フォールスコンセンサスとは?発生する原因や起こりやすいシーン・具体例を解説
人間関係のトラブルの原因になる「フォールスコンセンサス」。プライベートだけでなくビジネスにおいても、良好な人間関係を築くためにはフォールスコンセンサスを認識する必要があります。本記事では、フォールスコンセンサスとは何か、発生原因や起こりやすいシーンを解説します。
目次
フォールスコンセンサスとは?
フォールスコンセンサスとは、誤った共通認識や合意が形成される現象を指します。自らの考えは正しいものであり、周囲も同じ意見であると思い込む心理現象です。実際には少数派の声で合っても、自分の意見は多数派であると誤認するのもフォールスコンセンサスに当てはまります。
フォールスコンセンサスはビジネスシーンや日常生活での意思決定に影響を与えるため、正確なコミュニケーションや情報収集が必要です。
フォールスコンセンサスの具体例
フォールスコンセンサスの具体例としては、下記のような例があげられます。
- この映画は面白いから、ほかの人も高く評価しているだろう。
- 日本人だから、和食が好きで当たり前だ。
- 自分が応援している政党は、多くの有権者も支持しているに違いない。
- 自然を保護する活動に興味がない人なんていない。
- 上司に連絡をするときにチャットやメールを使うのは、おかしいと思う。
自身の考えや価値観が正しく、多数派である前提で物事を考えてしまうのが特徴です。「私が面白いと感じたから、みんなも面白いと思うだろう」「自分が好きな食べ物は、ほかの人も好きなはずだ」といった思考は、日常で起こりがちなフォールスコンセンサスと言えます。
一般常識や社会規範を過度に押し付けることも、フォールスコンセンサスの一種だと考えられます。環境保護やボランティアといった社会活動は重要視される一方、誰もが同じように強い関心を抱いているわけではありません。
フォールスコンセンサスが働いてしまうと、自分は多数派で正しいのだという過剰な期待・思い込みが起こります。実際には少数派の可能性もあるほか、多様な意見が存在することも認める必要があるでしょう。
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フォールスコンセンサスが発生する原因とは?
フォールスコンセンサスが発生する背景には、多数の心理的なバイアスや認知の歪みが関与しています。以下にその主要な要因を詳述します。
利用可用性ヒューリスティックが働いている
フォールスコンセンサスの原因の一つは、利用可用性ヒューリスティックと呼ばれる心理です。意思決定や判断を行う際に、アクセスしやすい情報をもとにその判断を下す心理的な傾向を指します。自身の経験や知識のほか、最近の出来事や印象的な情報が判断に大きく影響を与えるのです。
例えば、最近ニュースで取り上げられた事件や事故に関する情報が頭に残っている場合、それが一般的な現象であるかのように感じることがあります。
利用可用性ヒューリスティックが働くことで、少数の声や特定の情報が過度に強調され、フォールスコンセンサスが起こりやすくなるのです。
自己中心性バイアスが働いている
自己中心性バイアスとは、自分の意見と他者の意見は同様だと過度に認識する心理的傾向を指します。フォールスコンセンサスの一因であり、自らの知見を基準に評価を下す心理作用です。
例えば、自分がある商品やサービスを気に入っている場合、ほかの多くの人々も同様に気に入っていると感じることがあります。自分のなかの評価を基準に価値を決めてしまうため、実際の状況とのギャップが生じる可能性も懸念されるでしょう。
自己中心性バイアスによって偏った価値基準に囚われると、誤認が生じフォールスコンセンサスの引き金になる恐れがあります。
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確証バイアスが働いている
確証バイアスとフォールスコンセンサスは、密接に関係しています。既存の信念や仮説を裏付ける情報を優先的に探索・受容する一方で、それに反する情報は無視や過小評価するのが確証バイアスです。
ある特定の商品が良いと感じている人は、その商品の良い評価やレビューを積極的に探し、悪い評価は無視する傾向があります。確証バイアスが強く働くことで自分の考えは正しい・多数派だという思いがふくらみ、フォールスコンセンサスを起こす要因になってしまうのです。
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フォールスコンセンサスが起こりやすいシーンとは?
フォールスコンセンサスは、特定の状況下で誤った共通認識が形成されやすくなる現象です。なかでも、身近な関係性にある家族や友人とのあいだで起こりやすくなります。親しい人同士では価値観や常識が似通っているケースが多々あるため、フォールスコンセンサスに陥りやすいのでしょう。
社内の同僚やグループなど、同属領域にいる人のあいだでも発生しやすい現象です。家族や友人と同じく、ともに過ごすことで似たような価値観・常識が形成されやすいと考えられます。
フォールスコンセンサスの注意点
フォールスコンセンサスは、友人間や職場内など身近な環境で発生する点に気をつけましょう。誤った共通認識に基づいた行動は、トラブルの原因になる恐れがあります。
正しい・良いと思って行ったことが、相手にとって迷惑なケースもあるのです。「喜ぶに違いない」という思い込みによるもので、典型的なフォールスコンセンサスだといえます。
社内においては、管理職の立場にある場合はとりわけ注意が必要です。フォールスコンセンサスにより誤認を押し付けてしまうと、適切な判断ができず企業運営にも支障をきたすでしょう。特に重要な判断を下す際には、情報の確認や多角的な意見の収集を徹底することで、誤った共通認識に基づいた決定を避けましょう。
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フォールスコンセンサスの予防法
思い込みによる誤認や偏向思考を改め、フォールスコンセンサスを予防しましょう。フォールスコンセンサスを防ぐための具体的な方法について、解説していきます。
自身の考えを振り返る
フォールスコンセンサスを防ぐうえで、自己反省の重要性は計り知れません。自分の意見や信念を客観的に振り返り、狭く偏った思考になっていないかを振り返ることが必要です。
自己反省のプロセスを習慣化することで思考の偏りを意識的にコントロールすれば、フォールスコンセンサスの払拭につながります。
傾聴を心がける
フォールスコンセンサスを予防する観点からは、他者の意見や視点に耳を傾けることが極めて重要です。自らの意見や考えを主張する前に、まず相手の言葉をしっかりと受け入れることで、異なる視点や情報に触れる機会が増えます。意識的な傾聴により自己の考え方を広げ、一方的な認識や偏見に囚われるリスクを減少させられるでしょう。
傾聴のスキルを磨くことはフォールスコンセンサスの予防に役立つほか、バランスの取れた判断を下す手助けとなります。
交流の範囲を広げ多くの人の意見を聞く
多様性の尊重と、異なる背景や視点を持つ人々との交流は、フォールスコンセンサスを回避するための鍵となります。異なる経験や知識を持つ人々との対話は、既存の認識や価値観をアップデートしたり、新しい視点をもたらしたりするでしょう。
特に、自分の属するグループやコミュニティとは異なる環境での交流は、偏見や先入観を取り払い、より公平で開かれた視点を育む手助けとなります。
予防法を取り入れフォールスコンセンサスから脱却しよう
フォールスコンセンサスは、自らの視点や感覚が多数を占めると誤って考える現象です。この誤認識は、集団内での意思決定や対人関係に歪みをもたらすリスクがあります。日常に潜む注意点を把握するほか、フォールスコンセンサスの予防策を取り入れて意識を改善しましょう。
フォールスコンセンサスからの脱却は、良好な人間関係の育成に欠かせない一歩となります。
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