稟議書を電子化する方法|メリット・デメリットや注意点、おすすめのシステム

2024/05/29 2024/05/29

ワークフローシステム

稟議書の電子化

稟議書の電子化は、これまで紙の文書を回覧することで行っていた稟議・決裁で生じる課題が解決でき、業務効率化が進むとして、導入する企業が増えています。本記事では、稟議書を電子化する方法について、電子化するメリット・デメリットや注意点、おすすめのシステムなどを解説します。

稟議書とは?

稟議書は、企業や組織内での意思決定を行う際に用いられる公式文書です。

稟議の内容はさまざまで、新しいプロジェクトの提案や予算の申請など、自身には決定権のない重要事項の承認を上層部に求める場面で使用されます。稟議書を通じて、重要な意思決定が特定の個人の裁量だけに任されることがなくなるため、企業内の透明性が保たれ、計画的かつ効率的な意思決定が行えるのです。

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稟議書の電子化とは?

稟議書の電子化とは、従来紙ベースで行われていた稟議書の作成、提出、承認のプロセスをデジタル化することです。具体的には、エクセルやワードなどのソフトを使用して稟議書を作成し、メールや企業内の共有システムを通じて関係者に送信する方法や、専用のワークフローシステムを利用する方法があります。

文書が迅速に配付され、どこからでもアクセスして内容を確認し、承認を進められるようになる点が特徴です。稟議書の電子化は、稟議の共有スピードを速めるだけでなく、保管や管理の効率化にもつながるため、稟議プロセス全体の業務効率化が望めます。

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稟議書の電子化が進んでいる背景・後押しする法律

日本国内での人手不足問題の解決策として、政府は効率的な働き方を推進するためにデータの電子化を推奨しています。特にこの動きを強力に後押ししているのが、2022年1月に施行された「改正電子帳簿保存法」、通称「電帳法」です。

電帳法は、国税関連の文書を中心に、受領した電子データの原則的な電子保存と、紙への出力禁止を規定しています。稟議書は直接的にはこの法律の対象外ですが、決裁履歴の確認のため一定期間の保存が望ましいとされる点は同じです。このようなペーパーレス化の推進とともに、インターネットや各種システムの普及によって、稟議書の電子化も一層進んでいるのです。

紙の稟議書の課題

紙の稟議書にはいくつかの課題があり、企業の効率性やセキュリティに影響を及ぼす可能性があります。紙ベースによる課題について見ていきましょう。

稟議書の作成に手間・時間がかかる

紙の稟議書の作成には、必要な項目の記入から修正まで多くの手間と時間がかかります。稟議申請のプロセスで、記入漏れや記載の誤りなどが見つかった場合には、文書が差し戻しされるため、書類の作成・印刷、回覧を、もう一度行わなければなりません。

そのため、稟議のプロセスが複雑になる「大規模(重要)な事項」ほど、稟議書の作成及び承認には、手間と時間がかかることになります。

稟議の進捗状況が把握しにくい

紙ベースの稟議書は、回覧によって各決裁者の承認を得ることになります。そのため、稟議書が現在どの決裁者の手元にあるのか、の進捗状況が把握しにくいという問題があります。

決裁者は主に管理職や経営層であることがほとんどのため、外出や会議による離席も多く、稟議がスムーズに進まないことも少なくありません。リアルタイムでの状況把握のしにくさは、至急の決裁が必要な案件ほど、「今、誰の手元で止まっているのか」、「誰に早急な確認依頼すべきなのか」など、探し回る手間が増えてしまうことになります。

稟議書を保管するスペースが必要

紙の稟議書および添付する関連資料を保管するには大量の物理的スペースが必要です。特に文書量が多い大企業では、相応のスペースが必要となり、別途保管スペースを借りたり、保管サービスなどを利用するのが一般的です。

これらは、すべて電子化することで解消できるコストでもあるため、資源の無駄遣いにつながることもあるでしょう。

過去の稟議書を探すのに手間がかかる

稟議書は、法律でこそ「保存期間」は定められていませんが、決裁の履歴や詳細を確認するための資料となることから、「永年保存」とする企業も少なくありません。

そのため、過去の稟議書を参照する際、紙の文書では膨大な文書の中から、特定の書類を探し出すことになります。必要な書類を見つけるために、多くの時間と労力が費やされることになるのです。

書類紛失・情報漏洩リスクがある

紙の文書管理が不十分な場合、書類の紛失や情報漏洩のリスクが伴います。情報管理は企業の信用問題に直結するため、高いセキュリティ対策が求められますが、紙である限り、手作業での整理・管理となるため、ヒューマンエラーによるトラブルは避けられなくなってしまいます。

稟議書を電子化する方法

稟議書の電子化は、業務の効率を大幅に向上させる手段です。紙の文書からデジタル化することで、情報のアクセス性と管理のしやすさが改善されます。ここでは、その具体的な方法について解説します。

電子ファイルを作成し共有する

最も手軽な電子化の方法は、エクセルやワードで稟議書を作成し、メールで回覧・共有することです。電子ファイルなので印刷の手間がかからず、すぐに編集できます。

エクセルやワードは、ほとんどの職場ですでに使われているソフトのため、導入の敷居が低いという利点も魅力です。ただし、ファイルの行き違いやバージョン管理が難しいなど、課題も残されている点に留意しましょう。

グループウェアや業務管理システムの稟議機能を活用する

グループウェアや経費精算システム、販売管理システムに搭載された稟議申請の機能を活用するのもおすすめです。

新規のシステム導入は不要、かつ、すでに使用しているシステムであれば、学習コストも抑えられます。ただし、あくまで「付随する機能」となるため、経費精算に特化した稟議申請の機能になっているなど、使い勝手や汎用性で不十分な場合もあります。

ワークフローシステムを導入する

稟議業務の本格的な電子化を図りたい場合は、稟議申請・承認に特化した専用のワークフローシステムを新規導入するのがおすすめです。

ワークフローシステムでは、申請内容によって、複数の承認ルートが設定でき、承認が必要な稟議が申請された際には、自動で決裁者に通知が届くなど、稟議フローをスムーズにするための各種機能が搭載されています。添付資料の共有はもちろん、Web上で承認作業ができるため、外出により決裁が滞ってしまうリスクの解消にも役立つでしょう。

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稟議書を電子化するメリット

稟議書の電子化は、効率化だけでなく、企業運営の質の向上にもつながるメリットがあります。ここでは、その具体的な利点を紹介します。

意思決定スピードがあがる

稟議書を電子化すると、文書の物理的な回覧が不要なうえ、外出先や移動中でもスマホやタブレットを通じて申請や承認が可能です。そのため、意思決定のスピードが格段にあがり業務の迅速化が図れるだけでなく、緊急時の対応力を高めることにもつながります。

書類紛失・改ざん・情報漏洩の防止など内部統制を強化できる

電子化することで稟議書を紛失したり、改ざんされたりするリスクも著しく低減されます。稟議の閲覧もオンライン上でアクセス権を管理できるため、情報漏洩の防止にも効果的です。企業の内部統制が強化され、信頼性の高い運営が可能になるでしょう。

働き方の多様化を推進できる

稟議書の電子化を図ることで、場所を問わずに稟議の申請や承認、過去の稟議書の確認が可能になるため、テレワークなどの柔軟な働き方の導入を促進します。

従業員のワークライフバランスが向上すると同時に、在宅勤務者や出張者も、常にシステムにアクセスできれば、生産性の向上も期待できるでしょう。

申請・承認フローを可視化できる

ワークフローシステムは稟議の承認ルートが明確になっているため、申請・承認フローを可視化でき、各申請の進捗状況をリアルタイムで確認することが可能です。業務の透明性を高めるだけでなく、処理遅延の原因を特定しやすくする効果もあります。

稟議書の作成・保管にかかる費用を削減できる

稟議書の作成・管理にかかる、紙代・印刷代や保管スペース代は、電子化によって削減できます。デジタルデータの保管は、物理的スペースを要することなく、大量の文書を効率的に管理することが可能です。そのため、コスト削減だけでなく、オフィスの利用効率も向上します。

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稟議書を電子化するデメリット

稟議書を電子化する際には、いくつかのデメリットも存在します。これらの課題について理解し、事前に対策を講じることが重要です。

承認ルールの見直しが必要

稟議書を電子化すると、従来の紙ベースの承認ルールを見直す必要が生じます。現状のルールで対応できない問題点を洗い出す作業のほか、電子化に伴い、誤承認の防止やセキュリティの確保など、新たなルール設定が求められるため、多大な時間と労力がかかるでしょう。

ワークフローシステムの導入・運用に費用がかかる

ワークフローシステムを導入することは、稟議書の電子化において大きな利点をもたらしますが、その導入や維持には費用が伴います。システムのアップグレードや機能追加による追加費用が高額な場合もあり、特に、小規模企業にとって大きな負担となることがあるため注意が必要です。

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稟議書を電子化する際の注意点

稟議書を電子化することには多くのメリットがありますが、いくつかの注意点も理解しておかなくてはなりません。ここでは、その重要なポイントをご紹介します。

電子化の方法によっては、別の手間が増えることもある

エクセルやワードを使って稟議書を電子化し、メールで回覧や承認を得る方法は一見簡単に思えますが、メール送信の手間が増えることや、進捗状況の確認しにくさは改善されないという問題があります。つまり、「電子化」するだけで、すべての課題が解決されるわけではありません。効率的なシステム選びと運用方法の検討が不可欠です。

すべての稟議書が電子化に向いているわけではない

稟議書の中には図や表が多く含まれているものがあり、このような内容を電子化すると、オンライン上で見づらくなってしまうケースもあります。したがって、どの稟議を電子化するか、またその方法をどう選ぶかは柔軟かつ慎重に検討し、臨機応変に対応しなければなりません。

既存のフォーマット・承認ルールに合ったシステムを導入する

ワークフローシステムはその機能が製品によって異なります。既存のフォーマットや自社の承認ルールに合ったシステムを選ぶことが重要です。無料システムも魅力的ですが、機能の制限により企業の要求を十分に満たせないこともあるので注意しましょう。

電子化の必要性を社内へ周知する

稟議書の電子化には、一定のパソコンスキルやITリテラシーが不可欠です。紙ベースの処理に慣れている世代にとっては、電子化に抵抗感を持つこともあります。スムーズに移行するためにも、電子化のメリットや必要性をしっかりと社内に周知し、理解を得るための努力が必要です。

稟議書の電子化におすすめのシステム

稟議書の電子化を効率的に進めるためには、適切なシステムの選定が重要です。ここでは、特におすすめのシステムをいくつかご紹介します。

X-point Cloud

X-point Cloudは、紙のような帳票デザインで直感的に操作しやすいことから、高い国内シェアを誇っている稟議書電子化システムです。クラウドベースで提供されるため、どこからでもアクセスが可能であり、多様な業務ニーズに応じた設定ができます。また、セキュリティ面にも力を入れており、企業の情報管理をしっかりと支援します。

提供元株式会社エイトレッド
初期費用無料
料金プラン
  • スタンダード:550円(税込)/月/ユーザー
  • プリペイド:522円(税込)/年/ユーザー数×12
導入企業数4,500社以上(※2024年04月時点)
機能・特徴誰でも直感的に使える、システム管理者・未経験者でも構築・運用が可能、グループウェアをはじめ、クラウドサービスなどの外部システムと連携が可能、多彩な検索機能と集計機能で書類を簡単に参照・抽出、スマホアプリ対応、充実のサポート体制ほか
URL公式サイト

楽々WorkflowII

楽々WorkflowIIは、専門的なスキルがなくても申請フォームや承認フローを簡単に設定できるワークフローシステムです。柔軟な経路設定が可能で、部門をまたがる複雑なワークフローにも対応できます。組織の大小に関わらず効率的な稟議処理を支える、豊富な機能が特長です。

提供元住友電工情報システム株式会社
初期費用

    オンプレミス版

  • 楽々WorkflowII 基本ライセンス:275万円(税込)~

    クラウド版

  • 楽々WorkflowII Cloud:55,000円(税込)
  • 楽々WorkflowII Cloud環境契約:要問い合わせ
料金プランクラウド版
  • 楽々WorkflowII Cloud:基本料金:11,000円(税込)/月、1ユーザー料金:550円(税込)
  • 楽々WorkflowII Cloud環境契約:要問い合わせ
導入企業数900社以上(※2024年04月時点)
機能・特徴入力/表示フォーム、ワークフロー制御、文書管理、ユーザー・組織管理、グローバル対応、帳票出力、運用、システム連携ほか
URL公式サイト

kickflow

kickflowは、ITreview Grit Award 2024 Spring ワークフロー部門において受賞した、ユーザーの満足度の高いクラウドワークフローシステムです。迷わず使いやすいインターフェースと、シンプルながら多数の機能を備えています。また、外部システムとの柔軟な連携が可能です。組織改編にも強く、承認経路の変更や複雑なフローにも容易に対応できます。

提供元株式会社kickflow
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴組織・ユーザー管理、フォーム開発、高度なフォーム開発、チャット連携・通知、複雑な承認フロー、申請・承認、検索・抽出、セキュリティ、API/webhook、システム運用支援ほか
URL公式サイト

自社に合ったシステムを導入し稟議書の電子化を進めよう

稟議書の電子化を進めることで、業務効率は大幅に向上します。自社のニーズに合ったシステムであれば、文書の承認が迅速になり、情報漏洩のリスクを低減することが可能です。機能、操作のしやすさ、コストを考慮して選択し、自社に最適なシステムを導入することで、よりスムーズな稟議プロセスを実現できるでしょう。

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