人事評価の不満は退職につながる!原因や退職を防ぐポイント・公平な人事評価にする方法

最終更新日時:2024/04/11

人事評価システム

人事評価による退職

公平性や納得感に欠ける人事評価は「退職リスク」を高めます。では、従業員が納得する公平な人事評価はどのようにすれば実現できるのでしょうか。本記事では、人事評価の不満が退職につながる原因を紹介し、退職を防ぐポイントや公平な人事評価にする方法について詳しく解説します。

人事評価の不満が退職につながる原因

人事評価に対する不満がなぜ退職の引き金となるのでしょうか。不公平感や評価の不透明性が従業員のモチベーションを低下させ、最終的には退職へとつながる理由を詳しくご紹介します。

評価制度そのものに納得できない

評価基準や評価項目が自分の役割に合っていないと感じたり、評価プロセスに不公平さを感じたりすると、自分が適切に評価されていないと感じ、納得できなくなります。

評価制度そのものに納得ができなければ、従業員は組織への信頼を失います。エンゲージメント、つまり仕事への熱意や貢献意欲を低下させる原因となるでしょう。

人事評価と人事制度が連動していない

評価結果が正当であっても、その成果が給与や昇進といった待遇に反映されない場合、従業員は評価制度の意味を見いだせなくなるでしょう。「いくら頑張っても待遇は変わらない」という思いは、業務に対するモチベーションも下げてしまいます。

自分の評価に見合った報酬が期待できなければ、人事評価と人事制度が正しく連動している他の職場を求めて、退職を検討するようになるのです。

納得できるフィードバックがもらえない

人事評価で低い評価を受けた場合、従業員はその理由や改善に向けた具体的なアドバイスを求めるものです。しかし、納得のいくフィードバックを受けられないと、評価の公平性や上司の指導能力に疑問を抱くでしょう。その結果、組織への不満や不信感が深まり、離職リスクが高まります。

人事評価制度とは?目的や導入方法・メリットとデメリットを解説

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人事評価に不満を感じている人は多い

人事評価制度に対して不満を抱えている従業員は、意外にも多いものです。実際、人材サービス企業Adecco Groupが行った調査によると、勤務先の人事評価制度に不満を持つ従業員は6割以上に上るという結果が出ています。多くの企業で人事評価の適用や運用方法に課題があると言えるでしょう。

企業側は、従業員の声に耳を傾け、人事評価制度の改善を通じて職場環境をより良いものにする努力が求められています。

[出典:Adecco Group「「人事評価制度」に関する意識調査

人事評価に納得できないと言われたらどうすべき?不満を抱える原因や制度を見直すポイント

人事評価に不満がある従業員の退職を防ぐポイント

人事評価に対する不満は、従業員が会社を去る大きな理由の一つです。次に、人事評価への不満を持つ従業員の退職を防ぐための重要なポイントを詳しく解説します。

人事評価制度の見直し・改善をする

人事評価制度は、モチベーションを保つために極めて重要です。評価基準や項目が従業員にとって納得のいくものでなければ、仕事への熱意は徐々に冷めてしまいます。

評価制度そのものに問題があると感じたら、即座に見直しと改善を図りましょう。その際、従業員が何に不満を感じ、どのような評価を公平と考えるかに耳を傾けることが重要です。

離職の兆候を早期発見する

従業員が離職を考え始める際は、コミュニケーションの低下や遅刻・早退の増加といった兆候が現れます。これらのサインを早期に発見することは、離職を防ぐために非常に有効です。

離職の兆候を早期発見するためには、コミュニケーション施策に注力し、従業員一人ひとりと対話する機会を設けることをおすすめします。例えば、定期的に1on1ミーティングを実施し、従業員が直面している課題や不安、職場での目標について話し合う方法などです。不満や問題を早期に把握し、解決策を一緒に考えることが可能になります。

評価者を育成する

適切な人事評価を行うためには、評価者自身の評価スキルが極めて重要です。公正な評価は、評価者が持つ能力と直結しているため、評価スキルの向上には評価者研修が欠かせません。

研修を実施し評価者を育成することで、評価者は従業員から信頼されやすくなり、また、従業員は評価結果に納得しやすくなります。結果的に、評価プロセス全体の透明性と公平性が向上し、従業員のモチベーションや満足度の向上にもつながるでしょう。

フィードバックの質を高める

評価結果を伝える際のフィードバックは、単なる評価通知以上の重要な役割を果たします。特に、ポジティブなフィードバックを心がけることが大切です。従業員は自分の強みや成果を認識し、さらなる努力への意欲につながります。

また、評価は一方的な通告ではなく、従業員との対話を通じて行うべきです。従業員の話をじっくりと聞き、その上で意見交換を行い、今後の課題や目標について一緒に考えることが、相互理解と信頼関係の構築に役立ちます。

フォローアップ体制を強化する

評価が低かった従業員に対しては、人事評価の目的や評価の内容、そして評価に至った具体的な経緯を丁寧に説明することが重要です。その上で、従業員に対して自己改善のための具体的な指針を示し、自信を取り戻して次のステップに進むためのサポートを行いましょう。

丁寧な説明とフォローアップにより、従業員が評価結果を受け入れやすくするだけでなく、組織全体の公正性と透明性を高め、従業員との信頼関係を強化します。

評価結果を給与や待遇に反映させる

人事評価の結果が公正であっても、それが給与や待遇の改善に直接反映されなければ、従業員の満足度やモチベーションは向上しません。

従業員が自身の努力や成果が適切に評価され、それが給与や昇進、その他の待遇に反映されていると実感するためには、人事評価の結果を給与体系や昇進の基準にしっかりと組み込む必要があります。努力が結果につながることを明確に示すことで、従業員の不満を軽減し、退職を防ぐ効果的な手段となるのです。

公平な人事評価にする方法

公平な人事評価は、職場の満足度と生産性の向上に不可欠です。ここからは、公平な人事評価を実現するための具体的な方法と戦略を探ります。

評価対象を明確にする

公平な人事評価を実現するためには、まず何を評価するのかを明確にすることが重要です。評価の対象となる行動や成果、能力などが具体的に開示され、それらがどのように待遇に反映されるかも透明性を持って示さなくてはなりません。

評価の対象が明確であれば、従業員は納得感を持ちながら目標に向かって具体的な行動を取ることができ、モチベーションの向上にもつながります。

次に、人事評価の一般的な評価対象とそれらがどのように職場での待遇に影響を与えるのかについて、詳しく見ていきましょう。

能力評価

能力評価は、従業員が持つ職務遂行に必要なスキルや知識が評価対象です。この評価では、個々の従業員がどの程度の専門性や技術、知識を有しているかが重視され、その成長や発展を定期的にチェックします。

従業員は自分自身のキャリアパスを明確に理解した上で、必要なスキルセットの向上に向けて努力でき、企業側は各従業員の強みや弱点を把握し、適切な研修や教育プログラムにより従業員のスキルアップをサポートできるのが特徴です。

能力評価とは?業績評価との違いや評価シートへの書き方・評価基準を解説

業績評価

業績評価は、目標達成の度合いやプロジェクトでの成果、同僚や組織への貢献などが具体的な評価対象です。

業績評価を通じて、従業員は自らの努力が認められ適正な評価を受けることができます。目標に向かって積極的に取り組む姿勢を促し、個人だけでなくチーム全体のモチベーション向上にもつながることがメリットです。

情意評価

情意評価は、従業員の仕事に対する姿勢や態度を中心に評価します。目標達成のためにとった行動やプロセスごとの業績を評価対象として設定し、やる気を測る基準とも言えるものです。

各プロセスに対し、自らどう行動するかを具体的に考えられるようになり、ポジティブさや組織全体の生産性向上にもつながります。

情意評価とは?評価の書き方・例文や情意評価のメリット・デメリットを解説

上司・部下間の信頼関係を構築する

人事評価への不満の一因である「納得できるフィードバックがもらえない」という問題には、上司と部下間の信頼関係の有無が大きく影響しています。

日頃から信頼関係を築いていれば、フィードバックはより受け入れやすく、納得感を持ってもらいやすいでしょう。上司が部下の意見や感情を真摯に聞き、部下が上司の指導や決定を信頼することで、双方が支え合う関係が生まれます。このような関係性があれば、人事評価のプロセスもスムーズに進み、フィードバックが建設的な成長の機会へと変わるはずです。

評価エラーが起こらないようにする

人事評価は人が人を評価するものであるため、評価エラーが起こりやすい状況です。評価者はエラーの可能性を十分に理解し、適切な知識と技術を身につける必要があります。次に、人事評価において起こりやすい具体的な評価エラーについて詳しく見ていきましょう。

ハロー効果

ハロー効果は、人事評価において評価者が従業員の一つの目立った功績や特徴に引きずられ、その他の多くの側面を見落としてしまい、全体として偏った評価をしてしまう現象を指します。例えば、特定のプロジェクトで顕著な成果を上げた従業員が、その一つの成功によってすべての領域で高評価を受けるといったケースです。

評価の公平性と正確性を確保するためには、評価者がこのような心理的な偏りを意識し、従業員の総合的なパフォーマンスを包括的に評価することが求められます。

ハロー効果とは?意味や具体例・関連する人事評価エラーについてわかりやすく解説

寛大化傾向

寛大化傾向は、従業員のパフォーマンスを全体的に甘く評価する傾向のことです。実際の成果や行動に関わらず、多くの従業員が平均以上の評価を受けることがあります。

評価者が従業員との良好な関係を保ちたい、または厳しい評価によるネガティブな反応を避けたいという理由から発生することが多く、差別化が困難になることから全員が同じように評価されがちです。

評価の公正性と正確性を保つために、明確な評価基準の設定と客観的な評価を心がけましょう。

厳格化傾向

厳格化傾向とは、従業員のパフォーマンスを全体的に厳しく評価する傾向のことを指します。評価者が高い基準を設定し、従業員がそれに達しない場合に低い評価を与えることによって生じる現象です。

厳格化傾向があると、従業員は自分の実際の成果が適切に認識されていないと感じ、モチベーションの低下や不満につながることがあります。公平でバランスの取れた評価を行うためには、客観的で一貫した評価基準の適用と、評価者への適切なトレーニングが重要です。

中心化傾向

中心化傾向とは、評価者が極端な評価を避け、リスクを回避しようとする心理が働くため、評価を全体的に中間地に集中させてしまう現象を指します。問題は、実際には優秀な成績を収めている従業員と、平均的な成績の従業員が同じような評価を受けることになり、評価の差が少なくなってしまう点です。

中心化傾向を避けるには、評価基準を明確にし、評価者が全範囲の評価を適切に使用するように指導することと、日頃から従業員の働きをよく見て自信を持って評価することが重要です。

人事評価エラーとは?種類や及ぼす影響・対策方法をわかりやすく解説

納得感のある人事評価を実施し退職リスクを減らそう

納得感のある人事評価は、従業員のモチベーションを高め、退職リスクを減らす鍵となります。公平で透明性のある評価基準の設定、定期的なフィードバック、上司と部下間の信頼関係の構築は、納得感を生むために不可欠です。

全員が公正に評価される体制を整えることで、従業員は自身の努力が正当に評価されていると感じ、組織への忠誠心と職場での長期的なキャリア構築につながります。それがひいては退職リスクを減らすことになるでしょう。

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