請求書に住所の記載は必ず必要?法的根拠や正しい書き方を解説
請求書に住所を書くのは慣例化していますが、実は法律で定められた記載必須項目ではありません。この記事では、請求書の住所記入についての法的根拠や記載する理由と記載しない場合のデメリットを紹介。また正しい住所の書き方と書きたくない場合の対処法を紹介します。
目次
法的には請求書の住所記載は必要項目ではない
請求書の記載必須項目は以下の通りで、住所記載は必須項目ではないので記載しなくても法律的に問題ありません。
- 請求書発行元の氏名または名称
- 取引先の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 税込金額
住所を記載しなくとも法律的には問題ありませんが、請求書にはビジネスマナーとして住所の記載が必要と考える人が多くいます。そのため、インターネットで請求書のテンプレートを検索すると、住所記載が必要な仕様のものが多く見受けられるのです。
しかし、自宅内に事務所を構えている小規模企業やフリーランスの人の中には、自宅を知られたくないから記載したくないと考える人も少なくないでしょう。
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請求書に住所を記載することが多い理由
多くの企業が請求書の住所記載がビジネスマナーと考える理由として以下2つが考えられます。ここでは、この理由について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
(1)住所を公開することで相手に安心感を与える
請求書に住所を公開することで相手に安心感を与えられるため、スムーズな取引の手助けになります。請求書を受け取る側は、請求書を発行した企業に対してお金を支払います。
住所や電話番号がなく必要最低限の項目しか記載されてない請求書では冷たい印象を受け、取引中断となることもあり得るでしょう。
(2)住所をもとに取引先の信頼性を確かめられる
請求書に住所を記載しておくと、相手がそれをもとに信頼できる企業であるか確かめられるため、信頼関係を築きやすくなるのです。取引する上で相手と信頼関係を築くことは非常に重要であり、相手を確かめる情報が1つでも多い方が社会的信用を得やすい傾向にあります。
また、住所を記載しておくと会社が実在しているか調べることも可能です。近年、インターネットの普及により多くの会社が設立されていますが、架空企業による詐欺も増加しています。
消費者側が詐欺に遭わないために、実在している会社かどうか調べる方法として住所検索が有効と言われているのです。
請求書に住所を記載しない場合に起きるリスク
ここでは、請求書に住所を記載しなかった場合に起きるリスクを紹介します。
(1)住所が違うと誤配送される恐れがある
郵便物は宛先が正しく記載されていれば問題なく届けられますが、記載した住所が違うと誤配送または郵送会社でとまってしまう恐れがあります。
このような場合でも、差出人住所の記載があれば、郵送物が戻ってくるのでスムーズに対応できるのです。また、住所未記入により請求書の到着が遅れてしまうと、入金が遅れ経理関係にも影響するので注意してください。
(2)料金不足時に自社に差し戻しができる
差出人住所が記載されていない郵便物は、計量ミスにより料金不足となった場合、差額分が相手方に請求されます。
ビジネスマナーとして、郵送料は差出人が支払うことが一般的であるため、相手方に請求が届いてしまうとトラブルの元になりかねません。
差出人住所が正しく記載されていれば、料金不足が発覚した時点で自社に連絡または差し戻しができるので、トラブル防止のために記載しておくと良いでしょう。
(3)相手方に不安を与える
先に説明した通り、住所を公開していないと相手に不安を与えることになり、今後の取引に影響する可能性があります。
また、差出人不明の郵便物は不審に思われ開封されないこともあるので注意してください。相手方に不安を与えず円滑に取引するためには、住所の記載は重要といえるでしょう。
請求書上の住所の書き方
請求書に住所を記載する際は、一般的に書類の右上に問い合わせ先と一緒に書きます。ここでは、請求書への住所の記載方法をわかりやすく解説しますので、書き方がわからない人は参考にしてください。
(1)右上に住所を記載する
住所は法的に記載する必要がない項目であるため、記載場所がここでなければいけないという決まりはありません。しかし、多くの企業が請求書の右上に住所を記載しています。一般的な請求書の場合、一番上の中央に請求書と書かれている文字があります。その下の行の右側に以下のように記載してください。
- 屋号(なければ省略)
- 郵便番号
- 住所(都道府県から記載)
(2)問い合わせ先を記載する
請求書の右上には、屋号・郵便番号・住所のほかに、問い合わせ先として電話番号と担当者名を記載することが一般的です。
問い合わせ先に電話番号を記載していない場合、やり取りが文書のみになってしまうので、不備があったときの発覚が遅れてしまいます。また、担当者名が記載されていないと、電話をかける際に困りますので記載しておくと親切です。
記載する番号は固定電話でも携帯電話でも大丈夫ですが、固定電話の方が信用性が高いとされています。可能であれば、両方記載しておくと外出時でも連絡を取りやすくなるでしょう。
(3)偽造防止のために捺印する
請求書右上に、屋号・郵便番号・住所・電話番号・担当者名を記載したら、偽造防止のため屋号に少し被せて会社印を捺印してください。
ここで使用する会社印とは、会社実印ではなく社判または角印と呼ばれる四角い形の判子を指します。省略しても文書の効力に影響はありませんが、住所と同じく相手方に安心を与えるため押しておいた方が良いでしょう。
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請求書に住所を書きたくない時の対処法
請求書に住所を記載すると自宅がバレてしまうため書きたくないという人のために、相手方に不安を与えず解決する対処法をお教えします。
(1)バーチャルオフィスの住所を使用する
作業場所を変えたくない人やコストを抑えたい人は、比較的安価なバーチャルオフィスの利用がおすすめです。バーチャルオフィスとは、実際に仕事場として空間を借りることはできませんが、貸し出されている住所を登記や連絡先として使用できます。
バーチャルオフィスの相場は月額700円から1万円前後と幅広く設定されていますが、レンタルオフィスに比べ安価に借りられるのが魅力です。
また、バーチャルオフィスの中には、郵便物の受け取りなども代行してくれるサービスもあるため、用途に応じて利用してみるのも良いでしょう。
(2)レンタルオフィスを使う
自宅とは別の場所に安く事務所を構えたい人は、レンタルオフィスの利用がおすすめです。レンタルオフィスとは、レンタルオフィス事業者が所有または借りているオフィススペースの一角を月額制で間借りするサービスであり、登記や連絡先住所としても使用できます。
立地や規模によって金額が大きく変わりますが、都内でも小さいスペースであれば月額2万円代から借りることも可能です。また、月額費用には光熱費やインターネット料金が含まれているケースがほとんどなので、経費の計算が簡単なところも魅力と言われています。
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マナー的に請求書に住所記載は必要です
請求書への住所記載は法律的な義務ではないものの、ビジネスマナーとして書いておいた方が良いでしょう。住所だけではなく、問い合わせ先や偽造防止のための捺印もしておくと、社会的信用が上がり、今後の取引が円滑に勧められます。
また、個々の事情により住所を知られたくないという人は、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの利用がおすすめです。このサービスを利用して借りた一等地の住所を連絡先に設定することで、企業のブランディングにもなります。
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