請求書処理を自動化する方法!メリットや効率化する際の注意点を解説
請求書発行は日常的に発生する業務で、1つ1つに時間や手間をかけられません。効率的に業務を進めるために、請求書発行を自動化すべきです。本記事では、請求書発行を自動化する方法や、請求書発行のシステムを選ぶポイントを紹介します。
目次
請求書処理の課題
請求書処理でよく挙げられる課題3つについて解説します。
(1)受取方法に関する課題(支払処理前)
1つ目は、請求書の受取方法に関する課題です。
請求書の受取方法は郵送・メール・ダウンロードなど取引先によって異なるため、受け取るタイミングもバラバラになります。
担当者はそのようなバラバラの方法とタイミングで届いた請求書を、一か所にまとめなければなりません。
また、請求書の処理を電子化している企業では、紙で受け取った請求書をスキャンし画像化するという工程が加わり、担当者の負担が増えているという課題が挙げられます。
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(2)データ作成やチェックの工数に関する課題(支払処理中)
2つ目は、データ作成やチェックの工数に関する課題です。
担当者は受け取った請求書から、取引先・金額・支払日・支払口座などの情報をデータ入力しなければなりません。請求書の数が多いほど担当者の負担も増えてしまいます。
さらに、担当者は請求書の情報を正確に入力することが求められ、ミスがないかを何度も確認する工程もこなさなければなりません。こういったデータ作成やチェックの工程は非効率であり、担当者の負担が大きくなるばかりです。
(3)承認までの流れや保管に関する問題(支払処理後)
3つ目は、承認までの流れや保管に関する問題です。請求書処理では、担当者が経理部門や財務部門へと支払いを申請し、承認をもらわなければなりません。
しかし、申請・承認が紙で行われている場合、承認者が不在であれば請求書処理業務は中断され、進捗状況も把握しにくいという課題があります。
また、請求書は処理後も7~10年間は保管することが義務付けられています。紙の請求書は保管する場所が必要なだけでなく、必要な請求書を取り出すにも検索ができないため、手作業で探さなければなりません。
このように、請求書の承認や保管には、膨大な時間やコストが割かれている課題があります。
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請求書発行を自動化する方法
請求書発行を自動化する3つの方法を紹介します。
(1)請求書発行システムを導入する
1つ目は、請求書発行システムを導入する方法です。請求書発行システムは、Web上で請求書を発行・効率化してくれるシステムを指します。
請求書の発行後はメールやダウンロードだけでなく、郵送にも対応しているサービスもあります。
請求書発行システムを導入すれば発行作業を自動化できるため、人的ミスの発生防止や郵送作業の手間削減につながるでしょう。
また、請求書発行システムで発行した請求書はシステム内に保管されます。そのため、印刷して保管するというような、請求書の保管場所を確保する必要がありません。
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(2)請求書代行会社に外注する
2つ目は、請求書代行会社に外注する方法です。請求書代行会社では、請求書の発行から回収・入金といった業務まで依頼できます。
請求書業務を外注すれば、社内で請求書業務に人材やコスト・時間などを割く必要がなく、他の業務に人材を回すことができるようになるでしょう。
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(3)マクロを組む
3つ目は、マクロを組む方法です。マクロは、一般的にExcelにおける操作を自動化する機能を指し、Excel上で行っていた請求書業務の一部を自動化できます。
ただ、マクロを組むには基本的なやり方を知らなければならない点や、請求書の郵送は自動化できない点に注意が必要です。
その反面、Excelでマクロを組むのに追加コストはかかりません。そのため、請求書業務の効率化にコストはかけられないが、一部でも自動化させたい場合におすすめです。
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請求書発行を自動化するメリット
請求書発行を自動化するメリットについて解説します。
(1)作業効率を上げることができる
請求書発行を自動化することで作業効率の向上が期待できます。
入力する項目が最小限になったり、毎月同じ取引先・金額であれば自動入力ができたりするなど、請求書発行にかかる時間を大幅に削減できるでしょう。
また、請求書発行システムや代行会社への外注であれば、請求書を送付するプロセスごと削減できる場合があります。
このように、請求書発行の自動化により請求書の作成・印刷・封入といった作業を手動で行う必要が最小限に抑えられるため、作業効率が上がるのです。
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(2)社員の負担を軽減できる
請求書発行やそれに関連する業務は、月初や月末など決まった時期に集中する傾向があります。
請求書業務には前倒しで実行できない業務も含まれることから、請求書業務が集中している期間に負担が大きくなる社員が存在します。
その結果、時間内に終わらなければ残業や休日出勤をする社員も出てくるでしょう。
ただ、請求書発行を自動化すれば、請求書発行にかかる時間を短縮できるため、残業や休日出勤が発生する可能性は減少します。このように、請求書発行の自動化により、社員の負担軽減が期待できるのです。
(3)出社が必須でなくなる
請求書発行システムの導入や代行会社への外注であれば、請求書業務のための出社が必須でなくなります。
請求書発行システムはインターネット環境さえあればシステムに入れるため、作成だけでなく、メールでの送付や郵送代行もシステム上の操作だけで完了します。
いつでもどこでも請求書業務を実行でき、出社する必要がないため、テレワークの推進や働き方改革に大きく貢献するでしょう。
(4)請求漏れやミスの防止
請求書発行の自動化は請求漏れや誤請求などのミスを防止できます。
請求書発行システムであればリマインド機能の活用や未請求件数の確認などで、請求漏れがないかを一目で確認できます。入力する項目が少なければ入力ミスも減るでしょう。
請求書業務には、作成・印刷・封入・宛名書き・送付など、多くの業務プロセスが必要で、請求漏れや誤請求などのミスも起こりやすいといえます。
請求書関連のミスは損失を招くだけでなく、企業の信用を失う可能性もあります。そのため、請求書発行を自動化し、請求書関連の業務のミスを防止しましょう。
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(5)見積もりの共有が容易
請求書発行システムはクラウド上に情報が保管されるため、システムに入れる人であれば誰でも閲覧やデータの検索が可能です。
そのため、社内全体だけでなく、部署やチームといった単位ごとでも見積もりを共有しやすいでしょう。
また、見積もりの共有が容易になれば、過去の見積もりとの比較やミスの発見などもしやすくなります。請求書の承認や確認のために出社する必要もないので、申請した側もすぐに承認をもらえるようになり、業務の滞りもなくなるでしょう。
請求書発行システムを選ぶポイント
請求書発行システムを選ぶポイントについて解説します。
(1)利用する機能
自社でどのような機能を利用したいか検討しましょう。請求書業務には、作成・印刷・封入といった基本的な業務から、入金管理・催促・集計といった業務まで含まれます。
システムの種類によっても備わっている機能が異なるため、どういった機能が自社で必要かを検討する必要があります。
そのため、「請求書作成に時間がかかっている」「入金管理が適切に行えていない」など、自社の課題を洗い出すところから始めるとよいでしょう。
洗い出した課題に対して、どのような機能があれば解決できるかという目線で、必要な機能を絞り込むことが大切です。
(2)自動化の範囲
請求書業務に必要なプロセスから、自動化したい範囲を決めましょう。請求書発行は自社の都合だけでなく、取引先に合わせて送付手段を使い分けることもあります。
紙の請求書発行が必要な場合には郵送代行が可能なシステム、入金管理をしたい場合には売上や案件の管理機能が付帯しているシステムなど、要件に合わせたシステム選定が大切です。
自社だけでなく取引先ごとの要件を洗い出し、その要件に対応できるシステムを選びましょう。
(3)データ連携
自社に導入している基幹システムや案件管理ツールがあれば、すでに導入しているツールと連携できるシステムがおすすめです。
システムを使って請求書を発行するには、取引先や金額などの情報を取り込まなければなりません。
情報を一から入力していくのは困難であるため、すでに導入しているツールと連携できれば、直接情報を入力せずとも、すぐにデータを取り込めるでしょう。
また、手動で入力するより作業時間が短縮できるだけでなく、入力ミスも防止できます。
(4)費用
請求書発行システムを導入する場合、月額制のものが多いため、継続的にコストが発生します。そのため、導入するにあたって費用が妥当な金額かを判断することが大切です。
無料で利用できるものから、月額数万円かかるものもあるように、かかる費用には幅があります。
金額が高いものは機能性に優れているものが多く存在しますが、すべての機能を使いこなせないと費用対効果は薄れてしまうでしょう。
そのため、自社の導入目的と比較し、得られるメリットや備わっている機能・利用料金・予算を照らし合わせながら最適なシステムを導入することが大切です。
(5)サポート体制
請求書発行システムの導入により、業務プロセスは大きく変わることになるため、操作が分からず戸惑ってしまう社員もいるでしょう。そのため、導入や運用に対してサポート体制が整っているシステムを選ぶことが大切です。
不安点や疑問点があった際にどのように対応してもらえるのか、導入時の案内や研修は行ってくれるのかなど、運用開始後のサポート体制も確認しましょう。
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おすすめ請求書発行システム
おすすめの請求書発行システムを6つ紹介します。
(1)請求管理ロボ
請求管理ロボは、インボイス・電帳法に対応している請求書発行システムです。
請求から集金・消込・催促まで、請求業務の効率化を支援してくれ、毎月の請求業務を約80%削減するとしています。自動集金の仕組化や、スムーズな入金催促ができるため、回収率の向上も期待できます。
提供元 | 株式会社ROBOT PAYMENT |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 導入企業500社以上 |
機能・特徴 | 請求書発行、請求書送付、請求書管理、入金管理、入金消込、RP決済自動連携コネクター、利用ユーザー追加、CSVインポート・エクスポートなど |
URL | 公式サイト |
(2)楽楽明細
楽楽明細は、電帳法およびインボイス制度に対応した請求書発行システムです。
経理担当者が1名からでも導入できます。同ツールは申込から運用開始までが平均1.5か月と、導入がスムーズに行える点も特徴です。
提供元 | 株式会社ラクス |
初期費用 | 11万円(税込)~ |
料金プラン | 基本プラン:27,500円(税込)~/月 |
導入実績 | 導入企業5,000社以上( 2022年11月時点) |
機能・特徴 | 請求書発行、納品書発行、支払明細発行、領収書発行、その他の帳票発行、API連携(システム自動連携)、販売管理システムとの連携、決済システムとの連携、郵送代行など |
URL | 公式サイト |
(3)BtoBプラットフォーム 請求書
BtoBプラットフォーム 請求書は、導入実績80万社を超える国内シェア最大級の請求書発行システムです。
請求書の発行だけでなく、受け取った請求書の一元管理や自動取り込みなど、請求書を受け取る側としての機能も豊富に備わっています。請求業務全体のデータ化を検討する企業におすすめです。
提供元 | 株式会社インフォマート |
初期費用 | 11万円(税込)~ |
料金プラン | 22,000円(税込)~/月 |
導入実績 | 利用企業80万社以上 |
機能・特徴 | 請求書の自動発行、郵送代行サービス、入金消込の自動化、外部システムとの連携など |
URL | 公式サイト |
(4)invox受取請求書
invox受取請求書は、受け取った請求書の入力業務を自動化するITツールです。紙やデータなど、あらゆる請求書の形に対応しています。
同ツールでは請求書を99.9%正確にデータ化し、取り込んだデータを日付や仕入先など、さまざまな条件で検索できるため請求書管理が簡単です。
提供元 | 株式会社Deepwork |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 基本料金
|
導入実績 | シリーズ累計5,000社以上(2022年9月時点) |
機能・特徴 | 振込データ生成、部門・プロジェクト管理、チャット・メールサポート、オンライン会議、請求データ生成、仕訳データ生成、申請・承認ワークフローなど |
URL | 公式サイト |
(5)Bill One
Bill Oneは、請求書の受領から月次決算を自動化・効率化によって加速させる請求書発行システムです。
さまざまな形で届いた請求書をデータ化することで、請求書の一元管理を実現します。受け取る請求書の形にかかわらずオンラインで受け取れるため、テレワークが多い現代でも便利なITツールです。
提供元 | Sansan株式会社 |
初期費用 | スモールビジネスプラン:無料 ※従業員数100名以下 従業員数101名以上:要問い合わせ |
料金プラン | スモールビジネスプラン:無料 ※従業員数100名以下 従業員数101名以上:要問い合わせ |
機能・特徴 | 受け取り、申請・承認、保管・経理対応、外部サービスとの連携、請求書発行など |
URL | 公式サイト |
(6)freee会計
freee会計は、個人事業主から中小企業向けの会計ソフトで、請求書発行をはじめとする経理業務の効率化を支援します。
同ツールには使い方のガイドが表示されるため、経理が初めての方でも簡単な操作で経理業務を行えるでしょう。
また、不安なことや疑問があってもすぐに解決できるよう、チャットや電話などのサポートが充実している点も特徴です。
提供元 | freee株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 【個人事業主向け料金プラン】 ■スターター
■スタンダード
■プレミアム
【20名以下の法人向け料金プラン】 ■ミニマム
■ベーシック
■プロフェッショナル
20名以上の法人向け:要問い合わせ |
導入実績 | 有料課金ユーザー数33万社以上(2021年12月末時点) |
機能・特徴 | かんたん記帳、経費精算、請求書の作成・管理、決算書作成、出納帳作成、資金繰り表の作成など |
URL | 公式サイト |
請求書発行を自動化するシステムの注意点
請求書発行を自動化するシステムの注意点としては、申込から運用開始までに1~2か月程度の時間を要する点が挙げられます。
請求書発行システムの導入は、「どのような機能が必要なのか」「最適なプランは何か」などのヒアリングから始まり、プランの提案があって導入・運用という流れです。
そのため、請求書発行システムの導入は期間に余裕を持って検討する必要があります。
また、機能や価格が最適なものであっても、操作性が悪いと活用できないままコストだけが割かれるという状態に陥りかねません。
したがって、トライアル期間や無料プランなどを活用して、システムを利用する社員が使いやすいと感じるシステムを選びましょう。
請求書発行を自動化し、業務を効率化しよう
請求書発行は毎月必要となる業務であり、請求書発行にかかる業務プロセスは少なくありません。また、請求書業務におけるミスは損失や会社の信用問題にもつながります。
しかし、こういった課題は自動化によって解決できるものばかりです。自社に最適な方法やシステムを見極め、請求書発行の自動化で業務の効率化を図りましょう。
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