欠勤控除とは?基礎知識から正しい計算方法・注意点を徹底解説

2022/6/23 2022/06/23

給与計算システム

欠勤するビジネスパーソン

この記事では、欠勤控除の考え方や、給与計算などについて紹介します。仕事を休み、遅刻した分の給与は基本支給されません。固定給であっても、欠勤控除によって賃金から差し引かれます。しかし、欠勤控除の扱いを誤ると問題となる恐れがあります。会社側や労働者の両方が理解している必要がある控除です。

給与計算における欠勤控除とは

仕事をしていれば会社に出勤しますが、何らかの理由で欠勤するときもあります。会社を休んでしまうと給与の支払いはされませんが、基本的に欠勤控除の対象となります。

控除とは差し引く意味を持ち、欠勤したなど欠勤控除の対象となった分は賃金から差し引かれます。欠勤控除の考えは、「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいており、広く伝わっています。

給与計算する上で欠勤控除の知識を深めるのは重要なため、正しく理解しておきましょう。

そもそも欠勤とは

仕事上決められた日程に、勤務をせずに遊ぶなど仕事を休んでしまったとき、欠勤扱いとなります。契約によって結ばれた労働義務を果たさなければ、通常賃金を支給されません。

中には、有給休暇など賃金を支給される休みがありますが、認定されないと欠勤になってしまいます。理由もなく契約違反をすると会社からの信頼度を失い、給与が出ない以上のデメリットを招きます。

欠勤控除とは

欠勤控除は、契約で支給される賃金から、体調不良などの欠勤の分を差し引くことを意味します。欠勤控除の対象には、1日休むだけでなく、遅刻や早退など決められた時間に勤務できなかった場合も含まれます。

勤務をしていたかの判断は会社の規定などによって変わってきます。また、欠勤控除と名前が異なる「不就労控除」というものがあります。

両方とも「労働しなかった分の賃金から差し引く」という意味を持っています。不就労控除と聞いたときは、欠勤控除と同じものです。

ノーワーク・ノーペイの原則

ノーワーク・ノーペイの原則は、仕事をしなければ支払う必要がないという意味です。欠勤や遅刻などで勤務を怠った方がこの原則の対象となり、月給や日給など決められた賃金を支払う義務が発生しません。

労働基準法の第6条に「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。」とあります。

法律で定められている内容は、ノーワーク・ノーペイの原則の概念と同様の意味を持っています。ノーワーク・ノーペイの原則を基に賃金を支払う義務があるのか判別しやすくなります。

給与計算における欠勤控除が発生する例

やむを得ず欠勤をする場合でも、仕事をしていないと見なされ賃金の支払い義務がなくなります。ノーワーク・ノーペイの原則に基づいて、欠勤控除が発生するのか考えられますが、就業規則など会社によって支給される休みもあります。

どのような休みが欠勤控除の対象となるのか、よくある事例をもとに解説していきます。

体調不良で欠勤

頭痛や発熱といった、体調を崩して欠勤になった場合が欠勤控除になります。午後に調子が戻り出勤をしても遅刻の扱いとなり、同じく欠勤控除の対象です。

体調不良の中で会社で定めた休みのものであれば、有給として判断され対象から外れます。つまり、会社の判断次第で欠勤か有給かが決まります。会社はどのような体調不良が有休となるのか確認し、定めることが必要です。

インフルエンザで欠勤

体調不良とは違い、インフルエンザにかかってしまった場合は話が別です。なぜなら感染という危険性があるからです。しかし、会社によっては休んだことで欠勤控除と判断される場合があります。

もし4日以上治らず欠勤したときは、傷病手当金を受け取れます。生活を保障するための制度ですが、有給として扱われた時はこの手当金の対象にはなりません。会社側の命令か自分の都合かで対処が変わってきます。

子どもの迎えで早退

子どもがいる場合、急に体調を崩すというケースは多々あります。緊急なときに代わりに迎えに行く方がいれば、早退の必要はありません。しかし、仕事を途中で抜けなければいけない方もいます。

早退した分は賃金から差し引かれ、欠勤控除の対象となります。会社の中には子育てがしやすい環境作りを意識し、早退をした後日に有休として申請が可能であるなど、欠勤控除の対象とならずに済む規定を定めていることもあります。

つまり、子どもを迎えに行くためでも基本早退は欠勤控除となりますが、会社次第で有休にもできるということです。

欠勤控除の給与計算時の基礎知識

欠勤控除の給与計算をするには、基礎となる知識を蓄えていることが求められます。仕事先によって勤務形態や休日と休暇の言葉の違いなど、欠勤控除をする上で知るべき情報です。

また、控除の対象には、通勤などの手当も含まれます。会社で勤務方法などが異なるので、どのように欠勤控除額を算出するのか、就業規則で定める内容など情報を整理して設定することが重要です。

休暇と休日は違う?

休日は、労働義務を課せられない自由な日です。休日制度でよくある週休2日の制度は、法定外休日と呼びます。法定休日とは、1週間に1日以上の休みを与えることです。

労働基準法第32条「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」という法律があります。1日8時間労働ですと5日で40時間となるので、結果週休が2日となります。

法定外休日には、この法律が適用されます。休暇は、契約で働く義務がある日に労働を免除する日で、雇用主と労働者による都合や、法律によって休んでも契約違反とはなりません。

法律による休みを法定休暇と呼び、年次有給休暇などがあります。法律にはない会社が定めた法定外休暇は、夏季休暇や慶弔休暇などがあります。

勤務形態や給与形態によって欠勤控除が異なる

欠勤控除の金額は、「月給制」や「時給制」、「日給制」などの勤務形態または給与形態次第で変わってきます。「時給制」と「日給制」は、出勤日数に対して時給、日給を掛けた額が算出されます。

休んだ場合は計算に含まれません。つまり、この2つの給与形態は欠勤控除にはならないということです。欠勤控除で一般的にある給与形態は「月給制」です。

事前に欠勤控除についての定めがなければ、欠勤した日数分を給与から差し引きます。「完全月給制」という名前が似たものがありますが、欠勤したときでも決められた給与全額が支払われるので、欠勤控除とはなりません。

控除対象にする手当を決める

手当は、支払う給与の基本給に加算される報酬です。手当には家族手当や残業手当などいくつかあり、欠勤控除の対象とすることが可能です。そこで考えなければいけないのは、「どの手当に対して欠勤控除にするのか」という点です。

欠勤控除の方法は、就業規則に明記する必要があります。例えば、通勤手当は出勤する際に発生する報酬です。欠勤は出勤と連動しているため、欠勤控除の対象にすることが多くあります。

このように会社が支給している手当に対して、欠勤控除の対象を定めていきます。

基本:欠勤控除の給与計算

欠勤控除の基本的な給与計算は、以下の3つの順序に沿って算出していきます。

  1. 契約によって定められた出勤日数で1日の支給額を算出
  2. 1日の支給額×欠勤日数で欠勤控除額を算出
  3. 全支給額から「2」で算出した欠勤控除額を差し引く

基本は上記のように計算しますが、他にも算出する方法があります。合理的なものであれば、算出しやすい計算方法を選ぶことができます。

欠勤控除の正しい給与計算方法

欠勤控除額を求める給与計算方法は、合理的であれば自由に選べます。しかし、主に4パターンの方法の中から選び算出することが多いです。会社と労働者の負担を減らすためには、適切な給与計算が重要です。

月給額/年平均の月所定労働日数×欠勤日数

月の給与額から、年平均の所定労働日数に欠勤日数を掛けたものを割って欠勤控除額を求めていきます。計算式にすると以下のとおりです。

  • 欠勤控除額=月給与額÷(年平均の月所定労働日数×欠勤数)

この計算方法は、欠勤1日分の控除額は年間を通して変わらないため、算出しやすいです。欠勤控除の給与計算で使用しやすく合理性もあるため、実施している会社も多いです。ちなみに、年平均の月所定労働日数を求めるには、以下の計算式を使います。

  • 年平均の月所定労働日数=(365(1年間)-年間の所定休日日数)÷12ヶ月

月給額/該当月(一賃金計算期間)の所定労働日数×欠勤日数

この欠勤控除を求める給与計算は、該当月の所定労働日数に欠勤日数を掛けます。その後月給与額を割ることで欠勤控除額が算出できますが、月ごとに所定労働日数は異なってしまいます。つまり、所定労働日数が多い月だと、欠勤控除額が小さくなるなど変動するということです。

月給額/年の暦日数×欠勤日数

この欠勤控除額を算出する給与計算は、欠勤1日あたりの控除額が一定になります。

  • 欠勤控除額=月給与額÷(年の暦日数×欠勤日数)

さらに、上記の方法で計算することで、分母の数値の方が大きくなります。欠勤控除額が定額となり、労働者の負担を小さくする結果になります。労働者にとってメリットがある給与計算です。

月給額/該当月(一賃金計算期間)の暦日数×欠勤日数

月間の暦日数に欠勤日数を掛けると、月によって欠勤控除額が変わります。なぜなら、28日、31日など月末が違ってくる月があるからです。

この方法で計算する場合は、その月の暦日数を把握してからでないと、欠勤控除額を間違える恐れがあります。

欠勤控除における給与計算の端数処理

欠勤控除で端数が出た場合は、基本的には切り捨てます。端数を切り上げた場合、欠勤扱いになっていない勤務時間も含めて差し引かれてしまいます。端数の処理を間違えてしまうと労働基準法に違反していることになりかねません。

欠勤控除の取り扱いで注意する点

欠勤控除の取り扱いを誤ると、会社にとってデメリットとなる注意点があります。対応の遅れや必要以上の控除を差し引くなどしてしまうと問題になります。トラブルを防ぐために、欠勤控除の対応について理解を深めましょう。

休職中や育休中の対応

体調不良などの病欠で休んだ場合は、欠勤控除の対象となります。しかし、休職中や育休中では欠勤控除にはなりません。

なぜなら、給与の支払い自体が発生しないからです。休職や育休の直前に欠勤した場合は請求できることもありますが、基本的に欠勤控除にはなりません。

退職後の対応

退職者に対して欠勤控除が必要になった際、お金の請求を求められます。例えば、従業員が退職した後の給与で、欠勤控除を差し引くことを忘れたときです。

支給額が多い分の金額を請求し、支払ってもらうことを「不当利得返還請求」と言います。不当利得返還請求には10年の時効が定められています。時効が過ぎる前に対応しましょう。

働かなかった分以上を控除すると違法

欠勤控除である条件を犯すと違反となってしまいます。その条件とは働かなかった時間より多く控除をすることです。また、欠勤によるペナルティとして減給があった場合でも、以下の条件に当てはまると違反です。

  • 就業規則に減給について定められていない
  • 月収より減給の総額が10%を超えた

欠勤や遅刻、早退など欠勤控除の対象となる分を賃金から差し引くのは法的にも問題はありません。違反にならないためには、控除する額を誤らず、減額をしても条件に反しないことです。

まとめ

欠勤控除の考え方は、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、欠勤や早退などが対象となれば、給与から差し引かれます。しかし、有休などの法定休暇のように欠勤控除の対象とならないものもあります。

誤って働いた分まで控除した場合は違反となるため、欠勤控除になるものを把握することが必要です。また、給与計算でどのパターンを選ぶかで、会社や従業員の負担が変わります。

会社にとって適した給与計算の方法とは何かも知ることで、正しい欠勤控除ができるでしょう。

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