損益計算書(PL)とは?項目別の見方と計算方法を紹介

最終更新日時:2023/10/16

経理アウトソーシング

損益計算書(PL)

企業活動における重要書類の1つ、損益計算書(PL)。企業の経営状況が把握できる決算書類の一つですが、具体的に何が記載されているのか、どのように見ればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、経理の一環である損益計算書(PL)について、見方や計算方法を紹介します。

経理の損益計算書(PL)とは?

経理が作成する書類である損益計算書(PL)とは、会社の収益や損失を記載した財務諸表の一つで、経営状況を把握できる書類です。損益計算書を意味する「Profit and Loss statement」の頭文字をとって「PL」と呼ばれることもあります。

損益計算書(PL)からわかること

損益計算書に記されるのは、「収益」から「費用」を差し引いた「利益」です。

つまり、損益計算書を確認すると、会社が現在どのような経営状況にあるかを把握することができます。

例えば、収益以上に費用がかかっていたとしましょう。この場合、利益はマイナスとなるため、経営状況は赤字であることが分かります。

また、このように赤字が発生した場合、「今後、どのくらいの収益をあげれば黒字に回復するか」という判断材料として損益計算書を役立てることも可能です。

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損益計算書(PL)の項目別の見方・計算方法

損益計算書に記載される内容には、大きく「収益」「費用」「利益」の3つがあり、さらに詳細な項目に分類されます。そのうち、押さえておきたい項目について紹介していきます。

損益計算書(PL)の項目1.営業損益

営業損益では、その会社の本業でどれだけの利益や損失が出たかが分かります。例えば自動車メーカーの場合、本業は、自動車製造および販売です。副次的に手がける不動産事業で収入があったとしても、営業損益には含まれません。

「売上高」から、商品の製造・準備にかかった「売上原価」を差し引くと、「売上総利益(粗利益)」が算出できます。さらに、「売上総利益(粗利益)」から人件費や光熱費などの「販売費および一般管理費」を差し引いた金額が「営業利益」です。

営業損益という大項目に、これらの詳細な項目と金額が記載されます。

▼営業損益の計算方法まとめ

・売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価
・営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費

損益計算書(PL)の項目2.営業外損益

営業外損益では、その会社の本業以外の部分でどれだけの利益、もしくは損失が出たかが分かります。

利益は「営業外利益」として不動産収入、預金利息、株の配当金などを記載しますが、一時的な収入や突発的な収入は含まれません。

損失は「営業外費用」として、営業活動以外で発生した費用、利息の支払いなどを総計して算出します。

▼営業外損益の計算方法まとめ

・営業外利益=不動産収入+利息+株の配当金など
・営業外費用=支払った利息などの総計

損益計算書(PL)の項目3.経常利益

会社が1年間の活動で生み出した利益を経常利益といい、営業損益と営業外損益をもとに算出します。

ただし、「経常利益=会社の実績」になるわけではありません。会社の実績は、この後で解説する特別損益も加味しなければわからないので、注意しましょう。

▼経常利益の計算方法まとめ

・経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

損益計算書(PL)の項目4.特別損益

特別損益は、通常の活動では発生しない利益、損失がどれだけ出たかを知ることのできる項目です。特別利益の例としては「不動産や株の売却益」「債務免除による債務免除益」、特別損益の例としては「不動産や株の売却損」「自然災害による損失」などが挙げられます。

売上高、売上原価、営業外収益、販売費および一般管理費など、営業損益と営業外損益の算出に含まれない損益が、特別損益です。

▼特別損益の計算方法まとめ

・特別利益=不動産・株の売却益+債務免除益など
・特別損益=不動産・株の売却損+自然災害による損失など

損益計算書(PL)の項目5.当期純利益

当期純利益で分かるのが、1年間の企業活動を通して得られた最終的な利益です。「純利益」と呼ばれる場合もあり、当期純利益がマイナスになった場合は「当期純損失」や「赤字」と呼ぶこともあります。

当期純利益の算出に関わるのが、ここまで解説してきた4項目です。

営業損益と営業外損益から出た「経常利益」に「特別利益」を加算し、「特別損益」を差し引いた金額が「税引前当期純利益」となります。その「税引前当期純利益」から「法人税等の税金」を差し引いた金額が、「当期純利益」です。

ただし、当期純利益がプラス(=黒字)になったら経営状態がよく、マイナス(=赤字)になったら経営状態に問題があるというわけではありません。

最終的に黒字であっても本業で大幅な損失があったり、赤字であっても、損失の大部分が一時的な特別損益に影響されているといったケースがあるためです。

当期純利益がプラスかマイナスかだけではなく、その内訳もしっかり確認するようにしましょう。

▼当期純利益の計算方法まとめ

・税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損益
・当期純利益=税引前当期純利益-法人税等の税

損益計算書(PL)のチェックポイント

損益計算書には、「営業損益」「営業外損益」「経常利益」「特別損益」「当期純利益」以外にもチェックしたいポイントが3つあります。それぞれ、どのようなことが分かるのか、詳しくみていきましょう。

売上高営業利益率

売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を表します。売上高営業利益率をチェックすることで、本業でどれだけ儲かったかの把握が可能です。

この数値が高いほど、企業の収益力は高いと判断できます。反対に数値が低い場合は、販売費や一般管理費などに費用がかかり過ぎといった課題があるかもしれません。

売上高営業利益率は、以下の計算式で算出できます。

売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100

業種によって異なりますが、売上高営業利益率の平均は、3~15%前後です。10%を超えると、優良水準といわれています。

売上高総利益率(粗利率)

売上高総利益率は、売上高に対する売上総利益の割合を指し、提供している商品やサービスの利益率を把握できる項目です。

売上原価を抑えている企業は、売上高総利益率が高くなる傾向があります。反対に売上高総利益率が低くなるのは、「売上原価が高い」「販売数が少ない」といった問題を抱えているケースです。

売上高総利益率は以下の計算式で算出できます。

売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100

売上高総利益率の相場は業種によって異なり、20~70%前後と幅がありますが、できれば20%は確保したいといわれる項目です。

売上高経常利益比率

売上高経常利益比率は、売上高に対する経常利益の割合を指し、企業の収益性、収益力を確認できる指標です。

売上高経常利益比率が高いほど、資産運用など本業以外でも利益を生み出し、理想的な経営状態にあると判断できます。反対に売上高経常利益比率が低い場合は、「営業外損益が大きい」「支払う利息の負担が大きい」などの問題を抱えているかもしれません。

売上高経常利益比率は以下の計算式で算出可能です。

売上高経常利益比率=経常利益÷売上高×100

損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の違い

損益計算書と混同されやすい書類に、貸借対照表があります。その違いを確認しておきましょう。

損益計算書は、一定期間における企業活動の収益を表したもので、企業の収益性が確認できます。いわば企業活動の成績表といってもよいでしょう。

一方の貸借対照表は、ある一時点における企業の財政状態を表したもので、企業の安定性や支払い能力を確認できる書類です。主な記載内容としては、企業が保有する資金、資金の使い道、資金の調達方法などが挙げられます。

損益計算書と貸借対照表は、企業の財政状況を確認できる書類という点では共通していますが、具体的な確認ポイントや記載項目には、違いがあるということです。

損益計算書(PL)は会社の利益を示す重要な書類の一つ

経理の一環である損益計算書(PL)は、決算書類、いわゆる財務諸表のひとつで、会社の利益を示す重要な書類です。損益計算書を確認して各項目をチェックすれば、企業の収益性や財務状況が分かります。

この機会に、損益計算書の見方を覚え、経理業務をはじめ、自身の仕事や活動に役立てていきましょう。

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