シニア採用のメリット・デメリット|必要性や助成金・課題について

2024/05/24 2024/05/24

採用管理システム

シニア採用

多くの企業が抱える課題の1つに人材不足があります。この課題を解決するために「シニア採用」の実施を考えている担当者の方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、シニア採用とはどのような採用形態か、メリットやデメリットについても解説します。

シニア採用とは?

シニア採用とは、65歳以上のシニア層を従業員として採用することです。

内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によると、令和4年(2022年)10月1日時点における65歳以上のシニア人口は3,624万人とされており、これは日本の総人口の29.0%にあたります。

現在のシニア層は高度経済成長期やバブル期を経験し、豊かな経験やキャリアを持っているうえ、定年退職後も働く意思のあるアクティブな人が多いのが特徴です。このような背景から、労働人口の減少によって人手不足が続く昨今において、課題解消の手段の1つとしてシニア採用が注目されています。

[出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書」]

積極的にシニア採用を進めている業種

近年、特に積極的にシニア採用を進めている業種は以下のとおりです。

  • 警備・交通誘導
  • 介護
  • 販売・接客
  • 事務・データ入力

これらの業種が積極的に採用している理由としては、人手不足の改善や継続的な就業・定着への期待感、専門性や経験の高さに対する期待などが挙げられます。

[出典:ミドルシニアマガジン「シニア採用に積極的なのはどの業種?シニア採用に関する業種別調査レポート」]

シニア採用が注目されている理由や必要性とは

改めて、近年シニア採用が注目されている理由や必要性を3つの観点から解説します。

年金が支給される年齢が引き上げられたため

シニア採用が注目されている理由として、年金支給の対象年齢の引き上げが挙げられます。

従来の年金制度では、60~70歳の間で年金の受給開始時期を自由に選べるようになっており、65歳を基準に年金額の減額・増額が行われる仕組みでした。

しかし、令和4年(2022年)4月に、年金の受給開始時期を遅らせる代わりに年金の月額を増額させる「繰下げ受給」の上限年齢が75歳までに引き上げられました。これにより、働けるうちは働き、年金の支給開始時期を遅らせようという動きが広がったと考えられます。

超高齢化社会が進んでいるため

超高齢化社会が進んでいることも、シニア採用が注目されるようになった理由です。「超高齢化社会」とは、65歳以上が人口の21%以上を占めている状態であり、日本は平成22年(2010年)以降、この基準を上回っています。

日本人の5人に1人以上が65歳以上という環境において、シニア層は決して無視できない貴重な労働力であり、その活用方法を考えるのは自然な流れといえるでしょう。

[出典:内閣府「令和5年度版高齢社会白書」]

人手不足の企業が増加しているため

全国的な人手不足もシニア採用が注目される理由の1つです。

日本は長らく少子高齢化の流れにあり、労働人口が年々減少している状況です。そのため、業界・業種を問わず採用難・人手不足の傾向があり、各社さまざまな工夫をこらして人材の確保や育成に奔走しています。

とはいえ、元々少ないパイを取り合うだけでは十分な人数を確保できないため、人手不足を解消する手段としてシニア採用の需要が高まっているのです。

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シニア採用に取り組むメリット

企業がシニア採用に取り組む3つのメリットを紹介します。

労働意欲の高い人材を確保できる

シニア採用では、労働意欲の高い人材を確保できる可能性があります。その他の人材に比べて、働く理由や目的が明確な人が多いためです。

具体的には、生活資金を確保するためや、生きがい・やりがいを求めるケースなどが挙げられます。理由が目的が明確な人は目の前の仕事に集中しやすく、早期退職のリスクも低いため、企業にとっては採用するメリットが大きい人材だといえます。

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労働環境の見直しにつながる

シニア採用をきっかけに、労働環境の見直しにつながる可能性がある点もメリットです。

健康経営や働き方改革がトレンドになって久しいものの、労働者のニーズや昨今の多様化に十分に対応できている企業は決して多いとはいえません。新たにシニア層を受け入れるにあたって、労働環境を見直す機会を得る企業もあるでしょう。

最初はシニア層にだけ適用する小さな変更から始め、効果を検証しながら徐々に全社に広げていけば、比較的小さな負担で労働環境の改革に着手できる可能性があります。また、シニア層と一緒に働くことは、若手の気付きや成長にもつながるでしょう。

助成金を活用して取り組める

シニア層の採用は、条件を満たせば助成金を活用して取り組める点もメリットです。政府もシニア層の労働力に価値を見出し、積極的な活用を促しているためです。

例えば、シニア層を受け入れる体制を整えた企業や、定年の引き上げや廃止を行った企業に対して高額な助成金を交付しています。助成金をうまく活用できれば、採用コストの削減や設備の拡充などにつなげられるため、通常よりも効率よく採用・雇用ができるでしょう。

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シニア採用においてデメリットとなる課題

続いて、企業がシニア採用を行うデメリットとなる課題を3つ解説します。

年齢によるリスク

シニア採用は、年齢によるリスクに配慮する必要があります。体力面や健康面においては、どうしても若手人材には劣ってしまうためです。

例えば、長時間の立ち仕事や力仕事など、身体的に負荷がかかる仕事は難しい可能性があります。体力の低下に伴い、フルタイムでの勤務が困難になるケースもあるでしょう。若い年代と比べて怪我や急病のリスクも高いため、何をどこまでできるのか、一人ひとりとよく相談しながら働き方や配置を行う必要があります。

適切な人材配置

シニア採用を行う際は、人材配置にも配慮する必要があります。職種にもよりますが、周囲と打ち解けてコミュニケーションを取る必要があるためです。

うまく馴染めなければチームワークを発揮できず、業務に支障をきたす可能性もあります。業務への適正のほか、既存社員との相性なども考慮し、シニア人材がパフォーマンスを発揮できるポジション・環境を用意する必要があります。

賃金制度の再検討

シニア人材にも対応する賃金制度が整っていない場合、採用活動を機に再検討する必要があります。現行制度をそのまま当てはめた場合、全体の賃金のバランスが崩れてしまう可能性があるためです。

例えば、年齢に重きを置いた制度では、入社間もないシニア人材の賃金が高くなってしまいます。この場合当然ながら業務への貢献度と賃金のバランスが取れていないため、既存社員からは不満が出てしまうでしょう。

入社してくるシニア人材本人だけでなく、既存社員からも納得が得られるような賃金制度を整備することが求められます。

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シニア採用を行う際に意識するポイント

シニア採用を行う際に、特に意識するとよいポイントを3つ紹介します。

働く目的・仕事観に合った働き方の提供

シニア採用に限った話ではありませんが、採用した人材の働く目的や仕事観に可能な限り合った働き方を提供するのが理想といえます。目的や仕事観との合致度が、当人のモチベーションや定着度合いに直結するためです。

以下にシニア層に多い働く目的を挙げます。すべてのシニア人材に当てはまるわけではありませんが、参考にしてみてください。

  • 収入を得たい・増やしたい
  • 人との関わりを持ちたい
  • 働きがい・やりがい・生きがいを得たい
  • ほかにすることがない・暇つぶし

欲しい人材を見据えた採用戦略

シニア採用を行う場合は、欲しい人材を見据えて、採用戦略を練ることが重要です。採用活動を実施する方法によって、リーチできる人材や応募してくる人材層が異なるためです。

例えば、未経験でも問題ないポジションを募集したい場合は、折り込みチラシやポスティングなど、多くのシニア層の目に留まりやすい求人方法が適しています。一方、専門性の高い人材を求める場合は、信頼性の高い専門サイトや人材紹介などを活用すべきでしょう。

体力や健康面に配慮した仕事環境の準備

シニア人材が十分に活躍できるよう、体力や健康面に配慮した仕事環境を準備することも大切です。

例えば、体力的な負担が少ないポジションを用意する、通常1人で行う業務を2人体制にするなどの対策が考えられます。また、シニア人材を受け入れる部署や同僚に対しても、負担がかからないよう配慮が必要です。

業種や業務内容によって対策方法は異なりますが、入社してくるシニア人材と既存社員の双方がストレスなく快適に働ける職場環境を目指しましょう。

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シニア採用の取り組みで活用できる助成金制度

最後に、シニア採用に取り組むうえで活用できる助成金制度を3つ紹介します。

ただし、助成金制度は年度によって支給要件や内容が変わる可能性があるため、詳細は公的機関が公開している最新の情報を確認してください。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、シニアや障害者などの就職困難者を継続して雇用する事業主に対して支給される助成金です。支給要件は、ハローワーク・地方運輸局・有料または無料の職業紹介事業者などを介して条件に該当する人材を雇い入れることです。

実際の助成金額は対象となる労働者の類型や企業規模によって異なりますが、1人あたり30万〜240万円が交付されます。

[出典:厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(改正入管法の施行に伴う改正)」]

65歳超雇用推進助成金

65歳超雇用推進助成金は、65歳以上への定年引上げや雇用管理制度の整備など、有期契約のシニア人材を無期雇用に転換する事業主に対して支給される助成金です。実施する内容に応じて、以下3つのコースから構成されています。

  • 65歳超継続雇用促進コース
  • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
  • 高年齢者無期雇用転換コース

コースによって実施する内容や満たすべき条件が異なるため、各コースを確認して自社に適したコースを検討してみるよいでしょう。

[出典:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」]

高年齢労働者処遇改善促進助成金

高年齢労働者処遇改善促進助成金は、60歳〜64歳までのシニア人材の処遇の改善に向けて、就業規則などで定めている賃金規定の増額改定に取り組んだ事業主に対して支給される助成金です。

従業員の社内規定の中で賃金・給与を規定している部分を所定の内容変更することが支給条件であり、高年齢雇用継続基本給付金の減少額に2/3(中小企業以外は1/2)の助成率を乗じた額が支給されます。

[出典:厚生労働省「高年齢労働者処遇改善促進助成金」]

シニア採用を人手不足を解消する有効な一手に

少子高齢化による若手不足が続く日本において、貴重な労働力として注目されているシニア人材。当人たちにも働きたい理由があり、企業側の課題解決にもつながることから、さまざまな企業でシニア採用が実施されています。

シニア採用におけるメリット・デメリット・ポイントなどを押さえつつ、人手不足を解消する手段の1つとして積極的に活用していきましょう。

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