給与明細に記載される項目とは?天引きされる税金や保険料を解説
給与明細とはそもそも何か、記載されている項目や発行する目的などを解説します。特にクラウド給与計算ソフトを導入し、Web明細を発行するとさまざまなメリットがあります。そこで、Web明細を利用する際のメリットについても詳しく紹介するので参考にしてください。
目次
給与明細とは?
給与明細とは、会社で働く人の給与の内訳を記載した明細のことで、従業員ごとに発行されます。
労働基準法では、給与明細の発行義務はありませんが、所得税法や健康保険法、労働保険の保険料の徴収に関する法律などで給与明細の発行が義務付けられています。
Web給与明細
紙の給与明細からWeb給与明細に移行する会社もあります。Web給与明細は電子データで保管されているため、給与明細の紛失もなく保管場所を気にする必要もありません。インターネットを利用するWeb明細については、後に紹介します。
給与明細に記載されている項目
給与明細には、給与の支給に関する項目と控除に関する項目が記載されています。また、総支給額から総控除額を引いた額が、従業員の口座に振り込まれる額となります。
給与明細に記載される項目は給与規程に記載してあり、不明な点があれば給与担当者に問い合わせてみるとよいでしょう。ここでは、給与明細に記載されている一般的な項目について説明します。
支給額
給与明細の支給額には会社が支給する本俸や残業代などが記載されています。
・基本給
月給者の給与のうち、基本となる給与です。基本給は、従業員の能力や勤務年数、年齢などに応じて決まります。なお、基本給をもとに退職金や賞与の金額を計算することが一般的です。
・残業代
従業員が残業をした際に支給される給与で、各従業員の時給を計算し割増率をかけて計算します。
控除額
控除額には、会社が天引きして会社におさめる項目や、社会保険料や雇用保険料、そして所得税や住民税など他の機関に納付する項目などが記載されています。それぞれの項目については後に紹介します。
差引支給額
先に説明した支給額の合計から控除額の合計を引くと、差引支給額を計算できます。差引支給額が従業員の口座に給料日に振り込まれる実際の手取り金額です。
その他手当など
基本給や残業代とは別に、従業員の状況に応じて支給されるその他手当があります。給与明細に記載される主な手当について、それぞれ紹介します。
なお、支給する項目の呼び名は会社ごとで異なり、ここで紹介する手当が会社によっては支給されないこともあります。
・通勤手当
会社に通勤するために必要な金額を通勤手当として支給します。通勤手当では、会社までの距離に応じた金額や定期の実費などを支給します。
・家族手当
従業員に配偶者や子などの扶養者がいる際に支給する手当です。
給与から天引きされる保険料
毎月の給与から天引きされる保険料があります。それらの保険料は法律に基づいて金額を決定し、天引きした保険料は国や地方公共団体に毎月会社から納付されます。
会社が保険料を納付するので、原則として従業員が自ら納付する必要はありません。ここでは、天引きされる保険料を4つにわけてご説明します。
健康保険料
健康保険法にもとづき、毎月の給与から控除されます。健康保険に加入すると健康保険証をうけとり、医療機関で受ける治療を2割〜3割の負担で支払うことができます。
健康保険料は、毎年4月〜6月の給与を平均し、その金額を標準報酬月額表にあてはめて1年分を決定します。その金額を会社と従業員で折半し納付しています。標準報酬月額表は都道府県で異なっているのが特徴です。
なお、年の途中で一定額の給与の変動があった場合は、健康保険料を改訂しなければなりません。
雇用保険料
雇用保険法に基づく保険で、失業保険ともいい、この保険料も社会保険料と同様に給与の支給額に応じて計算します。会社と従業員で負担する割合が決まっており、会社は1年に1度雇用保険料を精算します。
また、雇用保険は勤務年数により支給割合が変動し、勤務年数が長いほど支給額も多くなります。失業保険を受け取れる期間は、従業員の加入状況により、3ヵ月〜1年間となっています。
雇用保険料と似た名称として労災保険料がありますが、労災保険料は会社が全額負担し従業員の負担はありません。
厚生年金保険料
厚生年金保険法に基づき、健康保険料と同様に毎月の給与から控除されます。厚生年金は会社員が加入する年金保険で、自営業者の加入する国民年金に上乗せされ、65歳より給付を受けます。
厚生年金は、65歳より繰り上げか繰り下げて受け取ることもでき、受け取りの年齢は従業員が決めることになっています。
厚生年金保険料の額は健康保険料の決定方法と同じく、毎年4月〜6月に支給した給与を平均し、その金額を標準報酬月額表にあてはめて決定します。また、年の途中で給与が一定額変動したときは金額の見直しが必要です。
介護保険料
介護保険法に基づき、毎月の給与から介護保険料が控除されます。介護保険は、高齢者の介護を社会でささえあう仕組みとなっており、健康保険料の徴収の歳、給与に一定の割合をかけて徴収します。
この保険の加入対象は、40歳〜65歳で対象の年齢になると自動的に加入するのが特徴です。介護保険を利用するには、市町村窓口に申請し、要介護認定をうける必要があります。要介護認定の度合いに応じて、利用できる介護サービスは決定します。
給与から天引きされる税金
毎月の給与から2種類の税金が天引きされます。従業員は自営業者と異なり、会社が従業員から税金を徴収する必要があります。給与から天引きされる税金として住民税と所得税があり、所得や扶養者の数などにより税額は変動します。
住民税
従業員の住民票のある市区町村には住民税がかかるため給与で控除します。住民税は前年の所得に応じて金額が決定し、6月〜翌年5月までの1年間のそれぞれの金額を給与で控除します。
これを特別徴収といい、会社は毎月控除した住民税を翌月10日までに金融機関に支払います。会社を退職した際は、住民税の残額を従業員自身で支払わなければなりません。
所得税
給与の支給額が一定額を超えると所得税がかかります。毎月の所得税は概算で計算してあり、従業員の給与から控除することを源泉徴収といいます。源泉徴収した税額は概算のため、正確な所得税を計算する必要があります。
1月〜12月までの正確な所得税を計算し、過不足を精算することを年末調整といいます。年末調整は、毎年11月〜12月におこない、1年間の源泉徴収した所得税の総額が正確な所得税より不足する際は、給与より差額を徴収されます。
また、正確な所得税より源泉徴収額が多ければ、給与にて還付をうけます。
Web給与明細でペーパーレスを実現
従来の給与明細は紙で印刷されていました。インターネットが普及するにつれ、インターネットを利用して給与明細を発行するようになっています。この給与明細を、Web給与明細といいます。
Web給与明細を取得する際は、まず従業員あてのメールで給与明細を発行できる旨の連絡が届きます。メールには発行する際のURLが記載してあり、各自に割り当てられたIDとパスワードを入力すると給与明細発行画面にログインできます。
この画面から給与明細をダウンロードするか、必要に応じてプリンターで印刷します。
Web給与明細のメリット
Web明細は電子データのためコスト削減と給与担当者の事務軽減につながります。まずコスト削減では、給与明細の紙や専用プリンターを使用するため、その経費のコストを削減できます。
紙の給与明細は中が透けない加工がしてあり、口をとめるテープも必要なため、1枚あたりの金額も通常の印刷物に比べ割高です。また、給与明細を印刷するには業務用のドットプリンターを使います。
このプリンターも使用する必要がないため、コスト削減につながります。次に、給与担当者の事務軽減については、従業員全員の給与明細を印刷する業務がまるごとなくなるため、労働時間の短縮と過重労働の防止につながります。
そして、労働時間を短縮した分の人件費が削減できるメリットもあります。
クラウド給与計算ソフトを導入する
Web給与明細を出力するには、クラウド給与計算ソフトを導入する必要があります。クラウド給与計算ソフトはインターネットを利用しているため、Web明細の出力を可能にします。
クラウド給与計算ソフトを導入するとさまざまなメリットがあるので、次に紹介します。
クラウド給与計算システムを導入するメリット
クラウド給与計算ソフトを導入した際のメリットを、ここで紹介します。
給与計算の事務効率化
給与計算は毎月行わねばならず、社会保険や給与にかかわる税金の知識も必要です。手計算で給与計算を行うと間違いが発生しやすく、給与を間違えて支給すると従業員とのトラブルをまねきます。
クラウド給与計算ソフトを導入すると、手計算による間違いを防げるため、給与計算の事務効率化につながるメリットがあります。
給与担当者の事務負担軽減
クラウド給与計算ソフトによりWeb給与明細ができるため、その発行に要する事務負担を軽減できるのがメリットです。給与計算の事務負担を軽減できると、給与担当者はこれまでより精度の高い業務に取り組むことも可能です。
また、給与計算業務は他の社員から事務負担の大きさが分かりにくく、社内で事務負担の相談をできる人がいない場合もあります。給与計算の事務負担が少なくなれば、給与担当者の心身にかかる負担も少なくなります。
給与計算にかかわる人件費の削減
クラウド給与計算ソフトを導入するメリットとして、給与計算の事務効率化と給与担当者の事務負担軽減について先に紹介しました。これらのメリットにより、給与計算にかかわる人件費を削減できます。
給与計算は利益に直結しない間接部門のため、コストを減らす必要があります。特にWeb給与明細の利用により、給与担当者による給与明細を出力する必要がなくなれば、間接部門の人件費を削減できます。
まとめ
給与明細について、記載してある項目やその内容などをお伝えしました。給与計算は複雑なうえ、給与明細の印刷などに労力がかかります。クラウド給与計算ソフトを導入し、正確な給与計算やWeb給与明細を利用するとコスト削減や事務効率化につながります。
クラウド給与計算ソフトにはいろいろな種類がありますが、自社の予算や用途に合わせて選び導入することをおすすめします。
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