テレワークでの請求書発行はどうする?電子化する流れや注意点について
テレワークが普及している中、紙やはんこを使っていた請求書業務はオンラインで完結できるようになりました。本記事では、テレワークで請求書を発行する方法や、電子請求書を導入するメリットを紹介します。おすすめの電子請求書発行システムも紹介するので参考にしてください。
目次
テレワークでも請求書発行はできる
テレワークの導入に伴い、「請求書発行に支障をきたす」という声も聞かれますが、自宅などオフィス以外からでも請求書発行を行うことができます。
近年は請求書発行に必要なツールやシステムがクラウドサービスとして提供されています。
そのため自宅など場所を問わず、パソコンなどのデバイスとインターネット環境があれば請求書に関わる業務が実行できるのです。
▷請求書発行システムとは?導入するメリットやデメリットも解説
電子請求書とは?法律的に問題はない?
電子請求書とはその名の通り、電子データ化を使用し、メールやチャットツール、共有フォルダなどを経由して、Web上でやりとりする請求書です。
電子請求書を作成する際には、特段法律的な規制があるわけではありません。むしろ政府は、e-文書法や電子帳簿保存法などの施行によってデジタル化を推進しています。
一方で受け取った請求書については、電子帳簿保存法によって厳密に保存要件や保存期間が定められています。
ただし2022年1月の改正によって、「税務署長などへの事前承認制度の廃止」「適正事務処理要件の廃止」「スキャナ保存におけるタイムスタンプ要件の緩和」など、電子請求書の普及を後押しする法律が施行されています。
つまり、法整備などの点からも、企業にとって電子請求書を導入する環境が整いつつあると言えるのです。
▷請求書電子化のメリット・デメリットとは?システム導入の重要性を解説
テレワークでの電子請求書の作り方
ここからは、テレワーク環境下における電子請求書の作成方法を解説していきます。
企業によって使用しているシステムや管理方法に違いがあるため、実現可能な方法を選択しましょう。
(1)紙の請求書を作成して電子化する
新たな費用をかけず電子請求書を作成する方法が、紙の請求書を作成し電子化するというものです。
方法はシンプルであり、出力した請求書をPDF化するだけです。先ほど解説したように、電子帳簿保存法上は紙で保存する必要がなく、PDF化されたデータさえ残されていれば問題になることはありません。
ただし、取引先の企業がどうしても紙の書類がほしいという場合もあるため、事前に電子データへの変更が可能かを確認しておきましょう。
▷請求書をPDFで発行してOK?有効性や原本の扱い・送付する際の注意点
(2)システムを導入し、電子データで発行できるようにする
今後の各企業の動向を予測すると、早い段階でシステムによる電子データ発行の準備をしておくことも、有効な電子請求書の作り方といえるでしょう。
取引先の数や取引頻度にもよりますが、紙の請求書を作成して電子化するという処理が現実的ではなくなると予想されます。
すでに政府と民間企業による協議会において、2023年までに請求書の完全デジタル化が進められています。
多くの企業が、テレワーク環境下での電子取引化を進め始めることを見越して、システム導入を検討しておく必要がありそうです。
▷請求書発行システムの選び方ガイド!選定ポイントや注意点を解説!
(3)ビジネスソフトで作成した書類を電子化する
数件の取引であれば、ビジネスソフトを利用した電子請求書の作成も有効です。
WordやExcelといったツールであれば、直接PDF化し、データを保存しておくことも可能です。
ファイルに編集の制限をかけたり、パスワードを設定することである程度のセキュリティ性は担保できるでしょう。
▷請求書発行をエクセルで実施するメリットは?システム導入の必要性
【受取・支払側】電子請求書を導入するメリット
ここからは電子請求書を導入することで、得られるメリットを紹介していきます。まずは請求書を受け取る側のメリットを3点解説していきましょう。
(1)テレワークに対応可能
請求書を電子化する利点は、情報の共有が可能になることです。
紙の請求書は1つしか存在せず、受け取った請求書はオフィスにいなければ共有することができません。一方で、データ化された請求書はオンライン上に保存されているので、テレワーク環境下でも共有可能です。
(2)業務効率化
業務を効率化できることも、電子請求書を導入することで得られるメリットの1つです。
受け取った請求書を管理する手間を大きく削減できることが利点です。
紙の請求書をファイリングする手間や保管スペースの確保など、作業コストと保管コストの両方を削減できる効果があります。
▷請求書発行を忘れた・遅れた時の対処法は?お詫びメール文例付きで解説
(3)事業集計の向上
請求書を電子化する3つ目のメリットが、検索性を高められることです。
エクセルなどのツールを使う場合とシステムを導入する場合で管理方法は異なりますが、見つけたいデータをすぐに検索できる点は電子請求書ならではの利点と言えます。
また、システムを導入すれば「利益率が低い案件を抽出して分析する」「経費がかかりすぎている案件を抽出して削減する」といった、事業戦略に役立てるための集計業務を効果的に行うことも可能です。
【請求側】電子請求書を導入するメリット
次に、請求側における、電子請求書を導入するメリットを解説していきます。
(1)即座に請求書の発行が可能
請求書をスピーディーに発行して相手側に送信できるのが、1つ目のメリットです。
請求書に限ったことではありませんが、郵送物を発送してから相手の手元に届くまでには通常1日以上の時間を要します。
一方、電子請求書はメールやチャットツールなどを使って、すぐに相手の手元に届けることができます。
(2)情報共有が簡単
受け取り側だけでなく、請求側も電子化をすることで情報共有が簡単になります。
共有フォルダやオンラインストレージなどを使い、手軽に請求書の確認を行えるだけでなく、関連するデータなどの共有も可能です。
請求書に付随する書類を1つのフォルダに格納しておくことで、紛失リスクを軽減でき、後から簡単にデータを探すことも可能でしょう。
(3)ペーパーレス化が達成できる
ペーパーレス化を促進できることも、請求書を電子化するメリットの1つです。
環境保全やコスト削減などから多くの企業では、ペーパーレス化を進めています。特に請求書の発行に伴う紙資源の利用を抑えることで、SDGsにも貢献します。
SDGsと業務効率化やコスト削減を同時に進められることは、企業にとって大きな魅力といえるでしょう。
▷ペーパーレス化を推進する方法!基本の流れや注意点・役立つツールを解説
(4)取引先の受け取り状況が可視化できる
請求書発行システムには、相手が請求書を開封したことを知らせる機能も搭載されています。
また、システムによっては入金状況もシステム上で確認可能です。未入金の場合には、相手にすぐに催促の連絡ができるので入金漏れの防止にも役立ちます。
(5)改ざんのリスクがない
請求書の作成と授受をクラウド上で行うシステムでは、改ざんリスクもありません。
アクセス権限を付与しない限り、外部からデータ編集ができず、仮に変更がなされた場合でもすべて履歴が残されています。
▷【解説】請求書発行・処理業務に関する不正のリスクや防止策とは?
テレワークで請求書を発行する際の注意点
メリットの多い電子請求書ですが、いくつかの注意点も存在します。ここでは特に注意すべき2点について解説していきましょう。
(1)取引先に確認する
テレワーク環境下での請求書電子化を進める際は、取引先に支障がないかの確認を行いましょう。
これまで触れてきたように、請求書の電子化にはさまざまメリットがあります。また、法的な観点からも問題になることはありません。
ただし、「急な仕様変更によって、取引先企業の業務に支障がでないか」という配慮は必要です。また、受け取った請求書は、法人の場合7年間(もしくは10年間)、個人事業主の場合には5年間(もしくは7年間)の保存義務がある点も説明が必要でしょう。
企業によっては、「紙の請求書での運用が社内ルール化されている」「請求書を紙で保管しており、印刷などの余計な手間が生じる」というケースもあるので、トラブルを避けるためにも事前の確認作業が必要になるのです。
(2)セキュリティ対策を講じる
データでやりとりすることで生じるセキュリティリスクについても、留意が必要です。
特に最近の請求書発行システムはクラウド型が主流となり、少なからず通信障害やサイバー攻撃、情報漏洩のリスクが存在します。
手軽に利用できる一方で、システム選びにはそれなりの知識が求められます。実際に請求書発行システムを選ぶ際は、必ず「セキュリティ対策が十分であるか」「どのようなセキュリティ対策を講じているか」を確認することが大切です。
情報漏洩は企業の信用問題にまで発展する可能性があるので、システムの選定の際には口コミだけでなく、直接担当者と会って打ち合わせを行い、疑問点などを解消しておきましょう。
おすすめ電子請求書発行システム
最後に、おすすめの電子請求書発行システムを紹介していきます。特徴やプランを確認し、業務効率化を実現していきましょう。
(1)請求管理ロボ
請求管理ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、請求書に関連する業務を自動化してくれるシステムです。
請求書の作成はもちろん、継続請求機能や豊富な決済手段の一括管理、消込作業までを自動化してくれるツールです。
提供元 | 株式会社ROBOT PAYMENT |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
※件数による金額の変動あり |
導入実績 | 500社以上 |
機能・特徴 | 請求書電子化、請求書の自動発行、請求書の自動送付、口座振替やクレジットカード・銀行振込・コンビニ決済などの決済手段の一元管理、口座入金情報の自動連携、未入金の自動催促など |
URL | 公式サイト |
(2)楽楽明細
株式会社ラクスが提供する楽楽明細は、請求書だけでなく、納品書や⽀払明細などの帳票を簡単に発行できるシステムです。
必要情報をアップロードし、出力したいフォーマットを選ぶだけでさまざまな書類を簡単に作成でき、発行先に応じてWeb・メール・郵送Xなどの方法を自動で割り振る機能もあります。
提供元 | 株式会社ラクス |
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初期費用 | 11万円(税込)〜 |
料金プラン | 26,400円(税込)〜/月 ※帳票デザインのカスタマイズが必要な場合は別途費用が発生 |
導入実績 | 4,000社以上 |
機能・特徴 | CSVでの明細情報送付、個別ファイル送信、⼀括同封機能、API連携、帳票レイアウトの自由設計、メールアドレス収集機能、即時発⾏、予約発⾏、ダウンロードURL、承認フロー、帳票ステータス管理、顧客からのファイル返送など |
URL | 公式サイト |
(3)BtoBプラットフォーム請求書
BtoBプラットフォーム請求書は、請求書の作成から消込までの処理を行ってくれるシステムです。
一般的に手動での管理が必要となる入金確認も、BtoBプラットフォーム請求書が自動管理してくれるので、担当者の作業負担軽減につながるでしょう。
提供元 | 株式会社インフォマート |
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初期費用 | 11万円(税込)〜 |
料金プラン | 22,000円(税込)〜/月 ※ご契約プラン・通数に応じて、追加料金が発生 |
導入実績 | 76万9053社(※2021年BtoBプラットフォーム全体実績) |
機能・特徴 | 売掛データをプラットフォームに取り込むだけで請求書を自動作成、支払いについてのお知らせメールの自動送信、自動消込など |
URL | 公式サイト |
(4)MakeLeaps
MakeLeapsは、ワンクリックで請求書を発行し、発行後のフローの可視化などの機能も搭載されたシステムです。
ひな形を用意しておけば、見積書などに置き換えることもできるため、帳票作成業務を改善したい企業におすすめです。
提供元 | メイクリープス株式会社 |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン |
|
機能・特徴 | 帳票をワンクリックで作成、見積書や請求書への置き換え、請求書発行に伴う売上や売掛などのデータを自動グラフ化、自動仕訳や消込情報の登録など |
URL | 公式サイト |
(5)Misoca
Misocaは見積書 ・納品書・請求書・領収書・検収書が簡単に作成できる請求書作成ソフトです。無料プランも利用可能です。
Misocaは、売掛金が回収できなくなった際の損害を補填する「Misoca回収保証」をプラン化し、中小企業から高い評価を獲得しています。
提供元 | 株式会社Misoca |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
■プラン15
■プラン100
■プラン1000
|
機能・特徴 | 見積書から納品書や請求書への変換や作成が可能、自動メール送付、PDF発行、リンク共有の簡略化、確定申告ソフトへの仕訳自動送信、Misoca回収保証サポートなど |
URL | 公式サイト |
(6)freee会計
freee会計は、初心者でも簡単に利用できる操作性の高さに定評のあるクラウド会計ソフトです。
豊富なテンプレートによって自社に合った請求書が発行でき、請求・入金のステータス管理も可能なため、入金・請求漏れも防止できるでしょう。
提供元 | freee株式会社 |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 【法人向け】 ■ミニマム
■ベーシック
【個人向け】 ■スターター
■スタンダード
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導入実績 | 33万社以上(freee会計有料課金ユーザー数(2021年12月末時点)) |
機能・特徴 | 銀行明細の入力、 クレジットカード明細の入力、小口現金の入力、 伝票入力(仕訳形式)、書類作成、 書類送付、スマホでの書類作成、売掛金登録など |
URL | 公式サイト |
請求書発行を電子化してテレワークに対応しよう
テレワーク環境下における請求書業務は、電子化を進めることで問題なく対応できるようになります。
セキュリティを危惧する企業もありますが、システムにはアクセス権限管理や編集履歴の記録といった機能が備わっており、紙での管理よりも安全な場合もあります。
また、請求書の受け取り側と発行側の双方が、「管理コストの削減」「ペーパーレス化の推進」などのメリットを享受できるでしょう。
テレワーク環境下での業務効率化などを図るためにも、請求書発行システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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