人事評価マニュアルは必要?作成する際のポイント・運用する上での注意点を解説
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人事評価の基準やルールを定める、「人事評価マニュアル」。人事評価制度を効果的に運用するために作成されますが、人事評価マニュアルはなぜ必要なのでしょうか。本記事では、人事評価マニュアルの必要性や、作成のポイント、運用するうえでの注意点などを解説します。
目次
人事評価マニュアルとは?
人事評価マニュアルとは、人事評価を行う際の基準やルールをまとめたものです。人事評価を客観的に行う目的で作成されるもので、評価項目・評価の基準・評価方法などが記載されています。
人事評価マニュアルに記載すべき項目
人事評価マニュアルに記載すべき項目の例としては、次のようなものが挙げられます。
業績評価(仕事の評価)
- 設定した目標に対する結果や達成度
- 未達成の目標に対する取り組み方の確認
- 目標以外に成果を発揮した業務内容 など
勤務評価(仕事のプロセスや職務行動の評価)
- 目標達成のための努力や工夫をしたか
- 業務についてしっかりと理解しているか
- 知識や情報を活用し、課題解決に取り組んだか
- チームメンバーや同僚と助け合いができているか
- 責任感やチャレンジ精神を持って業務に臨んでいるか など
規律性(倫理観、勤務態度、守秘義務など)
- 社会人としてのマナーを身に付けているか
- 周囲と円滑にコミュニケーションを取れているか
- 業務上知り得た情報を外部に漏らしていないか など
人事評価マニュアルの必要性
さまざまな評価項目を持つ人事評価マニュアルですが、このマニュアルはなぜ必要なのでしょうか。ここでは3つの理由を解説します。
公平な人事評価を実現するため
物事の評価の基準には「定量評価」と「定性評価」の2種類があります。「定量評価」は数字やデータで表せる評価基準を指し、「定性評価」は仕事に取り組む姿勢など、数値化しにくい部分を評価するものです。
人事評価においては、売上目標などの数値で達成度を測れるものだけでなく、勤務態度などの定性評価に該当する項目もあります。定性評価は特に評価者の主観が入りやすいため、評価の公平性を保つために、人事評価マニュアルを活用し、基準を明確にしておく必要があるでしょう。
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評価を受ける社員に納得感を持ってもらうため
評価を受ける側が「評価される基準」について知ることで、自分に対する人事評価に対してより納得できるようになります。評価基準が不透明なままでは、主観や印象で一方的に評価されていると不満を持たれてしまうかもしれません。
こうした事態を防ぐためにも、人事評価マニュアルは全従業員で共有し、内容を理解してもらえるようにしましょう。
人事評価エラーを減少させるため
人事評価エラーとは、評価者の主観や価値観、思い込みなどによって、人事評価の結果が偏ったり、歪んだりすることをいいます。評価者が好意的に見ている被評価者への評価が甘くなったり、主観的な見方が強く「結論ありき」で評価を進めたりといったことは、人事評価の際にしばしば見受けられる傾向です。
人事評価マニュアルがあれば、評価者は定められた基準にしたがって評価を下すことになるため、バイアスを排除した客観性の高い評価を行うことが可能となるのです。
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人事評価マニュアルを作成する際のポイント・注意点
人事評価マニュアルを作成する際には、いくつかのポイントや注意点があります。ここでは、具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう。
マニュアルを作成する目的を明確にする
まず大切なことは、人事評価マニュアルを作成する目的を明確にすることです。目的がはっきりと示されることで、評価者・被評価者の双方に対し人事評価マニュアルの意義を知らせることができます。
人事評価は昇給や昇進といった報酬・人事面を左右するだけでなく、個人の成長やスキルアップにもつながるものです。一人ひとりを公平に扱い、最終的に企業の利益向上を目指すためにも、人事評価マニュアルは重要であるといえるでしょう。
シンプルでわかりやすいマニュアルを意識する
マニュアルはシンプルにわかりやすくまとめましょう。細かいところまで指定したり、複雑になりすぎたりすると運用に支障が出てしまいます。特に、煩雑で使いにくいマニュアルでは、評価者が途中で読むのをやめてしまうかもしれません。
分厚いマニュアルにならないように掲載する内容の取捨選択する必要があり、ポイントを押さえたシンプルにまとめることが重要です。
評価項目・評価基準を明確に記載する
被評価者にとっては、どのような項目と基準で評価されるのか、評価の結果がどのように待遇へと反映されるのか、ということが最大の関心事だといえます。人事評価マニュアルを作成する際には、評価項目と評価基準を明確に記載することが重要です。なお、評価基準が曖昧だと、公平な評価を行えないので注意しておきましょう。
人事評価では、あらかじめ立てられた目標とそれに対する被評価者の実績や取り組み姿勢を評価します。人事評価マニュアルには目標の立て方から評価基準、面談の流れを明記したうえで、被評価者もアクセスできるよう開示しましょう。
また、人事評価マニュアルは一度作成して終わりではなく、フィードバックや改善点を取り入れて定期的にアップデートする必要があります。
【NG例】活用されない人事評価マニュアルの特徴
人事評価マニュアルの中には、作成されても残念ながら活用されないものもあります。一体どのようなものなのか、その特徴について紹介します。
内容が複雑であり理解するのに時間がかかる
内容が複雑で、理解するのに時間がかかるマニュアルは活用されないでしょう。評価者・被評価者には本来の業務があるため、人事評価マニュアルを読み込むために多くの時間をさくことができません。
そのため、人事評価マニュアルは誰もが簡単に理解できるように書かれている必要があります。どうしても記載する内容が多くなってしまう場合や、詳細になりすぎてしまう場合には、そもそもの人事評価の手順や基準などを見直してみましょう。
長期間アップデートされていない
内容が古いままの人事評価マニュアルも活用されないパターンの1つです。
社会情勢や業界の環境、企業の戦略によって、業務の内容は変化していくものです。そのため、人事評価マニュアルも変化に合わせ、適宜アップデートする必要があります。
マニュアルの内容が古いままでは、実態に即した正しい人事評価が行われなくなってしまう可能性があります。人事評価マニュアルは、定期的に内容を見直す必要があると認識しておきましょう。
評価要素や基準が不明確
評価要素や基準が不明確な人事評価マニュアルも、活用は期待できないでしょう。
評価要素や基準が不明確な人事評価マニュアルの例としては、定性評価の部分が多く、数値で評価できない項目が多すぎるものが挙げられます。数値という客観的な指標に頼らずに評価を下すのは難しいものです。評価者が評価に苦労しないよう、定量評価の項目もバランスよく設ける工夫をしましょう。
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人事評価は必ず「面談」を経て行う
人事評価は、必ず面談を経たうえで実施するようにしましょう。ここでは、人事評価面談を実施する目的と人事評価面談マニュアルの必要性について解説します。
人事評価面談を実施する目的
人事評価面談の目的は、評価者と被評価者が直接対話して、評価者による客観的な評価と、被評価者の自己評価を擦り合わせることにあります。
特に、与えられた評価に対する被評価者の納得感が低い場合には、人事評価面談を通じてしっかり話し合う必要があるでしょう。そのような評価に至った理由や判断基準について話し合い、被評価者の納得感を高める努力が求められます。
また、評価について双方が納得したあとは、今後の目標について一緒に考え、信頼関係を築くように努めましょう。
▷人事評価面談とは?面談の目的や進め方のポイント・質問事項について
人事評価面談にもマニュアルが必要
人事評価面談を効果的に行うためには、マニュアルが必要です。面談の進め方や話し合うべきポイントをまとめたマニュアルがあれば、評価者が迷ったり説明不足になってしまったりすることを防げます。また、面談に不慣れな評価者の助けにもなるでしょう。
面談の目的・準備方法・実施の流れ・終了後のフォローアップなどをまとめた人事評価面談マニュアルを作成し、面談の効果を最大化できるよう努めましょう。
マニュアルを作成し人事評価の公平性を維持しよう
人事評価マニュアルを作成することで、評価に対する公平性が高まり、人事評価制度を正しく機能させることができます。また、明確な基準があることで、評価者と被評価者の建設的な話し合いにもつながります。人事評価面談用のマニュアルも作成し、面談の機会も活かすようにしましょう。
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