人事評価の助成金について|申請方法や受給条件・活用するメリットについて
労働人口の減少が深刻化している現代。企業の生産性向上や離職の防止、賃金のアップを目的にさまざまな「助成金」が用意されています。本記事では、人事評価の助成金(人事評価改善等助成コース)について、申請方法や受給条件、活用するメリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
人事評価の助成金(人事評価改善等助成コース)とは
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は、生産性の向上や報酬の上昇、離職率の減少を目指す事業主を助成する制度です。いくつかの条件を満たし必要な書類を提出することで、定額で80万円支給されます。
これまで「制度整備助成」と「目標達成助成」の二段階の助成を行っていましたが、2021年3月31日に「制度整備助成」は廃止されました。現在では、「目標達成助成」のみとなり、従業員の2%以上の賃金アップ・生産性向上・離職率の低下が図られた場合に支給されます。
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」]
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)変更のお知らせ 令和3年3月31日で「制度整備助成」廃止を予定しています」]
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人事評価改善等助成コースの受給条件
人事評価改善等助成コースで助成金を受給するには、「雇用保険の適用事業主であること」と「引き続き、整備した人事評価制度等を実施していること」の2つの条件を満たしている必要があります。
また、助成の対象となる人事評価制度は、新設または改定された制度でなければなりません。そのほかの人事評価制度の対象者や詳細については、要項をご確認ください。
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?」]
人事評価改善等助成コースの申請方法
人事評価改善等助成コースの申請方法についてご説明します。申請前にぜひご一読ください。
人事評価制度等整備計画書の作成・提出をする
人事評価改善等助成コースへの申請には、まず人事評価制度等整備計画書の作成が必要です。計画書は厚生労働書のWebサイトに「人事評価制度等整備計画(変更)書」(様式第1号)が用意されているので、同書式に基づいて作成しましょう。整備された人事評価制度によって、従業員の賃金が3%以上アップする必要があるため、計画を立てる際は注意してください。
また、計画の実施による離職率の低下を示すために、「計画時離職率」を明らかにします。「計画時離職率」は、認定申請日の前日の1年前から起算して1年を経過するまでの期間の離職率を計算した数値です。
人事評価制度等整備計画書は、新しい人事評価制度などを整備する月の初日の6か月前〜1か月前の日までに都道府県労働局に提出してください。
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?」]
人事評価制度等整備計画書に基づいて人事評価制度を整備・実施する
提出した人事評価制度等整備計画書が認定を受けたら、人事評価制度を整備・実施します。
まず、人事評価制度などを労働協約もしくは就業規則に明文化してください。評価は年1回以上行います。また、人事評価制度等の対象となる全労働者に実施しなければなりません。
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?」]
3つの目標を達成する人事評価制度を整備する
人事評価改善等助成コースは、実施だけではなく目標達成をしなければ、助成金を受給できません。達成しなければならない目標は、「生産性の向上」「労働者の賃金の3%以上のアップ」「離職率低下に関する目標」のすべてです。
低下させるべき離職率ポイントは、事業所の規模によって異なります。それぞれ目標値は、雇用保険一般被保険者数が300人以下の事業所は現状維持、301人以上は1%ポイントです。ただし、評価時離職率は30%以下である必要があります。
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?」]
目標達成助成金の支給申請をする
目標が達成できたら、支給申請を行います。提出期間は、「人事評価制度等の実施日」または「評価時離職率算定期間の末日」のいずれか遅い日の翌日から起算して2か月以内です。
申請に必要な資料は以下のとおりです。
- 人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)支給申請書(様式第6号)
- 事業所確認票(様式第2号)
- 整備した人事評価制度等の内容が確認できる書類
- 整備した人事評価制度等の概要票(様式第6号別紙1)
- 人事評価制度等対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書
- 新たに整備した人事評価制度等を実施したこと及びその内容、「人事評価制度等の実施日」 が確認できる書類
- 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
- 対象事業所における評価時離職率算定期間の雇用保険一般被保険者の離職状況が確認できる書類
- 整備した人事評価制度等が引き続き実施されているか確認できる書類
- 事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類
- その他管轄労働局長が必要と認める書類
[出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?」]
▷人事評価制度の作り方|作る際のポイントや手順、成功・失敗事例を解説
人事評価改善等助成コースを活用するメリット
人事評価改善等助成コースを活用すると、従業員満足度や定着率の向上が期待できます。
適切な人事評価制度が導入されることで、従業員は自分の評価への納得度が高まるでしょう。さらに、頑張りに応じて賃金が上がれば、離職も防げるうえ、生産性の向上にもつながります。
人事評価改善等助成コースを活用するデメリット
人事評価改善等助成コースを活用した場合に考えられるデメリットは、人件費負担の増加です。人事評価改善等助成コースで助成金を受給するには、従業員の賃金が上がる必要があります。
助成金を受給できても一時的なものなので、将来的には企業が従業員の人件費を負担しなければなりません。
▷人事評価制度の作り方|作る際のポイントや手順、成功・失敗事例を解説
助成金を活用し人事評価制度の改善に取り組もう
人事評価改善等助成コースを活用すれば、社内の人事評価制度を整備できます。人事評価制度を改善すれば、従業員の離職率低下や生産性向上が期待できるので、助成金を活用しながら改善に取り組みましょう。
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