経理業務が属人化しやすい原因とは?解消する方法やおすすめのソフト

最終更新日時:2023/05/17

経理アウトソーシング

経理業務の属人化

業務内容や手順、進捗状況が担当者にしかわからない状態をさす、業務の属人化。専門性の高い経理業務は、属人化しやすいと言われており対策・改善が必要です。本記事では、経理業務が属人化しやすい原因とは何か?解消する方法・属人化解消におすすめのソフトを詳しく紹介します。

経理業務の属人化とは?

経理業務の属人化とは、経理部門における特定の業務内容やフローが担当者以外に共有されておらず、「その人でないとおこなえない」状態に陥っていることを指します。担当者がいないと特定の業務を進めることができず、ブラックボックス化につながってしまうのです。

また、経理業務では専門的な知識が必要であり、有資格者でないと対応できない業務が多いため、属人化が起きやすい業務領域であるといえます。そのため、経理業務の担当者が退職などをしてしまった場合には、業務内容が分からず、作業が滞ってしまうといった事態になりかねません。

このような経理業務の属人化は、一度起きてしまうと元に戻すまでに多くの手間や時間がかかるため、属人化がそもそも起きないように対策することが大切です。

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経理業務が属人化する原因

ここでは、経理業務が属人化してしまう理由について解説をしていきます。

経理人材の慢性的な不足により常に業務に追われている

経理部門は専門性の高い業務も多いため、そもそも人材が慢性的に不足していることが属人化の原因となっています。経理業務は学ぶこと、覚えることが多く、誰でもすぐに業務に取りかかれるものではありません。

そのため、業務理解度のある社員だけが一手にその業務を引き受けている状態によって属人化していることが多くあります。さらに、経理業務が属人化していると、担当者が多忙になり、一つの業務が完了しても他の従業員へ共有されることなく次の業務に移ってしまい、その結果業務のブラックボックス化につながる可能性も否めません。

長期勤務している社員が主要業務を独占している

決算作成や予算編成など、業務理解度が求められる主要な経理業務を知識、スキル、ノウハウのあるベテラン社員が独占してしまっていることも属人化の原因の一つです。人手不足によって若手の教育体制が不十分な現場などでは、ベテランの持つスキルや知識の受け渡しが上手くいっていない場合があります。

また、ベテラン社員が経理業務を独占していることで、その社員にしか分からないやり方になってしまっている可能性も否めません。経理業務を長年担当しているノウハウや自信から、経理担当者としての地位を確立するために、あえて業務を引き継いでいないといったケースもあります。

その結果として、長期勤務している社員に主要業務の消化を依存する状態に陥っており、なかなか属人化を抜け出せなくなっているのです。

業務に消極的な若手・中堅社員が多い

経理業務では専門的なスキル・知識が必要となるため、業務内容によっては特定の社員に任せてしまうサイクルに陥りやすい特徴があります。

業務の敷居の高さによって若手中堅が消極的になってしまった結果、スキルの高い社員たちに業務が属人化している可能性がある点に注意しましょう。

経理マニュアルが作成されていない

経理業務が長期で勤めているベテラン社員に依存していると、マニュアル作成やアップデートが疎かになっているのも属人化の原因です。

経理業務が分かる社員はマニュアルに頼らずとも業務を消化できるため、わざわざマニュアルを作成したり内容を新しいものにアップデートしたりといったこともする必要がありません。このように、経理マニュアルが作成されていないことから、新しく業務にあたる担当者が参照できるものがなく、業務が滞ってしまうといった状態に陥りやすいのです。

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経理業務の属人化を解消することで得られる効果

経理業務の属人化解消で得られる効果とは、どのようなものが得られるのでしょうか。ここでは、経理業務の属人化を解消することで得られる3つの効果を紹介していきます。

経理業務の質を向上させられる

属人化を解消しておけば、経理業務の質を向上させる効果が期待できます。たとえば繁忙期などに病気で欠員が出てしまった場合でも、他の社員が代わりに業務に取り組めるため、業務のクオリティーやスピードを落とさずに対応することが可能となります。

また、属人化を解消し、すべての社員が経理業務の内容を把握できるようになったことで、経理業務に対するミスや課題についても話し合いやすくなるでしょう。その結果、トラブルを未然に防ぐことができ、経理業務の質を向上させることにつながるのです。

経理業務の効率化が期待できる

属人化を解消すれば経理業務を遂行できる人員が増えるため、業務効率が向上する効果も得られるでしょう。属人化解消のために知識やノウハウをマニュアルなどに落とし込んでおけば誰でも業務にあたれるようになります。

さらに、繁忙期などには別の社員が経理業務をサポートすることも可能になるので、業務効率を一定のレベルで保てるのは大きなメリットといえるでしょう。

担当者の離職に備えられる

経理業務担当者の離職はいついかなる時でも有り得る事態です。属人化している状態で経理担当者が居なくなってしまうと、引き継ぎがうまくできず、業務が滞ってしまう可能性も否めません。

このことから、あらかじめ属人化を解消しておくことで、経理業務に離職で穴が開いた場合でもその他の人員で補填が可能になります。また、経理業務を一気に引継ごうとしても、業務の多さから引き継ぎ漏れをしてしまう場合もあるため、普段の業務から他の社員に共有しておくとスムーズに引き継ぎができるでしょう。

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経理業務の属人化を解消する方法

ここでは、経理業務の属人化を解消する方法を紹介していきます。

経理人材を確保・育成する

経理業務の属人化を解消する方法として、経理人材を確保して育成できる環境整備が必要です。

マニュアルなどを整備しても、業務を請け負う人手が足りなければ業務の属人化を防ぐことには繋がりません。そのため、人材の数、質を確保できる人材配置や採用戦略を推進していくことで、経理人材を確保していけるようにしましょう。

経理マニュアルを作成しナレッジマネジメントを強化する

社員の持つ知識や経験、ノウハウなどのナレッジを目に見える形で共有していくために、経理マニュアルを作成し、共有しましょう。マニュアルがあることで初めて業務にあたる社員も分からない部分を参照しやすく、均一なスキルアップを目指すことが可能になります。

また、マニュアルを作成するだけで終わりにせず、内容の変更があれば都度アップデートすることにより、スムーズな属人化の解消につながるでしょう。

経理業務を洗い出し改善する

経理業務の属人化を解消するには、現状の経理業務を洗い出して改善していくことも重要です。現時点でワークフローにどのような問題点があり、何が属人化を招いているのか原因を特定することによって、不要な業務や必要な業務が明らかになります。業務を洗い出し、洗練していくことで属人化防止や解消にもつながるでしょう。

経理部門内で定期的にジョブローテーションをする

定期的なジョブローテーションも経理業務の属人化解消には効果的です。

特定の担当者に特定の業務ばかりを任せるのではなく、さまざまな分野の業務を経験させましょう。その結果、経理業務の属人化を解消でき、幅広いジャンルへの対応力をもった社員育成が可能になります。

経理ソフトやアウトソーシングを活用する

経理ソフトやアウトソーシングも属人化解消に有効です。経理ソフトを使えば、誰もが同じレベルで経理業務をこなすことが可能になるため、「この人しかできない」といった業務を防ぐために役立ちます。

また、経理業務をアウトソーシングする際には、業務プロセスの洗い出しをおこなうため、その過程でブラックボックスになっていた領域も可視化することが可能です。このように、経理ソフトやアウトソーシングを活用することによって、属人化問題の解消につながるでしょう。

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経理業務の属人化解消・効率化におすすめのソフト5選

経理業務の属人化解消・効率化におすすめのソフト5選を紹介します。自社の課題と照らし合わせながら、ここで紹介する経理ソフトを参考に、比較検討してみてください。

1.弥生オンライン

弥生オンラインは、経理をもっとかんたんにする法人向けのクラウド型の会計ソフトです。経理業務がはじめての方でも、日付や金額を入力するだけでかんたんに扱えるため、簿記の知識なども不要です。

また、決算書作成や自動での仕訳など、定番の機能の他に税理士事務所や会計事務所との連携もとれるため、税理士や会計士を交えた業務にも役立てられる経理ソフトの一つといえます。

提供元弥生株式会社
初期費用無料
料金プランセルフプラン:28,600円(税込)/年、2,382円(税込)/月
ベーシックプラン:38,720円(税込)/年、3,226円(税込)/月
導入実績シリーズ登録ユーザー数280万以上(※2022年09月時点)
機能・特徴決算書作成、仕訳・記帳自動化、税理士・会計事務所連携など
URL公式サイト

2.マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計は、1ヶ月無料で利用できるクラウド型の会計ソフトです。料金プランも企業向けのものと個人向けのものがあるため、必要に応じてプランを選択することができます。

伝票入力はもちろん、消費税の集計機能など、細かな機能もしっかりと搭載されているのが特徴です。さらに、クレジットカードや銀行など、3,000以上のサービスと連携することが可能なので、わざわざデータ入力する手間が省け、作業の効率化にもつながるでしょう。

提供元株式会社マネーフォワード
初期費用無料
料金プラン

年額プラン

  • スモールビジネス:3,278円(税込)/月、39,336円(税込)/年
  • ビジネス:5,478円(税込)/月、65,736円(税込)/年


月額プラン

  • スモールビジネス:4,378円(税込)/月
  • ビジネス:6,587円(税込)/月
機能・特徴伝票入力(仕訳入力)、支払管理、会計レポートの出力、経営状態の把握、決算書の作成、消費税集計など
URL公式サイト

3.freee会計

freee会計は、画面のレイアウトが見やすく、会計ソフトを使った経験のない人でも簡単に扱えるのが魅力の会計ソフトです。会計ソフトを初めて経理部門に導入する場合や、経理業務未経験者が多い環境下で業務をおこなう際に相性の良いソフトといえるでしょう。

提供元freee株式会社
初期費用無料
料金プラン

年払い

  • ミニマム:2,178円(税込)/月、26,136円(税込)/年
  • ベーシック:4,378円(税込)/月、52,536円(税込)/年
  • プロフェッショナル:43,780円(税込)/月、52万5360円(税込)/年

月払い

  • ミニマム:2,948円(税込)/月
  • ベーシック:5,808円(税込)/月
  • プロフェッショナル:47,760円(税込)/月
導入実績有料課金ユーザー企業数33万(※2021年12月末時点)
機能・特徴かんたん記帳、経費精算、請求書の作成・管理、決算書作成、出納帳作成、資金繰り表の作成など
URL公式サイト

4.HANJO会計

HANJO会計は飲食店経理特化型の会計ソフトです。販促施策や結果などを写真・コメントで残せる日報が作成できたり、客数や客単価などから診断してくれる経営分析機能があったりするので、飲食店経営に役立つでしょう。一般企業向けの会計ソフトでは使いづらいと感じている方に特におすすめです。

提供元カシオ計算機株式会社
初期費用無料
料金プラン無料プラン:無料
有料プラン:1,078円(税込)/月
機能・特徴スマホ・タブレット対応、取引シーンから入力、まとめて入力、自動入力、推測仕訳など
URL公式サイト

5.弥生会計

弥生会計は、取引入力も簡単で、初心者でも扱いやすい会計ソフトです。法人の決算はもちろん、個人決算の申告にも対応できるため、幅広いニーズに合った使い方のできる汎用性の高い会計ソフトといえるでしょう。また、決算書を作成する際にも、集計されたデータが自動的に転記されるため、手作業による転記ミスや漏れなどを心配する必要もありません。

提供元弥生株式会社
初期費用

スタンダード

  • セルフプラン付き・ベーシックプラン付き:52,800円(税込)
  • トータルプラン付き:82,445円(税込)

プロフェッショナル

  • セルフプラン付き・ベーシックプラン付き:96,800円(税込)
  • トータルプラン付き:13万8050円(税込)

プロフェッショナル2ユーザー

  • セルフプラン付き・ベーシックプラン付き:12万7050円(税込)
  • トータルプラン付き:18万2050円(税込)
料金プラン

スタンダード

  • セルフプラン(通常年間価格):33,660円(税込)/年
  • ベーシックプラン(通常年間価格):33,660円(税込)/年
  • トータルプラン(特別価格):29,645円(税込)/年
  • トータルプラン(通常年間価格):59,290円(税込)/年

プロフェッショナル

  • セルフプラン(通常年間価格):45,650円(税込)/年
  • ベーシックプラン(通常年間価格):59,620円(税込)/年
  • トータルプラン(特別価格):41,250円(税込)/年
  • トータルプラン(通常年間価格):82,500円(税込)/年

プロフェッショナル2ユーザー

  • セルフプラン(通常年間価格):69,300円(税込)/年
  • ベーシックプラン(通常年間価格):79,750円(税込)/年
  • トータルプラン(特別価格):55,000円(税込)/年
  • トータルプラン(通常年間価格):11万円(税込)/年

※セルフプラン・ベーシックプランは1年間無料

機能・特徴取引入力、集計、資金繰り、経営分析・予算管理、法人決算、個人決算・申告、便利な機能・サービス、複数台での運用、印刷帳票一覧など
URL公式サイト

自社に最適なソフトを導入し経理業務の属人化を解消しよう

本記事では、経理業務の属人化について原因や解消方法などを解説していきました。経理業務を忙しくこなしていくなかで、ついつい経理業務は属人化に陥ってしまいがちな領域といえます。

属人化の解消を検討している場合は、是非本記事の内容を参考にしてみてください。

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