人事評価制度とは?目的や導入方法・メリットとデメリットを解説

最終更新日時:2024/03/26

人事評価システム

人事評価制度

従業員の成長や企業の成長につながる「人事評価制度」。先行き不透明な時代、企業を安定的に成長させるためには企業の現状に合った人事評価制度の構築が必要です。本記事では、人事評価制度とは何か、人事評価制度の目的や導入方法、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

この記事の要約

・人事評価制度とは、従業員の業績を定性的・定量的に評価し、給与や昇進などの処遇を定めることで、正しく運用することで従業員と企業の双方の関係性の構築につながる
・人事評価制度には、主に情意評価、能力評価、業績評価の3つの基準がある

人事評価制度とは?

人事評価制度とは、従業員の業績を定量的・定性的に評価し、その結果に基づいて給与や昇進などの処遇を決定するためのしくみです。

正しく運用されることで、従業員は自分の貢献度を理解した上でモチベーションを維持することができ、企業は人材の適切な評価と育成が可能になります。

このように人事評価制度は、従業員と企業双方にとって重要な役割を担っています。

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人事評価制度が担う3つの機能

人事評価制度の重要な機能は、以下の3つに分けられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

人事評価制度の機能概要
等級制度企業が従業員に求める能力や役割を分類・階層化し等級を定める機能
評価制度基準を元に従業員の職能や成果を評価する機能
報酬制度評価の結果を元に報酬を決める機能

等級制度

等級制度は、従業員の持つ能力、職務遂行の責任、および役割を基にして、職位を体系的に分類し階層化する制度です。制度があることにより、従業員は自己のキャリアパスを明確に理解し、目標設定に役立てることができます。

等級制度には、以下の3つの主要なタイプがあり、それぞれが異なる評価の焦点を持っています。

概要
職能資格制度スキルや知識を基準に評価
職務等級制度職務内容の難易度や責任の大きさを評価
役割等級制度組織内での役割や貢献度を評価

評価制度

評価制度では、企業の目標や行動指標に基づき、従業員の業務遂行能力、成果、および企業への貢献度を評価します。

評価の目的は、従業員が自己の業務に対する理解を深め、目標達成に向けた動機づけを高めることです。評価結果は、個人の成長計画や研修プログラムの策定にも活用され、従業員のスキルアップとキャリア発展を支援します。

報酬制度

報酬制度には、評価制度を通じて得られた結果に基づいて、従業員に対する金銭的・非金銭的な報酬を決定する機能があります。

主な役割は、公正かつ透明な基準に基づき、従業員の成果や貢献度に応じた適切な報酬を保証することです。報酬制度により、従業員は自身の努力や貢献が正当に評価され、適正に報酬を得られることを期待できるようになります。結果として、パフォーマンスやモチベーションの向上が見込めるようになるのです。

人事評価制度の目的とは

人事評価制度は、適切に運用すれば従業員と企業の双方にメリットをもたらします。そのためには、目的を明確にすることが重要です。人事評価制度の目的とは何かを見ていきましょう。

マネジメントの効率化

人事評価制度を導入することで、マネジメントの効率化が図られます。個々の従業員に対して明確な目標を設定し、その進捗や達成度、目標達成に向けての行動を評価することが可能です。そのため、成果や課題を互いに把握しやすくなり、結果的に人材管理がより円滑になります。

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企業理念・ビジョンの浸透

人事評価のプロセスである評価項目の設定や評価過程でのコミュニケーションを通じて、企業理念やビジョンの浸透を促すことができます。

企業の価値観や目指すべき方向性を従業員に深く理解してもらうことで、従業員が自らの業務に企業理念を反映させようとする行動を促し、組織全体として一致した価値観を共有することにつながります。

人材配置の最適化

評価過程でコミュニケーションが活発になることで、個々の従業員のスキルやキャリアプランが明らかになり、これに基づいた最適な人材配置が実現します。

従業員の能力や適性、職業的志向が可視化され、これを根拠とした配置や育成ができるのです。その結果、従業員は自身の能力を最大限に活かせるポジションで働くことができ、企業も適材適所の実現による効率的な組織運営が可能となります。

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人材育成の促進

個々の成果や成長ポテンシャルに基づいた具体的な育成計画の立案は、従業員のスキルアップやキャリア発展を促進するでしょう。

また、評価結果をフィードバックすることで、従業員は自己の強みや改善すべき点を認識し、自己成長への動機づけが強化されます。このようにして、人事評価制度は従業員一人ひとりの能力開発をサポートし、組織全体の競争力強化に貢献するのです。

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人事評価の基準となる要素

人事評価制度では、従業員の成果と貢献に対して公平な評価を行うために、複数の基準が設定されます。

一般的な評価基準として活用される、業績・能力・情意の3つの基準について、詳しく見ていきましょう。

業績評価

業績評価は、従業員が一定期間内に企業や部門の目標達成にどれだけ貢献したかを測る方法です。

業績評価は、数値化された具体的な成果や目標に対する達成度を基準にして行われ、個人またはチーム単位での成果を公正に反映します。業績評価は、従業員の評価期間における実績に対する客観的な振り返りとして活用され、企業は報酬や昇進などの人事処遇を決定する重要な根拠とされます。

能力評価

能力評価は、従業員が持つ職務遂行に必要な知識、スキル、経験などを評価する方法です。

この評価は、従業員が現在のポジションで求められる能力をどの程度有しているか、また将来的な成長ポテンシャルを含めて判断されます。従業員のキャリア開発や教育訓練のニーズを特定し、個人の成長と組織のニーズの双方を満たすことが目的です。

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情意評価

情意評価は、従業員の勤務態度、チームワーク、リーダーシップ、職場での行動など、仕事に対する姿勢や意欲を評価する方法です。

情意評価は、単に業務の成果だけでなく、その成果を達成する過程での行動や態度も重視するのが特徴です。情意評価を通じて、ポジティブな職場環境の促進や、従業員のモチベーションとエンゲージメントの向上を目指します。

人事評価制度のメリット

人事評価制度の導入には、企業にとって多面的なメリットがあります。組織全体の生産性向上を促し、持続可能な成長を支える基盤となる人事評価制度。そのメリットについて解説します。

企業理念や経営方針が浸透する

人事評価制度を通じて、企業は目標設定においてだけでなく、評価項目に企業理念や経営方針の理解と実践を促す内容を盛り込むことが可能です。

従業員が個々の目標を達成し、そのプロセスで企業理念を深く理解することは、組織のビジョンを共有すると同時に個人の成長を促進する結果を生み出します。この相乗効果により、組織全体が一丸となって目標に向かう文化が醸成されるでしょう。

モチベーションが向上する

公平かつ透明な人事評価制度は、従業員の満足度とエンゲージメントを高める重要な要素です。適切な評価と認識が給与や待遇の不満を解消し、従業員が自身の貢献が正当に評価されていると感じることで、自然とモチベーションが向上するでしょう。

評価への納得感は、成長への意欲として業務の効率性や生産性の向上に直接的につながり、結果として企業の成長と競争力の強化を支えます。

社内コミュニケーションが活性化する

人事評価制度の運用は、目標設定や評価のフィードバックを通じて、上司と部下間の対話を促進します。

評価面談は、期待の明確化、フィードバックの提供、そして個人のキャリア開発計画の共有など、双方向のコミュニケーションを深める機会となるでしょう。結果として、社内コミュニケーションが活性化し、組織内の信頼関係の構築やチームワークの強化につながります。

人事評価制度のデメリット

人事評価制度には多くのメリットがありますが、運用には注意も必要です。制度を効果的に、かつ公正に運用するうえで認識すべきことも確認しておきましょう。

イノベーションが起きにくくなる

イノベーションの欠如は、人事評価制度の設計における大きな落とし穴です。評価項目が画一的だと、従業員は規定された枠内での行動を強いられ、これが結果として似通ったタイプの人材の形成や、従来の業務方法の固定化、仕事の偏りにつながります。

このような状況は、新しいアイデアや革新的な取り組みが生まれにくい環境を作り出し、組織の成長と進化を阻害しかねません。

評価範囲外の業務が疎かになる

評価範囲に含まれない業務の重要性が軽視されることも、人事評価制度のデメリットの一つです。

従業員が評価につながる業務ばかりに集中し、それ以外の業務に対するモチベーションが低下し停滞することがあります。組織に必要な幅広い業務が適切に実施されないことで、全体の業務効率や成果の質に影響を及ぼすかもしれません。

評価に納得できず離職につながるリスクがある

人事評価の結果に納得がいかない従業員は、自身が公正に評価されていないと感じ、モチベーションの低下や組織に対する信頼の喪失につながります。最悪の場合、優秀な人材の離職という形で組織に損失をもたらす可能性があり、人事評価制度の運用において最も注意すべき点の一つです。

人事評価の手法について

人事評価の手法は多岐にわたり、各組織の文化や目指す方向性に応じて選択するとよいでしょう。

代表的な評価手法のほか、近年注目度が高まっている評価制度について紹介します。

MBO(目標管理制度)

MBO(目標管理制度)は、上司と部下が一緒になって部門や個人ごとの具体的な目標を設定し、その達成度合いを評価する手法です。このアプローチにより、従業員は自己の目標に対する責任感を持ち、個人の成長と組織の目標達成が同時に促進されます。

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OKR(目標と成果指標)

OKR(目標と成果指標)は、高い目標を設定し、その達成を目指す評価手法です。

原則として四半期ごとに1つの目標設定と進捗の確認を行い、組織全体のアジリティと成長を促します。なお、1つの目標に対し複数の成果指標を設定するのが定番です。OKRによって、チームや個人が目標に対してどれだけ近づけたかを明確にし、継続的な改善を促進します。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は、特定の職務や役割に必要な行動特性(コンピテンシー)やスキルを設定し、それを軸とする評価手法です。この手法では、従業員が期待される行動をどの程度示しているかを評価し、個々の能力開発と組織のニーズを結びつけます。

360度評価

360度評価は、従業員を多角的に評価する手法で、上司だけでなく、同僚、部下、時には顧客からもフィードバックを集めるものです。この方法により、個人の行動や能力に対する包括的な理解が得られ、より正確な自己認識と成長が促進されます。

バリュー評価

バリュー評価は、企業が重視する価値観や行動規範(バリュー)を基に従業員を評価する手法です。従業員が企業の具体的なバリューをどの程度理解し、日々の業務に反映しているかを評価します。従業員の自発的な行動を促し、組織文化の強化と価値を共有する従業員の育成をすることが目的です。

ノーレイティング

ノーレイティングは、従来のランクづけ(レーティング)や年次評価を廃止し、年度初めの目標設定と都度進捗の確認、年度末の達成度の確認とフィードバックを行い、それを処遇や昇進に反映させる手法です。このアプローチは、従業員の成長を継続的にサポートし、変化が激しい市場においても成果を公正に評価することを目的としています。

人事評価制度の導入手順・方法について

人事評価制度の導入は、組織における重要なステップです。導入手順と方法には、計画的かつ段階的なアプローチが必要とされます。

従業員の現状を把握・分析する

導入の第一歩として、従業員の現状を把握し、解決すべき課題を明確にします。この現状分析は、定量的なデータ(業績数値、達成率など)と定性的な情報(従業員の満足度、モチベーションなど)の2つの視点から行うことが重要です。これにより、評価制度が目指すべき方向性と課題が明らかになります。

定量分析

定量分析では、数値データを用いて従業員のパフォーマンスを客観的に評価します。

主に売上高、生産性、欠勤率、達成率など、明確に数値化できる指標に焦点を当てるため、目標達成度合いや業務の効率性など、具体的な成果を測定できるのが特徴です。定量的なデータは、評価の公平性と透明性を高めるために重要であり、組織内でのパフォーマンス基準を設定する際にも役立ちます。

定性分析

定性分析では、数値化が難しい従業員の行動、態度、協働性、リーダーシップ能力などを評価します。

社員インタビューやアンケート、360度フィードバックなどを通じて、従業員の働き方や職場での対人関係、イノベーションへの貢献度を把握します。定性分析により、従業員一人ひとりの独自性を認識し、個々の才能や成長を促すことが可能です。

人事評価制度の目標・目的を決める

従業員へのヒアリングなどから得た現状と分析結果の情報を基に制度の目標と目的を定めます。

制度における目標設定は、組織の具体的なニーズと課題に対応するものでなければなりません。たとえば、生産性の向上、従業員のモチベーション促進、キャリア開発支援などです。

評価方法を決める

評価方法を選ぶ際には、組織の文化や特性、そして目指す目標に適した手法を選定する必要があります。MBO、360度フィードバック、コンピテンシーベースの評価など、さまざまな手法がありますが、それぞれが持つ特徴を理解し、自社に合ったものを選ぶことが重要です。

評価項目・評価基準を決める

評価項目と基準の決定では、業務の性質や従業員の役割に合わせて、公平かつ透明な基準を設ける必要があります。評価結果に納得するためには、評価基準は、5段階評価や3段階評価など、明確かつ理解しやすいものでなければなりません。一般的な評価項目の例は以下の通りです。

人事評価要素評価項目の例
業績評価業績目標達成度、課題目標達成度、日常業務成果 など
能力評価企画力、改善力、統率力、リスク管理能力 など
情意評価積極性、規律性、協調性、責任感 など

人事評価の5段階評価とは?評価基準や表現方法・4段階評価についても解説

導入スケジュールを決める

導入スケジュールを計画する際には、混乱を避けるために、評価者研修や従業員向け説明会などの準備を入念に行います。評価制度をスムーズに導入・運営できるよう、余裕のある日程でスケジュールを組みましょう。

評価制度の目的・概要を全社的に周知する

最後に、従業員の理解と協力を得るため、評価制度の目的や概要を全社的に周知しましょう。評価制度への理解は、評価の公平性と透明性を高め、結果への納得感に大きく影響するため、丁寧に実施することが重要です。

人事評価制度を導入する際の注意点

人事評価制度の導入は、組織と従業員の成長と発展を促す一方で、慎重な計画と実施が求められます。導入する際に気をつけるべき点を押さえておきましょう。

評価項目を盛り込みすぎないようにする

評価項目が多すぎると、従業員の業務負担を不必要に増やし、評価プロセスを複雑化させてしまいます。重要かつ適切な数の項目に絞り込むことで、運用の手間も削減され、実用的で効果的な評価制度になるでしょう。

全ての従業員に対してわかりやすい評価基準にする

全ての従業員に公平で透明性のある評価基準を設定することが重要です。

評価者の主観によって異なるような不公平な評価は従業員の不信感を招き、組織全体のモチベーション低下につながる可能性があります。評価基準は、すべての従業員が理解しやすく、評価者間での一貫性が保たれるように設計しなければなりません。

定期的に制度の見直しと改善をする

企業環境の変化や制度導入後に明らかになる問題点に対応するため、定期的な制度の見直しと改善が不可欠です。これにより、人事評価制度を常に最適な状態に保ち、組織と従業員双方にとって有益な制度であり続けられます。

不満が出ない公正な人事評価制度を構築しよう

人事評価制度について解説しました。従業員のモチベーション向上と組織の成長において、人事評価の公平性は欠かせません。

不満を抑えるには、評価項目の適切な選定、全従業員が理解しやすい明確な評価基準の設定、そして定期的な制度の見直しが重要です。公正な人事評価制度を構築して、信頼と成長の基盤を強化しましょう。

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