請求書・領収書を偽造するとどうなる?該当する犯罪や罰則・逮捕について

記事更新日:2022/09/29

請求書発行システム

請求書を改ざんするビジネスパーソンのイメージ

請求書や領収書を偽造してしまった場合はどのような罪に問われるのでしょうか。請求書や領収書を偽造・改ざんした場合に該当する犯罪名や罰則、逮捕の可能性を解説します。頼まれた場合であっても、決して従わないようにしましょう。

請求書・領収書の偽造・改ざんは犯罪

請求書や領収書の偽造や改ざんは犯罪です。しかし、経費の水増しや代金架空請求などによる着服といった事例が実際に存在することから、このような不正には絶対に巻き込まれないとも言い切れません。

たとえば、企業の不正で最も多いとされている横領は、架空の請求書を発行して着服するケースや、請求金額を水増しして、余分な請求分を現金でキックバックさせるなどの手口があります。

また、年度末に当期の売上を抑えたい企業が当該案件の売上を来期に計上するため請求書の日付を改ざんすることもあります。ただし、これらはいずれの場合も文書偽造に関する罪に問われたり、過少申告による脱税などの犯罪行為に加担してしまったりする可能性の高い行為です。

ここでは、そのような行為に加担した場合、どのような罪に問われる可能性があるのかについて解説します。

(1)印鑑ありの請求書・領収書を偽造した場合

文書の偽造とは、作成権限のない人物が、作成名義を偽って文書を作成する行為です。請求書や領収書は、公的な立場にない私人が作成した書類で、権利、義務または事実証明に関する文書として「私文書」に該当します。

そのため、作成権限のない人物が、実際にその文書を使うことを目的に、他人の印鑑や署名を使用して文書を偽造することは、私文書偽造罪に問われる行為であると考えられるでしょう。

さらにこの私文書は、押印もしくは署名のある「有印私文書」と、それ以外の「無印私文書」に分けられています。たとえば、A社の名義を偽り印章または署名を偽造した請求書を発行し、その代金を受け取った場合には、有印私文書偽造罪および詐欺罪に問われる可能性があります。

そのほかに、作成名義を偽って架空の領収書を発行し、経費を不正に請求した場合も、私文書偽造罪や業務上横領罪、詐欺罪などに該当する可能性のある犯罪行為です。

(2)印鑑なしの請求書・領収書を偽造した場合

押印や署名のない請求書や領収書は、「無印私文書」に分類されます。ただし、無印の私文書であれば偽造しても罪に問われないということではありません。たとえ無印であっても、行使する目的で作成名義を偽った私文書を作成した場合には、私文書偽造罪が成立すると考えられます。

そのため、偽造した請求書による架空請求で代金を受け取ったり、偽造した領収書による経費の不正請求は、無印私文書偽造罪、詐欺罪、業務上横領罪などの罪に問われる可能性があります。

(3)請求書・領収書を改ざんした場合

では、請求書や領収書の金額や日付を改ざんする行為は罪に問われるのでしょうか。

作成権限のない人物が、請求書や領収書の金額や日付を書き換える行為は、「私文書変造罪」に該当する可能性があり、こちらも有印・無印にかかわらず、罪に問われることになります。

また、変造した文書によって、不正に財産や利益を得た場合や会社の資金を騙し取った場合には、文書を偽造した時と同様に、詐欺罪や業務上横領罪が成立すると考えられるでしょう。

詐欺罪や業務上横領などと合わせて犯罪が成立することも

請求書や領収書における私文書偽造、私文書変造などの行為は、多くの場合、それらの文書を使って、不正に財産や利益を得たり、不正会計による脱税などの目的で行われることがほとんどです。

先にお伝えした通り、これらの行為は、「詐欺罪」、「業務上横領罪」という罪になる場合もあります。刑事告訴され、刑事罰が科される可能性があるほか、被害者に与えた損害について、民法上の賠償責任が問われることもあるでしょう。

請求書・領収書の偽造・改ざんをした場合の罰則

ここからは請求書や領収書の偽造や改ざんしてしまった場合は、どのような罰則を科されることになるのかを詳しくみていきましょう。

(1)有印私文書偽造罪または有印私文書変造罪の場合

有印私文書偽造罪・変造罪に対する刑罰は、刑法159条1項、2項により、3月以上5年以下の懲役と定められています。同じ私文書偽造・変造でも、無印私文書偽造・変造よりも重い罪が科されることになります。

[出典:e-Gov 刑法 第百五十九条一項・二項]

(2)無印私文書偽造罪または無印私文書変造罪の場合

無印私文書偽造罪・変造罪に対する刑罰は、刑法159条3項により、1年以下の懲役または10万円以下の罰金と定められています。有期懲役刑の下限は1ヶ月ですので、実際には1月以上1年以下の懲役または10万円以下の罰金ということになります。

[出典:e-Gov 刑法 第百五十九条三項]

(3)詐欺罪または業務上横領の場合

偽造・変造した請求書や領収書により、不正に財産や利益を得た場合には、詐欺罪に問われることになります。

詐欺罪に対する刑罰は、刑法246条により10年以下の懲役と定められています。罰金刑はないため、起訴され有罪判決を受ければ、執行猶予がつくことはあるにせよ、必ず懲役刑となります。

また、会社の資金を不正に騙し取る行為は、業務上横領罪となります。業務上横領罪も、刑法253条により10年以下の懲役に処せられることが決められています。詐欺罪と同様に罰金刑は規定されていないため、有罪となれば必ず懲役刑となります。

10年以下の懲役という法定刑は非常に重く、窃盗や恐喝などと同じ年数です。このことからも詐欺罪や業務上横領罪は、悪質な犯罪行為であるとされていることがわかります。

[出典:e-Gov 刑法 第二百四十六条]
[出典:e-Gov 刑法 第二百五十三条]

逮捕される可能性はある?

逮捕とは、刑事犯罪を犯した疑いのある人が、逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断された場合、その防止のために身柄を拘束することです。

請求書や領収書の偽造や改ざんも、刑法に定めのある刑事犯罪ですので、悪質な場合などは逮捕される可能性もあると言えるでしょう。

逮捕された後の流れ

請求書や領収書の偽造・改ざん、詐欺、業務上横領などが疑われ刑事告訴された場合、警察などの捜査機関によって捜査が開始され、その結果によっては、逮捕されることになります。

それでは、逮捕後は、どういう流れになるのでしょうか。

(1)逮捕後48時間以内に検察へ送致される

逮捕されると、原則として事件が発生した場所を管轄する警察署に連行され、最大48時間の取り調べを受けることになります。

ただし、この間も証拠隠滅や逃亡の恐れがなく、拘束の必要がないと判断されれば釈放されることになりますが、釈放されても取り調べには出頭する必要があります。

釈放されない場合は、警察署の留置場に泊まりながら取り調べを受けることになります。警察は、逮捕から48時間以内に取り調べを終え、調書などの書類、証拠とともに、検察に送致します。

(2)送致後24時間以内に勾留される

送致を受けた検察は、被疑者の身柄を拘束し、24時間を限度に取り調べを行います。証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断した場合は、未決の被疑者を、拘置所などに拘束する勾留を裁判所に請求します。

逮捕されてから勾留されるまでの間(最大3日間)は、家族であっても面会することはできず、電話による会話も認められません。この間、面会できるのは依頼を受けた弁護士だけとなります。

(3)最大で20日間勾留される

裁判所により勾留が認められると、被疑者は原則10日間の取り調べを受けることになります。起訴前の勾留期間は、取り調べの状況により、最長20日間まで延長することができます。

勾留請求が棄却され、勾留されなかった場合には、在宅事件扱いとなり、身柄は拘束されないため仕事に出かけることも可能です。しかし、取り調べの要請には必ず応じる必要があります。

(4)起訴・不起訴の判断がなされる

検察官の取り調べを経て、裁判が必要だと判断されれば、起訴されることになります。起訴には略式請求と公判請求とがありますが、略式請求は、100万円以下の罰金または科料を科しうる事件の場合にのみ選択できる手続きです。

そのため、有印私文書偽造罪・変造罪ならびに、詐欺罪、業務上横領罪に問われている場合は、公開された法廷で審議が行われる公判請求となります。事件内容により異なりますが、数回の裁判の後に有罪か無罪かの判決が下され、有罪であれば、刑罰も言い渡されます。

請求書を偽造した実際の事例

次に、有印私文書偽造により会社の金銭を私的流用目的で着服した事例をお伝えします。子会社に在籍していた執行役員が、約11年間にわたり、取引先の請求書を偽造し約9億8000万円を私的流用目的で着服したという実際の事件です。

不正行為は、国税局の税務調査により発覚、その後直ちに社外弁護士を起用し、まずは社内調査が実施されました。その後、当該執行役員は解任され、刑事告訴されたのち逮捕されています。

請求書・領収証の改ざんは依頼された場合は?

取引先から、自社が発行する請求書や領収書に対して、事実とは異なる記載を要求された場合、従ったとしても作成する権利のあるものによる文書の作成であれば、私文書偽造や私文書変造の罪に問われることはないと考えられます。

ただし、それらの文書が詐欺や横領、脱税などの犯罪に使われることになれば、その行為に加担してしまうことになりますので、依頼された場合も絶対に従わないようにしましょう。

請求書・領収書の偽造は重い犯罪であることを理解する

架空の請求書を偽造したり、領収書の金額を書き換えたりする行為は、私文書偽造罪・変造罪という犯罪です。

「つい出来心で」では済まない、犯罪行為であることを認識し、自身がそのような行為を行わないことはもちろんのこと、組織を運営する上では、そのような行為を未然に防ぐための体制を構築するだけでなく、万が一発生した場合を想定し、迅速に対応するためのフローを整えておくようにしましょう。

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