休日出勤とは?給与計算方法・手当が発生するケースを解説

最終更新日時:2022/06/19

給与計算システム

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給与計算の中でも休日出勤に対する賃金について、計算方法や手当が発生するケース、発生しないケースなど詳しく解説しています。法定休日や法定外休日も、会社が就業規則に設定しているかどうかで休日出勤の給与計算も大きく変わってくるため、休日出勤について深い知識が必要です。休日出勤とは何か、また休日出勤や法定外労働に対する扱いや雇用形態の違いによる休日出勤手当の対応なども合わせて紹介しています。

そもそも休日出勤とは

仕事が忙しく休日出勤しないと間に合わない、納期が決められていて休日出勤しないと納品できないなど、休日に仕事をすることもあるでしょう。

そもそも休日出勤というのは、法律によって定められた休日に仕事をすることをさします。では、法令によって定められた休日というのはどういうことなのか、それは「労働基準法第35条」により定められているものです。これを「法定休日」といいます。

法定休日

  • 法定休日:週に1回、例外として4週間を通じて4回の休日を与えなければならない

週休二日制の企業であれば、月にすると8回の休日があります。法律によって定められている法定定休日は週に1回となるので、4回は法定定休日です。

この法定休日は会社で定める就業規則で設定できます。しかし法定休日については義務となっていません。

就業規則などに法定休日が定められていない場合は、法律に沿って考えてみるといいでしょう。就業規則などに法定休日が定められていない場合の行政解釈は、「1週間のうち最も後順に位置する休日」であり、「日曜日を初めとし土曜日を終わり」となります。

週休二日制で土日が休みの企業で、就業規則による法定休日の定めがない場合、土曜日を法定休日と考え、この日に就業したときには35%の割増賃金を適用した給与計算が必要です。

法定外休日

法律で定められた法定休日以外の企業が設定した休日のことが「法定外休日(所定休日)」です。法律では週に1回休日とすればいいところ、週休二日制が一般的になりつつあります。

法律では週に1回の休日でいいとしているのに、週休二日制とする企業が多いのは、労働基準法が関係してくるためです。

労働基準法では原則「1日8時間、1週間に40時間」を超える労働を禁じています。これが「法定労働時間」です。1日8時間働くと5日で週40時間を超えてしまいます。

1週は7日間あるため、残り2日を休日とする必要があり、週休二日制が定着したのです。しかし業務によって休みの日も労働しなければならない時もあり、法定休日に働く場合には「割増賃金」が発生します。

 

法定外休日に労働すれば法定労働時間を超えることになるため、その分は時間外労働として25%の割増賃金支払いが必要です。

  • 法定休日(法律の定める週1回の休日)に働いた場合:休日手当として割増賃金35%
  • 法定外休日(法定休日以外の休日)に働いた場合:休日手当は0% ただし法定労働時間を超えた時間外労働に25%の割増賃金

給与計算で休日出勤手当が発生するケース

給与計算において休日出勤手当の支給が必要となるケースを見てみましょう。

法定休日に出勤のケース

法定休日に出勤した場合、法定休日出勤の割増賃金率35%の支払いが必要です。

代休をとったケース

休日出勤以後、通常の労働日に休みを取得することを「代休」といいます。代休を取得した場合でも、休日出勤手当の対象です。

休みの日に出勤した分は、休日出勤にあたり35%の割増賃金の支払いが必要となるので、時間単価に対し0.35倍した割増賃金分のみ支払います。(代休の取得については法律による定めはありません。就業規則で取得期限や代休の取得申請などが決められていることもあるため必ず確認しましょう。)

給与計算で休日出勤手当が発生しないケース

給与計算で休日出勤手当が発生しないケースもあります。休日出勤手当が出ると思っていたのに後から出ないと知ったということがないように、こうしたケースについても理解を深めましょう。

法定外休日に出勤

法定外休日に出勤し働いたとしても、1週の労働時間数が40時間を超えていなければ割増手当の対象外です。月曜から金曜まで1日8時間労働した場合は、金曜日の時点で労働時間は40時間となります。

そのため、法定外休日の土曜日に働けば割増賃金対象です。しかし月曜から金曜まで1日5時間の勤務であれば金曜までの労働時間数は25時間です。

法定外休日の土曜日に8時間働いても40時間を超えないため、割増賃金対象外です。

管理職が行う休日出勤

労働基準法第41条において「管理監督者」は、労働時間や休憩、休日の基底適用除外とされています。つまり管理監督者が法定休日に出勤した場合でも、休日出勤手当や残業手当を支払う必要がないのです。

管理監督者については労働時間や休息、休日に関する規定の枠を超え活動せざるを得ない重要な職務内容を有することや、賃金等についてその地位にふさわしい待遇がなされているといった判断基準があります。

しかしこうした基準を満たさず名目だけの管理監督者となっている状態も多く、国は管理監督者の判断基準について本当にその立場にあるのか判断するための判断要素を定めています。

判断要素は経営者と一体の立場で業務している、出社・退社・勤務時間に厳格な制限がない、さらにそれにふさわしい待遇がなされているなどです。

こうした基準に当てはまる管理監督者の場合、法定休日に出勤しても休日出勤手当は発生しません。

休日出勤における給与計算で気を付けること

休日出勤した従業員に対しては、割増賃金の支払いが必要です。給与計算において割増賃金の計算を行いますが、その際に気を付けるべきポイントを解説します。

法定休日が定められていない場合

給与計算で休日出勤手当を計算する際、法定休日が定められていない場合の起算日は「日曜日」となります。土曜日・日曜日とも休日出勤したときには、「土曜日」が法定休日となるため、割増賃金35%の対象です。日曜日は労働基準法の1週40時間を超える就労となり、割増賃金25%の支払いが発生します。

気を付けたいのは、就業規則で法定休日が定められていない場合です。就業規則で法定休日が定められていない場合、週の起算日は日曜日で土曜日が法定休日となり、割増賃金35%の対象となります。

日曜日は1週40時間を超える労働となるため、割増賃金25%が対象です。給与計算をする際、単純に土日出勤しているから両日とも休日出勤にあたると考え計算すると間違いとなるので注意が必要です。

みなし残業と管理監督者に該当する場合

法定休日に休日出勤した場合、時間外労働の割増賃金対象とならない点も注意が必要です。例えば以下のような計算です。

例)月曜日から金曜日まで1日7時間働き法定休日の土曜日に8時間働いた場合

(時給換算すると1時間1,200円として)

月曜日から金曜日までの労働時間1時間×5日で35時間

土曜日に8時間働き 35時間+8時間=43時間

40時間を超えた3時間が時間外労働(法定労働時間を超過した場合の割増賃金25%)

1,200円×1.25=1,500円

1,500円×3時間=4,500円

4,500円が時間外手当加算となります。

休日出勤手当の給与計算方法

休日出勤に対しどのように給与計算すればいいのか、具体的な計算方法を理解しておく必要があります。

給与計算する側も給与をもらう側としても理解しておけば、正しい給与計算ができているか確認できるでしょう。

休日出勤手当は以下の計算式で求めることができます。

  • 休日出勤手当=基礎賃金×割増率×出勤時間数

基礎賃金を計算

休日出勤手当の計算の前に、計算の基礎となる「基礎賃金」を算出します。基礎賃金とは、従業員の1時間あたりの賃金です。

正社員の場合、月給で働く人も多いと思いますが、月給を1ヵ月あたりの所定労働時間で割ることで、1時間当たりの賃金を算出できます。

  • 基礎賃金=月給÷1ヵ月の所定労働時間

例)月給22万 1ヵ月の所定労働時間170時間の場合

22万÷170時間=1,294円

基礎賃金の計算において「月給」は、総支給額から一部手当を差し引いた金額です。

割増率をかける

基礎賃金を計算したら、所定の割増率をかけて計算します。休日出勤手当の割増率は0.35です。法定休日に仕事した時間に対し、1時間当たり1.35倍の賃金となります。

1時間当たりの基礎賃金が1,800円の人は、1,800円×1.35倍で休日出勤の1時間当たりの時給は2,430円です。

割増率をかけて計算する際に気を付けなければならないのが「法定外休日の休日出勤」やあらかじめ振替休日が決まっている休日出勤です。

この場合、1.35の割増率となりません。ただ労働時間がすでに週40時間を超えている場合には、時間外労働に対する割増賃金1.25の割増率による給与計算が必要です。

出勤した時間をかけて計算

基礎賃金に割増率をかけて休日出勤の1時間当たりの時給が計算できたら、それに休日出勤の合計時間数をかけることで、給与計算における休日出勤手当の計算ができます。

法定休日に休日出勤した場合の労働時間、これは残業時間となります。休日出勤で業務を始めた時間から終了の時間まで、すべての時間が残業時間です。

休日出勤で8時から労働を開始し、お昼休憩1時間を挟んで17時まで業務した場合、8時間の労働時間となり、この8時間は全て「残業時間」とみなされます。

給与計算では8時間について、割増賃金適用となるので間違いのないよう計算しましょう。

正社員以外の休日出勤手当の給与計算

正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイト、派遣社員など、どのような雇用形態であっても「休日出勤手当」による給与支払いが必要です。賃金の割増率に関しても35%に変わりありません。

注意が必要なのは「派遣社員」です。派遣社員を休日出勤させる場合、派遣元が36協定を締結し、労働基準監督署に36協定を提出しているかどうか確認が必要です。

派遣元が36協定を締結していないときには、派遣社員を使っている会社が派遣社員に対し休日出勤をしてもらうことはできません。

年俸制・裁量労働制・フレックス制の休日出勤手当の給与計算

最近はさまざまな雇用形態があり、年俸制や裁量労働制、フレックスタイム制など色々です。こうした年俸制・裁量労働制・フレックス制の場合、休日出勤手当の扱いはどうなるのでしょう。

  • 年俸制

年俸制の休日出勤手当計算年俸の中に休日出勤手当が含まれているかどうかで判断が変わります。例えば基本給のほか、年間残業時間○○○分を含むといった、残業時間を一定時間含んだ年俸制契約もあります。

これは「残業を予測」した年俸であり、「休日出勤」に対する割増を想定していないため、休日出勤分の割増料金の別途支給が必要です。

しかし基本給、年間予定残業分、さらに休日出勤の分がいくらと、休日出勤分も年俸に含まれている場合は、別途支給は必要ありません。

  • 裁量労働制

裁量労働制は基本的に平日労働日をみなし労働としています。裁量労働制とは、一定の条件を満たす労働者に対し、実際の労働時間に関係なくあらかじめ決めた労働時間分、働いたとみなす制度です。

休日出勤・深夜残業など想定していない制度なので、休日出勤については別途休日出勤手当の支払いが必要です。

  • フレックスタイム制

フレックスタイム制は一定の時間数を満たせば、社員が自分の都合で働く時間を自由に決めることができます。

フレックスタイム制では、平日の出退勤時間について個人で自由に設定できますが、休日の労働については想定外です。休日出勤に対しては別途休日出勤手当が必要です。

まとめ

休日出勤の給与計算も、会社の就業規則などによって休日出勤手当となるのか、時間外労働の対象となるのか、しっかり判断して計算しなければなりません。

割増率のほか、法定休日と法定外休日の違いなど、理解しなければならない複雑な点もありますので、給与計算を担当する前に知識をもっておきましょう。

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