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人事評価で自己評価は必要?書き方や例文・自己評価が高い人と低い人の特徴

2024/04/19 2024/04/19

人事評価システム

人事評価での自己評価

自身の業績や行動を振り返る「自己評価」。自分自身を正しく評価するのは簡単ではないですが、人事評価の指標にもなるため適切に行う必要があります。本記事では、人事評価でなぜ自己評価が必要なのかや、自己評価の書き方・例文を、自己評価が高い人と低い人の特徴などと併せて解説します。

人事評価とは?

人事評価とは、従業員の成果やスキル、能力や経験など、企業が定めた基準に則って処遇を決めるための評価を指します。評価を行う頻度は年に1回、半期に1回、四半期に1回など、企業によって異なります。

人事評価を行う目的は、従業員の給与や賞与などの処遇を決定するにあたっての判断材料とするためです。給与などに回せる原資は限られているうえ、全員の昇給額が一律では、従業員は「頑張っても頑張らなくても評価は変わらない」と感じてモチベーションが下がってしまうでしょう。従業員が仕事への意欲を失うことで、企業全体の生産性が低下する恐れもあります。

また、役職も限られている以上、全員を昇進させることはできません。そのため、昇進についても人事評価に基づいて決定するのです。

加えて、人事評価は人員配置や人材育成にも役立ちます。評価の過程で、各従業員の能力やスキルの棚卸が行われるためです。その結果を踏まえれば、本人に合った部署やポジションに配置することができるでしょう。足りないスキルが明確になった場合、研修や資格取得などを通じて身につけてもらうことも可能です。

人事評価制度とは?目的や導入方法・メリットとデメリットを解説

人事評価における自己評価について

自己評価とは、従業員が自分自身を評価する仕組みのことです。目標に対する達成度や、反省点・改善点などをフォーマットに記載する方法が多く採用されています。自己評価は、企業と従業員双方にとって重要な仕組みです。

自己評価では、目標と成果を照らし合わせ、良かった点や問題点などを振り返ります。この過程で、従業員は自分の成長を実感できるとともに、振り返りを通じて次の目標を達成するための行動を自ら考えることができます。

上司は従業員の自己評価を見て本人の認識を理解し、仮に本人と周囲の認識にズレが生じているのであれば、ズレをなくすような対応を取るようにします。

自己評価の目的・必要性

最近では、多くの企業が人事評価に自己評価を取り入れています。そこでここでは、自己評価の目的や必要性について解説します。

自身の成長・課題など客観的に振り返る

自己評価によって、従業員は客観的に自分の目標達成度や課題を振り返ることができます。前回の自己評価の時点からの成長や変化にも気付くきっかけとなるでしょう。

また、自己評価を通じて気付きを得ることで、新たな目標が見つかり、達成に向けて意欲を持ちながら仕事に取り組むことできます。仮に自分の成長を実感できる機会がなければ、仕事に対するモチベーションの維持は難しくなるでしょう。

また、上司から一方的に評価されるだけではなく、自己評価も人事評価に反映されると、企業が「自分の意見を取り入れてくれている」と感じられます。自社に対する愛着が高まる効果も期待できるでしょう。

過小や過大などの不適切な評価を低減する

自己評価には、過小評価や過大評価などの不適切な評価を低減する効果も見込まれます。従業員の中には、自分に対して過小評価もしくは過大評価をしている人もいるでしょう。

自分を過小評価している場合、能力があっても挑戦を怖れ、新しいポジションへの就任や新規事業への参加などをためらいがちです。このような状況では十分に能力を発揮できず、本人だけではなく企業にとっても損失となります。反対に過大評価をしていると、無謀なチャレンジを行い、企業に損害を与える恐れがあります。

自己評価を通じて、周囲からの評価と本人の評価に大きくズレがないかを確認できます。ズレが大きい場合は、上司が面談を行うなどして軌道修正を図りましょう。

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評価に対する納得感が得られる

自己評価のメリットの1つとして、人事評価に対する納得感を得られる点が挙げられます。納得感の乏しい人事評価は、従業員のモチベーション低下を招くだけではなく、離職につながる恐れがあります。

自己評価を行ったあとは上司との面談を通じ、従業員は自己評価と上司からの評価をすり合わせます。その過程で、企業側の評価内容や評価理由などを理解すれば、与えられた評価への納得感が高まるでしょう。このように、自己評価は不満の解消や不平等感の低減に役立つため、離職率低下の効果もあると考えられるのです。

人事評価に納得できないと言われたらどうすべき?不満を抱える原因や制度を見直すポイント

従業員に求める「役割」が明確化される

従業員に求める「役割」を明確化するためにも、自己評価は必要です。

企業は従業員に対し、等級や役職に合った役割を果たすことを望んでいます。人事評価においては、その点も評価対象となります。そのため、人事評価のたびに、求められる役割に対する自己評価と上司からのフィードバックを行えば、従業員は自分がどの程度求められている役割を果たせているかを知ることができるでしょう。

また、自社の評価基準を理解し、高評価を得るための行動を起こせるようになります。

自己評価が高い人の特徴

従業員に自己評価を行わせた場合、上司による評価に比べて、著しく自己評価の高い従業員がいることがあります。ここでは、自己評価が高くなりやすい従業員の特徴を解説しましょう。

自分に自信がある

自己評価が高い人の傾向として、自分に自信を持っている点が挙げられます。本人が自分の実際の能力やスキルのレベルに気付いていなかったり、見極めができていなかったりするため、実力以上の自信を持っていることもあるでしょう。

自分を過大評価しているため、「私にはできない」とは考えません。そのため、未経験の業務に対しても臆することなくチャレンジできる長所があります。一方で、実力に見合わない業務を引き受けた結果、納期に間に合わない、成果物の品質が低いなど、問題を引き起こす恐れもあるのが事実です。

周囲の評価以上に自己評価が高い従業員に対しては、本人の言葉を鵜吞みにすることなく、実力に合った仕事を担当させるなど、上司は注意した方がよいでしょう。

周囲に厳しく、他人を軽視しがち

自分を高く評価しがちな人の中には、自分に比べて周囲は劣っていると考え周囲に厳しく、他人を軽視してしまう人もいます。

同僚や後輩に対してだけではなく、先輩や上司を軽視する場合もあります。自分に対して甘い一方で、周囲に対してはシビアな目を向け、言動が厳しくなるケースも見られるかもしれません。

こうしたタイプをそのままにしておくと、周囲との不和が生じ、職場環境が悪化する危険性があります。日頃から、仕事は一人では完遂できないことを伝え、周囲の支えに目を向けるよう促してください。

立ち直りが早い

大きな失敗やミスから、周囲が驚くほど早く立ち直るタイプの人も、自己評価が高くなりやすいといえるでしょう。

立ち直りが早すぎる人は、失敗やミスを深刻に受け止めていない場合があります。また、原因を周囲や環境のせいにしている可能性も考えられます。このような考えを持っている場合には、自分に対する評価が損なわれることがなく、高評価になるのです。

多くの人は失敗やミスをしたら反省し、防止策を検討したり改善方法を探したりするでしょう。立ち直りが早すぎる人は、失敗やミスを深刻に捉えず、内省する習慣を持っていない可能性も否定できません。放っておくと、自社に大きな損害を与える失敗を引き起こす恐れがあります。

部下の立ち直りが早すぎると感じる場合は、問題点や改善点を探す場を設けて、内省を促すことをおすすめします。

人事評価が高い人の特徴とは?共通点や人事評価で注意すべきポイント

自己評価が低い人の特徴

自己評価が高い従業員がいる一方、周囲の評価に比べて極端に自己評価が低い従業員もいるでしょう。次に、自己評価が低い従業員の特徴を解説します。

ネガティブ志向である

物事をネガティブに捉えがちな人は、自己評価が低くなる傾向があります。高い自己評価をつける自信がなく、実力以上に自己評価を低くしてしまうのです。

また、失敗やミスを実際以上に深刻に捉えた結果、自己評価を必要以上に下げるケースもあります。ネガティブ志向な人は、物事に対して慎重な一面がある一方、チャレンジを避ける傾向も見られます。フィードバックを行う際は、客観的な数字を見せながら説明するなどして、ネガティブに捉え過ぎないように指導しましょう。

自己主張が少ない

自己評価が低い人は、職場であまり自己主張をせず、周囲に比べて目立たない場合が多くあります。自分に自信がないため、場違いな意見を言ってしまうことを心配している可能性もあるでしょう。避けた会議などで意見を言わなければならない場面でも、自信のなさからうまくアピールできないケースが見られます。

褒められることに慣れていない

自己評価が低い人には、「褒められることに慣れていない」「褒められるのが苦手」という傾向が見られます。自分に対する評価が低いため、周囲から褒められると謙遜するだけでなく、場合によっては「何か意図があるのでは」と疑問を持ってしまうのです。

こうした傾向が見られる従業員に対しては、成果を褒めるだけではなく、普段の努力や頑張りも褒めるようにしましょう。加えて、本人に努力した点や頑張った点を記録として残させ、定期的にその記録を見返すように促すのもよいでしょう。本人が自分の努力に目を向けるきっかけになります。

謝ることが日常化している

仕事でミスした際は謝罪をしなければなりませんが、本人に責任がないにもかかわらず謝罪の言葉を口にする人は、自己評価が低い可能性があります。謝罪の言葉を頻繁に口にしていると、自然と自責の念が強くなり、些細なことで自分を責めるようになります。

自信をなくしてしまえば、仕事への意欲も失われるでしょう。また、自分の能力を低く見積もり、挑戦を避けてしまうかもしれません。

頻繁に「すみません」などと謝っている従業員に対しては、本人の普段の仕事ぶりを認め、適切に自己評価ができるようサポートしましょう。

人事評価が低い社員が辞める原因と対処法|モチベーションの低下や転職を防ぐ方法

自己評価の書き方

人事評価の一環として自己評価を採用する企業は多いものの、自己評価の正しい書き方がわからない人も少なくないでしょう。ここでは自己評価を書く際のポイントをお伝えします。

人事評価制度の基準に併せて記載する

自己評価は人事評価の一環である以上、人事評価制度の基準に併せて記述しなければなりません。人事評価制度の基準は大きく分けて、「成果評価」「能力評価」「情意評価」の3つがあります。それぞれの項目における自分の達成度を記しましょう。

成果評価

成果評価とは、従業員の業績や成果に対する評価です。企業や部署の売上・受注件数などの目標に対する各従業員の貢献度を評価します。成果は数値で示しやすいため、従業員は評価内容に対して納得感を持ちやすいでしょう。

能力評価

能力評価とは、従業員の知識やスキルに対する評価です。専門的な資格が求められる職場においては、資格の取得も評価対象に含まれます。企業によって求めるレベルが異なるため、自社の基準を踏まえて自己評価を行う必要があります。

能力評価とは?業績評価との違いや評価シートへの書き方・評価基準を解説

情意評価

情意評価とは、従業員の仕事に対する意欲や姿勢に対する評価です。具体的には、協調性や積極性、責任感などが評価対象となります。仕事だけでなく、自社で行うイベントで果たした役割や、他部署とのコミュニケーションの取り方なども評価の対象としている場合もあるでしょう。

情意評価とは?評価の書き方・例文や情意評価のメリット・デメリットを解説

客観的な視点、定量的に書く

自己評価を行う際の留意点として、「客観的な視点」と「定量的な観点」が挙げられます。

まず、自己評価を行う際は、事実のみに着目しなければなりません。いくら本人が「やる気があった」と主張しても、裏付けとなる行動や数字がなければ、客観性に欠け、評価者の同意は得られないでしょう。誰が見ても納得できるように、主観は避け、客観的な視点で事実のみを書いてください。

また、数字を基に定量的に書くように心がけましょう。売上や受注件数、残業時間やクレーム件数などの数値目標を前期との比較をすると、成果が明確になります。職種によっては数字で成果を表しにくい場合もあるため、事前に評価基準を明確に定めておくとよいでしょう。

できたこと・できなかったこと・改善点を書く

自己評価を行う際は、「できたこと」「できなかったこと」「改善点」の3要素を必ず書いてください。目標を達成できた場合は、達成できた理由も分析すると、次に活かせるでしょう。理由がわかれば、後輩を指導する際にも役に立つはずです。

目標を達成できなかった場合は、原因を探り、改善点を見つけなければなりません。次の評価期間中に改善を図り、少しでも目標に近付くことで、従業員自身の評価を高めるだけではなく、自社や部署の業績向上につなげられます。

自己評価の例文

自己評価の書き方がわからない方のために、職種ごとの例文を紹介します。自己評価を行う際の参考にしてみてください。

営業職

営業職は目標が数値で示されることが一般的なため、達成度が見えやすい職種といえるでしょう。目標と現状を数字で記載したうえで、良かった点や改善点も必ず記入するようにしてください。

【記入例】

  • 目標:商品A 売上500万円 新規顧客10件 / 商品B 売上300万円 新規顧客5件
  • 評価:商品A 売上450万円 新規顧客11件 / 商品B 売上400万円 新規顧客7件

良かった点:商品Bは、展示会での販促活動で新規顧客の獲得に成功したため、目標を達成できた。来期も展示会への出展を検討したい。

改善点:商品Aは新規顧客の獲得が目標に達しなかったため、売上目標にも到達できなかった。販促ツールのリニューアルに併せて販促活動を見直したい。

事務職

営業職に比較すると、事務職は成果を数値で示しにくい職種です。作業効率や残業時間など、成果以外で数値化ができる項目を見つけて記入するようにしましょう。

【記入例】

取引先への請求書発送業務のマニュアルを作成し、部内で手順の統一化を図ったところ、発送作業がスムーズになり、残業時間が△時間減少した。

技術職

技術職は営業職と同様に、成果を数字で表しやすい職種です。生産工程の最適化や技術開発など、従業員本人が携わった業務と成果について、目標値や前期との比較を基に記載しましょう。

【記入例】

商品Aの生産過程において歩留まり率を改善するため、プログラムを変更した。その結果、前期の歩留まり率〇%から今期は歩留まり率△%に改善することができた。

公務員

公務員は、行政事務系や技術系、公安系、資格免許系など、職種によって業務内容が大きく異なるため、数値化しやすい職種と数値化しにくい職種があります。数値化が難しい職種の場合は、工夫点や改善点を中心に記すとよいでしょう。

【記入例】

市役所窓口での待ち時間を減らすため、使用頻度の高い書類と低い書類の配置を変更したところ、書類を用意するスピードが速まった。

保育士

保育士の役割は、保護者に代わって保育を行い、子どもが健やかに育つように保護者や関係機関と連絡を取ることです。数値化しにくい仕事なため、各保育園の方針に沿って業務を遂行できたかを中心に書くようにしましょう。

【記入例】

当園の方針「子どもの自主性の尊重」を実現するため、遊びの時間は保育士側から遊びを提案するのではなく、それぞれの園児にやりたいことを聞き、本人のやりたいことを実現できるように手助けをした。

介護・看護

介護職や看護職は、介護や看護に関する専門スキルが求められる職種であるため、専門知識の習得や資格の取得などについて記載しましょう。また、対人援助職は数値化が難しいため、協調性といった仕事に対する姿勢や、日々の工夫を記入するようにしてください。

【記入例】

目標に掲げていた介護支援専門員の資格を取得した。利用者間の交流を促進するため、チーム対抗のレクリエーションを増やし、利用者の会話のきっかけをつくるようにした。

自己評価は、客観的・定量的の2つの視点で行おう

自己評価は、従業員の成長やモチベーションの向上などに大きく関わります。自己評価を行う際は、本記事を参考に、客観的・定量的の2つの視点で行うようにしてください。自分の現状を正しく認識することで今後の目標が定まり、成長につながるでしょう。

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