給与計算の初心者が抑えるべき重要ポイント【基礎知識まとめ】

最終更新日時:2022/11/24

給与計算システム

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給与計算を始める前に知っておいたほうがいい基礎知識を知りたい方に向けて、給与計算でおさえておくべきポイントを初心者でもわかりやすく解説します。給与計算業務の担当者はもちろん、従業員の方も社会人として知っておくべき基礎知識ばかりなので、ぜひ1度チェックしてみてください。

給与計算の初心者が抑えるべき基礎知識

経理業務の中でも給与計算はミスが許されない重要な業務となっています。

従業員の給料を算出するために行われる給与計算は、基礎知識を把握しておくことで計算をスムーズに進めることができます。

給与計算でミスを防ぐためにも、具体的な計算方法について基礎を理解しておきましょう。経理初心者も安心して経理業務が進められるように、給与計算についての注意点などを紹介していきます。

給与として扱われるもの

従業員の労働に対して支払われる給与ですが、一言に給与とまとめても、内訳すると複数の種類があります。給料と同一視されることもありますが、給与と給料は違うものです。

給料は金額が変動しませんが、給与は労働時間などによって変動します。給与として扱われるものには、労働の対価として会社側から支払われる基本給が大まかな給与です。

その他には残業手当や休日出勤手当といった各種手当が含まれます。会社によっては手当の中に住宅手当や通勤手当なども含まれるので、どんな手当が給与となるのかは就業規則を確認しておきましょう。

賃金支払い5原則

何気なく給与の支払いがされていますが、この支払方法には労働基準法によって定められた5原則が設けられています。賃金支払い5原則の内容は、以下のとおりです。

  • 現物給与の禁止
  • 直接払いの原則
  • 全額払いの原則
  • 毎月1回以上の原則
  • 一定期日払いの原則

賃金の支払いは原則として通貨で支払う必要があります。たとえば自社で製造されている商品や商品券を給与の代わりとして従業員に支払うことは禁止されています。

ただし、一定の要件をみたすために、退職手当などを小切手や郵便為替を利用して支払うといった例外などは認められています。また、給与は労働した従業員へ直接支払わなければいけません。

この直接払いの原則は、会社と従業員の間に他者が入り込んで賃金を搾取することを防ぐために設けられています。分割払いをして給与の支払いをすることを防ぐために、全額払いの原則も決められています。

しかし、基本給の金額から控除分の金額を差し引くことに関しては労働基準法違反にはなりません。賃金の支払い回数は毎月1回以上は支払う必要があります。基本的には会社が決めた一定期日に給与が支払われるので、毎回1回以上の原則と一定期日払いの原則は同時に遂行できます。

給与計算のタイミング

給与計算のタイミングは、給与の締め日と支払日によって決めるようにしましょう。給与計算をするための一定の期間で区切った日を締め日として、計算によって算出された給与を支払う日を支払日とします。

一般的に、月末締めで翌月の25日払いとなっている会社がほとんどです。

そのため、締め日から支払日までの期間のうちに給与計算が行われます。また、支払日が土日や祝日となっている場合は、前営業日を支払日として給与の支払いが行われます。

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給与計算の前に準備すること

給与計算をする際は、まずは計算のために必要なものを準備しておきましょう。準備しておいたほうがいいものについて紹介していきます。

就業規則

まずは会社によって決められた従業員の労働条件が記載された就業規則を確認しましょう。就業規則には基本給となる労働時間について記載されたものや、給与の決定方法や計算方法などが記入されているので、計算を間違わないためにも参考にしましょう。

また、従業員の中に退職する方がいる場合、退職の届け出方法や手続きについてどう対処すればいいかも把握できます。

従業員情報

給与計算には従業員の情報も必要になります。特に、従業員が何年勤務してきたかの勤続年数や役職の把握は重要です。その年数と役職によって基本給が決まります。

他にも、扶養家族の人数によって家族手当の金額が変動するため、控除額についても確認しておかなければいけません。同じように通勤手当も従業員によって違ってきます。

従業員情報は従業員の人数が多い会社ほど更新や確認が必要になってくるので、給与計算の際には注意しなければいけません。

勤怠管理方法

会社が行っている勤怠管理の方法について理解しておくのも給与計算には重要です。

タイムカードや出勤簿などから労働時間について把握し、時間外労働が発生していないかの確認をする必要があります。勤怠管理によって確認できる労働時間をもとにして基本給の計算を行います。

給与計算におけるタイムカードの集計方法とは?注意点も徹底解説

給与計算の初心者が気を付けること

給与計算をする時に気を付けておく点はいくつかあります。

賃金支払い5原則を守ることはもちろんですが、その他にもチェックしておくポイントについて触れていくので、給与計算で失敗しないように注意しながら計算業務を進めていきましょう。

最低賃金ルールを確認する

給与の支払いを行う時には、地域別に決められている最低賃金のルールに則った形での支給をしなければいけません。

支給される給与が最低賃金を下回っていると、最低賃金違反に関しての罰則が発生するので気を付けましょう。

手入力のミスには十分に注意する

手動で給与計算業務をする上で、入力ミスや転記ミスなどの初歩的なミスは初心者がしてしまいがちなミスです。

雇用や労働環境が多様化していることもあって、勤怠情報や人事情報と照らし合わせなければならないためにかなり複雑になっています。

特に初心者の場合は慣れていない状態で業務をするので十分に注意しておきましょう。

手入力で給与計算をしている場合には、ダブルチェックの体制強化を進めるのが大切です。

給与計算に必要なダブルチェックのポイントとミスをなくす防止策とは?

給与計算のミスを防止するには?5つの原因と対策方法を徹底解説

ジンジャー給与を活用すれば給与計算ミスを減らせる

手入力で給与計算すると初心者はもちろん、慣れている人でもミスをしてしまうこともあるので、給与計算ツールの導入をおすすめします。

クラウド型給与計算ツールであるジンジャー給与は、人事情報・勤怠情報と連携して自動的に給与を算出してくれます。

人の手で作業するのと比べてミスが減るのはもちろん、作業時間を圧倒的に短縮できるのも魅力です。

ジンジャー給与であれば低コストでの導入が実現するので、ぜひ資料請求して検討してみてください。

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残業代の支払いに気を付ける

規程の労働時間を超えて働いた分は、時間外労働となるため残業代が支払われます。残業代の支払いは、法によって定められた割増賃金で支払う必要があるため、通常の基本給とは計算方法も違ってきます。

残業代の割増率は通常賃金の25%以上となっているだけでなく、深夜残業では50%、休日出勤は35%以上の割増率と決められているため、計算が複雑になります。

個人のプライバシーに気を付ける

従業員情報についても管理することになるため、給与計算をする際には個人のプライバシーを保護することにも気を付けなければいけません。

プライバシーの漏えいが起きないように決まった社員が給与計算を行うことにしている会社も少なくありません。

給与計算の初心者が抑える具体的な流れ

給与計算業務は手間と時間がかかるため、ミスも起きやすいです。

従業員の人数が多ければその分業務の量も増えるため、給与支払いに過不足が生じるというトラブルが発生することもあります。

そんなトラブルを防ぐため、給与計算の具体的な流れや計算方法について把握しておきましょう。

総支給額を計算

複雑な計算が多いように見える給与計算も、仕組みを理解すれば計算につまずくこともありません。給与計算の流れとして、最初に総支給額の計算を行いましょう。

総支給額は、規程の労働時間に則って支払われる基本給と、給与に含まれる各種手当の金額の総額です。総支給額の計算式は以下の通りです。

総支給額=基本給+各種手当-欠勤控除

各種手当は、役職手当や資格手当などの月ごとに金額が変動しない固定手当と、残業手当や通勤手当などの月によって金額が変わる変動手当の二種類があります。

変動手当の場合は、支払われる給与に割増賃金が発生するため、決められた割増率がどれくらいなのかを確認してから計算して手当の支給を行いましょう。

控除額の計算

次に控除額の計算ですが、控除には保険料や税金といった内訳があります。保険料にも雇用保険や社会保険料などがあるため、それぞれ計算方法が違ってきます。

税金の控除は住民税と所得税の計算を行ってから給与から差し引くようになるので、それぞれの計算式を把握しておきましょう。

給与明細に記載される項目とは?天引きされる税金や保険料を解説

保険料の計算

保険料の計算式は次の通りです。

社会保険料:各保険料=標準報酬月額×保険料率

雇用保険:雇用保険料=総支給額×保険料率

社会保険料の計算式に活用する標準報酬月額は、給与の月額を区切りの良いところで区分した金額です。入社したばかりの従業員では、最初の給与計算を行う際、まだ給与の支払いが行われていません。

そのため、被保険者の資格を取得した人の1か月間の報酬見込み額を計算することで、標準報酬月額となる金額を求めていきます。

また、標準報酬月額を定時決定で決めている会社は、毎年の4月から6月までの3か月間の賃金をベースとして、同年の9月に見直しを行うことがほとんどです。

所得税とは?給与計算における所得税の基本から計算方法まで

税金の控除額の計算

源泉徴収される住民税と所得税も、給与計算によって算出された後、総支給額から差し引かれます。

住民税は、通常は個人が納税するものですが、企業が従業員の代わりに納税を行うことで従業員は納税の手続きを省くことができます。所得税は課税対象額を使用して金額を算出していきます。

課税対象額=総支給額-非課税対象の諸手当-社会保険/雇用保険

所得控除と税金控除

税金を安くするための制度として、所得控除以外にも税額控除というものがあります。所得控除の場合は所得金額から一定額を差し引きますが、税額控除の仕組みは計算された最終的な税額から一定額を差し引きます。そのため、計算式としては次のものになります。

所得-所得控除=課税される所得税-税額控除=実際に納付する所得税

これらの計算式によって総支給額や控除額などを把握してから、従業員に支払われる手取りとなる支給額を計算しましょう。

手取り=総支給額-控除額

手取りとなる分が従業員に支給されるため、総支給額がそのまま給与になるわけではありません。控除額が差し引かれることで最終的な給与の金額を把握できます。

給与所得控除とは?基礎知識や給与計算方法をわかりやすく解説

欠勤控除とは?基礎知識から正しい計算方法・注意点を徹底解説

給与計算の初心者が業務効率化する方法

経理業務である給与計算を初心者が行うと、手間もかかってしまうためミスが多くなります。

そうしたミスを防ぎ、業務の効率化を図るには、エクセルシートや給与計算ソフトを活用しましょう。

クラウド型給与計算ツールを導入する

クラウド型の給与計算ツールを導入することで給与計算業務を楽に進めることができます。

給与計算システムは、複雑になった給与計算業務の負担を軽減させるだけでなく、法改正によって社会保険や税制改正へのスムーズな対応ができる点も大きなメリットです。

従業員によっては正社員や派遣社員、アルバイトなどの雇用形態があります。

雇用形態によってかわる給与規定にも対応して給与計算ができるので、人員の入れ替えがあっても、雇用形態や労働契約に合わせて従業員ごとのフォームをカスタマイズすることができます。

無料で使える給与計算ソフトおすすめ10選!機能や選び方も解説

【2022年最新】タイプ別おすすめ給与計算ソフト!選び方や性能を徹底比較!

おすすめのクラウド型給与計算ソフト:ジンジャー給与

クラウド型給与計算ソフトの導入を検討している人には、ジンジャー給与がおすすめです。

ジンジャー給与は給与計算業務フローを自動化できて、完全ペーパーレスが実現します。

勤怠情報や人事情報を連携することも可能なので、手動で面倒な入力をする必要もありません。

給与計算業務のリソースを削減でき、バックオフィス業務を効率化できるので社内全体の効率化を図れます。

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エクセルで効率化する

従業員の人数が多い程、給与計算は時間がかかります。給与支払いと同時に給与明細書の交付も行う必要があるので、給与計算は正確さと同時にその作成スピードも求められます。

毎月手作業で給与計算を行うのではなく、給与計算用のエクセルシートを作成し、給与計算の効率化を図りましょう。

給与計算用のエクセルシートをダウンロードすることで、最初からエクセルシートを自分で作成する手間を省くことができます。

給与計算をExcel(エクセル)で行う方法とは?メリットやテンプレートも紹介

初心者の給与計算はツールを使って効率化!

初心者でも給与計算を手間がかからないように進めるためには、計算のために把握しておく基礎知識や、給与計算の計算式を事前に確認しておくようにしましょう。

自力で給与計算を行うのは時間もかかるため、給与計算システムや給与計算用のエクセルシートなどを活用して給与計算を進めてみてください。

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ビズクロ編集部
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