予算管理に欠かせない差異分析とは?実施方法やよくある失敗を解説

最終更新日時:2023/02/17

予算管理システム

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予算管理に欠かせない差異分析ですが、具体的にどう比較して良いかわからない企業担当の方もいるでしょう。この記事では予算管理の再分析の概要や分析方法、起こりがちな失敗と解決策をご説明します。さらに、差異分析に長けた予算管理システムも5つご紹介します。

予算管理の最重要要素「差異分析」とは

予算管理の最重要要素「差異分析」とは、予算と実績を比較し差額を算出し、経営における課題とその改善策を分析する手法です。予算管理を構成するプロセスのひとつでもあります。

企業全体もしくは部門別でおこなわれることが多く、部門ごとの差異分析は、企業全体でおこなうのに比べて分析箇所が細分化されるため、より精度の高い分析が可能です。

予算管理の差異分析を行う3つの方法

予算管理の差異分析を行う3つの方法について解説します。

  • 実利益と予算履歴を比較する(単純比較)
  • 収益と原価の予算との差異を分析する
  • KPIと実績を比較する

(1)実利益と予算履歴を比較する(単純比較)

実利益と予算履歴を比較する(単純比較)方法があります。この方法は「単純比較」と呼ばれ、「予算-実利益=差異」という簡単な計算式で算出できるため、多くの企業で活用されています。

ただ、差異が大きい場合、何が原因となっているのかを分析しにくいというデメリットがあります。細分化した分析をおこないたいのであれば、収益項目や原価項目などに分けて差異を算出する方法がおすすめです。

(2)収益と原価の予算との差異を分析する

収益と原価の予算との差異を分析する方法です。

収益項目では、当初計画していた売上高と実際の売上高を比較して、「売上高」の差異について分析します。売上高の差異は「実際の売上高-計画していた売上高」で算出可能です。売上高は「販売数量×販売価格」で算出でき、計画時点の数値と実際の数値でそれぞれ算出する必要があります。

原価項目では、当初計画していたコストと実際にかかったコストを比較して、「コスト」の差異について分析します。コストの差異は「実際にかかったコスト-計画していたコスト」で算出可能です。

コストは「数量×単位あたりにかかったコスト」で算出でき、売上高と同様に計画時点の数値と実際の数値でそれぞれ算出しましょう。このように、各項目に分けて差異を分析することで、原因を明らかにしやすくなるため、より具体的な課題や改善策につながります。

(3)KPIと実績を比較する

KPIと実績を比較する方法があります。そもそもKPIとは「重要業績評価指標」のことで、目標の達成度を計測するために設定する独自の指標です。KPIの具体例としては、以下が挙げられます。

  • 新規顧客獲得数
  • リピート率
  • 商談数
  • 平均受注単価
  • PV数
  • 直帰率

上記以外にも業種によって異なるさまざまなKPIがあり、自社の事業や戦略に合わせて最適な設定をすることが大切です。自社にとって重要な指標であるKPIを用いて差異分析をおこなうことで、より効果的な経営改善が期待できるでしょう。

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予算管理の差異分析で起こりがちな失敗

予算管理の差異分析で起こりがちな失敗とはなにか、その失敗例を3つご紹介します。

  • 入力するデータが正確でなく正しい分析ができない
  • 分析が遅くタイムリーに分析や差異が確認できない
  • 分析した結果を活かせていない

(1)入力するデータが正確でなく正しい分析ができない

入力するデータが正確でなく正しい分析ができないことが挙げられます。入力ミスに気づかず、誤ったデータをもとに改善をおこなったとしても、的外れな戦略となっていまいます。

このように、入力する数値の正確性は非常に重要です。手入力で差異分析をおこなっている場合は、入力ミスが起こることを前提として捉え、正確なデータが入力できているかを確認しましょう。

(2)分析が遅くタイムリーに分析や差異が確認できない

分析が遅くタイムリーに分析や差異が確認できないことも、起こりがちな失敗のひとつです。差異分析をエクセルやスプレッドシートなどでおこなっている場合、数式や数値の入力に時間がかかるため、分析そのものがスピード感に欠けています。

差異分析の目的は、差異の原因を究明し、改善策や次回の戦略立案に役立てることです。しかし、リアルタイムで分析ができなければ、経営方針の転換にも遅れが生じてしまうでしょう。

また、エクセルやスプレッドシートでの差異分析では、数値の入力が負担となり、分析までできないという課題も挙げられます。「いつのまにか数値の入力が目的になっていた」というケースも珍しくありません。

(3)分析した結果を活かせていない

分析した結果を活かせていない失敗例もみかけます。差異分析は、あくまでも分析結果を課題発見や改善策立案に役立てることで、効果を生み出します。つまり、差異分析をおこなっただけでは、何の効果も得られないということです。

そのため、差異分析をしたのであれば、結果をもとに改善策や戦略を導き出すなど、差異分析を活かせるようにしましょう。

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予算管理の差異分析を正確に行うポイント

予算管理の差異分析を正確に行うポイントを3つ紹介します。

  • 週次・月次など期間を決めて定期的に比較する
  • 入力するデータの正確性をチェックする
  • 比較結果に基づいて改善点や経営方針を柔軟に変更する

(1)週次・月次など期間を決めて定期的に比較する

差異分析は定期的におこなうことで、損失を生み出している原因をいち早く発見し改善につなげられます。そのため、週次もしくは月次などの期間をあらかじめ決めておき、一定のペースで差異分析をしましょう。多くの企業では月次で差異分析をおこなっていることが多いようです。

(2)入力するデータの正確性をチェックする

入力するデータの正確性をチェックするようにしましょう。誤ったデータで分析をおこなっても、的外れな改善策や戦略につながってしまいます。

とくに、エクセルやスプレッドシートなどにデータを手入力している場合、入力ミスは起こるものとして捉え、分析前にデータの正確性について確認することが大切です。

(3)比較結果に基づいて改善点や経営方針を柔軟に変更する

比較結果に基づいて改善点や経営方針を柔軟に変更するようにします。予算と実績の差異を算出するだけでなく、過去の差異分析データとも比較しながら総合的な判断をすることが大切です。

たとえば、3か月連続で同じ項目が大幅に達成できていないとなれば、そもそもの計画を見直す必要があるかもしれません。また、3か月間改善がみられないということは、実施した改善策にも課題があると判断できます。

このように、差異分析では予算と実績の差異だけでなく過去データとも比較し、必要に応じて実施する改善策や経営方針を柔軟に変更することが大切です。

予算管理の差異分析の実施手法とは

予算管理の差異分析の実施手法とは何があるのでしょうか。ここでは、2つの実施手法を紹介します。

  • エクセルで予算管理と比較を行う
  • 予算管理システムで差異分析を自動で行う

(1)エクセルで予算管理と比較を行う

エクセルで予算管理と比較を行うことが可能です。予算管理や差異分析を小規模でおこなう場合や、扱う数値項目が少ない場合に使用ができます。数式を活用すれば、予算と実績の数値を入力するだけで差異を算出してくれます。エクセルでは項目を自由に設定できるため、自社仕様の予算管理シートを作成するとよいでしょう。

一から数式を入力したり、枠を作成したりすることが「難しい」「面倒だ」という方は、エクセル既存のテンプレートや、インターネット上にアップロードされている無料テンプレートなどの活用がおすすめです。

(2)予算管理システムで差異分析を自動で行う

予算管理システムで差異分析を自動で行うことが挙げられます。予算管理や差異分析の規模が大きくなると、エクセルやスプレッドシートでの管理は非効率かつ困難であるため、予算管理システムの導入をおすすめします。

予算管理システムには、差異分析以外にも予算管理に必要な機能が豊富に備わっているため、予算管理業務において多くのメリットをもたらすでしょう。

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差異分析を行うなら予算管理システムがおすすめ!そのメリット

正確かつ精度の高い差異分析を行いたい場合は、予算管理システムの活用がおすすめです。予算管理システムを導入・活用するメリットを3つご紹介します。

  • (1)予算編成からフィードバックまでを効率化できる
  • (2)データ取り込みが可能でエクセルより作業負担が低い
  • (3)分析を自動で行えるため差異分析が効率化する

(1)予算編成からフィードバックまでを効率化できる

予算管理システムには予算編成機能が備わっているため、予算編成における業務効率化が実現します。手作業の予算編成には、各部門からのデータ収集、エクセルへの入力など、莫大な作業負担がともないます。

しかし、予算管理システムは各部門とデータ連携をすることにより、システム内へ自動的にデータが集約され、手入力する必要もありません。また、システムを通じて予算を確認できるため、予算編成に関するフィードバックもシステム上でおこなえます。

このように、予算管理システムの導入により、効率的な予算編成・フィードバックが可能となります。

(2)データ取り込みが可能でエクセルより作業負担が低い

各部門が保有するデータ・過去のデータ・銀行データなど、予算管理システムではさまざまなデータの自動取り込みが可能です。たとえば、エクセルの場合、銀行のデータを確認しながら手入力する必要があり、莫大なデータをすべて入力するには多くの時間を割いていました。

しかし、予算管理システムではデータの自動取り込みが可能なため、入力せずとも正確なデータが記録されます。そのため、エクセルと比較すると、予算管理システムは業務効率が段違いであると判断できます。

(3)分析を自動で行えるため差異分析が効率化する

予算管理システムでは、成果を入力するごとにデータがリアルタイム反映されるため、タイムリーな差異分析が可能です。また、予算編成後は常に最新のデータをもとにした差異分析を自動でおこなってくれます。予算編成後も進捗を確認できるため、いち早く課題を発見することもできるでしょう。

このように、予算管理システムでは、週次や月次で実績を入力したタイミングだけでなく、常に予実差異を算出してくれています。そのため、効率的かつ精度の高い差異分析が実現するでしょう。

効率的に差異分析を行うための予算管理システム

効率的に差異分析を行うための予算管理システムを5つ紹介します。

  • YoJiTSU
  • CCH Tagetik
  • Board
  • Workday Adaptive Planning
  • Jedox

(1)YoJiTSU

YoJiTSUは、すべての会計ソフトと連動するため、すでに導入している会計ソフトはそのままで始められる予算管理システムです。経営の現状と目標との差異を見える化することで、効率的な差異分析を実現します。

また、同ツールでは借入金の返済に必要な利益から逆算して目標予算を自動生成するため、スムーズな予算決定につながるでしょう。

提供元株式会社シスプラ
初期費用要問い合わせ
料金プラン5,500円(税込)/月
機能・特徴予算作成、YOJiTSU成績表、予算見直し、摘要分析、売上細分化、資産繰予定表、STORY、月次報告書など
URL公式サイト

(2)CCH Tagetik

CCH Tagetikは、経営管理を高度化し、迅速な経営判断と企業価値の向上につなげる予算管理システムです。データ連動した財務・事業部門情報とデータ階層を駆使することで、深く掘り下げた収益性分析をおこなえます。

差異分析をはじめ、将来的なコスト・予測プランニングなど、事業の先行きを正確に予測する機能も備わっています。

提供元Wolters Kluwer N.V.
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
導入実績世界1,600社以上
機能・特徴予算編成、計画、フォーキャスト、サプライチェーン計画、キャッシュフロー計画と分析、ESGとサステナビリティ、パフォーマンス管理、決算、連結会計、リコンサイル管理、開示管理、コンプライアンス規制報告、高度アナリティクスとダッシュボードなど
URL公式サイト

(3)board

boardは、提供元であるヴェルク株式会社の経営者が、自らの経験をもとに設計した予算管理システムです。損益管理は案件単位で可視化できるなど、実際の業務や経営をしているからこその使いやすさや、細かい気配りが反映されています。

また、見積もりや受注などの更新があるごとに集計情報も更新され、最新の情報が保たれるため、手動で集計する手間がかかりません。

提供元ヴェルク株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン
  • Personal:1,078円(税込)/月
  • Basic:2,178円(税込)/月
  • Standard:4,378円(税込)/月
  • Premium:6,578円(税込)/月
導入実績4,400社以上
機能・特徴営業管理、見積作成、受注管理、発注管理、納品管理、請求管理、入金管理、支払管理、売上見込、案件ごとの損益管理、経営分析など
URL公式サイト

(4)Workday Adaptive Planning

Workday Adaptive Planningは、柔軟性に優れた予算管理システムです。ファイナンシャルプランニングから、ワークフォースプランニング・セールスプランニング・オペレーションプランニングまで、幅広く対応しています。

また、予実情報から差異レポートを作成できるため、差異レポートをもとに次回の戦略立案に役立てることができるでしょう。

提供元ワークデイ株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴予算編成と収益予測、分析とレポーティング、シナリオプランニング、ヘッドカウント、キャパシティプランニング、タレントプランニング、ワークフォースプランニング、ノルマプランニング、テリトリープランニング、営業キャパシティ、アナリティクスと収益予測、需要と共有のプランニング、プロジェクトプランニング、マーケティングプランニングなど
URL公式サイト

(5)Jedox

Jedoxは、多様化したデータの統合・分析・見える化を得意とする予算管理システムです。エクセルと似た操作感であるため、見慣れたインターフェースとなっています。

また、同ツールは自由度が高いため、自社仕様へとカスタマイズ可能です。差異分析以外にも自社に必要な機能をカスタマイズし、自社に最適な予算管理システムを構築しましょう。

提供元株式会社KSKアナリティクス
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴インメモリDB(データベース内蔵型)、自動配賦機能、データ連携機能(ETL機能)、データ加工機能、スケジュール機能、データ閲覧権限設定、データドリブン経営の実現、データの変更履歴、Jedox Excel アドインなど
URL公式サイト

差異分析を効率的かつ精度高く行いましょう!

差異分析は、損失の原因を突き止め、経営戦略の改善に効果的です。経営を進めるにあたって、差異は生じることが多く、そのときの対応が今後の売上や損失に大きく影響します。

そのため、差異分析を経営における課題の発見や、改善策の立案につなげることが大切です。必要に応じて予算管理システムを導入・活用し、効率的かつ精度の高い差異分析をおこないましょう。

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ビズクロ編集部
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