ストループ効果とは?具体例や注意点・マーケティングへの活用方法
ストレスの原因となる「ストループ効果」。人はストレスを感じると意欲が低下すると言われています。そのため、とくにマーケティングにおいてはストループ効果を発生させないことが重要です。本記事では、ストループ効果とはなにか、マーケティングへの活用方法などとあわせて解説します。
目次
ストループ効果とは?
ストループ効果とは、色から得られる情報と意味から得られる情報が干渉しあい、理解するまでに時間がかかる現象のことです。
たとえば、あらかじめ「書かれている文字の色を答えてください」と伝えておき、赤色のペンで書いた「青」という文字が赤色で見せたとしましょう。このとき、書かれている文字の内容と色が一致せず、答えるまでに時間がかかることをストループ効果といいます。
この現象は、1935年に心理学者ジョン・リドリー・ストループによって初めて報告されました。
ストループ効果の具体例とは?
ストループ効果とは、色と文字の内容が一致しない時に起こるのが特徴です。この現象は、日常生活のさまざまな場面で見られます。ここからは、ストループ効果の具体例を見ていきましょう。
【具体例1.】信号機・道路標識
道路の信号機や標識は、ストループ効果を取り入れた典型的な例といえるでしょう。私たちは、「青=進め」「赤=止まれ」と認識しています。これらの色が示す意味は古くから共通認識として定着しており、文字情報よりも早く理解できます。
しかし、仮に「止まれ」の道路標識が青色になっていたらどうなるでしょうか。私たちは、赤色=止まれと認識しているため、違和感を感じ混乱してしまいます。
【具体例2.】トイレのマーク
公共の場所でよく見るトイレのマークも、ストループ効果の一例です。日本では一般的に、男性用トイレは青などの寒色系、女性用トイレは赤などの暖色系のピクトグラムで示されることが多いと思います。
日本認知心理学会が行った実験では、男性用のマークに赤やピンクを使用し、女性用マークに青や黒を使用した場合、トイレの区別に時間がかかったことが示されたそうです。このように、見慣れている色とピクトグラムなどの情報が一致しない場合、直感的に認知することは難しくなるでしょう。
ストループ効果と似た心理効果
ストループ効果は、私たちの認識と反応に関する興味深い現象ですが、ほかにも同様の心理的な現象が存在します。ここでは、その中でもとくに注目すべき「干渉効果」と「サイモン効果」について解説します。
干渉効果
ストループ効果とよく似た現象のひとつに、干渉効果が挙げられます。干渉効果とは、見たものから得られる情報に矛盾が生じたときに、瞬時に理解できないことを指します。
ストループ効果との大きな違いは、対象となる情報の種類です。ストループ効果は、対象を色と文字などの情報のみに限定しているのに対し、干渉効果はあらゆる情報が対象となります。
たとえば、フランスのエッフェル塔の写真に「東京」という文字が入っていた場合に、写真の場所を聞かれても咄嗟に答えるのは難しい場合があるでしょう。このように、見た情報の整合性が取れない場合に生じる現象が干渉効果といえます。
サイモン効果
サイモン効果もストループ効果とよく似た心理現象です。サイモン効果とは、位置に関する情報と意味に矛盾が生じた場合に、直感的に理解できなくなることを指します。
ストループ効果との大きな違いは、「位置」と「意味」を対象にしている点です。たとえば、紙の左側に「右」という文字が書かれていたとします。このとき、書かれている位置と文字の情報が一致しないため、左右どちらなのかを判断するのに時間がかかってしまいます。
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ストループ効果をマーケティングへ活用する方法
ストループ効果は、Webサイトや広告のデザインなどマーケティングの領域でも応用可能です。ここからは、ストループ効果をマーケティングに活用する方法をみていきましょう。
【活用方法1.】Web広告
Web広告を作成する際も、ストループ効果を意識することが重要です。たとえば、イチゴの宣伝をする際に、文字の色に青を使用したら違和感を感じる方が多いのではないでしょうか。
一般的に認識されているものとは違う色を使用するため、確かにインパクトは与えられるかもしれません。しかし、広告を見た人は混乱し不快感を感じることもあります。
見る側にストレスを与えない広告を作るには、売り出したい商品からイメージされる色を使用して、情報の矛盾が起きないようにしましょう。
【活用方法2.】Webサイト
Webサイトにおいても、ストループ効果は重要です。たとえば、海に関する情報を発信するWebサイトを作るとします。このとき、ヘッダー部分の画像やロゴのメインカラーに赤を使用すると、伝えたい内容と目にした色彩に矛盾が生じ、パッと見ただけでは内容が伝わりにくくなることがあります。
Webサイトに訪れた人を混乱させないためにも、伝えたい内容やメッセージのイメージに合った色を使用するのがおすすめです。
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ストループ効果をマーケティングへ活用する際の注意点
ストループ効果によって生じる違和感は、見る側のストレスになることもあります。そのため、マーケティングを行う際は、伝えたい内容と色の違和感を感じさせないデザインを用いるようにしましょう。
ただし、色を合わせるのが絶対というわけではありません。昔ながらのかき氷屋で使用されるのぼりの多くは「氷」や「かき氷」という文字に赤が使用され、見る人にインパクトを与えています。このデザインは日本人にとって見慣れたものであり、違和感を感じる人は少ないのではないでしょうか。
このようにデザインを考える際は、与えたい印象と矛盾しないかという視点や、見たときのインパクトとのバランスを考慮するのが重要です。
ストループ効果をマーケティングへ活用しよう
ストループ効果とは、色と情報の持つ意味に矛盾が生じた際に起こる違和感のことです。ストループ効果が生じると直感的に情報を処理できず、見た人はストレスを感じてしまうことがあります。
マーケティングにおいては、商品に適した色を使うことでイメージアップや購買意欲を高めることにつながります。付与したいイメージや伝えたいメッセージを明確にし、それに合った色使いを心がけましょう。
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