【基本】請求書の書き方ガイド! 作り方・記載事項・注意点などまとめ
ビジネスにおいて、代金の支払いを取引先へ依頼する際には、請求書が必要です。独立、起業した場合は、自分で作成しなければなりません。当記事では、請求書に関して、作り方から記載事項、注意点をまとめて解説します。請求書を発行する際に役立ててください。
目次
請求書とは?
そもそも請求書とは、どのような書類なのでしょうか。請求書に記載する内容や主な役割について確認しておきましょう。
支払いを求める書類
請求書は、取引先に依頼した業務で発生した報酬、サービスの利用料金といった対価を、期日までに支払ってもらうための書類です。請求金額、業務内容、支払い期日などを明記して、取引先に送付します。
ただし、請求書の発行は、法的に義務づけられているわけではありません。そのため、書式に規定はなく、請求書を作成せずに支払いを依頼することも可能です。
しかしビジネスでは、金銭トラブルを防ぐためにも、請求書を発行することがマナーであり商習慣となっています。
取引を証明する書類
請求書には、支払いを依頼するだけでなく、取引があった事実を証明する役割があります。例えば口頭の約束で取引をした場合でも、請求書で取引内容を明確にすれば、双方の認識を一致させることが可能です。支払い忘れなどのトラブル防止にもつながるでしょう。
さらに請求書には、税務調査が入った際、間違いなく支払いがあった事実を証明するという重要な役割もあります。
▷請求書とは何か?定義・必要性・役割や発行方法について徹底解説
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請求書以外の書類との違い
ビジネスシーンでは、請求書以外にも金銭に関する似たような書類があります。その違いを確認しておきましょう。
見積書との違い
見積書は取引をする前に商品やサービス提供により発生する金額を伝える書類です。契約するか否かを判断する材料になると同時に、内容や金額、納期などを明確にして契約後のトラブルを防止する役割があります。
契約書との違い
契約とは「二者以上の事業者間において、法的効果が発生する約束」のことで、契約書はその約束を明記した書類です。例えば、企業がフリーランスのライターに記事作成を依頼する場合、業務の遂行に対して報酬を支払う「請負契約」を締結し、契約の証明として請負契約書を作成します。
請求書と契約書で大きく異なるのは、契約書には記載事項を守る義務が双方に生じ、法的効力を持つ点です。約束が守られない場合は、強制履行や損害賠償請求が可能となっています。
発注書との違い
発注書は「注文書」とも呼ばれ、商品やサービスの発注、申込を明確にする書類です。取引が完了した際に発行される請求書とは異なり、発注書は取引開始の前に発行します。
納品書との違い
納品書は、商品やサービスを納品したときに、納品した側が発行する書類です。納品内容や数量、単価を明確にする役割があります。
請求書は納品内容に対して発行するため、基本的に納品書に記載されている金額と請求書に記載される金額は同じです。
▷請求書と明細書の違いとは?記載事項や使い分け・作成時の注意点を解説
請求書の作り方
では、請求書の具体的な作り方に話を進めましょう。主な方法は、次の3パターンです。
- 市販の請求書用紙を利用する
- Officeソフトを使用する
- 専用ソフトで自動作成する
市販の請求書用紙を利用する
請求書用紙は、書店、文房具店、100円ショップなどで入手できます。いくつかのタイプがあるので、店頭でフォーマットを確認し、自社に必要な項目がそろっている請求書用紙を選びましょう。
なお、市販の請求書用紙は、手書きで作成します。ただし、自社名や振込口座など、決まった記載項目にはスタンプを使ってもかまいません。
Officeソフトを使用する
Officeソフトの「Word」や「Excel」で請求書を作ることも可能です。自社のロゴマークを入れるなどオリジナルデザインにすることもできます。
一から作成するのが手間なときは、インターネット上に多数のテンプレートが提供されているので、ダウンロードして使ってみてください。
専用ソフトで自動作成する
請求書をはじめ、ビジネスシーンでよく使う書類は、専用ソフトで自動作成することもできます。
最初に自社名や振込口座を設定すれば、その後は自動入力されるなど、効率的な請求書作成が可能です。
専用ソフトは、インターネットでダウンロードして使うものもあれば、クラウドサービスで提供されているものもあります。自社にとって使い勝手のよいものを探してみましょう。
▷【2023年最新】請求書発行システムおすすめ20選比較!選び方も解説
請求書の記載項目
請求書の書き方に決まりはありませんが、スムーズに支払いのために記載すべき項目と、必要に応じて記載するとよい項目があります。
<記載すべき項目>
- 請求書の件名
- 請求書の宛先
- 発行年月日
- 発行元の情報
- 取引内容
- 消費税区分と金額
- 請求金額
<必要に応じて記載するとよい項目>
- 管理番号
- 振込先情報
- 支払期日
記載すべき項目
取引内容や請求金額を明確にし、間違いなく支払いをしてもらうための項目です。項目によっては、取引先から書き方が指定されることもあります。
請求書の件名
受領した側が、何の書類であるかすぐに把握できるよう、書類最上部の中央もしくは左上に、「請求書」「○月分請求書」など、請求書の件名を記します。
▷請求書における宛名の正しい書き方 |「御中」と「様」の使い分けや注意点
請求書の宛先
請求先の会社名、部署、担当者名などを記載します。一般的な位置は、請求書用紙の左上で、会社名は(株)(有)などと省略せず、正式名称で記すことが基本です。万が一送付ミスがあっても先方に気づいてもらいやすく、支払いに関するトラブル防止にもにつながります。敬称は、会社名や部署の場合は「御中」、担当者名の場合は「様」です。
なお、取引先によっては、宛先の書き方が決まっていることもあるので、初めての取引先の場合は、事前に確認しておきましょう。
発行年月日
発行年月日は、自社にとっても取引先にとっても、経理処理や決算に関わる重要な項目です。
気をつけたいのは、発行年月日が請求書の作成日とイコールとは限らないことです。例えば取引先が月末締めで経理処理をしている場合、請求書を作成したのが翌月1日であっても、前月末日を発行日としないと、経費計上月が変わってしまう可能性があります。
初めて請求書を送付する取引先には、宛先同様、発行年月日の記載方法についても確認を取るとよいでしょう。
発行元の情報
請求書の受領者が、どこからの請求書であるかを把握できるよう、自社名、担当者名、住所、電話番号、メールアドレスなど発行元の情報を記載します。場合によっては、社印や担当者の押印も必要です。
取引内容
取引の具体的な内容について、発生した月日、品目、単価、数量、合計金額などを記載しましょう。取引先の合意があれば、細かく記さず「一式」とすることもできます。
消費税区分と金額
「外税」か「内税」か、税金についての区分も記載し、外税の場合は税率をもとに税額を記載します。源泉徴収税が発生する場合は、その税率と税額も記しておきましょう。
請求金額
取引内容の小計、消費税額、源泉徴収額を合計した金額が、最終的な請求金額です。
取引内容や消費税計算で出した合計金額を「請求金額」と明記して、記載します。
▷請求書の正しい金額の書き方は?円・¥の使い分けや記載すべき項目について
必要に応じて記載するとよい項目
請求書の受領側、発行側、双方にとって記載しておくとよい項目は次のとおりです。取引先から要望が出ることもあるので、その場合は従ってください。
管理番号
請求書の件名はどれも似ているため、請求書1枚ごとに管理番号を振っておくと、問い合わせ対応や検索の際に便利です。
▷請求書番号の付け方・ルールとは?そもそもなぜ必要?基礎知識を解説
振込先情報
振込先は、取引先に登録されていれば不要なケースもありますが、そうでない場合は、銀行名、支店名、預金種別、口座番号、名義を明記します。複数の振込先を記載し、先方に選んでもらってもかまいません。振込手数料をどちらが負担するかについても、記載にしておくとよいでしょう。
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支払期日
支払期日は、基本的に契約時に取り決めた日です。双方に合意があるため、必ず記載しなければならないという項目ではありませんが、明記しておくと、未払いがあったときに催促しやすくなります。取引先にとってはリマインドにもなるでしょう。
請求書を作成する際の注意点
請求書を作成する際は、次の2点にも注意しましょう。
発行方式を確認する
請求書の発行方式には、「都度方式」と「掛売方式」があります。都度方式は、取引が発生するたびに発行、掛売方式は、締め日に合わせて1か月分の取引をまとめて発行する方式です。
請求書発行や受領の負担が軽くなるのは掛売方式ですが、どちらの方式を採用するかは、取引先によって異なります。契約時に明確にするケースがほとんどですが、そうでない場合は、どちらの方式にするかを確認しておきましょう。
記載内容と方法を確認する
請求書の記載項目は前述したとおりですが、取引先によって必須の項目は異なり、振込手数料の扱いも、それぞれです。
また、税率計算により小数点の端数が出た場合、切り上げるか切り捨てるかという判断も必要です。企業の売上管理上、1円単位の違いもおろそかにできません。
そのような事情をふまえ、請求書の記載内容、記載方法については、作成前に確認しておくと安心です。
▷請求書発行システムの選び方ガイド!選定ポイントや注意点を解説!
請求書を取引先に送る方法
請求書が作成できたら、取引先に送付します。主な方法は、次の3パターンです。
郵便で送る
請求書は信書にあたるため、普通郵便で送ります。封筒は、A4用紙を折らずに入れられる角形2号か、三つ折りで入れる長形3号が一般的です。おもて面の端にスタンプか手書きで「請求書在中」と明記します。なお、請求書を郵送する際は、用件を記した添え状を同封するのがビジネスマナーです。
添え状の例
○年○月○日 株式会社○○ 御中 株式会社○○ 書類送付のご案内 拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 下記の通り、請求書を送付いたしますので、ご査収のほど、よろしくお願いいたします。 敬具 【記】 ○月分 請求書 1通 以上 |
FAXで送る
FAXは、急ぎで請求書を送付したいときに便利な方法です。郵送同様に送付状を添えて送信しましょう。ただし、送信前に必ず先方の了承を得てください。
また、FAXは印字が不明瞭になることもあります。ビジネスマナーとして、FAXで請求書を送付した場合でも、後日、原本を郵送するようにしましょう。
メールで送る
昨今は、請求書を電子データで送るケースも増えてきました。取引先の了解が得られれば、メールに添付して送信してもかまいません。ただし、第三者による改ざんを防止するため、WordやExcelのファイルはPDFや画像データに変換して送ることが基本です。
▷請求書はメールで送付してもOK?送る際の注意点やメール文例を紹介
2023年10月からはインボイス制度が導入
インボイス制度のインボイスとは「適格請求書」のことです。2023年10月に導入される制度で、正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。
制度導入後、取引先に所定の要件を満たした適格請求書を発行し、双方が保存することで、消費税の仕入税額控除を受けることができる制度です。
なお、国税庁のリーフレットによると、インボイスを発行するためにはインボイス発行事業者の登録が必要ですが、登録は任意で、自身の事業形態に合わせることとなっています。
[参考:国税庁「インボイス制度の概要」]
▷インボイス制度とは?いつから?変更点や対応すべきことについて解説
作り方・書き方を把握して不備のない請求書を発行しよう
請求書は、法的に発行が義務づけられているわけではありませんが、取引があったことを証明し、間違いなく支払いをしてもらうための重要な書類です。また、税務調査の際に必要となることもあります。
取引先との金銭的なやり取りをスムーズにし、よりよい関係を構築するためにも、作り方や書き方を把握し、不備のない請求書を発行しましょう。
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