電子契約できない契約書とできる契約書の違い|できない理由と電子化の秘訣

最終更新日時:2022/12/20

電子契約システム

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電子契約化を進める中で「電子契約ができないケースって何が考えられるだろう?」と悩んでいませんか。この記事では電子契約に対応できない書類や、相手方に拒否された時の対処法を解説します。また取引先への説明サポートも行っている電子契約サービスを3つ紹介していますので、参考にしてください。

電子契約できない契約書とできない理由

まず最初に、電子契約ができない主な2つのケースについて確認していきます。

(1)「書面」での契約を定める法令がある

電子契約には、主に電子署名法・IT書面一括法・e-文書法・電子帳簿保存法の4つの法律が関わっています。文書の契約書には、印紙税法も関係しますが、印紙税法が適用されるのは「文書」のみのため、電子契約は収入印紙の添付が不要です。

電子契約を可能とする前提条件として、「法令で書面での契約が義務とされていないこと」「書面での契約を求める法令があるが、別途、電子化を認める規定がある」の2点をクリアする必要があります。

この条件について、逆の見方をすれば、法令で「書面」での契約を義務付けている契約の種類があるということになるでしょう。

この「書面」が必要な契約とは、不動産や建築に関するものが主となっていますが、具体例については、後の項目で詳しくお伝えします。

電子帳簿保存法の基本知識を解説!データ保存要件や法改正のポイントとは?

(2)相手方が電子契約を拒否する

電子契約は、すべての企業で導入されているわけではありません。デジタル化が進んでいない、必要性を感じない、セキュリティに不安があるなどの理由で、電子契約を採用していない企業も存在します

契約は双方の同意がなければ締結できません。そのため、取引相手が電子契約を拒否する場合は、契約は成立しないのです。電子契約の普及が加速しているとはいえ、しばらくはこのケースが起こる可能性も残っているでしょう。

電子契約できない契約の種類一覧

先ほどもお伝えしたように、すべての契約が電子契約に対応しているわけではありません。ここでは、法令により電子契約を不可としている契約について詳しくお伝えしていきます。

(1)不動産・建築関連の契約

不動産や建築に関連する契約の一部は、法令により「書面」での契約書の作成や交付が義務付けられています。

電子契約が認められていないのは、具体的に以下のような契約です。

  • 定期借地契約書
  • 定期借家契約書
  • 宅建業者の媒介契約書
  • 不動産売買における重要事項証明書
  • 宅地建物売買等契約締結時に交付する契約書等の書面
  • マンション管理等委託契約書
  • 金融商品取引契約書

取引額が大きく、長期に渡り人の生活に関わる不動産取引契約は重要性が高いものです。そのため、借地借家法や宅建業法などにより、契約書類の書面作成や書面交付が義務付けられています。

しかし、2021年に可決成立したデジタル改革関連法により、重要事項説明書と賃貸借契約書は、改正法が施行される2022年5月以降、電子契約での対応が可能となります。

不動産取引で電子契約の利用が可能に!法改正の影響やメリットを解説!

(2)そのほかの契約書類

不動産関連以外で電子契約が認められていない契約書類は、以下のとおりです。

  • 任意後見契約書
  • 訪問販売などで交付する書面

任意後見契約書は「任意後見契約に関する法律3条」、訪問販売などで取引を行う際の書面は「特定商取引法4条」の定めに、それぞれ従う必要があります。

相手方が電子契約を拒否する主な理由

電子契約ができないケースのひとつとして、取引相手が電子契約を拒否することをあげました。では、どのような理由から電子契約は拒否されてしまうのでしょうか。

(1)電子契約システムを導入したくない

電子契約には、大きく「立会人型」と「当事者型」の2種類の契約方法があり、当事者型で契約を締結する場合は、通常、相手先にも電子契約システムの導入が必要となります。

サービスによって料金は異なりますが、初期費用や運用コストの負担を避けることはできません。また、電子契約を導入するのであれば、業務フローの見直しやルール作り、従業員への周知など、社内の規定の変更も必要です。

会社の規模や経営状態によっては、これらのコストや労力が大きな負担になるため、電子契約の導入を見送っていることがあります。また、契約書を交わす機会が少ない企業は、そもそもペーパーレス化といったメリットがあまりなく、電子契約の必要性を感じていない場合もあるでしょう。

電子契約における立会人型と当事者型の違いは?各メリットや選ぶ基準を解説

(2)電子契約で締結した契約の法的有効性に懸念がある

電子契約を導入すると契約書などの書類は、基本的に電子データとしてクラウド上で管理することになります。これまでの紙の契約書のように、ファイリングをして管理する方法とは大きく異なるのです。

従来のやり方を変えることに不安を感じるのは、ある意味、仕方ないことといえるかもしれません。さらには、見える形で手元に契約書が存在しないことを理由に、法的な有効性や証拠力を疑うケースもあります。

電子契約の法的効力とは?担保する仕組みや導入時のよくある疑問を解説

(3)電子契約システム自体の信頼性を疑っている

紙の契約では、互いに顔を合わせて書面に捺印をするのが当たり前でした。一方、電子契約では、インターネットを経由して非対面で契約を交わします。そのため、なりすましなどの不正リスクを懸念する企業も少なくありません。

実際に電子契約は、なりすまし以外にも、契約書の改ざんや情報漏洩などのリスクがあります。これらの理由から電子契約システム自体の信頼性を疑い、拒否されることもあるのです。

電子契約における本人確認の重要性となりすまし防止への対策について

相手方に電子契約を拒否された時の対処法

次に電子契約を拒否された時に有効な対処法を4つ解説していきます。

(1)電子契約を導入することのメリットを説明する

電子契約を拒否する企業は、電子契約のメリットを十分に理解していないことが多いです。そのため、まずは電子契約導入のメリットを説明することからはじめましょう。

契約業務の効率化やコスト削減、保管や管理が便利になるなど、具体的なメリットを伝えれば、電子契約に対する考え方が変わる可能性もあります。特に契約書を交わす機会が多い取引先には、丁寧に説明をして導入を促しましょう

電子契約のメリット・デメリットとは?導入前に知っておくべき注意点も解説

(2)電子契約の法的効力を説明する

電子契約には法的な効力がないという思い違いから、拒否をする企業や人もいます。この場合は、電子契約の法的有効性について丁寧に説明しましょう

関連する法令についての内容を伝え、どのような手順を踏めば法的な効力が担保されるかなどを伝えれば、相手先も安心して電子契約を進められるでしょう。

(3)取引先への説明サポートも行っている電子契約サービスを利用する

電子契約サービスでは、導入や運用をサポートする体制が整えられています。そして、その中には導入した企業だけでなく、その取引先へのサポートを行なってくれるサービスもあります

このサービスであれば、取引先へ説明する手間が大幅に削減できます。また、電子契約に対する知識が深いスタッフが、取引先への説明やサポートを行なってくれるため、理解を得られる可能性が高いのです。

(4)状況に合わせて書面契約も対応できる体制を整えておく

契約は双方の合意があってこそ成立するため、相手が拒否するのであれば、一方的に電子契約を進めるわけにはいきません。電子契約を推し進めるあまり、取引相手との信頼関係が崩れてしまっては、それこそ本末転倒です。

相手の都合により電子契約の利用ができない場合に備えて、書面契約にも対応できるように体制を整えておきましょう

電子契約は相手方の負担なしで利用可能?よくある問題と対処法も解説

取引先への説明サポート搭載の電子契約サービス3選

最後に、取引先への説明サポートを行っている電子契約サービス3選をご紹介します。

(1)freeeサイン(旧 NINJA SIGN by freee)

freeeサインは、株式会社サイトビジットが提供する電子契約サービスです。弁護士監修のもと開発されたシステムには、多彩な機能が搭載されており、契約書の作成から契約の締結・管理までをすべて行えます。

契約相手へのサポートはメールやチャット、電話での有人対応と充実。迅速に問題解決をして、スムーズな契約の締結を実現させてくれます。

プランLightプランLight PlusプランPro /Pro Plusプラン
月額4,980円(税込5,478円)19,800円(税込21,780円)50,000円〜(税込55,000円〜)
アカウント数11〜61〜20(要相談)
契約書送信数50通まで/月無制限無制限

(2)BtoBプラットフォーム 契約書

BtoBプラットフォーム 契約書は、株式会社インフォマートが提供する電子契約サービスです。

「アップロード→締結依頼→締結」という簡単な3ステップで契約業務が完了するのが特徴で、企業の規模や業種を問わずに活用が可能です。動画による使い方の説明、導入説明会の開催など社内の運用におけるサポートはもちろん、取引先へのサポートも充実しています。

プランフリープランシルバープランゴールドプラン
月額0円〜10,000円〜30,000円〜
ユーザー数無制限無制限無制限
電子契約5件/月50円/通50円/通
電子保管3件/月3件/月無制限

(3)イースタンプ

イースタンプは株式会社ハイホーが提供する電子契約サービスです。本人確認にメール認証を利用する認印タイプと、電子証明書により本人性を担保する実印タイプの両方に対応しています。

認印タイプは社内での稟議書の承認、実印タイプは取引相手との契約など、シーンに合わせた使い分けが可能です。

公式サイトでは、月の契約件数、収入印紙代などを入力し、イースタンプを導入した場合の、コストや業務時間の削減の目安をシミュレーションで算出してくれます。ただし、実際に導入する際の料金プラン詳細については個別の問い合わせが必要です。

取引先専用の説明資料の雛形提供、説明会代行などのサポートをしてくれる「プラチナサポートパック」も用意されています。

【最新比較】電子契約サービスおすすめ22選!失敗しない選び方も解説!

中小企業におすすめの電子契約サービス15選!導入の必要性や選び方を解説!

電子契約を進めるための流れ

契約書を電子化することによって、様々なメリットがありますが、闇雲に取り入れても効果は期待できません。

大切なのは電子化を進める目的を理解し、明確な基準を定めて進めるという点です。

まず重要なのは電子化する目的を明確に定めて、どの契約書を電子化するのか整理して定めてみましょう。また、電子化した後の保管方法や運用ルールを定めるというのも重要になります。

サポート体制が充実した電子契約サービスでトラブルを回避

電子契約は急速に普及しているものの、すべての契約に対応できるわけではありません。そのため、契約内容や取引相手の状況によっては、柔軟な対応が求められるといえます。

万が一、電子契約におけるトラブルが発生してしまった場合、内容によっては、サービス事業者が、取引先のサポートをしてくれるケースもあります。電子契約の推進に不安を抱えている場合は、このようなサポート体制が充実したサービスを選んでおくと安心でしょう。

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