
書類を分類してフォルダにまとめて挟み込み同様のフォルダで保管する方法
薄冊式ファイリング表紙のついたファイルに書類を綴じて保管する方法
ボックスファイリングフォルダをさらに箱型のファイルボックスに整理していく方法

5.文書管理台帳を作成する

文書管理台帳とは、企業が保存すべき文書の概要や情報が記載されている台帳のことです。

文書管理台帳を見ることで、いつどんな文書が作成されたのか・文書の保管期限はいつまでか・どのようなかたちでどこに保管されているかなど、一目で確認できます。

一度保管された文書も、文書管理台帳を見ることですぐに、目的の文書を探すことが可能です。

企業には膨大な文書が保管されていますので、文書管理台帳の作成自体は義務ではないものの、必要な文書をいつでもすぐに探し出せるよう、ほとんどの企業で文書管理台帳が作成されています。

6.文書管理状況を定期的・継続的に検証する

文書管理状況を定期的、継続的に検証しましょう。

文書管理のルールを社員全員で共有、理解できていたとしても、時間が経つと社員の入れ替わりやルール徹底への意識が薄らぎ、適切な文書管理がされていないおそれがあります。定期的、継続的に状況を検証し、状況に応じた改善が必要です。

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文書管理を効率化させる方法

文書管理を効率化させる方法を解説します。

文書管理がよりスムーズになるので、ぜひ参考にしてみてください。

アウトソーシングの活用

1つめは、文書管理を外部にアウトソーシングする方法です。アウトソーシングを活用することにより、文書の処理・保管・廃棄など、文書に関わるすべての作業を代行してもらえます。

そのため、社員は文書管理に手間と時間をかける必要がありません。アウトソーシング先の安全なセキュリティ環境で文書の保管・保存・廃棄ができるところもメリットです。

膨大な量の文書を自社で管理するのは大変ですので、アウトソーシングのコストと自社管理の場合のコストとを比較した上で、活用を検討してみてください。

文書管理システムの導入

2つめは文書管理システムを導入することです。文書管理システムを導入することで、社内のあらゆる文書を電子化して管理できるというメリットがあります。

電子化することで検索性が上がって書類を探しやすくなったり、文書の共有をスムーズにおこなうことが可能です。

また、紙の文書のように保管場所を確保する必要がないため、管理コストが削減できます。文書管理システムは文書管理を最大限に効率化できる、優れたツールといえるでしょう。

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文書の「保管・保存」の違いを理解することも重要

文書管理において「保管」と「保存」は一緒のことだと思われがちですが、実は意味が異なります。適切な文書管理をおこなうためには、保管と保存の違いを理解することが大切です。

文書管理における保管とは閲覧する頻度が高い文書を、執務室内のキャビネットなどからすぐに取り出すことができる状態で書類を収納しておくことをいいます。

対して文書管理における「保存」とは閲覧頻度が低い文書や保存の義務がある文書を、執務室外の倉庫などに収納することをいいます。

また、法律で保存の義務と保存期間が決められている文書を「法定保存文書」といい、次の文書が該当します。

10年間の保存義務があるのは以下の書類です。

  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 監査役会議事録
  • 委員会議事録 など

7年間の保存義務があるのは以下の書類です。

  • 取引に関する帳簿(仕訳帳・現金出納帳・固定資産台帳・売掛帳・買掛帳など)
  • 源泉徴収簿
  • 取引証憑書(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書など) など

この他にもさまざまな書類の保管が法律で義務付けられていますので、正しく理解し、確実に保存するようにしましょう。

組織にあった方法を選定し文書管理体制を強化しよう

文書管理とは社内にあるさまざまな書類を、適切に管理することです。効率的な文書管理をおこなっていくためにルールを策定し、社員全員がそのルールを徹底しなければなりません。

文書管理の方法を理解し、正しく運用すると、作業効率が大きくアップします。また、アウトソーシングや文書管理システムを導入すると、文書管理はさらに楽になるでしょう。組織にあった方法を選定し、文書管理体制の強化に取り組んでいってください。

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