オンラインストレージの非同期型とは?同期型との違い・比較ポイントを紹介
オンラインストレージサービスには、同期型と非同期型があります。タイプの違いは、運用方法にも影響するため、同期型か非同期型かは導入時の大きな判断基準のひとつになるでしょう。今回は、オンラインストレージの非同期型に焦点を絞り、同期型との違いや比較ポイントを紹介します。
目次
オンラインストレージの非同期型と同期型の違い
オンラインストレージとは、インターネットを介してサーバー上にデータを保管し、共有できるシステムのことです。「クラウドストレージ」と呼ばれることもあります。
まずは、オンラインストレージの主なタイプである「非同期型」と「同期型」の違いについて確認していきましょう。
非同期型のオンラインストレージとは
非同期型のオンラインストレージとは、自動同期されないオンラインストレージのことです。
例えば、PCやスマホ、タブレットなどのローカル領域で作成したデータをオンラインストレージに保存したとします。
非同期型では、その後、同じデータをPCなどのローカル領域で編集・更新しても、オンラインストレージ内のデータには反映されません。同一データにするには、再度オンラインストレージにログインし、ローカルの最新データを保存し直す必要があるのです。
そのため「保存し直す」という手間が発生することになりますが、扱うデータの内容によっては、「すぐさま反映されない」ことが、リスクヘッジとしてメリットになる場合もあるでしょう。
同期型のオンラインストレージとは
同期型のオンラインストレージでは、ストレージ内に保存したデータとローカル領域のデータが、常に自動で同じ状態に保たれます。
オンラインストレージ内に保存済みのデータであれば、PCやタブレットのローカル領域で編集・更新を行っても、すぐさまストレージ内のデータに変更点が反映されます。そのため、複数人で同じデータを扱う場合でも、常に最新のデータがメンバー全員に共有されることになるのです。
▷オンラインストレージとは?特徴や具体例・仕組みをわかりやすく解説
▷オンラインストレージの暗号化とは?必要性やセキュリティ性が高いサービス
オンラインストレージの非同期型と同期型のメリット
ここからはオンラインストレージを利用するメリットについて、非同期型と同期型に分けてご説明します。オンラインストレージの導入に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
非同期型のオンラインストレージのメリット
非同期型オンラインストレージのメリットは、任意のタイミングでデータ内容を更新できることです。作業する度に内容が同期されるわけではないため、オンラインストレージ上のデータ保存容量を圧迫することなく利用できます。
また、セキュリティを重視したいときにも最適です。作業中は、「PCのデータを誤って編集してしまった」といったミスが起こることも少なくありません。
非同期型オンラインストレージを利用すれば、このようなケースでも誤った操作がストレージ内のデータに反映されることはありません。
同期型のオンラインストレージのメリット
同期型のオンラインストレージは常に編集内容が自動同期されるため、再度オンラインストレージに、最新データを保存し直す必要はなく、ローカルのデータを紛失したり破損したりした場合も、最新の状態のものをダウンロードできるというメリットがあります。
また、1つのファイルを複数人で使用する際にも最適です。操作した内容がリアルタイムで反映されるため、「ファイルを開いている人を探す」「最新情報であるかどうか確認する」といった社内での情報共有の手間を削減できます。
▷【2023年最新】オンラインストレージおすすめ15選!選び方を徹底比較
オンラインストレージ製品の比較ポイント
オンラインストレージ製品は多数あるため、サービス選びに悩む方も多いのではないでしょうか。
ここからはオンラインストレージ製品を選ぶ際のポイントを5つ紹介します。
機能と操作性を比較
まずチェックしたいのが機能と操作性です。機能面では、設定により同期型か非同期型が選択できるかどうか、また、既存で使用しているサービスとの連携が可能かどうか、などを確認しましょう。
さらにオンラインストレージは、社内で広く使われるツールとなるため、マニュアルなしでも初見である程度の操作ができる、わかりやすいUIなども比較すべきポイントです。
利用人数を比較
料金プランは、サービスによってさまざまですが、利用人数を基準に料金プランが設定されているケースもあります。
ユーザー数ごとに課金されるプランの場合、基本料は低価格でも、使い方によってトータルコストが上がる可能性もあることを考慮しておきましょう。
データ容量を比較
使用できる容量も重要なポイントです。ExcelやWordなどのテキストのみのデータ保存が中心であれば、さほど容量を圧迫するようなデータではありませんが、写真や動画を保存する目的であれば、データ容量の大きいサービスを選ぶ必要があります。
例えば、スマホで撮影した画像の場合、1GBで保存できるのは300~500枚程度です。また動画にいたっては、大体10分弱の動画で1GB程度の保存容量を要することになります。
そのため、保存するデータの種類や量を把握したうえで、サービスを比較しましょう。ただし、オンラインストレージサービスでは、その多くが使用できるデータ容量に比例して使用料も上がるプランが設定されているため、コストと使用感の見極めが重要です。
▷容量無制限で使えるオンラインストレージ10選!個人・法人向けで比較!
料金を比較
オンラインストレージのなかには、無料で利用できるサービスもあります。
無料サービスでは、容量やユーザー数に制限がある、頻繁に広告が表示されるなど、高い利便性が確保できない場合もありますが、まずはお試しで利用してみるのも良いでしょう。
一方、有料サービスは、一度購入したらずっと利用し続けられる「買い切り型」と、月額(年額)課金タイプの「サブスクリプション型」の2つの料金パターンに大別されます。
「買い切り型」は、初期費用がかかるが、ランニングコストは抑えられる、「サブスクリプション型」は、初期費用は抑えられるが、ランニングコストがかかり続ける、といった相反する特徴を持つため、自社の目的と照らし合わせつつ判断しなければなりません。
▷【2023年最新】無料で使えるおすすめのオンラインストレージ10選を徹底比較!
セキュリティを比較
社内データを保存するオンラインストレージは、高いセキュリティ性も選ぶ際の大切な比較ポイントとなります。
企業活動においては、社員の個人情報や顧客情報、経営戦略など、機密性を確保すべき情報も多く発生します。このような情報が流出すれば、企業の信頼性や評価が下落することもあるでしょう。
暗号化や2段階認証など、不正アクセスやウイルスによる情報漏洩を防ぐための高度なセキュリティ対策が施されているサービスを選ぶようにしてください。
▷オンラインストレージのセキュリティ対策|対策のポイントや起こりうるリスクを紹介
▷オンラインストレージの危険性・安全性とは?セキュリティリスクを解説
企業の信頼性を比較
サービス提供企業(ベンダー)の信頼性やサービス導入実績などから、信頼できるサービスかどうかを確認しましょう。
例えば、長年オンラインストレージサービスを提供する老舗サービスと、新規参入のサービスでは、サービス提供やシステム開発における知識とノウハウが異なってくるはずです。
導入実績の多さが、「経験値」として、サポート内容や対応の充実度に活かされていることも少なくありません。特に初めてオンラインストレージを導入する際には、提供歴や導入事例の豊富なサービスを選ぶと安心です。
▷オンラインストレージの仕組みとは?クラウドとの違いや活用事例
おすすめの非同期型オンラインストレージ
非同期型のおすすめオンラインストレージサービスを4つ紹介します。特徴や利用できる機能、料金プランなどを確認しながら、希望に合ったサービスを選びましょう。
セキュアSAMBA
株式会社kubellストレージが提供するセキュアSAMBAは、法人向けサービスならではの高いセキュリティ機能を標準搭載。データの保管先として、米国の政府機関でも使われるAmazonWebServiceを利用するなど、安心してデータを管理できる点が最大の特徴です。
また、チャットツールのChatworkと連携し、特定のグループチャットまたはダイレクトチャットにセキュアSAMBA上で行われたファイルアップロードなどの操作を通知させることも可能です。安全性と利便性の両方を求める企業におすすめのサービスといえるでしょう。
提供元 | 株式会社kubellストレージ |
初期費用 |
|
料金プラン |
|
導入企業数 | 4,000社以上(※2023年09月時点) |
機能・特徴 | ファイル共有、アクセス権限、アカウント管理、端末認証、自動ログアウト、二段階認証、グローバルIPアドレスによる制限、データバックアップなど |
URL | 公式サイト |
ixMark
ixMarkは、ixMark株式会社が運営するオンラインストレージサービスです。導入企業数は1,000社を突破しています。
コストパフォーマンスの良さと高い操作性が特徴。シンプルなUIデザインは、マニュアルがなくても誰でも簡単に利用できます。
料金プランは「ライトプラン」「ベーシックプラン」「プロプラン」の3種類から選択可能です。一番安いプランでは月額2万円台〜、最大20アカウント、1TBまで利用できます。
提供元 | ixMark 株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
|
導入企業数 | 1,000社以上(※2023年09月時点) |
機能・特徴 | 大容量ファイル転送、拠点間ファイル共有、Excel排他制御、言語選択、セキュリティ機能暗号化通信、ファイルアップロード・編集、ダウンロード通知設定、IPアドレス制限など |
URL | 公式サイト |
Everidays
Everidaysは、株式会社yettが運営する純国産のクラウドストレージサービスです。中小企業から県立病院や監査法人まで幅広く利用され、海外製品に不安を感じる方や、セキュリティ対策を強化したいときに最適です。
非同期型特有の「情報資産が端末に残らない」というメリットを享受できるだけでなく、操作ログの取得配信機能を利用することで遠隔での作業管理も可能となっています。また、ワークスペース機能が搭載されているため、複数人での情報共有の際にも活用できます。
提供元 | 株式会社yett |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 【ビジネスプラン】
【フリー・パーソナルプラン】
|
導入企業数 | 600社以上の組織(※2023年09月時点) |
機能・特徴 | ファイル履歴の世代管理・復元、ワークスペース単位の共有、共有メンバーの権限設定、ファイルの共有リンク発行、ファイルの排他編集、サービス連携など |
URL | 公式サイト |
30Day album
30Day albumはGMOペパボ株式会社が運営する写真や動画の保存に適したサービスです。
専用アプリによりスマホからの利用も可能で、閲覧者への権限設定や写真販売もできます。
無料のFREEプランと、月額330円~利用できるPROプランがあり、PROプランでは、アップロード可能な写真枚数は2,000枚まで、動画は1日あたりの制限なし(1ファイルあたり300MB、10分以内)となっています。
また、無料プランでも、写真は150枚まで、動画は1日3ファイルまでアップロード可能です。写真や動画を保存できるサービスを探している方は、まずは無料プランから試してみましょう。
提供元 | GMOペパボ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
機能・特徴 | オンラインアルバムの期間限定公開、フォトストレージ、アルバム作成、写真や動画のアップロード、閲覧者への権限設定、閲覧数の確認、写真販売、スマートフォン対応、メール投稿など |
URL | 公式サイト |
おすすめの同期型オンラインストレージ
続いて、同期型のおすすめオンラインストレージサービスを3つ紹介します。
Google Drive
Google Driveは、インターネットサービスや製品を提供するアメリカの大手企業Google LLCが運営するサービスです。Google Driveには写真や文書、動画などさまざまなデータを保存できます。
Googleにアクセスできる環境があれば、PCやスマートフォン、タブレットなど端末に関係なく利用可能です。また、ファイルごとの特定のグループや個人への共有設定も簡単に行えます。
提供元 | Google LLC |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
機能・特徴 | ドキュメントやスプレッドシート等コンテンツの作成、音声会議、ビデオ会議、会議を録画してドライブに保存、ビジネス用カスタムメール、デジタル ホワイトボード、カレンダー共有など |
URL | 公式サイト |
NotePM
NotePMは、株式会社プロジェクト・モード が運営するサービスであり、「ナレッジ管理」「マニュアル作成」に特化しているのが特徴で、業務効率化や情報共有の円滑化を目指す企業での導入に適しています。
強力な検索機能を搭載しており、欲しいファイルをすぐに見つけられるのも強みの一つです。複数人で多数のファイルを取り扱う場合や、シンプルなUIは、ITツールの利用に慣れていない従業員が多い企業でも利用しやすいでしょう。
提供元 | 株式会社プロジェクト・モード |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
|
導入企業数 | 登録企業7,000社以上(※2023年09月時点) |
機能・特徴 | マニュアル作成、ファイル検索、動画共有、更新履歴の自動記録、レポート出力、アクセス制限、閲覧履歴の一覧表示、外部ページ共有、お知らせ通知、チャット連携・API対応、マルチデバイス対応など |
URL | 公式サイト |
OneDrive for Business
Microsoft Corporationが運営するOneDrive for Businessは、アメリカのフォーチュン誌によって編集・発行される総収入ランキング「Fortune 500(全米上位500社)」にランクインした企業のうち85%以上の企業が導入しているといわれるサービスです。
法人をメインユーザーとして開発されており、「1ユーザーあたり1TBまで利用可能」「他者との情報共有にも素早く対応できる」「マルチデバイス対応」といったビジネスシーンに必要な機能を網羅的に搭載しています。
ファイルのバックアップもできる設計になっているため、万が一データを紛失したり削除したりした場合でもすぐに復元可能です。
提供元 | Microsoft Corporation |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 【個人向け】
【一般法人向け】※1ユーザーあたり
|
機能・特徴 | マルチデバイス対応、期間限定のアクセス権付与、ファイルのアップロード、ライブラリの同期、秘密度ラベルの適用、移行の管理など |
URL | 公式サイト |
非同期型オンラインストレージの特徴を押さえて最適な製品を導入しよう
非同期型のオンラインストレージサービスは、ローカル端末と自動同期されないのが特徴です。クラウドシステムのデータ容量を抑えられるという点や、データが自動的に同期されないため、各端末によって情報資産が持ち出されるリスクを防げるといったメリットがあります。
ただし、非同期型のこれらの特徴は、ローカル領域とストレージ内のデータを同一にするために、ストレージ内に保存し直す、あるいは、ストレージからダウンロードし直す手間が発生するデメリットにもなる点を理解しておきましょう。
利用するオンラインストレージサービスを選ぶ際は、製品の特徴やメリット、料金プラン、サービスの信頼性、サポート内容などを比較して自社に合ったものを選ぶことが大切です。選び方のポイントや、おすすめのオンラインストレージサービスを、ぜひ参考にしてみてください。
オンラインストレージの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら