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請求書の原本は必要?保管が必要な理由や電子保存のメリットを解説

2023/03/04 2023/03/06

請求書発行システム

請求書の原本

近年ではペーパーレス化が進み、紙の請求書を発行する機会が減少しました。これまでは、基本的に他の書類と合わせて保管していた紙の請求書は、請求書が電子化されても紙で印刷して保存する必要があるのでしょうか。本記事では、請求書の原本について、その必要性から保管する理由、電子化のメリットまで徹底解説します。

請求書の原本は必要?

請求書の原本は、紙や電子データなど媒体に関わらず必要となります。ここでは請求書の原本が必要な理由や、保存期間について詳しく解説します。

保存義務があるため必要

請求書は、所得税法・法人税法・消費税法・会社法などの法律で保存が義務付けられているため、法律で定められた一定期間は必ず保存しておかなければなりません。

請求書は会計において「信憑書類」に分類されます。「信憑書類」とは、取引を行った証明となる書類で、請求書以外にも、納品書や発注書などの書類が該当します。

従来、請求書などの信憑書類は紙媒体が主流でした。しかし近年では、e−文書法や電子帳簿保存法に則り、紙から電子データへ移行する企業が増えています。

さらに、紙の請求書も、法令を遵守したうえで電子データに変換し保存することが可能です。しかし電子データの請求書を紙に印刷して保存するといった逆の方法は、2022年1月に電子帳簿保存法が改正されたことにより、2024年1月1日からは一切認められなくなるため注意が必要です。詳細は後ほど説明します。

請求書を発行するのは義務なのか?発行の目的や記載すべき必須項目

法人の保存期間

法人が請求書を保存しなければならない期間は7年です。この期間は、請求書が発行された年の確定申告書の提出期限の翌日から起算しなければなりません。

請求書の発行日や受領日から起算して7年間と計算するわけではないので、間違えないよう十分気を付けましょう。また、欠損金が生じる事業年度に発行した請求書については、保存期間が10年間に延長される点にも注意が必要です。

なお保存期間が定められているのは、請求書だけではありません。契約書・棚卸表・注文書など、取引においては、多数の重要な証憑書類があります。安易に破棄せず、取り扱いは慎重に行うようにしましょう。

個人事業主の保存期間

個人事業主が請求書を保存しなければならない期間は5年です。

この期間も法人と同様に、請求書が発行された年の確定申告書の提出期限の翌日から起算し、青色申告者や白色申告者のどちらにも適用されます。なお、請求書以外にも納品書や送り状・領収書なども該当するため、業務で発生した証憑書類の扱いには注意し、間違えて破棄することがないよう気をつけましょう。

請求書の保存期間は?基本の知識や個人事業主と法人の違いも解説

紙媒体の原本であれば破棄可能

2022年に電子帳簿保存法という法律が改正され、紙媒体の原本は後で説明する電子帳簿保存法の規定に則って電子化した場合には、破棄できるようになりました。

改正前までは請求書は各税法において、原則紙媒体での原本保存が義務付けられていました。原本である紙の請求書を破棄できなかったため、メールなどの電子媒体での取引も印刷して保存しておく手法が取られていたというわけです。

確かに、紙媒体の電子化はコストの削減や省スペースなど、得られるメリットは多くありますが、保存方法には決まったルールがあり、法律で細かく規定されているため、事前の把握は必要不可欠となります。

電子帳簿保存法の基本知識を解説!データ保存要件や法改正のポイントとは?

請求書を電子化しても法的に問題はない

請求書の電子化は、電子帳簿保存法などによって定められています。そのため、法律の規定に従って適切に運用すれば問題ありません。

まず、前提として、請求書を取り扱う際には「送付」「受領」「保存」といった作業が発生します。

それぞれの作業における電子化について詳しくみていきましょう。

請求書の送付は法的な規定がない

電子化した請求書を送付する場合、「送付する側」には保存方法について法律上の規定はありません。入金確認のためや、請求書発行の有無の確認のために、控えを保存しておくことはビジネス上多いですが、それは義務ではありません。

あくまでも法律上規定されているのは、「受領する側」の保存方法についてですので、「受領した請求書」の保存方法については、特に注意するようにしましょう。

【2023年最新】請求書発行システムおすすめ20選比較!選び方も解説

請求書の保存で要件を満たす必要があるケース

請求書を電子化して保存するには改ざん防止のため、以下の法律や制度を理解・遵守し、かついくつかの要件を満たす必要があります。

  1. 電子帳簿保存法
  2. e-文書法
  3. インボイス制度

それぞれ詳しく解説します。

1.電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は1998年に施行された法律で、正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といい、何度か改正されています。

この法律は国税庁が管轄しており、会計帳簿や国税関係書類の法定保存文書を電子データで保存することを認める法律です。そして、国税関係書類には、請求書のほか、領収書、契約書、納品書、注文書などの取引関係書類が含まれているため、これらの書類を電子データで保存する際にも、この法律を遵守する必要があります。

なお、電子帳簿保存法は、電子データでの保存区分を以下の3つに分けています。

  1. 電子帳簿等保存...作成した書類を電子データのまま保存する方法
  2. スキャナ保存...スキャンをしてPDFなどの画像データで保存する方法
  3. 電子取引...電子取引で授受したデータを電子データのまま保存する方法

上記区分により、保存要件も異なります。以下3つの区分に分けて説明します。

1.電子帳簿等保存

電子的に作成した書類を保存するには、電子帳簿保存法施行規則によると以下2つの要件を満たさなければなりません。

  • 真実性の確保:保存されたデータが改ざんされていないこと
  • 可視性の確保:保存されたデータの検索・表示を可能にすること

具体的には、以下の事項を確保することが必要です。

「真実性の確保」

  1. 訂正・削除履歴の確保:訂正や削除の履歴や内容を通常の期間経過後でも確認できるシステムを使用すること。
  2. 相互関連性の確保:他の帳簿と関連付けており相互確認が可能であること
  3. 関係書類などの備付:システム関係書類を備え付けること

「可視性の確保」

  1. 見読可能性の確保:保存場所にパソコンやプリンタ、操作説明書を備え付け、すぐにディスプレイに表示または書面に出力できるようにしておくこと。
  2. 検索機能の確保:日付・金額・取引先で保存したデータを検索できる機能があること。
[出典:国税庁 電子帳簿保存時の要件]
[参考:国税庁 電子取引改正について]

ただし、2022年の法改正でさらに要件が緩和され、最低でも「関係書類などの備え付け」「見読可能性の確保」「税務職員による電子データのダウンロードに対応可能であること」という3つの要件を満たせば電子データの保存が認められることとなりました。

2.スキャナ保存

請求書をスキャナ保存するには、同規則によると、電子帳簿等保存と同様に「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つの要件を満たす必要があります。

そして、具体的には、以下の事項を確保することが必要です。

「真実性の確保」

  1. 入力期間の制限:原則、受領後7営業日以内(最長2か月+7営業日以内)に記録事項の入力を行うこと。
  2. 解像度及び読み取り:解像度が200dpi以上、赤・緑・青の階層が256以上(24ビットカラー)であること。
  3. タイムスタンプの付与:2か月+7営業日以内にタイムスタンプを付与し、データが改ざんされていないことの確認や検証ができること。
  4. 読取情報の保存:読み取った際の解像度、階調、大きさに関する情報を保存すること。
  5. ヴァージョン管理:訂正や削除を行った場合に履歴と内容を確認できるシステムまたは訂正・削除ができないシステムを使っていること。
  6. 入力者など情報の確認:入力者や監督者の情報を確認できること。

「可視性の確保」

  1. 相互関連性の確保:電子帳簿保存と同じ。
  2. 見読可能装置の備え付け:14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンタ並びに操作説明書を備え付け、明瞭で拡大縮小可能、文字サイズが4ポイントでも認識できる状態ですぐに印刷可能であること。
  3. 関係書類などの備付:電子帳簿保存と同じ。
  4. 検索機能の確保:電子帳簿保存と同じ。
[出典:国税庁 スキャナ保存時の要件]
[参考:国税庁 電子取引改正について]

3.電子取引

電子取引により電子データを保存するには、電子帳簿等保存やスキャナ保存と同様に「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つの要件を満たす必要があります。

「真実性の確保」

  1. タイムスタンプ付与後に請求書の授受を行うこと。
  2. 請求書の授受後、速やかにタイムスタンプを付与し、保存者や監督者の情報が確認できるようにすること。
  3. 訂正や削除を行った場合に履歴と内容を確認できるシステムまたは訂正・削除ができないシステムを使っていること。
  4. 事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行っていること。

「可視性の確保」

  1. 保存場所に、パソコン、ディスプレイ、プリンタ及びにそれらの操作説明書を備え付け、すぐに出力可能であること。
  2. システム概要書を備え付けること。
  3. 検索機能の確保:電子帳簿保存と同じ。
[出典:国税庁 電子取引データの保存方法について
[参考:国税庁 電子取引改正について]

なお、従来までは電子データを印刷して請求書を紙で保存することも可能でした。

2023年度までは猶予期間が設けられ、従来通り紙での保存も許容されていますが、2024年1月1日以降は紙での保存は認められず、要件を満たした上でその電子データを保存しておくことが義務付けられます。したがって、業務フローの変更を含め、早めに対応することが重要です。

また、これまで述べてきたとおり、電子帳簿保存法に従って請求書を電子データで保存するには、保存区分により要件が異なります。請求書を電子データで保存する際には、まず「請求書がどの区分に属するか」を把握した上で、「保存要件を満たすように保存する」ようにしましょう。

2.e-文書法

e-文書法は、2005年4月に施行された法律で、正式には「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」といった2つの法律を合わせたものを指します。

e-文書法は通称名ですが、所管している厚生労働省をはじめ他の公的機関でもこの呼び名が採用されています。

そして、e-文書法は、法人税法や会社法、証券取引法などにより保存が義務付けられている文書について、電子データでの保存を認める法律で、電子帳簿保存法が適用される法律以外の法律にも広く適用される点が、電子帳簿保存法と異なる点です。

つまり、e-文書法は電子帳簿保存法を包含する上部の法律として位置しており、さまざまな書類の電子保存について包括的に規定しているという関係になります。

したがって、請求書を電子データで保存する際には、電子帳簿保存法だけでなく、この法律の規定も確認して遵守する必要があります。具体的には、以下の4つの要件を満たす必要があります。

  1. 見読性:パソコンやディスプレイ、プリンターなどを用いて、すぐに明瞭な状態で表示または出力できるようにすること。
  2. 完全性:改変・消去・毀損などがされておらず、確実に保存されていること。
  3. 機密性:盗難・漏洩・不正アクセスの防止措置がなされていること。
  4. 検索性:必要なデータをすぐに探せること。

電子帳簿保存法の保存要件と重複する要件もありますが、請求書を保存する際には、e-文書法の要件も満たしているか意識することが大切です。

また、請求書以外の書類についても、e-文書法と各府庁の省令などを参照して、保存要件を確認した上で適正な保存方法で電子データを保存するようにしましょう。

3.インボイス制度

インボイス制度とは、正式には「適格請求書保存方式」といい、消費税の仕入税額控除の方式を指します。つまり、消費税の仕入額控除を受ける場合は、インボイス(適格請求書)の発行及び保存が必要になるという制度です。

現在消費税の免税事業者(基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者)である場合にインボイスを発行したい場合は、税務署にて「適格請求書発行事業者」として登録する必要があります。

もしインボイス制度が開始される2023年10月1日からインボイスを発行したい場合は、原則2023年3月31日までに登録申請書を提出しなければなりません。

なお、インボイス制度において発行する適格請求書にも、当然電子帳簿保存法が適用されます。この新しい制度で発行する請求書においても、デジタルインボイス(電子データの適格請求書)含め、電子データで保存できるよう、電子帳簿保存法の保存要件などを確認しておきましょう。

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請求書を電子化するメリット

請求書を電子化するメリットは主に6つあります。

  1. 取引がスムーズに行える
  2. コストの削減につながる
  3. 押印の必要がない
  4. 省スペースでの保管が可能
  5. 履歴の確認が簡単
  6. 修正や改ざんが起こりにくい

順に詳しくみていきましょう。

1.取引がスムーズに行える

請求書を電子化すれば、取引がスムーズに行えます。

紙の請求書で取引する場合、郵送で送付するため、発送してから取引先が受け取るまでに数日かかることが多く、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。電子化された請求書であれば、メールなどですぐに発行と受領が可能です。しかも、仮に再発行が必要になった際にも迅速に対応できます。

2.コストの削減につながる

請求書の電子化はコストの削減にもつながります。

紙で請求書を発行する場合、用紙代に限らず、印刷にかかるインク代・光熱費・人件費・郵送費など、さまざまなコストが発生してしまいます。

しかし電子データの請求書はデータのため、人件費は多少発生するにしても、これらのコストはほとんど発生しないため、請求書を多く発行している企業は、かなりのコスト削減につながるでしょう。

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3.押印の必要がない

請求書には電子データに限らず押印は法律上必須ではありません。とはいえ、押印は信用につながるツールの1つです。企業によっては必ず請求書に押印している場合もあるでしょう。

しかし、電子データの請求書でも、押印に代わる電子署名は可能です。パソコン上で印鑑を押す(印影をつける)形式なので、実際の印鑑や朱肉が手元になく押印できないといったこともありません。

押印するといったアナログな動作は単純作業ですが、請求書の数が多ければ結構なリソースを消費してしまいます。そのため、押印という作業がなくなれば、空いたリソースを他の作業に有効活用でき、ひいては人件費の削減にもつながるでしょう。

4.省スペースでの保管が可能

電子化された請求書は電子帳簿保存法の要件を満たす必要はありますが、電子データのまま保存できるため、省スペースで保管することが可能です。

紙の請求書を紙媒体のまま保存する場合、ファイリングする必要があるためいくら整理整頓を心がけても多くのスペースを消費してしまいます。また一定期間は保存義務があるため、すぐには破棄できません。

しかし、電子データの請求書はパソコン上にデータを保存するので、物理的なスペースを使わずに保存可能です。今まで請求書の保管に使用していたスペースも、請求書を電子化すればほかの用途に活用できるので、多くの請求書を紙媒体で保存している企業は、結果として賃料も下げることができるでしょう。

また、リモートワークでも請求書の検索や閲覧が可能となるため、現代の働き方にも合致しているといえます。

5.検索や履歴の確認が簡単

電子データの請求書は、簡単に検索でき、かつ履歴も確認できます。

紙媒体の請求書の場合、膨大な請求書などの紙の中から該当の請求書を探すところからスタートします。また、請求書の詳細の履歴についても記録が漏れていれば探しようがありません。

一方、電子帳簿保存法に従って保存された電子データの請求書は、システム上にも履歴が残るようになっています。したがって、該当の請求書の電子データも検索すれば簡単に見つかるため、余計な手間もかからず、余計なストレスや時間もかからないで済むでしょう。

6.修正や改ざんが起こりにくい

電子データの請求書は、紙と比較すると、修正や改ざんが起こりにくくなっています。

紙の請求書の場合、追記したり別の請求書に差し替えたりといった方法で、改ざんや修正が容易にできてしまうリスクがあります。確かに、厳重に保管したり、書類に特別な印を付けたり、複数人が印鑑を押印するなど、対策方法はたくさんあるでしょう。しかしアナログな方法ではランニングコストも嵩み、デメリットが多いのも事実です。

一方、電子データの請求書は、ば、修正や改ざんを容易に行えないようにシステム上設定をすることが可能です。万が一改ざんされたり、請求書の電子データに不正にアクセスすると必ず履歴が残るため、事実がうやむやになってしまうということもないでしょう。

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請求書の電子化のデメリット

請求書を電子化するには、以下3つのデメリットもあります。

  1. 導入にコストがかかる
  2. 取引先によっては対応が難しい
  3. セキュリティ面でリスクがある

順に、詳しくみていきましょう。

1.導入にコストがかかる

請求書を電子化するためには、新たなシステムを導入したり業務全体のフローを変更する必要があります。対応にはリソースだけでなく、多くのコストも発生する可能性があるでしょう。

しかし、請求書を含めた書類の電子化は、国が推進している施策で、多くの企業が導入を進めているのも事実です。導入にあたり、一定のコストはかかるものの、これまで述べてきたとおり、得られるメリットは数多くあるため、検討の余地は十分にあるでしょう。

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2.取引先によっては対応が難しい

請求書の電子化は、とても便利ではありますが、取引先によっては電子データでの請求書の発行や保存が難しい場合があります。

特に、パソコンを通常使用しない取引先や、経理担当者が高齢である場合、紙の請求書しか信用できないため使用しない方針であるなど、事情はさまざまです。無理に電子データを

セキュリティ面でリスクがある

請求書を電子化する際には、セキュリティ面のリスクがあることを認識しておかなければなりません。

パソコンがインターネットにつながっている以上、ハッキングやウィルス感染などのリスクは当然あります。それにより、個人情報や取引記録など重要な情報が漏洩するリスクがあることは十分認識しておきましょう。

また、サーバー障害など、予期せぬトラブルが発生することもあり、請求書の発行が遅れるなどのリスクが発生することもある点、認識しておく必要があります。

請求書の原本を電子化する方法

請求書の原本を電子化する方法は、主に3つあります。

  1. Wordなどで作成したデータをPDFに変換する
  2. 紙の請求書をスキャンして電子データとして写しを作る
  3. Web請求書システムを活用して作成する

それぞれの方法を詳しくみていきましょう。

1.Word等で作成したデータをPDFファイルに変換する

この方法は、Wordなどで作成したデータをPDFファイルに変換する方法です。Word形式のままだと編集が簡単にできてしまうため、無断で修正されたり改ざんされるリスクが高くなります。

PDFファイルに変換しておけば容易に変更を加えられないため、取引先が勝手に改ざんするという心配もないため、安心して送付できるでしょう。無用なトラブルを避けるためにも、PDFファイルに変換することはとても有効です。

2.紙の請求書をスキャンして電子データとして写しを作る

これは、紙媒体の請求書の原本をスキャンして写しのデータを作るという方法です。この方法で作成した電子データの請求書は、電子帳簿保存法の保存区分でいうと「スキャン方法」になります。

保存する際には、さきほど述べた電子帳簿保存法のスキャン方法の保存要件を満たして保存するようにしましょう。

3.Web請求書システムを活用する

この方法は、「Web請求書システム」を活用して、電子データの請求書を作成する方法です。このシステムを使えば、比較的簡単に請求書の発行や管理が行えます。

例えば、このシステムを使わない場合は、WordやExcelを使用していちから請求書を作成することになり、多くのリソースやコストをかけなければならず、後の管理も大変になるでしょう。

その点、Web請求書システムであれば、既にシステムが構築されているため容易に請求書を作成することが可能です。また入金の確認や督促など、請求書関連の業務も自動で行ってくれるシステムすらあります。したがって、利便性の高いWeb請求書システムを活用すれば、請求書の電子化だけでなく、請求関連業務を効率的かつ正確に行えるようになるでしょう。

請求書を発行する際に確認したいポイントは?注意点を解説!

請求書の原本を電子化する際の注意点

請求書の原本を電子化する際の注意点は3つあります。

  1. セキュリティ対策が必須
  2. 改ざんできないファイル形式にする
  3. 取引先の方法に対応できる準備が必要

それぞれを詳しくみていきましょう。

1.セキュリティ対策が必須

請求書の原本を電子化するには、セキュリティ対策は必須です。インターネットにつながっている以上、ハッキングやデータ漏洩といったリスクに侵される可能性は常にあります。

しっかりと対策を行っていなければ、請求書を含め重要な機密情報が外部に漏れてしまいかねません。また、請求書には個人情報も含まれているため、より慎重な取り扱いは必要不可欠です。

請求書の原本の電子化を進める際には、ウィルス対策ソフトの導入やサーバーのセキュリティも強化するなど、セキュリティ対策を改めて考慮し、対策をする必要があります。

2.改ざんできないファイル形式にする

請求書の原本を電子化する際にには、改ざんできないファイル形式に変換しましょう。

仮にWordやExcelなど編集できるファイル形式のままで取引先に送付してしまうと、取引先が簡単に内容を変更し改ざんできることから、後々に金額が異なるなどのトラブルを招きかねません。したがって、請求書を作成し送付する前に改ざん防止するための対策を講じていれば、トラブルも防ぐことができるでしょう。

なお、請求書のファイル形式は、多くの企業で簡単に変更できないPDF形式が採用されています。改ざんを防止するためにも、請求書の原本を電子化する際は、PDF形式など簡単に改ざんできない形式を採用するのが望ましいでしょう。

3.取引先の方法に対応できる準備が必要

取引先によっては、請求書の電子化に対応していない企業もあります。そのため、個別に対応できる準備をしておく必要があるでしょう。

例えば、これから新たにシステムを導入するのであれば、必要に応じて紙の請求書も発行できるようにあらかじめ設定しておくことが重要です。また、業務フローを変更する際にも、電子化した請求書のみを取り扱うのではなく、紙の請求書も取り扱うことを想定してフローを変更しておけば安心でしょう。

請求書を含め、書類の電子化を行う場合は、自社だけでなく外部の取引先などが対応可能かどうかについてもきちんと確認し、考慮し上で準備しましょう。

請求書電子化のメリット・デメリットとは?システム導入の重要性を解説

おすすめのWeb請求書システム

先ほど述べたとおり、Web請求システムはとても便利なシステムです。

これからおすすめのWeb請求書システムを3つ紹介します。自社で導入を検討する際の参考にしてください。なお、いずれも電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しているので、ご安心ください。

マネーフォワード クラウド請求書

「マネーフォワード クラウド請求書」は、請求書を含め、領収書や納品書などの書類を簡単に作成できるWeb請求書システムです。

データを全てクラウド上に集約するため、万が一パソコンが壊れてしまったときでもデータを守ることができます。また、インストラクターによる導入支援サービスなど、サポート体制も充実しているため、初めての企業でも安心して導入できるでしょう。

提供元株式会社マネーフォワード
初期費用無料
料金プランスモールビジネス:3,278円(税込)/月(年額プラン)
ビジネス:5,478円(税込)/月(年額プラン)
機能・特徴見積書・納品書・請求書・領収書の簡単作成、請求書の定期発行、ロゴ・印影の登録、異なる帳票へ変換可能、、請求書の郵送代行・一斉送信、多彩な検索機能、売上レポート、ステータス管理、未入金アラート機能、複数人でのデータ共有、他の会計ソフトと自動連携が可能
URL公式サイト

freee請求書

「freee請求書」は、freee株式会社が提供するWeb請求書管理システムです。テンプレートが40種類以上あり、自分に合ったテンプレートを選択できる点や、全機能を3人までは無制限に無料で利用できる点が特徴です。

freee会計と併せて利用すれば、紙の請求書や領収書をスマホで撮影して電子保存することも可能となります。また、freee販売と併せて利用すれば、情報の共有や情報の一元管理も可能となるので、他のソフトとあわせて使用するとさらに活用できるでしょう。

また、24時間365日、メールやチャットで相談できる点も魅力です。

提供元freee株式会社
初期費用無料
料金プランユーザー1〜3人までの場合:無期限で無料

ユーザー4人以上の場合:freee販売またはfreee会計ベーシックプランを契約した場合、利用人数の追加が可能。

・freee販売で契約した場合

  • 1,078円(税込)/月/ユーザー(年払い)
  • 1,300円(税込)/月/ユーザー(月払い)
  • ユーザー追加料金:286円(税込)/月/ユーザー※2人目以降発生(月払い)

※年払いの場合は、ユーザー追加料金は不要。 

・freee会計で契約した場合

  •  4,378円(税込)/月/ユーザー(年払い)
  •  5,258円(税込)/月/ユーザー(月払い)
  •  ユーザー追加料金:260円(税込)/月※2人目以降発生(月払い)
機能・特徴請求書や見積書の作成・送信、ステータス管理、40種類以上のテンプレート、24時間365日のサポート体制、スマホで利用可能
URL公式サイト

Misoca

「Misoca」は、会計ソフトで有名な弥生株式会社が提供するWeb請求書システムです。

カジュアルからビジネスまで多彩な請求書や見積書のテンプレートがあり、入力フォームに記入するだけで簡単にキレイな帳票を作成できます。

また、各帳票の発行・郵送・メール送信もワンクリックで完了でき、請求書の自動作成や自動メール送信、確定申告ソフトへの送信などさまざまな経理業務を効率化できるのが特徴です。

なお、スマホやタブレットからも操作できるため、どこからでも書類を作成・発行可能な点や、弥生の確定申告ソフトやfreee、MFクラウド会計などとの連携が可能な点も魅力です。

提供元弥生株式会社
初期費用無料
料金プラン無料プラン(ユーザー数1名):請求書月5通まで
プラン15(ユーザー数2名まで・請求書月15通まで):通常価格:8,800円円(税込)/年、880円(税込)/月
プラン100(ユーザー数5名まで・請求書月100通まで):通常価格:33,000円(税込)/年、3,300円(税込)/月

プラン1000(ユーザー数30名まで・請求書月1,000通まで):通常価格:110,000円(税込)/年、11,000円(税込)/月

機能・特徴見積書や請求書の多彩なテンプレート、ロゴ・印影挿入、請求書の自動サービス予約・自動メール送信、取引先登録、請求書の一括作成、請求書の郵送代行、ステータス管理、売上レポート、マルチデバイス対応、他の会計ソフトと連携可能、回収代行・売掛金の保証サービス、データの複数人での共有が可能
URL公式サイト

請求書を電子化して、正しく効率的に保管しよう

請求書の原本には保存義務があるため、一定期間は必ず保管しておく必要があります。従来、請求書は紙媒体の原本が主流でした。しかし現在は電子化が国全体で推進されています。

紙媒体の請求書の原本は、適切な方法で電子化した後は破棄可能です。紙媒体を電子化すれば、物理的なスペースを空けることができます。また、電子化によって請求書データの検索や管理がしやすくなったりコスト削減につながるなど、多くのメリットも得られるでしょう。

請求書の原本を電子化する際は、改ざんできないファイル形式を採用したり、セキュリティを強化するなどの対策が必須となるだけでなく、業務フローの変更や新しいシステムの導入も必要になるので、とても大変な作業になるでしょう。

しかし、請求書の電子化はこれまで説明したとおり、多くのメリットがあります。

請求書の電子化をなるべくスムーズに進めるためにも、あらかじめ綿密な計画を立てて行いましょう。そして、請求書の電子化をきっかけに、他の書類の電子化も進めていきませんか。

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