【解説】請求書における値引きの書き方!表記方法や注意点について

2023/03/30 2023/08/03

請求書発行システム

請求書の値引き

請求書を作成する際に書き方や計算などに迷うことが多い値引き。キャンペーンの一環としてリベートやボリュームディスカウントを掲げて値引きを実施している企業も多いことから、請求書の書き方に迷うケースも多いのではないでしょうか。本記事では、請求書における値引きの書き方、表記方法や注意点をまとめて解説します。

請求書の値引きの表記方法とは?

請求書において、どのように値引きを記載するかについては、法律上の規定はありません。

しかし、不明瞭な記載は取引先とのトラブルのもととなるだけでなく、会計処理上のミスにもつながるため、商慣習に従って取引先や第三者にも分かりやすい表記で記載する必要があります。

値引き表記は、値引き額を赤字で記載、あるいは、金額の先頭に「-(マイナス)」「▲(黒三角)」「△(白三角)」などの記号を付けて表記するのが一般的です。また、取引先との認識にズレが生じないよう、値引き理由を備考欄などに記載します。

請求書の原本は必要?保管が必要な理由や電子保存のメリットを解説

請求書の値引き項目の書き方

ここからは、請求書への値引き項目の追加方法・書き方を詳しくご説明します。

ちなみに、以下3つの書き方におけるポイントは、見積書を発行する際も同様です。

1.値引き前の金額を記載する

実際の請求額は値引き後の額であっても、通常の請求書同様、品番・商品名、数量、単価と併せて値引き前の金額を記載しておきましょう。

同一の請求書内に、複数の商品やサービスでそれぞれに値引きが発生する場合は、値引きをする商品の下段に値引きの項目を入れるのが一般的です。

2.値引き額を記載する

値引き額は、金額の先頭に「-(マイナス)」、もしくは、「▲(黒三角)」「△(白三角)」の記号を用いて記載します。

取引先との間で交わした独自のルールなどがない限りは、一般的な商習慣で認められた値引きを表す記号を使うようにしましょう。

3.値引き理由を記載する

値引きの理由についても請求書の備考欄に記載するようにしましょう。

値引きは、期間限定キャンペーンや大量購入、継続取引などによるサービスとしてだけでなく、クレームや納期の遅延といった取引先とのトラブルによっても発生するため、理由はさまざまです。そのため、値引きの理由を明記しておくことは、双方にとって、後の確認作業を減らすなどの業務効率化にもつながります。

【解説】請求書発行・処理業務に関する不正のリスクや防止策とは?

請求書に値引きが発生するパターン

次に、請求書に値引きが発生するパターンを解説します。値引きが発生するパターンとしては、主に以下の4つがあります。

1.売上割戻

売上割戻は、複数購入の数量に応じて、あらかじめ決められた金額(割合)を値引きすることを意味しています。また、値引き率については、取引先と事前に取り決めておくケースがほとんどです。割引の記載を忘れてしまうと過大請求になってしまうため注意しましょう。

売上割戻は、リベートやボリュームディスカウントと呼ばれることもあり、ビジネスシーンだけでなく、小売店の「まとめ買いセール」など、日常的にも目にすることの多い値引きパターンの一つです。

2.クレームによる値引き

サービスやキャンペーンのほか、クレームやトラブルなどを理由に値引きが実施されるケースも少なくありません。

納期の遅延、商品やサービスの不備など、理由はさまざまであり、値引き金額も内容や取引先との関係性などにより大きく変わります。

クレームによる値引きをおこなった取引の請求書を発行する際には、「クレームによる値引き」などと記載してしまうと、再びクレームが発生する可能性もあります。十分に配慮するようにしましょう。

3.相殺による値引き

相殺による値引きとは、売掛金を請求する際に、買掛金の金額を引いて(相殺して)請求することをいいます。一例としては、取引先からの返品により取引先へ返金する義務がある場合に、新たな取引の請求額からその返金分を差し引いて請求するなどです。

具体例を挙げると、納品済みの商品に不良品が含まれていたため返品があり、取引先に対して100,000円の返金義務が発生したとします。その後、500,000円の新たな取引があった際に、返金すべき額の100,000円分を本来の請求額から値引きするということです。

そのため、請求書には、以下の3つの項目が必ず記載されます。

  • 請求金額
  • 相殺金額
  • 差引請求額

このような返金義務がある場合の相殺による値引きは、双方の入出金の手間を削減できるメリットがあります。ただし、相殺による値引き処理をしていいかどうかは、必ず以前に取引先の了承を得たうえでおこなうようにし、取引先より書き方の指定があった場合には、指示に従って相殺請求書を作成するようにしましょう。

4.端数の値引き

端数の値引きとは、キリのいい請求額にするための値引きを意味します。

例えば、合計200,100円の請求額から、100円を値引きするなどです。この場合、請求書には「200,100円」と値引き前の額を記載した上で、その下に「端数調整のための値引き -100円」などと記載します。

なお、企業努力による値引きを意味する「出精値引」として、端数の金額が値引きされることもあります。

請求書処理を自動化する方法!メリットや効率化する際の注意点を解説

請求書に値引きが発生した場合の注意点

続いて、請求書に値引きが発生した場合に気をつけるべき注意点について解説します。

正確で分かりやすい請求書を発行するために、以下の2つの注意点をよく理解しておきましょう。

1.税抜金額から値引きする

基本的には、税抜の請求額から値引きをし、値引き後の価格で消費税を計算する方法が一般的です。

例えば、消費税率10%計算で税抜金額20,000円、税込金額22,000円の商品を、税抜価格から500円値引きするとします。

税抜金額からの値引き後は、税抜19,500円、税込21,450円となります。一方、税込金額からの値引きでは税込21500円、税抜(本体価格)は19,546円(小数点以下切上)となります。

端数処理などの問題から、前述の通り、税抜金額からの値引きが一般的ではありますが、税抜・税込どちらから割引するのかによって差引請求額が変わります。取引の際は、事前に取引先と確認しておくようにしましょう。

2.金額には「,(カンマ)」や「¥(エン)」をつける

値引きのある請求書に限ったことではありませんが、請求額をひと目で把握しやすいよう、金額には金額には「,(カンマ)」や「¥(エン)」などの記号をつけるようにしてください。

請求書の金額表記についても法律などの定めはありませんが、商習慣として数字を3桁ごとに区切るのは、一般的な書き方として周知されています。数字の読み違いを防ぐほか、金額の改ざん防止にも効果的なほか、金額の末尾に「‐(ハイフン)」をつけて改ざんを防止したり、漢数字の「壱」「弐」などを記載して記号と混同しないようにすることも有効でしょう。

請求書の正しい管理方法!効率化のコツやおすすめシステムを紹介

請求書の値引き処理を理解し健全な経営を行おう

商取引における値引きは、一般的な商習慣でもあるため、請求書を作成する際の「値引き」の書き方も、その意味や方法をしっかりと理解しておく必要があります。

請求書は、ビジネスシーンで必要とされる重要な証憑書類の一つです。取引先との信頼関係の維持にもつながる、ミスのない明確な請求書を作成し、健全な経営に努めましょう。

請求書発行システムの記事をもっと読む

請求書発行システムの記事一覧

ビズクロ編集部
「ビズクロ」は、経営改善を実現する総合支援メディアです。ユーザーの皆さまにとって有意義なビジネスの情報やコンテンツの発信を継続的におこなっていきます。

おすすめ関連記事

SMSの自動送信・予約送信する方法|役立つシーンやおすすめのサービスを紹介

最終更新日時:2024/09/18

SMS送信サービス

最終更新日時:2024/09/18

SMS送信サービス

【無料トライアルあり】IVR(自動音声応答システム)7選を比較|選定のポイントや無料製品の注意点

最終更新日時:2024/09/18

IVR

最終更新日時:2024/09/18

IVR

システム開発の費用相場はどのくらい?平均や安く抑えるコツ・妥当性について

最終更新日時:2024/09/18

システム開発

最終更新日時:2024/09/18

システム開発

受領書とは?目的や書き方、領収書との違いをわかりやすく解説

最終更新日時:2024/09/18

請求書受領サービス

最終更新日時:2024/09/18

請求書受領サービス

WAFとIPS・IDSの違いとは?防げる攻撃や種類・セキュリティの特徴について

最終更新日時:2024/09/18

WAF

最終更新日時:2024/09/18

WAF

年末調整をしないとどうなる?デメリットや対処法・簡単に済ませる方法を解説

最終更新日時:2024/09/18

年末調整ソフト

最終更新日時:2024/09/18

年末調整ソフト

クラウド型のおすすめCTI10選比較|メリット・デメリットやセキュリティ要件について

最終更新日時:2024/09/18

コールセンター・CTIシステム

最終更新日時:2024/09/18

コールセンター・CTIシステム

住宅ローン控除は年末調整が必要?必要書類や1年目と2年目の違いについて解説

最終更新日時:2024/09/18

年末調整ソフト

最終更新日時:2024/09/18

年末調整ソフト

Aiでできること・できないことの一覧|具体例や活用事例を紹介

最終更新日時:2024/09/17

生成AI

最終更新日時:2024/09/17

生成AI

SMSを一斉送信する方法とは?おすすめの活用シーンやメリット・デメリット

最終更新日時:2024/09/17

SMS送信サービス

最終更新日時:2024/09/17

SMS送信サービス