銀行系ファクタリングとは?特徴やメリット・デメリット、おすすめの金融機関を紹介
銀行が運営する「銀行系ファクタリング」。ファクタリングにはほかに独立系とノンバンク系がありますが、銀行系ファクタリングの特徴とは何でしょうか。本記事では、銀行系ファクタリングの特徴とは何か、メリット・デメリット、銀行系ファクタリングが向いているケースを紹介します。
目次
銀行系ファクタリングとは?
銀行系ファクタリングとは、企業が持つ売掛金を銀行に買い取ってもらうことで、資金を速やかに確保できる金融サービスです。債権の譲渡することで支払期日前に売掛金を現金化できる点は、独立系・ノンバンク系のファクタリングと共通しています。
銀行系のファクタリングの大きな特徴は、銀行とそのグループ会社が行っているため信頼性が高く、利用しやすい環境が整っていることでしょう。また、手続きがスムーズである点も、多くの企業にとって魅力的です。
▷【2024年最新】ファクタリングの人気おすすめ優良会社12選!即日・手数料を比較
銀行系ファクタリングの種類
次に、銀行系ファクタリングの種類について紹介していきます。
買取ファクタリング
買取ファクタリングとは、銀行が企業の売掛金を直接買い取り、その企業に売掛金額から手数料などを差し引いた現金を提供するサービスです。この方法では、売掛金を保有する企業が直接銀行から現金を受け取るため、資金繰りの改善が期待できます。
ファクタリングには、主に「償還請求権なし」と「償還請求権あり」の2種類があります。「償還請求権なし」では、譲渡後の売掛金の不払いリスクは銀行が負担します。
一方の「償還請求権あり」のほうは、不払いが発生した場合には企業が銀行に返済する必要があります。銀行は貸金業者でもあるため「償還請求権あり」のファクタリング契約も可能です。銀行系で買取ファクタリングの利用を検討する場合は、償還請求権の有無について確認するようにしましょう。
保証ファクタリング
保証ファクタリングは、売掛債権が回収不能になる事態を回避するために利用される手段です。この方式では、銀行が企業の売掛金に対して保証を提供します。
売掛先が支払いを遅延させたり、デフォルト(支払い不能)に陥ったりした場合、銀行が企業に代わってその売掛金を支払います。保証限度額や保証額は信用調査の結果によって異なりますが、取引先が1社に集中している場合などに、貸し倒れや共倒れといったリスクを回避することができるのです。
国際ファクタリング
国際ファクタリングとは、国境を越えた商取引を専門としたファクタリングサービスです。
国際ファクタリングでは、国内の輸出企業が直面する国外の輸入企業からの支払い遅延や不払いのリスクを軽減することができます。国内利用者・国内ファクタリング会社・国外売掛先・売掛先国のファクタリング会社の4者間で契約を結ぶことも特徴です。
特に、国際ファクタリングは銀行系ファクタリングしか扱えないという点も大きなポイントです。
一括ファクタリング
一括ファクタリングとは、これまでに紹介したファクタリングとは異なり、債権側ではなく債務側が利用を決定する方法です。
銀行は債務側(売掛先)が持つ複数の売掛債権を一度買い取り、期日までに債権側に振込を行います。一括ファクタリングを行うには十分な資金力があり経営が安定していると銀行に判断される必要があるため、この方法を実行できる企業は信用度が高いと見なされます。債権側にとっても、売掛金を管理する手間が省け、期日より早く資金を得られる点がメリットでしょう。ただし、利用料は双方が支払わなければなりません。
この一括ファクタリングはメガバンクなどの大手銀行系のみのため、安心して利用できるといえるでしょう。
▷ファクタリングと電子記録債権(でんさい)の違い|共通点やメリット・デメリット
銀行系ファクタリングのメリット
ここでは、銀行系ファクタリングのメリットを紹介していきます。
手数料が安い
銀行系ファクタリングの大きな利点の1つが、手数料の安さです。非銀行系のファクタリングサービスと比較して、銀行系はより安い手数料でサービスを提供していることが多い傾向にあります。これは、銀行が既に広範な金融業務を展開しているため、追加のリスク管理や資金供給のコストを効率的に抑えることができるためです。
また、銀行の信頼性と安定した資金基盤も、手数料を安く抑えられる理由となっています。手数料が安い銀行系ファクタリングを利用することで、企業はコストを節約しつつ必要な資金を確保することが可能となるのです。
社会的信頼度が高いために安心して利用できる
銀行系ファクタリングは、安定した金融機関である銀行が運営しているため、社会的な信頼度が非常に高く、利用する際の安心感が大きい点が魅力です。
銀行は厳格な規制と監督の下で運営されており、サービスの信頼性や安全性が保証されています。そのため、利用する企業は悪徳業者などにだまされる心配をせずに、必要な資金を確実に調達することができるのです。
ファクタリングの種類が豊富
銀行系ファクタリング会社は、さまざまな種類のファクタリングサービスを提供しています。具体的には、買取ファクタリング、保証ファクタリング、国際ファクタリング、一括ファクタリングです。
買取ファクタリングでは、企業の売掛金を直接買い取る形で資金を提供します。保証ファクタリングでは売掛金の支払いを保証し、支払い遅延や不払いリスクを軽減させることができます。国際ファクタリングは海外取引に特化し、一括ファクタリングでは複数の売掛金を一度に処理することが可能です。
大口債権に対応している
銀行系ファクタリングのメリットとしては、大口債権に対応していることも挙げられます。銀行は大規模な資金基盤と信頼性を背景に、大口の売掛金を効率的に管理し、資金を提供する能力があるのです。
銀行系ファクタリングを利用すれば、大きなプロジェクトや高額な取引が多い企業でも、資金繰りの心配を軽減できるのです。
銀行系ファクタリングのデメリット
銀行系ファクタリングには多くのメリットがありますが、反対にいくつかのデメリットも存在します。
審査が厳しい
銀行系ファクタリングは、一般的に審査が厳しいといわれています。これは、銀行がファクタリングのサービス提供にあたって、売掛先の財務状況だけでなく、利用する企業の財務状況、信用度、過去の取引履歴なども詳細にチェックするためです。特に、財務状態が不安定であったり、信用情報に問題がある場合は、審査に通らない可能性もあるでしょう。
売掛先の財務状況さえ良ければ、利用者側は赤字であっても利用できることが多い一般的なファクタリングサービスとは大きく異なる点だといえます。
原則3社間ファクタリングにしか対応していない
銀行系ファクタリングが原則として対応しているのは、3社間ファクタリングです。この方式では、利用者・売掛先・銀行の3社が関与します。
利用者は売掛金を銀行に譲渡し、銀行が売掛先に直接支払いを請求します。このプロセスには、各種書類の準備、契約の確認、信用調査などが含まれるため、資金が手元に届くまでには最短でも1週間、場合によっては数週間かかる場合もあるでしょう。
特に初めてファクタリングサービスを利用する場合、銀行がリスクを詳細に分析するため、プロセスが長引くことも少なくありません。このように時間がかかる点は、急ぎの資金調達が必要な場合にはデメリットとなります。
▷3社間ファクタリングとは?メリット・デメリットや手数料、流れについて
ファクタリング利用情報が銀行のデータに残る
銀行系ファクタリングを利用すると、利用情報が銀行のデータベースに記録される点にも注意が必要です。取引の詳細、企業の財務状況、利用頻度といった情報が銀行に残ることで、将来的にほかの融資サービスを利用しようとした際に、信用の面で不利になる可能性があります。
特に、ファクタリングを頻繁に利用すると、企業の財務状況が不安定であると見なされ、融資を受ける際の審査が厳しくなるかもしれません。銀行系ファクタリングの利用は計画的に行い、自社の信用状態を慎重に管理することが重要です。
小口債権に対応していない
銀行系ファクタリングでは、小口の売掛金に対する対応が限られている場合があります。小口債権の取引では管理や処理の手間に対して得られる利益が比較的小さいため、大口の売掛金を持つ企業とのみ取引を行う銀行もあるのです。
このため、小規模な売掛金を多く抱える中小企業などは、銀行系ファクタリングを利用しにくいといえます。
窓口での契約が必要
銀行系ファクタリングを利用する場合は、契約を行うために銀行の窓口を直接訪れる必要があります。書類の提出や契約の詳細確認など、対面でのやり取りを要するのは銀行系ファクタリングならではといえるでしょう。
窓口に出向くことで、企業と銀行間でしっかりとしたコミュニケーションを取り、疑問点をクリアにすることができますが、時間がかかることや地理的な制約も伴います。特に、拠点が都市部から離れている企業にとっては、契約のために時間をかけて移動する必要があるため、利便性に優れているとはいえないでしょう。
銀行系ファクタリングが向いているケース
ここでは、銀行系ファクタリングの利用が適しているケースについて紹介していきます。
大口債権を保有している
銀行系ファクタリングは、大口の売掛金を保有している企業に特に向いています。資金力のある銀行であれば、大規模な取引に対して、より効率的にファクタリングサービスを提供できるためです。
大口債権を持つ場合、ファクタリングによって得られる現金は企業の資金繰りを直接改善する可能性があります。
取り引きを長期的・安定的に行いたい
銀行系ファクタリングは、長期的かつ安定的な取引関係を求める企業にも適しています。銀行が提供するファクタリングサービスは信頼性が高く、継続的な資金供給を確保できるため、長期間にわたるビジネスプランやプロジェクトを支える存在となり得るのです。
手数料を抑えて現金化したい
手数料を抑えて効率的に現金化を図りたい場合にも、銀行系ファクタリングが適しています。銀行系ファクタリングサービスは、非銀行系に比べて安い手数料で提供されることが一般的です。これは、銀行が大規模な資本と広範な顧客基盤を有しており、コスト効率良く運営できることが理由です。
また、銀行の信頼性によって安定した取引が見込めることも、手数料を安く抑えることができる理由でしょう。
売掛先にファクタリング利用を知られても不都合がない
売掛先にファクタリングの利用を知られても不都合がない場合にも、銀行系ファクタリングの利用が向いています。
銀行系ファクタリングは社会的信頼度が高い一方、利用者・売掛先・銀行の3社間での契約が必須です。そのため、ファクタリングを利用することで取引先に資金繰り悪化の印象を残したくない場合には利用を控えるべきでしょう。反対に、取引先との間に十分な信頼関係があり、以降の取引に影響が及ぶ心配がない場合は安心して利用できる銀行系ファクタリングがおすすめです。
ファクタリングを提供しているおすすめの金融機関
ここでは、ファクタリングを提供しているおすすめの金融機関について詳しく紹介します。
三菱UFJファクター株式会社
三菱UFJファクター株式会社は、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、信頼性と実績を兼ね備えたファクタリングサービスを提供しています。同社は保証ファクタリング、下請債権保全支援事業、国際ファクタリングなどのファクタリングオプションを扱っており、幅広い業種の企業に対応しています。特に、大手企業や中堅企業から高い評価を受けており、安定した資金調達を求める企業にとって頼りになるパートナーです。
みずほファクター株式会社
みずほファクター株式会社は、みずほフィナンシャルグループに属し、多様なファクタリングサービスを提供しています。同社はリスク管理のための保証ファクタリングだけでなく、国際ファクタリングにも対応可能です。
債権管理の負担を減らしたい場合は、積極的に新規開拓を行いたい場合に利用を検討できるでしょう。
三井住友カード株式会社
三井住友カード株式会社は、三井住友銀行グループの一員として、高品質なファクタリングサービスを提供しています。同社は国内ファクタリングはもちろん、国際ファクタリングにも対応しており、幅広い業種の企業に適した柔軟な資金調達ソリューションを提供しています。
償還請求権なしの手形買取業務も行っており、売掛先倒産リスクの回避と早期資金調達を同時に達成できる点も魅力です。
りそな決済サービス株式会社
りそな決済サービス株式会社は、りそな銀行のグループ会社として、多種多様なファクタリングサービスを提供しています。同社のファクタリングサービスは少額からでも利用できるため、特に中小企業にとって心強いパートナーとなるでしょう。ファクタリングの種類としては、保障ファクタリングを取り扱っています。
安定的に資金調達したい場合は銀行系ファクタリングを利用しよう
資金調達の方法としての銀行系ファクタリングは、安定性や信頼性が大きなメリットです。大口債権の取り扱いや長期的な取引の安定性、手数料の安さも魅力です。銀行系ファクタリングをうまく利用して資金繰りを円滑化しましょう。
おすすめのお役立ち資料
ファクタリング・資金調達の記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら