文書管理台帳とは?作り方や効率的に運用する際のポイント
企業が扱う文書は数が多く、保存期間が定められているものもあります。書類を管理していなければ、保存が長期にわたるほど必要な際に取り出すことが困難です。文書の管理に役立つ「文書管理台帳」の作り方や運用ポイントを解説するので、書類の保存に活用してください。
目次
文書管理台帳とは?
文書管理台帳とは、企業の業務遂行に必要な文書を管理するための手段です。文書の作成、保管、廃棄など、文書のライフサイクル全体を追跡し、管理することが可能になります。文書管理台帳を適切に運用すると情報の透明性が向上し、業務効率化にも寄与します。また、法令遵守や監査対応にも役立つのです。
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文書管理台帳を作成する目的
文書管理台帳を作成する目的は、主に3つに分けられます。どのような目的があるかを理解すれば、適切な文書管理に活用可能です。
必要な文書を探しやすくするため
文書管理台帳は、必要な文書を素早く見つけるのに有効です。企業が日々運営する上で、多くの文書が生成されます。
どの文書も業務遂行に欠かせない情報を含んでおり、必要なときに迅速にアクセスできることが求められます。文書管理台帳は、文書の種類、作成者、作成日、保管場所などの情報を一元的に管理することで、文書の検索を容易にするのです。
法定保存年限を守るため
企業が取り扱う文書の中には、法律により一定期間保存が義務付けられているものがあります。文書管理台帳は文書の保存期間を管理できるため、法令遵守を支援します。
保存期間が過ぎた文書を廃棄する際も、文書管理台帳を作っておけば作業が楽になるでしょう。
文書に関するリスクを避けるため
文書の紛失や不適切なアクセス、情報漏洩など、文書管理にはさまざまなリスクが伴います。文書管理台帳は、文書の一元管理によりあらゆるリスクを軽減します。
問題が発生しても、文書管理台帳を参照することで迅速な対応が可能です。特に機密文書は厳格な管理が求められますが、文書管理台帳を作成しておけば重要書類を適切に保存できます。
文書管理台帳の作り方
文書管理台帳の作成は、以下の手順で行います。
保管する文書を仕分けする
管理したい文書を仕分けします。確認する項目は文書の種類、作成者、作成日、内容などです。項目を参考に、「共有文書」「法定保存文書」「完了文書」に仕分けしましょう。
共有文書はマニュアルなどの共有可能なもの、法定保存文書は一定期間の保存が義務付けられる書類です。すでに内容が完結している書類は、完了文書として分類します。
それぞれの文書がどのような目的で作成され、どのような情報を含んでいるのかを理解しましょう。この段階では、文書の重要度や保存が必要な期間なども考慮に入れてください。
記載する項目を決める
文書管理台帳に記載する項目を決めます。一般的な項目に挙げられるのは、以下のとおりです。
- 文書の名前:文書の内容を簡潔に表す名前を記載
- 作成者:文書を作成した人物や部署を記載
- 作成日:文書が作成された日付を記載
- 保管場所:文書が保管されている場所を記載
- 保存期間:文書を保管する必要がある期間を記載
- アクセス権限:文書にアクセスできる人物や部署を記載
文書のありかが正確にわかり、取り扱い方も理解できるように項目を設定しなくてはなりません。これらの項目は文書を迅速に検索し、適切に管理するために不可欠です。
管理する形式を選ぶ
文書管理台帳の管理形式は、企業の規模や業務内容、保有する文書の量などにより異なります。以下に、主な管理形式を3つ紹介します。
Excelのテンプレートの場合
小規模な企業や文書の量が少ない場合には、Excelのテンプレートを使用するケースがあります。Excelは定番のパソコンソフトとして導入しやすいほか、テンプレートを使うことでより手軽に始められます。基本的な表計算機能を持っているため文書の一覧表を簡単に作成でき、管理するのに適しているでしょう。
しかし、文書の量が増えると管理が難しくなる恐れがあります。基本は手入力での作業となるため、作業コストや人的ミスの増加にも注意が必要です。
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自社でデータベースを構築する場合
大量の文書を管理する中規模以上の企業は、自社でデータベースを構築する方法が考えられます。自社システムによる一貫した管理ができ、業務の効率化や高度な検索機能の利用も可能です。ただし、システムの構築や運用には専門的な知識が必要となります。
外部ツールの場合
最近では、クラウドサービスを利用した文書管理ツールも多く提供されています。専門的な知識がなくても簡単に始められ、スケーラビリティも高いため、企業の規模や業務内容に応じて柔軟に対応が可能です。
セキュリティ面でも専門的な対策が施されているため、安心して利用することができます。
文書管理台帳に記載する
設定した項目に応じて、文書管理台帳に記載していきます。記載を終えれば台帳の作成は完了です。初めて文書管理台帳を導入する場合、特定の部門から試験的に採用するなどして様子を見るのが妥当でしょう。記載項目の追加などは必要ないか、定期的に確認するのも大切です。
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文書管理台帳の効率的な運用ポイント
文書管理台帳を効率的に運用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。文書を正しく管理するためにもチェックしておきましょう。
文書管理のルールを定める
文書管理のルールを明確に定め、全員がそれを理解し遵守することが求められます。ルールには、文書の作成・保存・廃棄の手順、アクセス権限の設定、保存期間の管理などが含まれます。
「法定保存文書」「共有文書」「完了文書」の3つの種類ごとにルールを定めるのもよいでしょう。ルールを遵守することで文書の管理が効率化され、業務のスムーズな運行が可能となります。
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情報漏洩へのリスク対策をする
取り扱い方やアクセス権限の設定を適切に行い、文書の情報漏洩を防がなくてはなりません。書面であれば、キャビネットの施錠者や鍵の所持者を厳格に決めておきましょう。データで保存する場合、アクセスや編集の権限をどこまで付与するか検討が必要です。
複製や編集についての規定を設けていなければ、簡単に文書が持ち出される恐れがあります。文書の取り扱い方についても、リスク管理の面から設定する必要があるでしょう。
文書管理ツールを活用する
文書管理台帳の運用には、Excelや専用の文書管理ツールを活用することが推奨されます。これらのツールは、大量の文書を効率的に管理し、高度な検索機能を利用することが可能です。ツールの活用で業務がスムーズになり、手作業で起こっていたミスの削減にもつながります。文書管理に割く人的リソースの軽減にも役立つでしょう。
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文書管理台帳を作成する際の注意点
文書管理台帳を導入する際には、その効果を最大限に発揮するための注意点が存在します。情報のセキュリティや管理の効率化に関わる、それぞれの注意点と詳細について説明します。
セキュリティリスク対策を行う
文書管理台帳におけるセキュリティは至上の重要事項です。文書には機密性の高い情報やビジネスの核心に関わるデータが含まれるため、それらの不正な取り扱いや流出は甚大なダメージをもたらすリスクがあります。
電子データであれば、外部からの不正アクセスを防ぐためのファイアウォールや侵入検知システムの導入が必要です。アクセス制限を明確に設定すると、情報の持ち出しやコピーのリスクを軽減できます。暗号化技術を利用するのも有効でしょう。
紙媒体での管理を要するときは、保管場所の確保と施錠方法に気を配ってください。スタッフへの継続的なセキュリティ教育や訓練を実施することも大切です。業務の一環として文書の保全意識を高めることが、総合的なセキュリティリスク対策となります。
管理時の表記を統一する
文書管理台帳の運用において、表記の統一は業務効率化の鍵を握る要素の一つです。異なる表記や分類が混在すると、情報の検索や整理が困難となり、業務の非効率や誤解を招く原因となり得ます。
文書の種別や作成日、関連部門やプロジェクトなどの基本属性について、表記ルールを明確に定めることが必要です。種別を例にすると、業務の進捗や結果を伝達する文書は「報告書」、会議の内容を記録したものであれば「議事録」といった表記ルールで統一できます。日付やプロジェクト内容のフォーマットなども統一することで、文書の一覧性を向上可能です。
定めた表記ルールは全社的に周知させ、迅速に共有しましょう。誰もがアクセスできるマニュアルを作成しておくと、表記ルールを簡単に学習できます。システムを使って文書管理台帳を運用する際は、入力項目をリスト化するなどの支援機能を使うのも有効です。
このように、表記の統一を徹底することで、文書管理のクオリティと効率の大幅な向上が期待できます。
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操作性の高いシステムを導入する
操作性が高いシステムを導入すれば社員の利用意欲を刺激し、文書の正確な登録や迅速な検索を促進します。
操作性の高いシステムとは、直感的なインターフェースであるほか、文書管理に必要な機能が網羅されているものです。各種ボタンやアイコンの視認性の高さや、キーワード検索などの常用機能が使いやすいことなどが挙げられます。
新しいシステムを導入する際には、社員の要望やニーズを事前に把握し、それに応じたカスタマイズを検討することも重要です。システム導入後には、継続的なフィードバックの収集も行いましょう。必要に応じてシステムを改良することで操作性を高く維持でき、効率的な文書管理台帳の運営が可能となります。
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文書管理台帳で情報を活用できるように保管しよう
文書管理台帳は、企業の重要な情報を適切に管理し、活用するための手段です。文書の情報を一元的に管理することで検索や抽出を容易にし、業務の効率化を図ることが可能です。
また、法令遵守や情報漏洩防止といったリスク管理にも寄与します。文書管理台帳を適切に運用することで、企業の情報資産を最大限に活用できるでしょう。
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