中途採用者の給与の決め方|決定するまでの流れやトラブル事例について

2024/04/16 2024/04/17

採用管理システム

中途採用の給与の決め方

中途採用の課題の1つである「給与の決め方」。中途採用では幅広い年齢やスキルの求職者を対象とするため、給与の決め方に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、中途採用者の給与の決め方を、決定までの流れやトラブル事例等と併せて解説します。

中途採用人材の給与の決め方

中途採用人材の給与設定は、企業の人事戦略の中でも特に難しい部分だといえるでしょう。優秀な人材を引き寄せるためには、適切な給与を設定することが欠かせません。ここでは給与の決め方の具体例を紹介します。

前職の給与を参考にする

まずは、前職での給与を参考にする方法があります。中途採用の応募先を決める際、求職者は前職での給与や雇用条件を基準に判断を行うことが一般的です。そのため、採用する企業側は反対に、求職者の前職での給与を参考にすることができるのです。

給与アップを目指して転職活動をしてる求職者も多いため、企業が提示する給与が前職より低いと、内定を辞退されてしまうか、そもそも応募が集まらない可能性があります。ただし、給与は高ければよいというものでもないため、企業の財務状況や職位に見合った市場価値も念頭に置く必要があるでしょう。

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過去の経歴・実績を基準にする

求職者の過去の経歴や実績を基準とする方法もあります。この方法では求職者個人の経験や過去に達成した成果が重要視されるため、経験豊富で実績がある求職者に対しては高い給与を提示することになります。

反対に、未経験者やこれまでの経歴が対象職種と直接関連しない場合は、求職者の年齢に関係なく前職と比べて給与が下がることも考えられます。この方法は求職者の実力に基づいた公平な給与を提示することができますが、一方で未経験者の場合は給与との兼ね合いから、挑戦の機会が限られる可能性もあるでしょう。

自社の給与テーブルを基準にする

自社の給与テーブルを基準に給与を決定する方法は、公平性と透明性を確保できる方法だといえます。

給与テーブルは、職務の内容、責任の大きさ、必要なスキルや経験年数を基に構築されており、各職位に対して適用される給与の範囲を示したものです。このテーブルを活用すれば、中途採用の候補者に対しても、既存の社員と同様の基準で公正に給与を設定することが可能になります。

また、給与テーブルを使用することで、企業は求職者に対して提供する価値と期待を明確に伝えることができます。加えて、給与決定の根拠が明確であれば、給与に関する求職者との交渉や誤解を最小限に抑えることができるでしょう。

競合他社が提示する給与を参考にする

競合他社が提示する給与を調査し、参考にすることは、中途採用における給与設定の重要な手段の1つです。調査を行うことで、企業は自社の提示する給与が市場の中でどの程度魅力的であるかを把握することができます。

特に、同業界内での人材獲得競争が激しい場合、優秀な人材を確保するためには、競合他社の給与水準を参考にすることは必須と言っても過言ではないでしょう。また、自社の給与体系自体を市場の動向に合わせて調整し、採用競争力を維持または強化することも有効です。

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中途採用の給与を決める際のポイント

中途採用者に対する給与の決定は、時としてトラブルの原因となり得ます。ここでは、給与設定時のポイントと、トラブルを避けるための具体的な方法について解説します。

就業規則を把握しておく

まず重要なのは、就業規則をしっかりと把握しておくことです。

就業規則は、労働基準法に基づいて職場の規律やルールを定めた重要な文書であり、労働時間、休日、休暇、そして給与に関する規定が含まれています。中途採用者の給与を決める際にも、この就業規則をしっかりと把握し、遵守する必要があります。全社員共通の就業規則に則って給与の決定を行うことで、企業は透明かつ公正な職場環境を維持できるでしょう。

給与を決める要素や評価基準を明確にしておく

給与を決める際、給与テーブルや評価基準を明確に設定しておくことは重要です。各等級や役職に応じて必要とされるスキルセットや達成すべき目標を具体的に示すことで、社員は自分の給与がどのように決定されているのかを理解することができます。加えて、将来給与を上げるためにはどのようなスキルや成果が求められるのかを明確に理解することにもつながるでしょう。

賃金相場を把握しておく

給与を決める際には、業界や職種の賃金相場を把握しておくことも欠かせません。相場の情報を得る方法はさまざまですが、厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」の結果を参照するとよいでしょう。

この統計調査では、さまざまな産業や職種における賃金の状況を詳細に報告しており、給与設定の際の参考資料として非常に有用です。例えば、令和4年の賃金は男性が342.0千円、女性が258.9千円となっており、男性の給与に対する女性の給与は75.7%にとどまることが分かります。

また、部長級や課長級といった役職者の給与についても、年齢や勤続年数に大きな隔たりがない一方でやはり給与の男女差が見て取れます。こうした詳細な情報を得るためにも、「賃金構造基本統計調査」は有用なのです。

[出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」]

中途採用の給与トラブル例

中途採用者に対する給与を決定する際、場合によってはトラブルに発展する可能性があります。そこでここでは、具体的なトラブル例を紹介します。

採用後のミスマッチがあっても簡単に減給できない

採用後、中途採用者の実際のパフォーマンスが採用時の期待を下回ったとしても、入社後に給与を下げることは容易ではありません。このような措置は、せっかく採用した社員の離職、モチベーションの低下、さらには職場内でのトラブルに発展するリスクがあるのです。

給与は社員にとっての基本的かつ重要な報酬であるため、大幅な変更によって信頼関係を損なう恐れがあります。また、法律的にも給与の大幅な減額は制限されており、事前の合意なしに実施すると違法と見なされるかもしれません。

したがって、採用プロセスの段階で求職者のスキルと経験を正確に評価し、適切な給与設定を行うことが重要です。そうすることで、採用後のミスマッチやそれに伴う問題を最小限に抑えることができるでしょう。

既存社員と差がありすぎて社内から反発が起こる

優秀な人材を獲得するためとはいえ、競合他社を上回る高額な給与を提示する戦略は、社内の給与体系のバランスを大きく崩してしまう可能性があります。

このような状況が生じると、既存社員の間で不満や反発が起こることも考えられます。給与は公平性と透明性が求められるものであり、新たに採用された社員と既存社員との間で著しい差が生じてしまうと、職場内での士気の低下やチームワークの崩壊を引き起こすリスクが高まるのです。

これを避けるために、給与体系は常に公正でなくてはならず、人材を獲得する際にも既存の給与体系との調和を考慮する必要があります。既存社員とのバランスを保ちつつ、競争力のある給与を設定することが求められるのです。

給与額について認識の違いが起き内定辞退される

給与額について、企業と求職者の間で認識の違いが起き、内定を辞退されてしまうというトラブルも考えられます。

例えば、求人情報で提示される給与額の幅があまりにも広い場合、採用プロセスの最終段階で提示される給与によっては求職者の期待を下回る可能性があります。このパターンでは、給与が求職者にとって特に重要な決定要因である場合、内定を辞退される原因となり得ます。

求職者は求人情報を通じて形成された期待に基づいて応募を決定します。加えて、多くの場合、最終的に提示される給与が幅の上限に近いことを期待しています。したがって、求人情報において現実的かつ具体的な給与範囲を示すことで求職者との認識の齟齬を防ぎ、採用プロセスのスムーズな進行につながるでしょう。

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中途採用人材の給与を決定するまでの流れ

中途採用者の給与を最終的に決定するまで、多くの要素を考慮し、慎重にプロセスを進める必要があります。そこでここからは、給与決定に至るまでの具体的な流れについて詳しく説明します。この流れを理解することで、企業はより効率的かつ効果的に中途採用を進めることができるでしょう。

求人開始前に予定給与額と給与の決定方法を確定しておく

採用活動を開始する前に、予定されている給与額や給与の決定方法を明確にしておきましょう。そうすることで求人情報の透明性が高まり、信頼性の高い企業であると求職者に思ってもらえます。

給与の決定方法は一般的に、候補者の経験、スキル、市場の賃金相場など、さまざまな要因を考慮して決定されます。また、募集を開始する前に給与額の範囲を決めておくことで、求職者との交渉がスムーズになり、期待と最終的な提示額とのギャップによるミスマッチを防ぐことができます。

雇用条件を明確にする

雇用条件の明確化は、中途採用においてトラブルを避けるために不可欠です。労働条件通知書には、以下のような重要な項目を含めましょう。

  1. 給与額と支払いの頻度:月給、時給、またはその他の報酬形態と、給与が支払われる頻度(例:月末、15日ごとなど)
  2. 勤務時間:1日および1週間の正確な勤務時間
  3. 休憩時間:労働者が1日の勤務中に取得できる休憩時間の長さと時刻
  4. 休日: 休日の日数、取得方法、および固定された休日(例:国民の祝日)
  5. 有給休暇:年間の有給休暇の日数とその取得条件
  6. 福利厚生:健康保険、雇用保険、厚生年金など、従業員に提供される福利厚生の詳細
  7. 退職条件:退職に関する規定、通知期間、退職金制度についての情報

これらの項目を明確に記載することで、求職者との間での誤解を最小限に抑え、双方にとって公正で透明な職場環境を確立することができます。加えて、信頼関係の構築にもつながり、従業員の満足度とモチベーションの向上も期待できるでしょう。

選考でスキル・資格を確認する

中途採用の過程において、求職者のスキルや資格を確認することは、適切な人材かを見極めるうえで極めて重要です。書類選考においては、履歴書や職務経歴書を通じて、求職者の過去の経験や保持資格を検証します。筆記試験や実技試験では、専門知識や技能を具体的に測定することができ、面接では直接の対話を通じて求職者の実務経験の深さや対応能力、問題解決スキルを評価します。

これらの選考プロセスを一つひとつ進めていくことで、企業は求職者が持つスキルセットや資格が自社のニーズに合致しているかどうかを確認できるのです。

面接で求職者と給与額のすり合わせをする

面接の段階では、求職者の前職での給与や実績、そして希望する給与額とのすり合わせが行われます。このステップは、求職者と企業それぞれの期待値を一致させ、お互いにとって納得のいく条件を見つけ出すために重要です。

求職者は自己の価値と市場価値を踏まえた給与額を期待する一方、企業側は求職者の過去の経歴やスキルを評価し、それに見合った給与を提案します。この過程でのオープンなコミュニケーションを行うことができれば、将来的な不満や誤解を防ぐだけでなく、求職者と良好な関係を築くことができるでしょう。

内定通知書等に給与額を記載する

採用プロセスの最後として、内定通知書や労働条件通知書に給与額を明記します。求職者は正式な内定を受ける際に、これらの書類をもって自身の労働条件を明確に理解することができます。

給与額を具体的に文書に記載することで、後になって誤解や不満が発覚するのを防ぐことにつながります。また、労働者に対して明確な条件を提示するという義務を果たすことにより、将来的に争い事が発生した際の法的基準ともなります。

オファー面談で求職者から交渉希望があった場合は対応する

求職者から給与額についての交渉希望があった場合、企業は誠実に対応することが求められます。双方が納得できる公平な条件を見つけ出すことで、入社後に能力を発揮してもらうことができるでしょう。

給与交渉はオープンで正直なコミュニケーションを行うことが鍵であり、企業は求職者の提案を尊重しつつ、現実的な範囲内で最良の給与を提示する必要があります。労力のかかるステップではありますが、企業が交渉に柔軟に対応することで、長期的な信頼関係を築くチャンスとも考えられるでしょう。

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給与の決め方の基準を定めて中途採用を成功させよう

中途採用における給与の決定は、企業と求職者双方にとって重要です。明確な基準を設け、予定給与額や決定方法を事前に確定し、労働条件を明示するようにしましょう。お互いに納得のいく給与額についての合意を目指すことで、企業は適切な人材を確保し、中途採用を成功に導くことができます。

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