スプレッドシートで在庫管理をする方法!メリット・デメリットや効率化するコツ
無料で利用できるGoogleスプレッドシートは、在庫管理にも活用できます。画面構成や機能がエクセルと類似しているため、比較的簡単に操作できる点もポイントです。本記事では、スプレッドシートで在庫管理をする方法やメリット・デメリット、効率化するコツをあわせて解説します。
目次
スプレッドシートで在庫管理をする方法
スプレッドシートで在庫管理をするには、大まかに以下の手順を踏む必要があります。
- Googleフォームで在庫登録フォームを作成する
- スプレッドシートで集計表を準備する
それぞれの方法について具体的に解説します。
Googleフォームで在庫登録フォームを作成する
まずは、Googleフォームで在庫登録フォームを作成しましょう。具体的な手順は以下のとおりです。
- Formsを立ち上げる
- 登録フォームのタイトルを入力する
- 各項目を入力する
- 在庫登録フォームを共有する
- 在庫登録フォームに入力する
- 回答を確認する
それぞれの手順を、画像を用いながら解説します。
Formsを立ち上げる
まずはGoogleの検索画面を開きます。右上にあるGoogleアプリのボタンから「フォーム」をクリックしましょう。
Formsの画面に移動したら、左上にある「空白のフォーム」を選びます。
これでFormsの立ち上げは完了です。
登録フォームのタイトルを入力する
続いてFormsにタイトルをつけます。
タイトルは、一目で何の在庫管理表なのかがわかる内容にするのがおすすめです。今回は説明のために一旦「在庫管理表」というタイトルで進めます。
フォーム上部にある「無題のフォーム」をクリックすると、タイトルを編集できます。
各項目を入力する
次に、Formsに必要項目を登録しましょう。一般的な在庫管理表に必要な項目は、以下があります。
- 日付
- 担当者
- 商品名
- 区分(入出庫)
- 数量
まずは日付の登録です。左側にある「質問」の欄に直接「日付」と入力してください。続いて右側のプルダウンから「日付」を選びます。
すると、以下画像のように入力部分に「年、月、日」と表示されます。これで設定は完了です。
次に、登録項目を増やしましょう。右側にある「+」マークをクリックすると、項目を増やせます。
「+」をクリックしたら、次に担当者の登録を行います。右側のプルダウンからは「ラジオボタン」もしくは「プルダウン」を選びましょう。
ラジオボタンにすると、フォーム画面にすべての選択肢が表示されます。プルダウンは選択肢を1行におさめられるので、担当者が多い場合はプルダウンを選ぶとよいでしょう。
左下に在庫登録を行う担当者の名前を入力したら、「+」をクリックして次の登録に進みます。次は、商品名です。担当者名と同様の流れで登録を進めてください。
続いて区分を項目に追加します。入出庫、どちらかがわからないと在庫を管理できないため、必ず「区分」の項目を設けてください。
最後に数量の項目を登録します。数量は、右側プルダウンから「記述式」を選択しましょう。
以上でフォームの項目登録は完了です。
在庫登録フォームを共有する
項目の登録が完了したら、在庫登録を行う担当者にフォームリンクを共有しましょう。まずは右上にある「送信」をクリックします。
真ん中のマークをクリックすると、共有リンクが表示されます。「URLを短縮」にチェックを入れるとURLを短くすることが可能です。長すぎるとわかりにくいため、チェックすることをおすすめします。
右下の「コピー」をクリックし、リンクを担当者に送信すれば共有は完了です。
在庫登録フォームに入力する
在庫登録フォームが完成したら、実際に入力してみましょう。右上にあるプレビューマークをクリックしてください。
するとフォームが表示されるので、上から順番に1つずつ登録していきます。
すべて入力し「送信」をクリックしたら完了です。
回答を確認する
送信したら、先ほど入力した内容を確認してください。フォーム画面に戻り「回答1」の部分をクリックします。
すると、以下のように回答内容を確認できます。
スプレッドシートで集計表を作成する
在庫登録フォームが完成したら、スプレッドシートで集計表を作成します。具体的な手順は、以下のとおりです。
- Formsの回答ページとスプレッドシートを連携させる
- 集計表を作成する
- セルの表示形式を変える
それぞれの手順について具体的に解説します。
Formsの回答ページとスプレッドシートを連携させる
まず、在庫登録フォームの回答ページを開きます。右上にある「スプレッドシートにリンク」をクリックしてください。
すると以下画像のような選択肢が表示されます。「新しいスプレッドシートを作成」にチェックを入れて、右下の「作成」をクリックします。
フォームに回答された内容がスプレッドシートに反映されました。
これで回答ページとスプレッドシートの連携は完了です。以降の回答内容は、自動でスプレッドシートに反映されます。
集計表を作成する
続いて、入出庫数や在庫数を把握するための集計表を作成します。まず、スプレッドシート左下にある「+」をクリックして、シートを追加してください。
右側に「シート1」が追加されました。シート1に集計表を作成します。
以下画像のように、商品名、入出庫数、在庫数がわかるようにしましょう。
簡単な表を作成したら、回答内容をもとに入庫数・出庫数・在庫数が自動集計されるように関数を入力します。使用するのは「SUMIFS」関数です。
SUMIFS関数は、特定の条件に合う数値の合計を算出してくれます。例えば「商品Aの入庫数の合計」や「商品Cの出庫数の合計」などです。具体的には「=SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲 1, 条件 1, 条件範囲 2, 条件 2, …)」という関数を入力します。
今回は、それぞれの商品の入出庫数の合計を算出するよう関数を設定します。
まずはB3のセルに以下のような式を入れます。
=SUMIFS('フォームの回答 1'!$F$2:$F$100,'フォームの回答 1'!$D$2:$D$100,$A3,'フォームの回答 1'!$E$2:$E$100,B$2)
※回答シートの100行目までを集計する場合
黄色で表示されている部分は「合計範囲」で、合計範囲内の数値を集計します。次の「'フォームの回答 1'!$D$2:$D$100,$A3」と「'フォームの回答 1'!$E$2:$E$100,B$2」では、「商品A」「入庫」などの条件を指定しています。
上記のように自動計算されたら、縦と横に設定した数式をコピーしましょう。コピーして以下のように自動計算されたら、在庫数のセルに式を入れます。在庫数は「入庫-出庫」です。D3セルの場合は、「=B3-C3」と入力します。
先ほどと同様、縦に設定した書式をコピーすれば、集計表は完成です。
セルの表示形式を変える
最後に、セルの表示書式を変えましょう。セル内に「個」という単位が表示されるように設定します。まずは、単位を表示させたいセルの範囲を選択してください。
上部メニューにある「表示形式」から「数字」に触れると、右側に選択肢が複数表示されます。表示を確認できたら、下部にある「カスタム数値形式」を選びましょう。
「0個」と入力して「適用」をクリックします。
表に「個」の文字が表示されるようになりました。セルの表示形式設定は完了です。
スプレッドシートとエクセルでの在庫管理の違い
まずエクセルとは、表計算ソフトのことです。データを管理したりグラフ化したりできます。関数やマクロを組み込めば、効率的な在庫管理が可能です。
スプレッドシートとエクセルでの在庫管理の主な違いは、オンライン上での操作性にあります。
スプレッドシートはオンラインでの利用を前提に作られており、WindowsでもMacでも動作するため、端末の種類にかかわらず誰でも利用することが可能です。複数ユーザーで同時編集もできるため、最新の情報も確認しやすいといえます。
また、変更履歴が自動保存されたり、後から編集履歴を確認できたりもします。フォームを活用すれば入出庫の情報入力が簡単な点も、魅力の一つといえるでしょう。
オンライン上で簡単に在庫管理できる利便性の高さから、スプレッドシートを活用する事業者が多いです。
一方エクセルは、スプレッドシートに比べて処理速度が速い傾向にあります。組み込める右関数の種類も多いため、複雑な自動処理にも対応しています。
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スプレッドシートで在庫管理をするメリット
スプレッドシートで在庫管理をするメリットは、以下3つがあげられます。
- 無料で利用できる
- 同時編集ができる
- ソフトウェアのインストールが不要
それぞれのメリットを詳しく解説します。
無料で利用できる
スプレッドシートは、無料で利用できるため、コストをかけずに在庫管理を行えます。
在庫管理システムやエクセルは、導入費用や運用コストがかかる場合がほとんどです。長期間の運用を考えると、コスト負担がないのは大きなメリットといえるでしょう。
なお、スプレッドシートの利用には、Googleアカウントの作成が必須です。アカウントの作成も簡単かつ無料で行えるため、誰でも手軽に導入できます。
同時編集ができる
スプレットシートは複数人で一つのシートを共有して同時編集が可能で、各々リアルタイムで情報を更新できるため、常に最新の在庫状況を把握できます。
そのため、古い在庫情報を参照したりするミスは起こりづらいでしょう。
ソフトウェアのインストールが不要
ソフトウェアのインストールが不要な点も、スプレッドシートを利用するメリットです。スプレッドシートはGoogleが提供するクラウドサービスのため、ブラウザや専用アプリから内容を確認・編集できます。
インターネット環境があれば誰でも利用でき、利用端末による制限がありません。そのため、導入のハードルが低いといえるでしょう。
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スプレッドシートで在庫管理をするデメリット
スプレッドシートでの在庫管理には、以下のようなデメリットもあります。
- ヒューマンエラーが発生しやすい
- データ量が増えると動作が遅くなる
- 属人化のリスクがある
それぞれ詳しく解説します。
ヒューマンエラーが発生しやすい
スプレッドシートでの在庫管理は、商品情報や数値などを手動で入力する必要があるため、ヒューマンエラーが発生しやすいデメリットがあります。
在庫管理システムであれば、バーコードやQRコードなどから必要情報を登録できるため、ヒューマンエラーが起こりにくくなっています。一方でスプレッドシートは、シート内に直接もしくはFormsに手入力します。そのため、入力の過程でミスが起きる可能性が高くなる点がデメリットです。
ヒューマンエラーによる大きなミスを防ぐためにも、スプレッドシートを利用する場合はチェック体制を整えることが求められます。
データ量が増えると動作が遅くなる
データ量が増えると動作が遅くなる点も、デメリットの一つです。
スプレッドシートは、膨大なデータを扱うように最適化されていません。そのため、データが一定量を超えると、計算処理やデータ更新に時間がかかります。反応が遅いとデータがリアルタイムで反映されず、発注ミスを引き起こす可能性があるでしょう。
スプレッドシートは関数やマクロが多く組み込まれていたり、扱う在庫データが数千、数万に及んだりする場合は、特に反応が遅くなる傾向があります。動作を軽くするには不要なデータ・関数の削除やファイルの分割など、できるだけシート内をシンプルにすることを心がけてみてください。
属人化のリスクがある
スプレッドシートの利用には、属人化のリスクがあります。
在庫管理表の作成には、関数やマクロといった専門的な知識が必要です。そのため、専門知識がある社員に作成や更新、運用を任せがちになり、ほかの担当者では使いこなせなくなる場合があります。
例えば、最初に決めたルールと異なる方法で在庫登録を進めた結果、データがうまく反映されなかったり、計算式が壊れたりする場合もあるでしょう。また、作成者が退職し、後任者がスプレッドシートを使いこなせない可能性もあります。
事前に属人化されやすいというデメリットを理解し、対策を練ったうえで導入することが重要です。
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スプレッドシートによる在庫管理の効率化のコツ
スプレッドシートで在庫管理を効率化するには、以下の4つのコツがあります。
- 更新・運用ルールを決める
- 関数の知識を身につける
- ピボットテーブルを活用する
- テンプレートを活用する
それぞれのコツを詳しく解説します。
更新・運用ルールを決める
スプレッドシートで在庫管理を行う際には、明確な更新・運用ルールを設けることが重要です。ルールを設けることで、データの入力誤りや漏れを最小限に抑えられます。
また、データの整合性も高められるため、複数の担当者が在庫管理を行う場合でも情報の混乱や誤解を防げます。
具体的には、以下のようなルールを設けるのがおすすめです。
- 在庫変動があるたびに即座にスプレッドシートを更新する
- 編集権限を持つ人を限定する
- 編集権限がない人はコメントで在庫変動の記録を残す
- 毎週決まった曜日と時間にデータに誤りがないかチェックする
- 在庫管理表の書式や入力方法を統一する
同時に、在庫管理表の登録フローやチェックフローなども作成しておくと、効果的かつスムーズに運用できるでしょう。
関数の知識を身につける
在庫状況を迅速に把握・分析するためにも、関数の知識を身につけましょう。関数を使用することで、在庫の合計数を自動で計算したり、特定の条件に基づく商品の抽出ができたりします。また、属人化のリスクも軽減できるでしょう。
スプレッドシートで使える関数は非常に多くあります。しかし、すべてを覚える必要はありません。例えば、特定の条件を満たす商品のみを抽出する「IF」関数や、条件を満たすセルの個数を算出する「COUNTIF」関数などが在庫管理で役立ちます。
関数は、本やYouTube動画などで学ぶことが可能です。好みの学習方法を見つけて、関数の知識を身につけてみてください。
ピボットテーブルを活用する
スプレッドシートでの在庫管理を効率化するには、ピボットテーブルを活用するのがおすすめです。
ピボットテーブルとは、膨大なデータの集計や分析、抽出を行える機能のことで、在庫管理に関するデータ処理を迅速に行えます。
例えば、商品カテゴリー別の在庫数や、期間別の在庫動向を簡単に可視化できます。特定期間の売上総数や平均売上の把握も容易になるため、将来の在庫計画を立てるのにも役立つでしょう。
テンプレートを活用する
テンプレートを活用すれば、すぐに在庫管理表を使い始められます。インターネット検索をすれば、スプレッドシートの無料テンプレートが複数配布されているため、お好みのものを利用するとよいでしょう。自社の状況に合わせてカスタマイズすれば、さらに使いやすくなります。
具体的には、商品の入出荷数を記録するシンプルなテンプレートや、入出庫の推移がグラフ化されるもの、商品ごとに詳細な記録を残せるものなどさまざまな種類があります。
インターネット検索をして、お好みのテンプレートを探してみてください。
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在庫管理はスプレッドシートを活用しよう
在庫不足や過剰在庫を防ぐために、在庫管理は必須です。Googleフォームとスプレッドシートを活用すれば、すぐに在庫管理を始められます。
ヒューマンエラーの発生や属人化のリスクはありますが、複数人で同時編集ができたりソフトウェアのインストールが不要であったりと、効率的に在庫管理が行える点がメリットです。
運用時には更新・運用ルールを定めて、テンプレートやピボットテーブルなどを活用しながら、在庫管理を効率化しましょう。
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