人事評価コメントの書き方と例文|職種・評価項目別に解説

最終更新日時:2024/04/26

人事評価システム

人事評価コメントの書き方

被評価者のやる気やモチベーションに影響を与える、「人事評価コメント」。上司と部下の信頼関係の構築にもなる人事評価コメントですが、具体的にどのようなコメントをすればよいのでしょうか。本記事では、職種別・評価項目別の人事評価コメントの書き方と例文を紹介します。

人事評価コメントの重要性

人事評価コメントは従業員の評価・評価制度への納得感やモチベーション、組織や仕事へのモチベーションなどの面で、評価される部下に大きな影響を与えます。また、適切なコメントを書くことで、上司・部下間の信頼関係も築けるでしょう。

コメントの書き方によって、従業員の次の目標に対する姿勢は大きく変わります。したがって、適切な人事評価コメントを書くことが重要です。

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【職種別】人事評価コメントの書き方と例文

職種によって書くべき人事評価コメントは異なります。では、それぞれどのように書けばよいのでしょうか。ここでは、具体的な人事評価コメントの書き方と例文を職種別に紹介します。

営業職

営業職は成果が数字に表れやすい職種なので、目標の達成度は具体的な数値を用いて記載しましょう。また、部下は目標に対する達成度を基に今後の課題や自己分析なども書くことが大切です。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

今期は新規契約を10件獲得し、個人の営業目標に対して120%の成果を上げた。リード顧客に対して、定期的にコミュニケーションをとったことが受注につながったと感じている。しかし、既存顧客の継続受注に至らなかった案件が1件ある。来期は、新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客へのフォローアップにも重点的に取り組みたい。

上司(評価者)評価コメント例

個人の営業目標に対して120%の成果を上げ、営業部全体の目標達成に大きく貢献した。今期発揮された顧客とのコミュニケーション能力を生かし、来期は売上単価アップを目指して取り組んでもらいたい。

事務職

事務職は、具体的な成果が見えにくい職種です。業務内容にもほぼ変化がないため、目標や達成基準が不明瞭になりやすいでしょう。したがって、どのくらい業務を効率化できるか、ミスを減らせるかといった部分に数値目標を立てると評価しやすくなります。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

これまで手入力で作成していたエクセル書類のマクロを組み、入力作業にかかる時間を2割削減することに成功した。さらに、データの転記によるミスも減り、修正作業がほぼ発生しなくなった。来期以降も効率化できる作業を見つけ、改善していきたい。

上司(評価者)評価コメント例

本人の持つマクロに関するスキルを生かし、部署全体の業務効率化に貢献している。他部署からもマクロに関する勉強会を開いてほしいという声が届いており、来期は組織全体への貢献を期待したい。

企画・マーケティング職

企画・マーケティング職は、担当する製品・プロジェクトにおける数値での成果や具体的な取り組みについて記載しましょう。成果を数値で書くのが難しい場合は、プロジェクト内で担当した業務や尽力した内容について詳しく言及します。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

新製品である製品Aの販促プロジェクトに関わった。これまでのメインターゲットとは異なる20代向けの製品のため、SNSを中心としたプロモーションを行い、初月売上目標に対して150%の成果を上げた。引き続き本製品のプロジェクトに参加し、さらなる売上アップに努めたい。

上司(評価者)評価コメント例

製品Aの販促プロジェクトでは、従来の広告を中心としたプロモーションではなくSNSでのプロモーションにシフトし、初月売上目標に対して150%の成果に導いた。公式アカウントでの投稿はSNSでも話題となり、発売前からXのフォロワーを5万人獲得するといった成果も上げている。今後も、本人のスキル・ノウハウを生かし、さらなる売上アップを期待したい。

エンジニア職

エンジニア職は、企業の課題に対してどのような技術貢献ができたかが評価のポイントとなります。定量化して評価しやすい項目としにくい項目があるため、作業の効率化・質の向上・コスト削減といった評価基準をあらかじめ設けておきましょう。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

業務効率化を図るため、社内チャットツールの機能拡張を行った。具体的には、勤怠管理システムと連携し、チャットツール上で勤怠の登録をできるようにした。その結果、社員の勤怠の入力漏れが20%減少し、月末の勤怠締め業務がスムーズに進められるようになった。来期も、業務効率化を目指して社内インフラを整えていきたい。

上司(評価者)評価コメント例

社内ツールの機能拡張など、社内インフラの整備に尽力している。勤怠入力作業を手軽にし、入力漏れを20%減少させるといった成果も上げている。本人の持つスキル・ノウハウは部署内でも随一のものがあるので、来期は後進の育成にも尽力してもらいたい。

管理職

管理職は、自身が受け持つ部署や店舗での成果と貢献度で評価されます。業績やあらかじめ設定した目標に対する達成度などを具体的な数値を用いて記載しましょう。また、部下の育成も管理職の業務に含まれます。部下の成長のために取り組んだことも併せて書くことが必要です。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

全体の売上目標に対しては90%の着地であったが、新規契約数は昨年比130%を達成した。来期は契約数だけではなく取引単価にも気を配り、売上目標も達成したい。また、部署内での営業ロープレ会を企画し、全体の営業能力の向上に努めた。

上司(評価者)評価コメント例

新規契約数の昨年比130%を達成したことは評価に値する。しかし、売上目標の達成度は90%と未達であり、来期は売上アップに尽力してもらいたい。また、営業ロープレ会を企画・実施するなど、後進の育成にも貢献していた。入社3年以内の若手社員の営業成約率が例年と比べて20%高いのも、本人の施策の成果といえるだろう。

製造業

製造業は、設計・生産・検査といった一連の作業工程が体系化されており、部下の属する工程に応じた評価ができます。生産性の向上やミスの減少など、数値で表せる成果は具体的に記載することが大切です。また、将来的に獲得してほしいスキルや能力がある場合は、併せて書いておきましょう。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

チームで問題となっていた組み立てスキルのバラつきに対し、マニュアルを作成して作業内容の均一化を図った。その結果、前年度よりも生産性が10%アップし、ミスをなくすことにも成功した。来期はさらなる業務効率化を目指して、改善点の洗い出しから始めたい。

上司(評価者)評価コメント例

マニュアル作成により、従業員の作業スキルのバラつきを均一化できただけではなく、新入社員の教育にも活用できた。積極的に若手社員の指導にあたっており、チーム全体の作業の効率化に大きく貢献していた。来期もチーム全体でコミュニケーションをとって、さらなる業務効率化に努めてもらいたい。

公務員

同じ公務員の中でも、業務内容によって書き方は異なります。成果として定量的な数値がある場合は数値を記載し、数値化しにくい場合は業務の効率化・ミスの減少・コスト削減といった貢献できたポイントについて記載しましょう。

また、公務員は「能力評価」と「業績評価」を用いて評価を行います。評価者は、設定された目標の達成度や実際に生かせた能力を確認したうえで書くことが必要です。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

法改正に伴う書類の仕様変更による記入ミスを防ぐため、チェックリストを作成した。さらに、提出された書類はダブルチェックを行い、事務処理後のミス発覚を0件に抑えた。ただし、チェック業務に業務時間の多くを費やす結果となってしまったため、来期は業務の効率化も図りたい。

上司(評価者)評価コメント例

業務内容が大きく変化した今期であったが、素早く対応していた。チェックリストの作成を率先して行うなど、部署全体の業務精度の向上にも努めた。来期も、今期発揮したリーダーシップを生かして業務効率化に励んでもらいたい。

看護師

看護師は、数値で定量化した評価をするのが難しい職種です。診察補助や入院患者に対する接し方などの日々の業務に対する取り組みについて記載しましょう。また、不測の事態が発生した際にどのような対応ができたかも評価の対象となります。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

患者とその家族と積極的にコミュニケーションをとり、抱えている不安や疑問を聞き出すように努めた。コミュニケーションをとる中で得た情報は他の看護師にも共有し、患者が安心して治療を受けられる環境を築くようにした。日々の業務をより効率化させ、周囲とコミュニケーションをとる時間をもっと確保したい。

上司(評価者)評価コメント例

常日頃から患者とその家族に寄り添う姿勢はよく見ている。患者からの信頼も厚く、「〇〇さんが担当でよかった」との声を何度も聞いている。緊急時もリーダーシップを発揮し、冷静に周囲に指示を出していた。今後も周囲とのコミュニケーションを大切にしながら、患者の満足度の高い看護業務にあたってほしい。

保育士

保育士も、数値で定量化した評価をするのが難しい職種です。子どもが安全で健康に過ごせる環境を作るために何をしたか、保護者にどのような対応を行ったかが評価のポイントになります。また、事故が起こりそうな場面や課題について、どのような改善策を講じたのかも記載しましょう。

部下(被評価者)の自己評価コメント例

子どもたちが安全に過ごせる環境にするため、遊具や教材の点検を徹底した。破損のあるおもちゃを早めに取り除いたり、危険な遊具の配置を見直したりすることで、事故や怪我の防止に努めた。また、子どもたちとのコミュニケーションも積極的に行い、些細な変化も見逃さないようにした。

上司(評価者)評価コメント例

子どもたちと積極的にコミュニケーションをとっており、子どもたちからの人気も高い。他の先生と協力して遊具や教材の点検も毎日行い、安全な園内環境の整備に努めている。来期も引き続き、意欲的に業務に取り組んでもらいたい。

【評価項目別】人事評価コメントの書き方と例文

人事評価の対象となる項目は「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つです。ここでは、人事評価コメントの書き方と例文を評価項目別に記載します。

業績評価の人事評価コメント例

業績評価とは、従業員の業績や成果に対する定量的な評価です。人事評価コメントでは、評価の根拠となる数字を明確にし、具体的に記載しましょう。

よいコメント例

今期の売上成績は個人の売上目標に対し、110%の成果を達成した。さらに、新規契約件数も10件と営業部トップの成績である。既存顧客のフォローアップも十分に行っており、5件すべての案件で継続受注に至っている。今後も優れた営業能力を生かしてチームの業績アップに貢献してほしい。

悪いコメント例

今期の売上成績は高い成果を出した。新規契約件数も営業部トップの成績である。既存顧客のフォローアップも十分に行っており、すべての案件で継続受注に至っている。今後も優れた営業能力を生かしてチームの業績アップに貢献してほしい。

能力評価の人事評価コメント例

能力評価は、従業員の持つスキルやノウハウなどの能力に対する評価です。具体的には、企画力・実行力・提案力など、業務においてどのような能力が発揮されたかを評価します。

能力評価は数値で定量化しにくい項目なので、あらかじめ目標を設定し、基準を明確化することが大切です。評価コメントでは、具体的な数値を用いて発揮された能力やそれに伴う成果を記載しましょう。

よいコメント例

成約には至らなかったものの合計50件のテレアポを行い、 新規顧客の開拓に努めた。 持ち前のコミュニケーション能力を生かし、テレアポから3件対面での商談に持ち込むことに成功した。諦めずにアプローチし続ける粘り強さを生かして、来期は受注件数を増やしてほしい。

悪いコメント例

成約には至らなかったものの、テレアポで新規顧客の開拓に努めた。持ち前のコミュニケーション能力を生かし、商談の場に持ち込んだ案件もあった。諦めずにアプローチし続ける粘り強さを生かして、来期は受注件数を増やしてほしい。

情意評価の人事評価コメント例

情意評価は、業務に取り組む姿勢や勤務態度に対する評価です。情意評価も数値で定量化して評価するのが難しい項目なので、上司は日頃から部下の勤務態度をチェックしておく必要があります。

また、評価者の主観が反映されやすいという注意点を念頭に置き、チームの他のメンバーからの評価も聞いておくなど、公平で多角的に評価するように心がけましょう。

よいコメント例

勤務態度はよく、業務に積極的に取り組んでいる。社内の任意研修にも参加し、自身のスキルアップに努めていた。日々の業務において他のメンバーのフォローも行っており、メンバーから感謝の声が届いている。

悪いコメント例

勤務態度に問題はないが、業務に対してやや消極的に見える。会議での発言も少ないため、もっとチームへの貢献意識を持って業務にあたってもらいたい。

人事評価コメントを書く際のポイント

実際に人事評価コメントを書くうえでのポイントや注意点は、どのようなものがあるのでしょうか。最後に、人事評価コメントを書く際のポイントについて解説します。

具体例をあげて簡潔にコメントする

上司・部下ともに、人事評価コメントを書く際は具体例をあげて簡潔にまとめることを心がけましょう。その評価に至った理由となる具体的な出来事や場面を記載することで、双方の理解度・納得度を高められます。

また、コメントは簡潔にまとめることも重要です。コメントが長くなりすぎてしまうと、どこを伝えたいのかが不明瞭になり、正しく伝わらない恐れがあります。具体的によかった点や課題・取り組みなどについて、プロセスをふまえつつ簡潔にまとめるようにしましょう。

人事評価で自己評価は必要?書き方や例文・自己評価が高い人と低い人の特徴

よい点・改善点を両方書く

人事評価コメントでは、よい点と改善点を両方書くことが大切です。上司がよい点のみしか記載しない場合、部下が自身の課題に向き合う機会を逃してしまいます。反対に、部下がよい点のみしか記載しない場合、改善点はないと自己評価しているように上司に受け取られてしまうので注意しましょう。

また、上司が改善点のみしか記載しないと、部下の自信やモチベーションの低下を招いてしまう恐れがあります。したがって、人事評価コメントを記載する際は偏りが出ないよう、よい点・改善点の両方を書くことが必要です。

否定的・高圧的なコメントはしない

人事評価コメントをする際、上司は否定的・高圧的なコメントはしないようにしましょう。否定的・高圧的なコメントは上司と部下の信頼関係の崩壊につながります。また、人事評価はあくまでも部下の業務に対して行うものであるので、人格には言及しないよう心がけることが大切です。

特に、部下の仕事に対する意欲・姿勢・勤務態度などを評価する情意評価の際は注意しましょう。定量化しにくい項目のため主観が入りやすく、人格否定に陥ってしまうことも考えられます。

社歴・経験などを考慮してコメントする

同じ部下であっても、社歴・役職・経験・年齢・性格などによって、選ぶべき言葉は異なります。したがって、人事評価コメントは、社員の特性を考慮して書くことが大切です。

正しい内容でも敬意に欠いた書き方をしてしまうと相手が不快に感じてしまい、納得してもらえません。部下の理解度・納得度を高めるためにも、相手に合わせて適切なコメントをするよう心がけましょう。

人事評価における目標設定とは?職種別の例文や重要性を解説

他者と比較しない

人事評価コメントを書く際は、他者と比較しないようにしましょう。優秀な社員と比較したコメントは被評価者の否定につながり、部下の自信喪失やモチベーションの低下を招いてしまう恐れがあります。

したがって、人事評価コメントで他者と比較する内容は避けることが大切です。

ポジティブなコメントを意識する

人事評価コメントを書く際は、今後の意気込みや考えなどを盛り込み、読後感がポジティブになるように意識しましょう。部下が書く際は、できなかったことだけではなく、次に向けてどのように改善するのかもコメントすることが大切です。

また、上司が書く際も改善点のみを記載するだけでは、部下が次に向けてどのようなアクションを取ればよいのか分からず、モチベーションの低下を招く恐れがあります。今後の行動につながるようなポジティブフィードバックを意識しましょう。

人事評価コメントを適切にし被評価者の成長につなげよう

人事評価コメントは、上司と部下の信頼関係を構築する重要なコミュニケーションです。また、被評価者のやる気やモチベーションにも影響を与えます。今回紹介した例文を参考に、適切な人事評価コメントで部下の成長を促しましょう。

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