経理・労務・総務の違いとは?役割や仕事内容・必要なスキルを解説

2023/06/30 2023/06/30

経理アウトソーシング

経理・労務・総務の違い

企業の運営を支えている経理・労務・総務。しかし、それぞれの違いをあまり理解していない方も中には多いのではないでしょうか。そこで本記事では、そんな経理・労務・総務の違いについて、それぞれの役割や仕事内容・必要なスキルなど詳しく解説していきます。

経理とは|経理の役割・仕事内容

ここでは、経理がどのような業務か解説します。

経理の役割

経理は、企業活動におけるお金の動きを記録したり資産を管理したりする役割があります。企業活動では、経費の発生や給与支払い・取引先からの売上入金など、毎日のようにお金が動いています。このようなお金の動きを記録・管理するのが経理の役割です。

経理の役割は会社の規模によって異なることが一般的です。大企業の場合、経理・会計・財務を各部門に分けて設置することが多いですが、中小企業では経理部門が会計・財務業務を兼任する場合もあります。

経理の仕事内容

経理の具体的な仕事内容は以下の通りです。

  • 現金出納帳の管理
  • 経費精算
  • 伝票の記帳や整理
  • 給与支払い
  • 納品書・領収書・請求書の発行

給与支払いは、従業員に給与を振り込むだけでなく、源泉徴収税や社会保険料を算出し指定の期日までに納めなければなりません。

また上記以外にも、取引先に発行した請求書をもとに、「期日までに入金されているか」「入金日はいつか」を確認し、入金が遅れている場合は取引先へ催促するといった請求業務も経理の仕事のひとつです。

ほかにも、1年間の業務実績を財務諸表にまとめ、税務署へ申告する決算申告を年に1度実施しなければなりません。決算の内容によって税金を納付し、株主総会の開催や有価証券報告書の作成も担当します。

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経理に必要なスキル・資格

経理には、絶対に必要なスキルや資格はありません。ただし、税務申告や仕訳といった業務は経理が担うため、税法や簿記に関する知識が必要です。経理の仕事をしたい場合は、日商簿記検定2級以上を持っておくと実務で使える知識があると判断され、就職活動で有利になる可能性があります。

また、企業によって異なりますが、経理業務を行うにあたって会計ソフトや表計算ソフト(Excel・Googleスプレッドシート)を利用する場合があります。そのため、一定のパソコンスキルを身につけておくとよいでしょう。

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経理に向いている人の特徴

経理に向いている人の特徴は主に以下の通りです。

  • 数字に苦手意識がない人
  • 慎重かつ正確に作業を行える人
  • 計画に沿って動ける人
  • 責任感のある人
  • コミュニケーション能力や協調性のある人

経理はお金の管理が主な仕事内容のため、1日中数字を確認する場合があります。そのため、数字に対して苦手意識を持たない人は経理に向いています。

また、企業のお金を管理するので、記録ミスが1つでもあるとすべての記録を見直さなければなりません。そのため、ミスを起こさず慎重で正確な作業ができ、期日までに確実に業務を終わらせる計画性や「ミスを起こさない」責任感が求められます。

人と関わる機会が少なく感じる経理業務ですが、提出された経費について尋ねたり、入金が遅れている取引先と連絡をとったりするなど、ある程度のコミュニケーション能力が必要です。部門内でも仕事を円滑に進めるために、業務の遅れをフォローするといった協調性も求められます。

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労務とは|労務の役割・仕事内容

ここでは、労務の役割や仕事内容について詳しくみていきましょう。

労務の役割

労務は、法律に基づき従業員の労働環境を整備する役割があります。労働時間を管理したり入退職や福利厚生の手続きを行ったりと、従業員サポートがメインです。

労働環境の整備は、従業員の働きやすさに直結する部分でもあるため、労務の仕事は離職防止や生産性の向上などにもつながるといえます。

労務の仕事内容

労務の具体的な仕事内容は以下の通りです。

  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 入退職や福利厚生に関する手続き
  • 就業規則の策定や管理
  • 労災や労務トラブルへの対応

勤怠管理では、出退勤時間・休憩時間・時間外労働時間などを正確に記録し、法律や規則に従っているかを確認します。勤怠記録をもとに給与額を計算するのも、労務の仕事です。企業によっては、経理の仕事である源泉徴収税や社会保険料の算出・納付を労務が担当するケースもみられます。

また、労務は労働基準法・労働安全衛生法に基づき就業規則の策定や管理をしなければなりません。法改正のタイミングで就業規則を見直したり、就業規則に変更があれば新たな就業規則を会社全体に周知したりするなど、適切な運用が必要です。

そして、勤務中に従業員がケガや病気をした際の労災の対応、パワハラやセクハラなどの労務トラブルが起こった際の対応も労務が担当します。

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労務に必要なスキル・資格

労務の業務に必ず必要なスキルや資格はありません。ただし、労働基準法や労働安全衛生法に則って、従業員の労働環境管理や就業規則を策定しなければなりません。そのため、労働基準法や労働安全衛生法に関する知識が必要です。

労務において取得しておくと採用に有利に働く資格としては、社会保険労務士や衛生管理者免許などの国家資格が挙げられます。

労務に向いている人の特徴

労務に向いている人の特徴は以下の通りです。

  • 常に勉強する姿勢がある人
  • 口が堅い人
  • トラブルを冷静に対処できる人
  • 正確な作業が行える人
  • コミュニケーション能力のある人

労働基準法や労働安全衛生法は、定期的な改正や更新が行われるため、必要に応じて労働環境の整備や就業規則の改正を行わなければなりません。そのため、常に勉強する姿勢がある人は労務に向いています。

また、労務は従業員の病気やパワハラ・セクハラの内容など、デリケートな問題にも対応する必要があるため、口の堅さやトラブルに対処できる冷静さが必要です。個別の相談を受けることもあるため、従業員一人ひとりと向き合うコミュニケーション能力があるといいでしょう。

総務とは|総務の役割・仕事内容

ここでは、総務の役割や仕事内容について解説します。

総務の役割

総務は、職場環境の整備が主な役割です。労働環境を整備する点では労務と似ていますが、労務が「ヒト」の管理で、総務は「モノ」を管理します。総務の業務は、「会社の各設備を点検する」「書類を整理する」などが挙げられます。

経理や労務と比較すると業務範囲が広くなる傾向にあり、経理部門・労務部門が独立していない場合は、総務部門がすべての業務を担当するケースもみられます。また総務は、経営陣と近い立場で経営陣と現場の従業員をつなぐ役割を担うのが特徴です。

総務の仕事内容

総務の具体的な仕事内容は以下の通りです。

  • 備品や設備の管理
  • 社内外におけるイベントの企画運営
  • 各種書類・資料の作成や管理
  • 来客や問い合わせの対応
  • 福利厚生の運用

企業にはコピー用紙やインクといった消耗品から固定電話・パソコン・デスクなどの備品まで、さまざまな備品や設備があります。備品の補充や設備の点検・修理を行うのも、総務の仕事です。

また、社内における会議・入社式・社員旅行・歓送迎会などのイベントや株主総会の企画運営も行います。たとえば、場所の確保や参加者への通知・招待などは総務の役割です。イベントの開催にともない必要な資料があれば、作成・管理も行わなければなりません。

受付担当がいない場合は、来客や問い合わせへの対応も担当する場合があります。福利厚生で健康診断の実施や社宅の提供などがある場合は、福利厚生の運用も総務が行います。

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総務に必要なスキル・資格

総務に必ず必要なスキルや資格はありません。ただし、総務は業務範囲が広い傾向にあるため、複数の業務を同時に行う場面も出てきます。そのため、複数の業務を同時に行えるマルチタスクスキルを身につけるとよいでしょう。

また、備品・設備の管理や書類・資料の作成には、一定のパソコンスキルが求められます。そのため、基本操作ができる程度にはパソコンスキルを身につけておきましょう。

総務に向いている人の特徴

総務に向いている人の特徴は以下の通りです。

  • 複数の業務を並行して行える人
  • 人のサポートをするのが好きな人
  • 物事を整理するのが得意な人
  • 広い視野を持っている人
  • コミュニケーション能力や協調性がある人

総務は業務範囲が広く複数の業務を並行しなければならないため、マルチタスクが得意な人に向いています。全体的にサポート業務が多いため、縁の下の力持ちとして人をサポートするのが好きな人におすすめです。

また、備品の管理では在庫を把握し不足しないよう補充したり、従業員が備品を取りに来た際にスムーズなお渡しができるよう収納場所を決めたりするなど、備品を整理整頓しておく必要があります。そのため、物事の整理が得意な人に向いています。

そして、総務は会社全体のことを考え、各部門と連携しながら経営陣と現場をつなぐ立場です。したがって、広い視野を持ち各部門の従業員とも広くコミュニケーションをとれるようなコミュニケーション能力・協調性のある人が総務に向いています。

経理・労務・総務が兼任する業務

経理・労務・総務の各部門が独立して設置されている場合でも、3部門に関連する業務は多く、業務を各部門が兼任するケースもあります。経理・労務・総務が兼任する4つの業務について紹介していきます。

人事・採用

経理・総務は人事・採用業務を兼任するケースがあります。人事・採用業務の主な業務内容は、「新卒・中途採用」「人員配置・異動」「人事評価」などです。

経理では、給与の計算や支払いを行うため、人員配置・異動や人事評価も一括して担当する場合があります。経理が人事業務を兼任すると、配置や評価を給与額に反映させるのがスムーズになる点はメリットです。

また、入退職の手続きを担当する総務が採用業務を兼任することで、採用から入社手続きまでを一括して担当できるため、スムーズな採用業務が期待できます。

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秘書

総務が秘書業務を兼任するケースもあります。総務は経営陣と連携をとりながら業務を進めることが多く、スケジュール管理・来客対応・出張の手配など秘書業務も比較的実行しやすいためです。

また、総務は業務範囲が広く会社全体にも詳しい傾向にあるため、経営者のサポートを行う秘書としては最適な役回りともいえます。

広報

総務が広報業務を兼任するケースもあります。もともとイベントの企画運営を行う総務が、社内報の作成やプレリリース配信などの広報業務も担当することで、業務効率化を図るという目的が挙げられます。

また、最近では企業のSNSアカウント運用も広報業務として総務が担当する場合があります。業務範囲が広く会社全体をよく知る総務が広報業務を担当することで、より効果の高い広報活動が期待できます。

法務

労務・総務が法務業務を兼任するケースがあります。法務の具体的な業務内容としては、経営陣や現場からの法律相談に対応したり、企業活動における契約に際して問題がないか確認したりするなどが挙げられます。

労務や総務は労働環境を整備するべく、労働基準法や労働安全衛生法などの法に関する知識をある程度持ち合わせているため、法務のように法律に関する業務を兼任する場合があります。

とくに総務では契約書をはじめとする書類や資料の管理も担当するため、契約書の作成・確認といった法務業務からまとめて担当することによって業務効率化が期待できるでしょう。

経理・労務・総務それぞれの違いを押さえておこう

経理・労務・総務は「バックオフィス業務」という共通点から、独立した部門が設置されていない企業も多くあります。しかし、経理・労務・総務の業務内容には明確な違いがあり、企業活動の中で担う役割が異なります。

そのため、バックオフィス業務と一括りにするのではなく、経理・労務・総務の違いを押さえておくことが大切です。また、それぞれの独立した部門を設置する際は、各部門の役割や担当業務を明確化させることをおすすめします。

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