ディドロ効果とは?具体例やマーケティングに活用するポイント

最終更新日時:2023/10/05

業務効率化・業務改善

ディドロ効果とは

人の行動心理をさす言葉、「ディドロ効果」。マーケティングにも活用される心理ですが、ディドロ効果とは具体的にどのような心理を表しているのでしょうか。ティドロ効果を活用したマーケティングの具体例や、活用する際のポイント・注意点を紹介します。

ディドロ効果とは?

ディドロ効果とは、消費者行動心理の一つで、新たに購入した高品質な製品やサービスによって新たな価値を得た時に、その価値に合わせて、自分の身の回りのものを一新あるいは統一したくなる消費者の行動心理を指します。

ディドロ効果は、消費者が自身の持ち物全体の一貫性や調和を保ちたいという欲求から生じます。新たに購入した高品質な製品は、消費者の所有物全体の中で異質な存在となり、それに対する違和感を解消するために他の製品も同じレベルに引き上げようという心理なのです。

ディドロ効果の由来とは?

ディドロ効果の名前は、18世紀のフランスで活躍した哲学者、ドゥニ・ディドロに由来します。

ドゥニ・ディドロは、ある日、友人から美しく高価なガウンを贈られました。そのガウンは、あまりにも美しく彼が所有する他の衣類や家具に比べて非常に高品質であったため、自分の持ち物をガウンに見合う美しく高品質なものへと統一したくなる衝動に駆られたのです。そして、実際に次々と買い換えたことで、借金を背負うまでになってしまったといいます。

ディドロはこのときの経験を「私の古いガウンを手放したことについての後悔」というエッセイに書き記しています。そのエッセイを目にしたカナダの文化人類学者グラント・マクラッケンが、新しいものを手にしたら、他のものも統一したくなる行動心理を「ディドロ効果」と命名したことで消費者行動の一つとして広く認知されるようになりました。

ディドロ効果をマーケティングに活用した具体例

ディドロ効果は、購買行動を促す心理であることから、マーケティングにも活用されています。

新しい価値や製品を消費者に提供することで、消費者はその製品と同じレベルの製品を求める可能性が高くなります。ここでは、ディドロ効果がマーケティングにどのように活用されているか、いくつかの具体例を見ていきましょう。

家具・インテリアの展示

家具・インテリアのショールームでは、リビングやダイニングなどが同一シリーズの家具で統一されています。これはブランドイメージのPR目的だけでなく、統一したくなるディドロ効果を狙った購買行動を促すマーケティングといえるでしょう。

スマートフォンゲーム

スマートフォンゲームなどのオンラインゲームでは、一例として、特別なアイテムやキャラクターを獲得するための課金を増やす仕組みとしてディドロ効果が使われています。

たとえば、5つの限定キャラを全て揃えるために、有料ガチャに課金し続けるのは、まさにディドロ効果による心理を活用した例となります。

ブランド品

同じブランドやメーカーで持ち物を揃えたくなる欲求は、多くの人が体験したことがあるものではないでしょうか。

たとえば、ブランドのバッグを購入すると、その後は、財布やパスケースなどの小物も同じブランドで揃えたくなる、などです。そのほか、アパレルショップでは、洋服やバッグなど、コーディネートされたマネキンによって商品が展示されています。これもディドロ効果をマーケティングに活用した具体例といえます。

ディドロ効果を最大化するマーケティング手法との組み合わせ

ディドロ効果は、他の心理現象やマーケティング手法と組み合わせることにより、消費者の購買意欲をより効果的に引き上げることが可能です。

ディドロ効果と組み合わせて使用することでマーケティングの効果を最大化する手法をいくつか紹介します。

ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果は、完了したタスクより、未完了のタスクの方が記憶に残る心理現象を意味し、漫画やドラマなど、「続きが気になる」のもツァイガルニク効果です。

これをディドロ効果と組み合わせることで、コレクションやシリーズ製品を全て手にいれるためのリピート購入を促すことができます。たとえば、オンラインゲームなどで、獲得済みのアイテムと、未獲得のアイテムを並列して表示させるデザインは、「未完了」の記憶と「完了」への欲求を同時に刺激するマーケティング手法といえます。

ツァイガルニック効果とは?事例やメリット・デメリット、ビジネスで活用する方法

アップセル

アップセルは、購入単価を上げるためのあらゆる取り組みを意味します。たとえば、パソコン販売でより高性能な製品を紹介する、あるいは、レストランなどでのお得なセットサービスなどがアップセルを狙ったマーケティング例といえるでしょう。

このアップセルにディドロ効果を活用することで、リピート購入や複数商品の購入を見込むことができます、具体的には、「こちらを購入したお客様に人気のアイテム」などのおすすめ表示は、アップセルを目的としてたディドロ効果の活用例です。

ディドロ効果を取り入れるポイント

ディドロ効果をマーケティング戦略に取り入れるためには、以下のいくつかのポイントを押さえることが重要です。これらは消費者の購買行動を刺激し、製品やサービスへの更なる関心を引き出すための要素となります。

商品をシリーズ化する

商品をシリーズとして設計し、販売することは、ディドロ効果を活用する上で効果的な手法です。ただし、シリーズ全てを揃えたくなる欲求を最大限に刺激するには、展示方法などの見せ方も重要となります。

ブランドを確立し魅力を高める

ブランドイメージの確立と魅力の向上は、消費者が同一ブランドの製品を追求する傾向を高めます。これはディドロ効果による、一つの製品を購入した消費者が他の製品も欲しくなるという行動をより引き出すためです。

ブランドイメージの強化や、ブランドの価値を高めるためのストーリーテリングは、この効果を最大限に引き出す手段となります。

初回購入ハードルを低くする

ディドロ効果は、まず最初の一歩となる商品やサービスの購入から始まります。そのため、初回の購入ハードルを低く設定することは、消費者が最初の購買行動を後押しし、ディドロ効果を引き起こす可能性を高めます。

具体例としては、特別割引や初回購入者限定のプロモーション製品のシリーズ化、ブランド魅力の強化などが挙げられるでしょう。

ディドロ効果をマーケティングに活用しよう

ディドロ効果は消費者の購買行動に影響を与える心理現象であり、製品のシリーズ化、ブランド魅力の強化など、適切にマーケティングへと活用することでリピーター獲得や消費者のファン化を促進することができます。

また、活用する際には、ツァイガルニク効果やアップセルなどの他の心理現象やマーケティング手法と組み合わせることで、効果を最大化することも可能です。ディドロ効果を理解し、適切にマーケティング戦略に取り入れることで、ぜひ売上の拡大を実現しましょう。

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