採用力を強化する方法!高い企業・低い企業の違いや優秀な人材を確保するポイント
優秀な人材を確保するためには「採用力」が必要です。求める人材を採用・定着させている採用力の高い企業には、どのような共通点があるのでしょうか。本記事では、採用力を強化する方法や採用力が高い企業と低い企業の違い、優秀な人材を確保するポイントを解説します。
目次
採用力とは?
企業の採用力の向上を目指す一般社団法人日本採用力検定協会は、採用力を以下のように定義しています。
採用力とは、「組織および社会に有益な採用活動を設計・実行する力」を指します。
[引用:一般社団法人日本採用力検定協会「採用力検定について」より]
採用活動が組織や社会にとって有益な状態として機能するためには、5つの要素が求められます。
- パースペクティブ(視座)
- マインド(姿勢)
- スキル(技能)
- ナレッジ(知見)
- アクション(行動)
これらの要素を満たすことで、企業は優秀な人材を見つけ出し、自社に惹きつけることができるでしょう。
採用力の重要性とは
求める人材を確保するための採用力を身につけることは、企業が持続的な成長を実現するうえで欠かせません。採用力の優れた企業は潤沢なリソースを持てるだけでなく、イノベーションを促進し、持続的な成長につなげることができます。これは、市場競争において重要なポイントです。
逆に採用力の低い企業は人材不足に陥りやすく、次第に市場の要求に応えることが難しくなり、結果として競争力を維持できなくなります。現在は売り手市場と呼ばれるほど、人材の確保が難しい時代です。厚生労働省が発表した2023年の有効求人倍率は平均1.31倍となっています。
売り手市場では求職者の選択肢が広がるため、優秀な人材であれば、何件ものオファーが舞い込むこともあるでしょう。このような状況下で企業が求める人材を獲得していくためには、採用力を高めることが重要となります。
[出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について」]
採用活動の課題
従来の採用活動は求人広告をメディアに掲載し、応募を募るというマスマーケティングが主流でした。しかし、時代の変化によって従来のスタイルの維持が難しくなっています。ここからは、採用活動で企業が抱えがちな2つの課題について詳しく見ていきましょう。
母集団を形成できない
日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年にピークに達し、それ以降減少傾向にあります。つまり、採用市場の人材の総数が年々減ってきているのです。
また、デジタルの普及による広告接触数の増加や価値観の多様化によって、マスメディアで応募を集めるという母集団の形成が難しくなっています。
母集団を形成できなければ、採用につながらずコストをかけて求人を再掲載しなくてはなりません。その結果、採用コストがふくれ上がってしまうことも考えられます。
採用活動にコストやリソースを割けない
母集団の形成ができない企業は、求職者に対して自社の魅力を能動的に伝えていく必要があります。
しかし、採用活動を担当する人事部は育成・評価・異動など、人材に関する幅広い業務を兼務しており、採用活動に割けるリソースは決して多くありません。そのため、どうしても採用活動の質が低くなりがちです。
一方で、人材紹介サービスや採用代行(RPO)といった専門業者に依頼した場合、コストが肥大化するだけでなく、自社の採用力を向上させるのは難しいでしょう。
これらのことから、企業の人事部は優秀な人材を獲得するためのノウハウが蓄積しにくいといえます。
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採用力が高い企業の特徴
採用力が高い企業には、いくつかの共通点があります。ここでは、採用力が高い企業の特徴を紹介します。
採用したい人材が明確である
採用力の高い企業は求める人物像が明確化され、現場と人事の認識が共通化できています。逆に人物像の認識にズレが生じると、現場責任者と人事担当者の判断基準が異なってしまい、候補者の選考で誤った評価をしやすくなります。
このズレを予防するためには、現場が求めるスキルやカルチャーにフィットする人材と、経営戦略において配置すべき人材の目線合わせが不可欠です。
だからこそ、現場がなぜ人材を求めているのかという背景を理解し、経営戦略を加味しながら求める人物像を明らかにしていく必要があります。
自社にあった採用手法を選んでいる
採用チャネルが多様化した現在では、求職者に対して自社の魅力を伝える選択肢は1つではありません。採用手法の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 求人広告
- 合同企業説明会
- 人材紹介サービス
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- アルムナイ採用
求職者とのコミュニケーションで重要なのは、誰がどのように魅力を伝えるのかという点です。採用チャネルを選定する際は、コスト面だけでなく自社の魅力がより伝わりやすいものを見極めましょう。
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自社の魅力や強みをアピールできている
採用市場では、同じポジションを募集するあらゆる企業が競合になります。そのため、求職者に選ばれるためには、自社ならではの魅力・強みの言語化が欠かせません。
これは労働条件や福利厚生など他社との比較が容易なものだけでなく、競争優位性の源泉やキャリアプランなどを踏まえて、求職者に提供できる価値に変換することが大切です。
採用活動にスピード感がある
求職者は一般的に就職活動の必要性が高まっているため、待機時間の長さがマイナスに働く可能性が高いです。加えて複数の企業に併願するケースが増えていることから、求職者は選考が早い企業に対して好印象を抱きやすくなります。
したがって、書類選考や面接の結果、内定通知の対応が素早い企業は、採用力が高くなりやすいといえるでしょう。
入社後に人材が活躍・定着している
求める人物像の目線合わせができており、求職者に伝えた自社の魅力・強みと現場のギャップが少ないほど、ミスマッチの発生率は下がります。
この結果、人材の早期離職を防ぐことにつながり、採用した人材が活躍・定着しやすくなるのです。
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採用力が低い企業の特徴
ここからは、採用力が低い企業に共通する特徴を見ていきましょう。
採用戦略の明確化ができていない
採用したい人物像や育成方法、採用チャネルの選定など採用に関わる戦略が明確でないことが採用力の低さに大きく関係しています。これらについての計画が不明瞭な場合、ただ人材を集めるだけになってしまうでしょう。その結果、企業が求める人材を確保できず、ミスマッチによる早期退職にもつながります。
採用リソースが不足している
採用活動では戦略策定だけでなく、求人票の作成や採用広報、書類選考や面接対応など、幅広い業務が発生します。
一方で、これらの業務に対して適切にリソースを割けない企業もいるでしょう。その場合、業務の品質が落ちるだけでなく、特定の業務が取り組まれていないケースも起こり得ます。
しかし、競争が激化する昨今の採用活動は、リソースが不足している状態で求める人材が確保できるほど簡単ではありません。したがって、社内体制の強化やアウトソーシングの活用などを検討し、リソース不足を解決することが大切です。
採用する人材に求める要件が高い
採用力が低い企業は、採用市場にどのような人材がいるのかを把握できておらず、結果として人材への要求値が過度に上がってしまうことがあります。高い基準をクリアできる優秀な人材は、そもそも採用市場における需要が高く、採用するのが困難です。そのため、求める人材の理想を高くしすぎると、長期間採用活動を行っても人材を確保できないということになりかねません。
現場と採用担当の連携ができていない
現場とのコミュニケーションが適切に取れていないと、求める人物像に乖離が生じたまま採用活動が進んでしまい、現場が求めていない人材を採用してしまうことになりかねません。
また、せっかく人材を確保できたとしても、入社後に仕事内容や職場の雰囲気に適応できず早期離職を起こすリスクもあります。このような状況では、会社と求職者の双方が不利益を被ることになるでしょう。
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採用力を強化する方法・優秀な人材を確保するポイント
採用力を強化し優秀な人材を確保するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、採用力の向上を目指す上で重要なポイントを6つ紹介します。
求める人材像と採用戦略を明確にする
採用活動において大切なのは、現場と人事が求める人物像の認識を共通化し、人材の採用に向けた戦略を明確化することです。
求める人物像を適切に言語化するためには、勤めた会社や募集ポジションの経験年数などの概要情報ではなく、より具体的な条件に落とし込む必要があります。
- 任せたいポジションに不可欠なテクニカルスキル(専門性)
- 業務遂行の基盤となるリテラシー(語学力・ITスキルなど)
- ポータブルスキル(自分力・対人力・対課題力)の優先順位
- 組織が大切にしているマインドセット
- ポテンシャルの判断材料となる潜在力(資格・学力など)
これらを把握することで、現場が求める人物像との認識のズレを防ぎやすくなるでしょう。
自社の情報を適切に公開する
求める人材を確保するには、自社の情報を適切に公開する必要があります。仕事内容や給与、労働条件や福利厚生など求職者が知りたいと思うような情報はすべて記載しましょう。また、求人広告やホームページに記載されている情報が古かったり、間違った内容が記載されている場合、求職者が不信感を抱くことも考えられます。こまめに確認しながら最新情報になるよう更新することが大切です。
適した採用方法を選ぶ
採用方法の選定において重要なのは、自社の魅力の伝えやすさと求める人材との出会いやすさを両立することです。
自社の魅力を最も伝えやすい採用チャネルを選んだとしても、求める人材と出会える機会が少なければ採用活動は長期化し、その分労力がかかります。したがって、特定の採用チャネルを使い倒すのではなく、人材要件に応じて適切な採用チャネルを選定することを心がけましょう。
内定・採用後のフォロー体制を整える
求職者が複数の企業から内定をもらうケースも珍しくありません。内定を通知して安堵していると、求職者から内定辞退の連絡が入ることもあるでしょう。
そのため、内定通知後も求職者と密にコミュニケーションを取り、入社前後の不安を解消していくことが大切です。
労働条件・労働環境を見直す
求職者が自社の募集情報を発見する確率を高めるうえで、労働条件や労働環境の見直しは効果的です。収入や休日、福利厚生などが競合他社と比べて優れていれば、求職者の候補に入りやすいでしょう。
ただし、実態と異なる内容の記載や曖昧な表現は予期せぬトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
面接担当者のスキルを向上させる
求職者を口説き落とす力を高めるためには、面接担当者のスキル向上が不可欠です。面接官には主に傾聴力や質問力、表現力の3つのスキルが求められます。
これらのスキルを高めるためには、求職者理解を高めるための採用ツールの導入や、外部研修の受講を検討すると良いでしょう。
▷採用プロセスとは?設計する方法や課題・改善に向けたポイントを解説
採用力を強化し優秀な人材を確保しよう
少子高齢化による人手不足が深刻化する日本において、採用力の強化は企業の存続にも重大な影響を与えます。
一方で、採用活動はノウハウが溜まりにくく、なかなか再現性のある成功体験が得られないこともあるでしょう。本記事を参考に自社の採用活動を見直し、優秀な人材を確保するための取り組みを推進していきましょう。
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