労務業務を効率化させる方法!業務改善のポイントとツール活用のすすめ
社員の労働環境や条件を管理する役割を労務管理業務と言います。企業によっては、入退社の手続きから勤怠管理や給与の計算まで幅広く担当する業務です。本記事では、担当者の大きい負担を効率化し改善する方法について解説します。ポイントやツールと合わせて理解を深めましょう。
目次
労務管理の業務を効率化させる方法
労務管理は、従業員の労働に関わる情報を管理する業務です。具体的には勤怠管理や給与計算に加え、就業規則の策定・改訂やハラスメント対策などが該当します。
労務管理が適切に行われることで労働環境の改善が進み、従業員の「採用」「育成」「配置」「評価」「モチベーション向上」を担う人事管理の領域をより効果的に実行できます。
そして労務管理の業務を効率化するには、主に6つの方法があります。
- 業務の振り分けをおこなう
- スケジュールを立てる
- 業務を分担して属人化を防ぐ
- 紙で管理していたもののデジタル化を進める
- 労務管理専用のITツールを導入する
- アウトソーシングを活用する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
業務の振り分けをおこなう
日々の業務は、複数のタスクが組み合わさって形成されています。労務管理を効率化するためには、業務を定型業務と非定型業務に分類することが重要です。
定型業務とは、決まった手順に従って行われる業務のことで、勤怠管理や給与計算などが該当します。定型業務は自動化・標準化しやすく、労務管理システムの活用やプロセスの最適化によって効率的に処理が可能です。
一方で非定型業務とは、個々のケースに応じて対応が必要な業務で、就業規則の策定・改訂やハラスメント対策などが該当します。非定型業務は、人間の判断やコミュニケーション力が重要で自動化や標準化が難しいです。
このように業務を定型業務と非定型業務に分類することで、改善すべきポイントを整理できます。定型業務は自動化や標準化し、非定型業務は適切な担当者をアサインしコミュニケーションや判断力を重視した対応を心がけましょう。
スケジュールを立てる
労務管理の業務は多岐にわたるため、全ての業務を並行で進めることは容易ではありません。だからこそ、労務管理の年間スケジュールを立てることが重要です。
年間スケジュールを立てることで、業務の優先順位や期限を明確化できます。さらに業務の全体像を把握しタスク単位で必要な期間を明らかにすることで、現実的な実現可能ラインが判明します。
またスケジュールを立てると、定期的に実施される業務や、期限の近い業務を一元管理が可能です。そのため重複作業や無駄な作業を排除し、業務の効率化が図れます。
加えて年間スケジュールが定まっていると、業務の進捗状況を可視化できます。スケジュールに記載された予定に対して進捗管理をすることで、業務の遅延や問題点の早期発見が可能です。その結果、業務の改善点を把握し迅速な対応ができるでしょう。
業務を分担して属人化を防ぐ
労務管理では業務の範囲の広さに対して、担当者がテーマ単位で業務を行う傾向にあります。そのため業務負担の偏りを軽減するために行うのが、業務の適切な分担です。
一方で業務の分担には、属人化のリスクが伴います。同じ業務でも担当者でやり方や成果物が異なると、業務の進捗や品質に差が出てしまう可能性があるからです。
そこで業務を分担する際には、業務マニュアルを作成し属人化を防ぐことが重要です。業務マニュアルを用意することで、業務の方法や成果物に関する基準を統一できます。
また業務に関する情報やノウハウを共有することで、業務の担当者が異なっても業務の品質や進捗に与える影響が少なくなるでしょう。共有に必要なコミュニケーションの場を設け業務の進捗状況や問題点を定期的に話し合うことで、属人化の防止につながります。
紙で管理していたもののデジタル化を進める
デジタルシフトによりペーパーレス化を推進することも、労務管理の効率アップにおいて有効な方法です。
紙での情報管理は、書類の発行や保管・検索などが煩雑で時間がかかるため、業務効率が低下します。一方でペーパーレス化を推進すると、書類の発行・保管・検索が電子的に行われるため作業時間の短縮が可能です。
またペーパーレス化により、業務の精度や品質が向上することがあります。書類管理は手作業なので書類の記載漏れや誤りが発生しやすく、業務品質に悪影響を与えることがあります。一方でペーパーレス化により業務の自動化や書類の電子化することで、人為的なミスが減少し業務品質の向上が可能です。
労務管理専用のITツールを導入する
労務管理に特化したITツールを導入したり既存のITツールに労務管理専用のアカウントを発行したりすることは、労務管理の業務効率を向上させるために重要な取り組みです。
専用のITツールを使用することで、労務管理の定型業務を自動化できます。結果として業務の正確性やスピードが向上し、人的ミスや手間を減らすことができるでしょう。
また労務管理専用のITツールは、従業員の労働時間や勤怠情報のリアルタイムで把握できます。リアルタイムで把握する機能を活用することで、管理者側は常に最新の情報を入手できるため業務を迅速かつ正確に処理できます。
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アウトソーシングを活用する
業務の振り分けやマニュアル作成などを行っても社内にリソースがない場合は、アウトソーシングの活用も有効です。
アウトソーシングのメリットは、リソース不足が補えるだけではありません。法律などの専門的な知識や経験が要される業務を委託することで、品質の向上や法令遵守に関するリスク軽減が期待できます。
特に法改正で既存の制度を変える必要性が出た場合、専門知識を持った外部業者の協力をえたほうがスムーズに業務を進められます。
一方で、アウトソーシング先の専門業者は多種多様な候補があるため、委託先の選定や契約書の取り交わしには十分検討が必要です。
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労務管理の業務を効率化する際の進め方
労務管理の業務改善を実施する際は、主に4つのプロセスで進めていくことが大切です。
- 業務の状況を把握する
- 課題を洗い出す
- 改善策のスケジューリング
- 改善計画を実行する
それぞれを解説します。
業務の状況を把握する
まずは業務の現状を把握するために、業務の処理状況を知りましょう。その際に業務がどのくらいの頻度で発生し、工数がかかっているのか情報の収集も重要です。
情報収集を正確に行えると、業務に必要なリソースを把握できます。また業務の発生頻度が分かると、予測可能な業務のスケジュール作成が可能です。スケジュールを作成することで業務の優先順位が決めやすく、適切な期限を設定できるでしょう。
課題を洗い出す
業務の状況が把握できた後は、自社の課題を洗い出します。業務を実施する中で、問題点や課題を発見することが大切です。
改善案を出す際は、社内会議や業務改善の専門家と意見交換を行うことも有効です。また、同業他社の事例を調査し参考にすることもできます。
課題を洗い出すことで業務のムリ・ムダ・ムラを特定し、改善策を決めていきましょう。
改善策のスケジューリング
改善すべき課題を洗い出した後は、改善策のスケジューリングを行いましょう。
スケジュール策定の際には改善する業務を細分化して、業務に必要な作業を洗い出します。その後、各作業に必要な時間や期間の概算を行って人員を割り当てます。
またスケジュール策定の際には、作業の依存関係や並列可能な作業なども考慮します。依存関係がある作業は先に行う必要があるため、スケジュールを立てる際に注意が必要です。並列可能な作業は同時に進めることができるため、作業の総工数の削減が期待できるでしょう。
なお各作業の進捗状況を把握するため、あらかじめマイルストーンを設定していくことが重要です。マイルストーンを設定することで、スケジュールにズレや遅れが生じた場合でも早期に対応できます。
改善計画を実行する
改善策のスケジュールが決まると、いよいよ改善計画を実行フェーズに移ります。改善策は実行するだけでなく、定期的な振り返りによる軌道修正が重要です。
定期的な振り返りで改善の進捗を共有することで、計画通りに実行できているかどうかを確認し必要に応じた対策ができます。
さらに改善策が社内にどのような影響を与えたか把握するためにも効果検証が必要です。改善の前後で業務を比較したり関係者からのフィードバックしたりして、改善の効果検証を行いましょう。
また検証結果に基づき、さらに改善策を検討することも必要です。改善策を検討することで改善サイクルが定着し、業務をよりよい状態に変える雰囲気がでます。
労務管理の業務を効率化させる改善ポイント
労務管理の効率化で期待した結果を得るには、3つのポイントを押さえることが重要です。
- 業務の必要性を見極める
- 優先順位を定める
- 業務の流れを考える
ここでは、それぞれの改善ポイントを解説します。
業務の必要性を見極める
業務の効率化は既存の業務を残すことが正しいとは限らず、業務の現状を把握した際に業務の必要性を再評価する必要があります。
業務の必要性を見極めるには業務実態を正確に把握し、業務の重要性や目的・実施方法・発生頻度などを明確にしましょう。またその業務がどのような価値を持っているのか、業務がなくなるとどのような影響があるのかを考慮することも重要です。
業務の必要性を見極めた結果で必要と判断した業務は、標準化・自動化を検討しましょう。一方で必要性が低いと判断した業務は廃止することでムダを削減し、重要な業務に集中することができます。
優先順位を定める
労務管理の業務を効率化する際にはすべての改善を同時に行うことは困難なので、優先順位を定めることが重要です。
業務を効率化するためには、業務の作業工数や所要時間の把握しましょう。次にその業務が他の業務に与える影響や発生するリスクを考慮してください。
さらに業務の緊急性や対応期限を踏まえて、優先順位を決めます。例えば業務の作業工数が多く他の業務にも影響を与える場合は、優先度が高くなります。
また期限が迫っている場合は、他の業務に影響があっても優先して対応が必要です。ただし緊急性の高い業務ばかり優先すると、長期的な視点が欠けてしまうためバランスを考慮してください。
業務の流れを考える
業務の効率化では、全体像を把握するためのフローチャートの作成が欠かせません。
フローチャートで業務の流れを図解すると、業務を俯瞰的に捉えることができます。ここに期日などの追加情報を追加することで、業務のムリ・ムダ・ムラを見つけやすくなります。
またフローチャートを共有することで関係者間での認識共有がしやすくなり、改善のアイデアや提案も生まれやすくなります。
労務管理の業務を効率化させるにはツールがおすすめ
ここでは、労務管理の効率化を目的に導入されるITツールを6つご紹介します。
ジンジャー人事労務
ジンジャー人事労務は、jinjer株式会社が提供するクラウド型の人事・労務管理システムです。
人事情報の一元管理によるペーパーレス化の推進だけでなく、収集したデータを活用して従業員のコンディションを可視化したり、フォーマットのカスタマイズで自由に項目を追加したりできます。
提供元 | jinjer株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 1人あたり300円〜/月 ※従業員データベースは無料、年間契約のみ |
導入実績 | 導入社数15,000社を突破(シリーズ累計) ※2022年1月時点 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
freee人事労務
freee人事労務は、freee株式会社が提供するクラウド型の人事労務管理システムです。
サポート体制が充実しており、要件定義のアドバイスや操作方法のレクチャーが受けられます。また不明点が発生した際は電話やメール・チャットで気軽に相談が可能です。
提供元 | freee株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 基本料金+従業員料金 基本料金
(月額プラン)
従業員料金
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機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
SmartHR
SmartHRは、株式会社SmartHRが提供するクラウド型の人事労務管理システムです。
直感的な操作性のインターフェースで、各種フォームにヒントテキストを表示できます。ヒントテキストを表示することで、どこに何を入力すれば良いのか従業員にも分かりやすいので作業の効率化につながります。
提供元 | 株式会社SmartHR |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | HRストラテジープラン:要問い合わせ 人事・労務エッセンシャルプラン:要問い合わせ 人材マネジメントプラン:要問い合わせ |
導入実績 | 登録社数50,000社以上 ※2023年2月時点 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
ジョブカン労務HR
ジョブカン労務HRは、株式会社DONUTSが提供するクラウド型の人事労務管理システムです。
ToDoリスト機能や手続き進捗管理機能で、次にすべき内容や実行した作業の進捗を可視化できます。さらにSSL・DB暗号化・IP制限など強固なセキュリティ対策で、データの安全性に細心の注意を払っています。
提供元 | 株式会社DONUTS |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 無料プラン:(無料) 有料プラン:1ユーザーあたり400円/月 ※大規模(500名目安)の企業向けプランあり:要問い合わせ |
導入実績 | シリーズ累計導入実績15万社 ※2023年2月時点 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
COMPANY
COMPANYは、株式会社Works Human Intelligenceが提供するクラウド型の統合人事システムです。
大手法人向けに設計されたオールインワンの人事情報基盤で、複雑な給与制度や勤怠管理にも柔軟に対応できます。
提供元 | 株式会社Works Human Intelligence |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 約1,200法人グループの大手法人が導入 ※2023年2月時点 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
クラウドハウス労務
クラウドハウス労務は、株式会社Techouseが提供するクラウド型の人事労務管理システムです。
業務フローに合わせてシステムをカスタマイズするセミオーダー型の設計です。またグループ各社で異なる書類をシステム上で再現するなど、大手企業の複雑な処理にも適しています。
提供元 | 株式会社Techouse |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
労務管理の業務に役立つツールの選び方
労務管理を支援するITツールの選び方には、主に4つのポイントがあります。
- 必要な業務に対応しているか
- どのように情報を入力するか
- 社員の操作は簡単か
- 連携できる範囲は広いか
必要な業務に対応しているか
労務管理システムを選ぶ際には、まず自社の業務に必要な機能を明確にして、対応するシステムを選ぶことが重要です。
例えば勤怠管理や給与計算・人事情報の管理など、どの領域のデジタル化を優先するかによって必要な機能が異なります。
また業務の拡大や変化があった際に、柔軟に対応できるかも重要なポイントです。特に人事・労務管理の領域では関連する法律や規制が頻繁に改正されるため、対応する機能や更新サポートが提供されるかを確認しましょう。
▷テレワーク中の労務管理方法|課題と解決策・他社事例を解説
どのように情報を入力するか
労務管理では煩雑な手続きや多くの情報を扱うケースもあり、入力ミスが発生しやすい領域です。そのため、システムにどのような情報を入力するかで、ミスの発生率が変わります。
最近ではテキスト入力だけでなく、質問に回答するだけで書類が完成したりデータの自動取り込みにで入力工数を削減したりできるシステムもあります。
社員の操作は簡単か
労務管理システムは幅広い社員が活用します。そのため、人事担当者以外の社員がシステムを簡単に扱えることが重要です。
労務管理システムが使いにくい場合、正確なデータ入力や必要な情報の取得ができなくなり、業務効率や正確性に悪影響です。さらに社員がシステムの使いにくさを感じてしまうと、労務管理システムが利用されなくなる可能性もあります。
したがってシステムを選ぶ際には、ユーザビリティテストや評判などを確認し操作感を試すことが重要です。操作性は、システムのUI/UXやマニュアルの充実度などで判断できます。
さらに操作方法がわからない場合は、利用者へのサポート体制があるかも確認しましょう。
連携できる範囲は広いか
労務管理システムは従業員の人事・労務情報を管理するだけでなく、他のシステムとの連携が必要な場合もあります。そのため、他のシステムとの連携できる範囲も確認しましょう。
また労務管理を効率化するために、データの共有や分析が必要なケースがあります。他のシステムとの連携性が高ければ、より効果的な業務改善が可能です。
つまり導入する労務管理システムが他のシステムと連携できるか、連携方法が簡単かを確認することが大切です。
複雑な労務管理の業務を効率化しよう
本記事では、労務管理の効率化に関して具体的な手法や効果的なツールを解説しました。
労務管理を効率化することで、時間や手間を削減し人的ミスの発生を減らせます。さらに自動化や標準化で作業時間が短縮すると、他の重要な業務に集中でき社員の満足度や経営効率の向上につながります。
業務の改善点を特定しITツールの導入することで、複雑な労務管理の業務を効率化していきましょう。
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