会社経営に役立つ資格10選|難易度や取得する方法・メリット
会社を経営し成長・発展させるためにはさまざまな知識・スキルが必要です。起業を考えている人の中には、「経営者に資格は必要なのか」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、会社経営に役立つ難易度別の資格10選を、取得する方法とあわせて解説します。
目次
そもそも会社経営に資格は必要なのか?
会社経営をするために、特に資格は必要ないため、資格なしで起業して成功を収めた経営者も多くいます。
一方で、資格を取得しておけば企業経営において有利に働きます。資格は自身が専門知識やスキルを保有している証明となるため、取引先や従業員からの信頼を得られやすくなるでしょう。
また、資格の勉強で得た知識により、自身のスキルアップも期待できます。経営や財務、法律などの知識を保有していれば、根拠を持った経営判断が可能になるでしょう。
▷経営者になるにはどうすべき?勉強方法や資格・成功するためのポイント
【低難易度】会社経営に役立つ資格4選
ここでは、会社経営に役立つ資格のうち、低難易度のものを4つ紹介します。
1.ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、法務部門・営業・販売・総務・人事など、さまざまな職種で必要となる法律知識を網羅した資格です。企業活動における主要な分野を幅広くカバーしているので、業種を問わず役に立ちます。
3級はビジネスパーソンとして最低限知っておくべき法律実務基礎知識、2級は企業活動の実務経験がある知識レベルの高い方向けです。さらに、1級はビジネス全般で必要な法務知識と高度な実務的対応能力を持つ方向けで、難易度も一気に上がります。
試験時期 | 1級:12月 2・3級:6〜7月、10〜11月 |
受験資格 | 特になし |
受験料 | ◼︎IBT方式
◼︎CBT方式
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合格率 |
※2022年度合計 |
2.マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定とは、幅広い業種で共通するマーケティング知識を判定できる資格です。理論だけではなく実務知識や時事情報、実務事例などをカバーしています。
営業職や販売職にも対応しており、大学などのマーケティング科目の基本テキストとしても使える汎用性の高い資格です。試験内容はオペレーションレベルのC級・B級、マネジメントレベル・戦略レベルのA級の3段階に分けられています。
試験時期 | 2月・6月・8月・11月 |
受験資格 | 特になし |
受験料 |
|
合格率 | 非公開 |
3.ビジネスマネジャー検定
ビジネスマネジャー検定は、管理職が身に付けておくべき基礎知識を習得できる資格です。大きく分けて、人と組織のマネジメント・業務のマネジメント・リスクのマネジメントの3つについて学習でき、業種・職種を問わずマネジメントに必要な知識を得られます。
試験内容は、公式テキストに記載されている基礎知識と時事問題が中心です。ビジネスの場で欠かせないマネジメント知識をカバーできます。
試験時期 | 6〜7月、10〜11月 |
受験資格 | 特になし |
受験料 | ◼︎IBT方式
◼︎CBT方式
|
合格率 | 39.1% ※2022年度合計 |
4.メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は健全な職場づくりにおいて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法について習得できる資格です。疾病の未然防止と健康増進を指す第一次予防に重点を置いており、産業保険だけではなく人事労務管理の観点も盛り込まれています。
コースは人事労務管理スタッフ・経営幹部向けのⅠ種・管理職向けのⅡ種・一般社員向けのⅢ種の3種類です。公開試験と団体個別試験の2種類の受験方法を設けており、会社全体で知識の取得を図ることもできます。
試験時期 | 公開試験
団体個別試験:任意の時期に設定可能 |
受験資格 | 特になし |
受験料 |
|
合格率 |
※2022年11月6日実施(第33回) |
▷メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは?難易度や合格率・仕事での活用方法
【中難易度】会社経営に役立つ資格5選
ここでは、会社経営に役立つ資格のうち、中難易度のものを5つ紹介します。
1.経営士
経営士は経営・生産・販売・人事・財務・情報といった分野に精通し、多くの経営コンサルタントが保有している資格です。経営管理に関する高度な専門知識を持ち、経営の効率化や業績向上、企業文化の創造・成熟化などに貢献できるスペシャリストの証明となります。
経営士は受験入会の他に、養成講座の受講や推薦制度による入会も認められています。
試験時期 |
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受験資格 | 大学卒業程度以上の学識と経営管理の実務経験を有し、独立専門職業人としての経営コンサルタント及び企業の経営など企業内の業務に携わっている方 |
受験料 | ◼︎受験料
◼︎入会証拠金
◼︎年会費
※受験料のほか、入会時に入会証拠金・年会費も発生 |
合格率 | 非公開 |
2.税理士
税理士は税の専門家として納税者のサポートを行い、申告納税制度を推進する専門家です。税理士試験は税理士になるために必要な学識や応用能力を持っているか判定する試験で、年に1度実施されています。
受験資格は学識・資格・職歴といった分野から定められており、いずれか1つを満たしていなければなりません。また、科目合格制で合格科目は生涯有効です。よって、1度に5科目すべてを受験する必要はなく、1科目ずつ受験しても構いません。
試験時期 | 8月上旬 |
受験資格 | 会計学に属する科目:特になし 税法に属する科目:学識・資格・職歴から定められた以下の要件のうち、1つでも満たしていること ◼︎学識
◼︎資格
◼︎職歴
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受験料 |
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合格率 | 10~20% |
3.中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営に関して助言・診断をする専門家のことです。中小企業診断士制度は、一定レベル以上のスキルを持った人材を登録し、中小企業が経営に関する助言・診断を依頼する人を選びやすくするために経済産業大臣によって登録されています。
試験は年に1度行われ、第1次試験・第2次試験ともに合格することが必要です。合格後は中小企業診断士として登録されます。
試験時期 | 第1次試験:8月 第2次試験:筆記試験日:10月/口述試験日:1月 |
受験資格 | 特になし ※合格後、未成年者などは中小企業診断士の登録を拒否される場合あり |
受験料 |
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合格率 |
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4.社会保険労務士
社会保険労務士とは、社会保険労務士法に基づいて認定された国家資格者のことです。
企業経営のなかでも人材に関する専門家であり、健全な事業の発達と労働者などへの福祉に関わる仕事をします。また、企業が労働・社会保険に関する法令を遵守するためのサポートも業務のうちです。
社会保険労務士試験は年に1度実施され、合格者は全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿に登録されます。
試験時期 | 8月 |
受験資格 | 以下のうち、いずれか1つを満たしていること ◼︎学歴
◼︎実務経験
◼︎試験合格
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受験料 |
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合格率 | 5.3% ※2022年度(第54回) |
5.日商簿記検定
簿記とは、日々の経営活動によるお金の流れを記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を明らかにするために必要な技能です。簿記を習得することで基本的な会計知識のほかにも経営管理や分析能力などが身に付くので、企業経営に役立てられます。
日商簿記検定では、求められるスキルレベルに合わせて1級・2級・3級が受験できます。特に、1級は合格すると税理士試験の受験資格が得られるため、公認会計士、税理士などの国家資格を取得を目指す方も多く受験する資格です。また、ビジネスパーソンが日常業務で使える知識を習得できる初級や原価計算初級などもネット受験できます。
試験時期 | 1級:6月、11月 2級・3級:2月、6月、11月 ※ネット試験は随時実施 |
受験資格 | 特になし |
受験料 |
※ネット試験でインターネット申込方式の場合手数料550円(税込)が追加 |
合格率 |
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【高難易度】会社経営に役立つ資格
ここでは、会社経営に役立つ資格のうち、高難易度の「公認会計士」を紹介します。
公認会計士
公認会計士は監査・会計の専門家です。法人への監査を主な業務とし、会計・税務・コンサルティングなども行っています。公認会計士の資格は監査業務を行える唯一の国家資格であり、難易度の高い資格です。
合格後は、3年以上の業務補助等の期間を経たのちに、一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務補習を受け、日本公認会計士協会による修了考査に合格すれば公認会計士になる資格が与えられます。
試験時期 |
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受験資格 | 特になし |
受験料 | 19,500円 |
合格率 | 7.7%(※2022年) |
経営における資格取得のメリット
資格を取得すると、会社経営にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。ここでは、経営における資格取得のメリットを3つ解説します。
経営に必要なスキル・知識を身に付けられる
経営に関する資格を取得することで、経営に必要なこれらの知識を身に付けられるのが大きなメリットです。さらに、資格を習得する過程で自身のスキルアップも見込めるでしょう。
また、企業経営を行ううえでは、専門スキルを持った人材を雇用するというやり方もあります。しかし、経営者自身が専門スキルを保有していることで、人材雇用のコストを抑えたり、現場社員との連携も撮りやすくなったりするでしょう。さらに、資格の取得が新たなビジネスチャンスを生むこともあります。
適切な経営判断を下せる
企業を経営する上で、経営者はさまざまな判断を下さなければなりません。根拠を持った適切な経営判断で組織全体を納得させるには、経営や財務、法律、マーケティングなどの幅広い知識が必要です。
資格を取得することで、企業経営に必要なさまざまな専門知識が習得でき、根拠を持った説得力のある説明ができるようになるため、社員も納得して業務に取り組めるようになるでしょう。
信頼関係の構築がしやすくなる
資格は、専門知識やスキルを保有している証明になります。よって、資格を保有していると取引先との信頼関係を構築しやすくなるでしょう。取引先との信頼関係を構築することで事業を軌道に乗せ、新たなビジネスチャンスにもつなげられます。
また、資格を持っていれば社員からの信頼も得られやすくなるでしょう。自身の判断に説得力が生まれ、組織力の向上にも期待できます。
経営に役立つ資格の取得方法
経営に役立つ資格はどのようにして取得すれば良いのでしょうか。最後に、経営に役立つ資格の勉強方法について解説します。
独学
市販のテキストを用いて独学する方法で、テキストの購入費用のみでコストを抑えられすぐに勉強を始められるのがメリットです。
ただし、1人で取り組むことになるので、コツコツと続けるのが苦手な方や誰かに教えてもらいながら学びたい方には向いていません。また、前提知識がない状態から始める場合は、初めからつまづいてしまい、挫折してしまう恐れもあるでしょう。
専門学校・スクール
資格取得のための専門学校・スクールに通う方法です。専門知識を持った講師による直接指導を受けながら資格取得に特化した情報が得られるため、本格的に資格を取得したい方におすすめです。
特に、公認会計士などの難関資格を取得したい方は専門学校・スクールに通うといいでしょう。挫折しやすい難関資格でも周囲の仲間と一緒に勉強を進めることで、モチベーションの維持もできます。
ただし、講義を受けられる時間が決まっているため、通学の時間が確保できない方には向いていません。一方で、夜間専用の専門学校もあるので、自身の生活や働き方とも相談して検討しましょう。
通信講座
送付されたテキストや映像講義などで学習を進める通信講座も取得方法の1つです。自分の都合のいい時間にコツコツ学習を進められます。また、スマートフォンなどを活用して移動中などのスキマ時間を活用できるのもメリットです。
通信講座は市販のテキストが少ない資格や独学では理解が難しい資格などに適した勉強方法です。テキストや教材が充実しているため、効率的に理解を深められるでしょう。また、つまづいた時の質問ができるサポートが付いていることも多く、誰かに教えてもらいつつ、1人で勉強を進められます。
ただし、通信講座は独学と比べると費用が多くかかります。コスト面も考慮しながら自分に合った勉強方法を選択しましょう。
資格を取得し会社経営に役立てよう
資格を保有することにより、経営判断をする上での指針になったり、新たなビジネスチャンスにつながったりするなど、多くのメリットを享受できるでしょう。
会社経営に役立つ資格は法務・財務・労務などの面から幅広くあります。自社に必要な資格を取得し、適切な会社の発展・成長につなげていきましょう。
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