通勤手当とは?給与計算方法や非課税の限度額について解説

2022/5/12 2022/05/12

給与計算システム

通勤手当とは

通勤手当は給与の一部として、福利厚生や人材確保の観点から支給する企業も多くあります。実際の算出作業では、通勤手当の計算方法が公平性を保ちながら有効であることが重要です。他社との差別化や企業業績の変動を考慮した場合、非課税の限度額や福利厚生費を上手に活用して、独自の方針を適用することも可能です。企業として、給与計算の事務作業の軽減と間違えやすい仕訳処理を事前に防ぐことも重要です。従業員それぞれを大切にしたい気持ちが届く方法を考えましょう。

通勤手当とは

通勤手当とは、企業が従業員の通勤費用を補助するために支給する手当です。定期券などの現物または現金のどちらかの方法でおこない、給与といっしょに支給します。定期券での支給は電車やバスに対しておこない、車などの利用者へは距離に応じた現金が基本です。費用がほとんどかからない徒歩や自転車で通う従業員に対しても対象とします。

企業によって、通勤手当への対応はまちまちです。全額支給する企業もあれば、一部の支給にとどめる、または支給しない企業も存在します。法律によるきまりがないためですが、通勤手段にかかわらず勤務した日数に応じて支給する通勤手当は、従業員の士気を高めるために有効です。交通手段の違いによる差額はあってもすべての従業員に支給することで、不満を和らげる効果も期待できます。

ただし、通勤手当を受給することで従業員の税負担が増えると逆効果になるため、非課税の限度額内にするのが一般的です。

通勤手当と交通費の給与計算の違いは

通勤手当は通勤の費用補助として給与の一部であるのに対し、交通費は企業活動に伴う費用である点が違いです。交通費には、営業などのために相手企業への訪問にかかる旅費、ガソリン代や高速料金などの他、宿泊費や日当も入ります。

企業では、出張旅費や旅費交通費として仕訳処理する会計科目です。交通費の場合、従業員が立て替えて活動内容に添えて報告し給与の際に返金する、その都度精算するなど支給方法は企業により異なります。

近年、ガソリン代や高速料金は法人クレジット決済を導入し、立て替えを減らす方法も増加傾向です。また、全額支給する他、宿泊費は金額の上限を定めた経費削減方針も定着しています。交通費は給与に合算して支払っても、従業員の税負担は変わりません。所得が増えるのではなく、あくまでも立て替えに対する支払いだからです。

従業員に対して通勤手当と交通費のそれぞれの意味を説明するなど、理解を深める努力も怠らないようにしましょう。

給与計算における通勤手当の支払い義務は

通勤手当は企業から全従業員への支給が定着していますが、法律による支払い義務はありません。本来企業が従業員に支払う手当は、労働基準法に基づくものです。この法律では、休日労働と深夜労働の割り増し手当や時間外手当は、支払わなければならない手当として規定しています。

しかし、通勤にかかる費用は従業員が負担すべきものなので、通勤手当を支払わなくても問題はありません。事実、支給しない企業も多数存在します。企業に各種手当の支給義務が生じるのは、就業規則および給与規定に支給を定めた場合です。

支給額も全額や一部、日割り、上限額の設定など企業の規程に準じるなど定めた方針に基づきます。支給額は任意で決定できますが、受給額が多くなると所得税増加により手取りが減ってしまいます。

企業として、有能な人材の確保と働きやすい企業イメージの醸成、費用負担の軽減など複数の観点から支給額を決定しましょう。加えて、同業他社の動向や地域の相場を反映させ、総合的に判断を下します。

通勤手当の給与計算方法

通勤手当は、就業規則および給与規定などに基づき計算します。算出に欠かせない項目は、支給の対象者とその交通手段、支給金額の算出方法、通勤手当の申請や支給方法です。就業規則には、先ほどの必須事項の他に手当の上限額及び支給する方法を記載します。上限額を明確にして、企業の過度の負担を避けることが重要です。

また、通勤手当の変更や廃止にするときの手続きも決めておきます。導入するときも変更や廃止する際も、事前に従業員の同意を得ることがポイントです。一方的に決めず、従業員へ内容を周知して承認を得てから導入する流れを大切にしましょう。

今回は、計算方法を通勤手段別に紹介します。通勤手当の導入にお役立てください。決して例外を作らないように注意しましょう。そして支給開始後は、企業の経営状況にかかわらず支払い義務が生じます。変更や廃止も可能とはいえ、覚悟を持った対応が必要です。

電車・バスにおける通勤手当の給与計算方法

電車やバスなどの公共交通機関を利用した通勤手当は、通勤定期券を基に算出する方法が一般的です。従業員から最寄り駅と利用する路線を聞き取りますが、企業の担当者は乗り換え検索アプリなどを活用して確認しましょう。

運賃相当額の支給に際し、1カ月・3カ月・6カ月の中から、基本として使う種類を決めておきます。期間の長い定期券にすると割引額が増えるので避けるほうが無難です。この他、回数券を利用する場合は、回数券の1冊分の金額を枚数で除して1枚当たりの金額を算出し、1カ月に使う枚数を乗じて決定しましょう。

出勤した日数で算出する場合は、片道の運賃を2倍にして1日分として出勤日数を乗じた計算方法です。昨今は交通系ICカードを利用する従業員も増えています。しかし、買い物利用に応じて電車の運賃を割り引くタイプもあるため、使用するカードを限定するなどの対策が必要です。

企業独自の方針を適用する場合は、就業規則に必ず記載します。実際の金額にこだわらない作業にすると、従業員の入退社や運賃の値上げなどの際に事務方の負担軽減に有効です。

車における通勤手当の給与計算方法

車を利用する対象者は、自動車の他、バイクなどです。ガソリン代に相当する金額を支給しますが、距離に応じた金額にします。自己申告による距離計算になるため、企業担当者はその距離が適当であるのか判断できません。

そこで、社会通念に即した常識的な経路の申告を促す方法で対応します。就業規則には、通勤距離の計測方法とガソリン代の計算方法も記載しましょう。直線距離やインターネット上のマップを利用した経路検索などを併用し、公平で事務負担の少ない方法を選択します。

通勤手当は、ガソリン単価に平均的な燃費を乗じたガソリン代に、往復の通勤距離と1カ月当たりの勤務日数を乗じた計算です。ガソリン単価は、毎週資源エネルギー庁が公表する給油所小売価格調査を参考にします。

国税庁の「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」も活用し、公共交通機関の利用者と違いが生じないように心掛けましょう。就業規則にはガソリン代に限定するとともに、高速料金への対応は別途の記載がポイントです。

自転車や徒歩における通勤手当の給与計算方法

自転車や徒歩通勤は、通勤にかかる費用の算出が困難です。さらに、徒歩通勤者への通勤手当は、非課税の限度額もないため、支給の対象外にする企業もあります。

しかし、従業員への公平性を重視し、福利厚生を充実させたい場合は、「近距離手当」または「近隣手当」と称した支給も可能です。特に自社の従業員に近隣在住が多く、徒歩や自転車通勤が中心の場合は、支給する方向で検討しましょう。

自転車通勤は、片道が2km以上を手当の対象にするなど、独自の決まりを就業規則に盛り込みます。その上で、2km以上10km未満には、課税の対象にならない支給額が妥当です。車通勤との差異に留意することや自己申告した距離の検証に公平性を保つなど、同じ決まりを適用しましょう。

通勤手当の支給によって不利益が生じないことと通勤手段の違いによる従業員間のわだかまりの排除がポイントです。就業規則が明快な根拠になるよう、策定する際はさまざまパターンを想定し多角的に検証しましょう。

タクシーにおける通勤手当の給与計算方法

タクシーは通常、通勤に利用しません。通勤に利用するのは、夜間や早朝の出勤、交代制勤務など、基本的に公共交通機関の運行時間外です。自転車や車などでの通勤が不可能であることやタクシー利用が合理的である場合に適用する旨を就業規則に明記しましょう。

計算する際は、すでに自己申告した距離を使って計算します。非課税枠の15万円を考慮することも大切になるため、企業独自の指針を策定して運用する方法も検討しましょう。混同しやすいのが、業務でのタクシー利用です。

取引先の送迎や接待での利用は接待交際費、特別な業務や出張先での利用は旅費交通費になります。タクシーの利用目的を明確にすることや、他の交通手段がなく利用が合理的である場合の限定措置である点を従業員に徹底するとともに、仕訳ミスを防ぎましょう。

給与計算時に必要な通勤手当の非課税限度額

給与計算に合算する通勤手当は、2016年の税制改正で非課税限度額が10万円から15万円にアップしました。注意したいのは区分を正しく当てはめることです。

車や自転車利用の対象者は、片道の通勤距離によって非課税の限度額が異なりますし、2km未満に非課税枠はありません。また、2km以上は55km以上までが7つの区分です。その上、高速道路などの有料道路の利用と公共交通機関を併用する場合、公共交通機関だけを利用する場合は15万円が限度額になります。

非課税限度額を超過すると、所得税の源泉徴収をしなければなりません。翌年の住民税などへの影響も生じるため、就業規則で上限額を設定することもやむを得ません。就業規則の策定時及び採用時は、ていねいに説明して従業員に理解を求めます。

まとめ

企業では、給与計算における通勤手当を支給する法律上の義務は存在しません。しかし、福利厚生の観点から支給するのが一般的です。多くは国税庁の指針により、利用する交通手段と片道の距離に基づき算出します。その際は、常識的なルートでの申告を従業員に促しましょう。

また、通勤手当の非課税の限度額を目安に、多く支給して手取りが減ることのないように配慮します。運賃などから算出した通勤手当が企業の重荷になる場合は、独自の方針を策定し就業規則とする方法も可能です。企業と従業員の双方が納得する通勤手当の支給を目指しましょう。

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