個人事業主が資金調達するには?適した融資制度や調達する方法について
働き方の多様化によって個人事業主やフリーランスが増加している昨今。事業を成長させるためには資金調達が欠かせませんが、苦戦している方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、個人事業主の資金調達に適した融資制度や資金調達方法を詳しく解説します。
目次
個人事業主に適した融資制度
個人事業主は法人と比べ、資金調達に課題を抱えることが多いです。そのため、事業の継続と成長のためにも個人事業主に適した融資制度を知っておく必要があります。
例えば、政府や地方自治体、民間金融機関からの融資には多様なオプションがあり、事業資金をより柔軟かつ低利で借り入れることができるかもしれません。
ここでは各制度について詳しく解説します。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫は政府がすべて出資している金融機関であり、中小企業や個人事業主に対して融資を提供しています。
日本政策金融公庫の融資を利用する最大のメリットは、政府系の金融機関ならではの金利の低さです。また、返済期間は最短でも5年以上と長期間にわたるため、月々の返済負担が軽減されます。
一方で、申し込みから融資実行までのプロセスが長く、厳格な審査基準をクリアしなければならない点はデメリットといえます。提出する資料も多く、自己資金の確認もされるため、ハードルの高さは否めないでしょう。
制度融資
制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供する融資を指します。信用保証協会は中小企業や個人事業主の資金調達をサポートする公的機関であり、この協会からの保証を受けることで自治体や金融機関からの融資を得やすくなります。
制度金融も日本政策金融公庫同様に金利が低く長期間の借り入れが可能なことが特徴です。一方で、保証という後ろ盾があることで審査のハードルが下がる点が異なります。そのため、立ち上げたばかりで実績がなく、銀行から直接融資を受けることが難しい個人事業主に向いているでしょう。
また、制度融資は災害や経済危機などが発生した場合にも利用が可能です。緊急時には政府指定の金融機関が中小企業や個人事業主に対して特別貸付をはじめとする支援を行う場合があるのです。このような緊急時の融資は、一定の条件を満たしている場合には無担保・実質無利子で受けることができます。
信用金庫・信用組合の融資
信用金庫と信用組合は地域密着型の金融機関であり、特に地元の中小企業や個人事業主に対するサポートを行っています。営利を目的としない組織であるため、事業が地域の発展に貢献すると伝えることが審査に通過するコツだといえるでしょう。
金利が低いことがメリットですが、信用金庫の融資にも信用保証協会の保証が必要なため、審査に時間がかかる傾向にあります。また、個人事業主の場合は借り入れ限度額が少なくなる可能性がある点は押さえておくべきでしょう。
信用金庫・信用組合の融資を受けるためには、前提条件を満たして会員登録を行う必要があります。
ノンバンクからの融資
ノンバンクとは、預金業務を行わない金融機関で、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などが含まれます。これらの機関は銀行と異なり、比較的柔軟な審査基準を設けていることが特徴です。
ノンバンクから融資を受けるメリットとしては、審査が速いことや必要な書類が少ないこと、比較的少額の融資も可能であることが挙げられます。つまり、急な資金需要に対応しやすいのです。
一方でデメリットは、利息が高めに設定されていることです。そのため、長期間の利用には不向きだといえます。利用する際は返済計画をしっかり立てるようにしましょう。
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ビジネスローン
ビジネスローンは、銀行や信販会社、消費者金融などが提供する金融商品の一種で、事業資金に特化していることが特徴です。
ビジネスローンは融資実行までが迅速で、早ければ即日資金を受け取ることが可能なため、急な資金需要に活用できる方法です。また、原則として保証人が不要な点もメリットといえます。
一方で年率15%程度の金利設定のため負担が大きく、繰り返し利用しているうちに意図せず資金繰りを悪化させてしまうリスクもあります。また、ほかの方法と比べて借り入れ可能額が低い点や、将来的に銀行融資を受ける際の審査に影響を及ぼす可能性もあるため、利用には慎重な判断が求められるでしょう。
不動産担保ローン
不動産担保ローンとは、その名のとおり、不動産を担保にして資金を借り入れる融資方法です。所有する建物や土地などを担保とすることで、まとまった金額を借り入れることができます。また、無担保ローンに比べて低金利である点もメリットで、返済期間が長期にわたるため、月々の返済額を抑えやすく、資金繰りの改善にもつながるでしょう。
一方で、不動産を担保にするため、返済不能になった場合には該当の不動産を手放さなければなりません。加えて、不動産の評価額によって借入額が決まるため、想定よりも低い評価を受けた場合には、必要なだけの資金を調達できない場合もあります。また、審査に時間がかかり、手数料や登記費用などの負担がある点もデメリットといえるでしょう。
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個人事業主に適した資金調達方法
個人事業主が直面する大きな課題の一つが資金調達です。そのため、事業を成功させるためには適切な資金調達方法を選ぶことが欠かせません。
ここでは個人事業主に適した資金調達方法を個別に解説します。
ファクタリング
ファクタリングは、未回収の売掛金をファクタリング会社に売却することで資金を得る方法です。ファクタリングを利用することで、企業は売掛金の入金を待たずに済み、事業の流動性を高めることができます。
メリットとして挙げられるのが資金調達の迅速さです。ファクタリングは契約方法によっては最短数時間から当日中に資金を得ることが可能なため、急な出費にも対応可能なのです。また、利用者側の信用情報が影響せず、担保も不要なため、個人事業主でも利用しやすいといえます。
売却した債権の未回収リスクはファクタリング会社が負うため、補償の心配をせずに事業に集中することができます。
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クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを利用して広く一般から資金を集める方法です。具体的には、プロジェクトやアイデアに共感した人々から資金の提供を受け、目標額が集まった場合に資金が手に入ります。
この方式の大きなメリットは、特に資金調達が難しい個人事業主やスタートアップでも利用しやすい点です。また、市場の反応を直接見ることができるため、事業計画の見直しや改善に役立つ気付きも得られるでしょう。
一方のデメリットとしては、目標金額に達しなければ資金を受け取れない点や、成功するためには支援したいと思わせる画期的なアイディアや積極的なプロモーションが必要な点です。
クラウドファンディングを利用することで、資金調達だけでなく市場テストの機会も得られるため、検討する余地があるといえます。
補助金・助成金
補助金や助成金は、国や地方自治体、民間団体から提供される資金援助です。特定のプロジェクトや事業活動を支援する目的の補助金や助成金が数多くあるため、新規事業の立ち上げや研究開発、社会貢献活動などに利用できます。
補助金や助成金を利用するメリットは、返済不要で資金を得られることと、事業の信頼性が向上することです。資金調達に関連する利息負担もないため、経済的な負担はほとんどないといえます。
一方のデメリットとしては、申請のプロセスが複雑な点や予算の上限があるものに関しては競争が激しい点、また資金の使途が限定されている場合が多い点などが挙げられます。
加えて、承認までの時間が長くかかることもデメリットでしょう。補助金や助成金は、特定の条件と目的に合致した場合に大きな支援となりますが、適切な申請のためには条件の理解と入念な準備が必要です。
ビジネス用クレジットカード
ビジネス用クレジットカードは、クレジットカードの中でも特に法人や個人事業主向けに提供されているものを指します。クレジット利用の限度額が高く、リワードプログラムなども用意されているため、ビジネスを効率化するために役立つでしょう。
事業に関する支出をビジネス用カードで決済することで管理がスムーズになるほか、引き落とし日まで猶予があるため、急な出費にも対応可能です。また、利用明細が自動で整理されることから、財務の透明性が向上し、会計の正確性を保つことにもつながります。
親族・友人から出資を募る
親族や友人に出資してもらうことも手段の一つでしょう。この方法は特に起業初期の資金繰りに有用ですが、いくつかの注意点があります。
まず、金銭の貸し借りは人間関係に影響を及ぼす可能性があるため、借り入れにあたっての条件や返済計画を明確にしておくことが重要です。具体的には、借り入れる金額、返済期間、利息の有無などを事前に文書で取り決め、双方が同意のうえで契約を結ぶことが望ましいといえます。
また、事業がうまくいかなかった場合のリスクも正直に伝えましょう。加えて、期待と現実のギャップによるトラブルを防ぐためにも、事業の進捗を定期的に報告することが重要です。
親族や友人からの資金提供は感情が絡みやすいため、事業者としての責任感を持って誠実に対応しなければなりません。
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個人事業主が資金調達する際の注意点
個人事業主として資金調達を行う際には、いくつかの注意点があります。ここからは、資金調達の際に個人事業主が気を付けるべきポイントを詳しく解説します。
開業届を提出している必要がある
開業届とは、個人事業主が事業を始める際に税務署に提出する書類です。これを提出することで事業主としての活動を始めることを正式に認識され、税務上のさまざまな手続きができるようになります。
特に融資を受ける場合、開業届を提出していることが望ましいとされています。金融機関は正式な事業活動として登録されているかどうかを確認するため、開業届の提出を融資の条件の一つとしていることが多いためです。開業届を提出しておくことで、事業の信頼性を金融機関に示すことができ、審査の際に有利に働くでしょう。
また、開業届の提出は事業が法令に基づいて適正に運営されていることの証明にもなります。個人事業主は融資を申し込む前に開業届を適切に提出しておく必要があるのです。
確定申告をしている必要がある
個人事業主が資金調達を行う際には、確定申告を行っていることが非常に重要です。確定申告は事業の収入や経費を申告して税金額を計算するプロセスであり、事業の財務状態が明らかになる手続きでもあります。
確定申告を適切に行うことで、事業の収益性や安定性を示すことができ、金融機関などに返済能力を評価してもらいやすくなります。
反対に確定申告をしていない場合は、融資の承認が得られなくなる可能性があります。個人事業主が融資を希望する場合、適切な確定申告を行い、その記録を提出できるようにしておくことが重要なのです。
リスクや負債が増えることを心得る必要がある
資金調達は必ずしもポジティブなものではなく、リスクや負債が増えるものであることを理解しておく必要があります。
特に借り入れによる資金調達は返済義務と利息負担を伴います。例えば、ビジネスローンを利用した場合、事業が計画通りに進まなかった場合には返済が困難になるリスクがあります。不動産担保ローンの場合では、返済不能に陥ると担保にしている不動産を失う恐れがあるのです。
こうしたリスクを適切に管理するためには、資金調達の前に返済計画をしっかりと立て、事業の収益予測をシビアに評価することが重要です。リスクを分散させるために、一つの資金調達方法に依存しない意識も必要です。
資金調達は事業成長のために必要なステップですが、リスクもあることを理解し、責任を持って行動するようにしましょう。
生活資金と切り離して考える必要がある
資金調達を行う際は、生活資金と事業資金を明確に区別しなければなりません。生活資金と事業資金を混同してしまうと、適切な資金管理ができなくなり、資金繰りが悪化するリスクが高まります。
例えば、事業のための資金を個人の生活費に流用してしまうと、事業展開の機会を損なう可能性があります。また、事業が思うように進展しない場合、生活費の確保が困難になることも考えられます。
このような状況を避けるためには、事業計画を立てる段階で、生活費と事業資金を異なる口座で管理するなど、資金の流れを明確にするとよいでしょう。適切な会計管理を行うことで、事業の資金繰りが悪化しても個人の生活に影響が出にくくなります。
個人事業主が資金調達方法を選ぶ際のポイント
個人事業主が適切な資金調達方法を選ぶためにはいくつかのポイントがあります。ここでは具体的に4つを紹介します。
審査スピードで選ぶ
急に資金が必要になった場合は、特に審査スピードが重要になります。例えばノンバンクの融資やビジネス用クレジットカードは審査が速く、必要書類も少ないため有効な手段だといえるでしょう。
一方で、資金調達の迅速さと引き換えに、高金利や厳しい返済条件を伴うことがあるため、利用前には条件を十分に確認し、総合的な判断を行うことが大切です。返済計画や利用規定の十分な理解が、安定した事業運営につながるのです。
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金利・手数料で選ぶ
金利や手数料も資金調達方法を選ぶポイントの一つです。負担を軽減したい場合は、制度融資や信用金庫・信用組合からの融資を利用するとよいでしょう。これらの融資は比較的低い金利で提供されることに加え返済期間も長いため、コスト削減や返済負担軽減に役立ちます。
審査通過率で選ぶ
審査通過率を重視する場合はクラウドファンディングや親族・友人からの出資を検討するのがおすすめです。これらの資金調達方法は、従来の金融機関の融資と比較して審査が柔軟であるか、あるいはまったく必要ない場合が多いためです。
クラウドファンディングは、プロジェクトやアイデアに共感する多数の個人から資金を集める方法で、一般的な貸し借りの審査プロセスを経る必要がありません。プロジェクトが魅力的であれば、多くの支援者を引きつけることができるのです。一方、親族や友人からの出資は、個人的な信頼関係に基づくため、金融機関のような厳格な審査基準に縛られることなく資金を得ることができます。
これらの方法は、特に信用情報や事業歴が少ない起業初期の個人事業主にとって有利です。ただし、それぞれリスクもあるため、適切に利用することが重要です。
資金調達の時期で選ぶ
創業期に資金調達を行う場合は、特にビジネスローンや補助金・助成金の活用がおすすめです。これらの資金調達方法は、創業期の個人事業主が直面する初期コストを効果的にカバーすることにつながります。
ビジネスローンは多くの金融機関が提供しており、比較的容易に初期投資のための資金を調達することが可能です。一方の補助金や助成金は返済の必要がないため、負担を軽減しながら事業を展開することができるでしょう。これらの資金は政府や地方自治体から提供されることが多く、新規事業を支援するためのさまざまなプログラムが用意されています。
事業の創業期には不確実な要素が多いため、返済のプレッシャーが少ない資金調達方法を選ぶようにしましょう。
最適な資金調達方法を選び、事業を拡大しよう
個人事業主が資金調達を行う際には、目的や状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。資金調達の方法を適切に選ぶことで、事業のリスクを管理しつつ、持続可能な成長を目指すことができます。それぞれの方法のメリット・デメリットをよく理解し、事業計画に合った資金調達戦略を立てることが成功への鍵となります。
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