営業ナレッジマネジメントとは?組織強化に向けて成功させるポイント

最終更新日時:2023/03/09

ナレッジマネジメントツール

営業ナレッジマネジメントとは

企業の力を高める手法として活用されるナレッジマネジメント。営業においてもナレッジマネジメントを導入することで、組織全体の営業力を向上することが可能です。本記事では、そんな営業ナレッジマネジメントについて、メリットや成功ポイントなどを詳しく解説していきます。

営業ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントとは社員個人の知識やノウハウを社内で蓄積・共有し、企業で活用して生産性を向上させるマネジメントのことです。また営業ナレッジマネジメントとは、営業社員それぞれの知識やノウハウを社内で蓄積・共有し活用させるためのマネジメントのことを指します。

ナレッジマネジメントのナレッジとは、2つの意味があります。1つが個人が持つ知識やノウハウのことで、言葉で伝えにくい経験や熟練からなる「暗黙知」です。2つ目が、共有が難しいノウハウなどを文章化して共有できる形にした「形式知」です。ナレッジを共有するときは「形式知」を主に活用しますが、営業に関して言えば営業マニュアルやトークスクリプトなどが該当します。

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営業ナレッジマネジメントの重要性

営業は個人成果主義の場合が多く、個人の持つ情報やスキルを他人に共有しにくいため、属人化しやすい傾向にあります。また、気持ちの部分もスキルと捉えられる風潮にあるでしょう。

IT技術が発展した近年では、企業も詳細なデータ分析に基づいた効率的な営業を重視するように変化してきています。そこで重要なのが営業ナレッジマネジメントです。効率的で戦略的に営業活動を企画・実行し利益を得るためには、必要不可欠なソースになります。

各個人が企業での営業活動で得た情報やスキルは、会社に蓄積されるべき財産です。個人がもつ情報やスキルを分析することで、個人で暗黙知的に囲っていたナレッジはさらに洗練され活用できます。そのため営業ナレッジマネジメントは、企業にも個人にも重要だといえるでしょう。

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営業ナレッジマネジメントのメリット

企業の財産として有益な営業ナレッジをマネジメントすることで、営業活動はさらにスマートかつ効率的に行うことができます。ここでは、営業ナレッジマネジメントのメリットを解説します。

生産性の向上

営業ナレッジマネジメントを行い情報やノウハウを共有することで、生産性の向上が見込めます。営業ナレッジマネジメントを活用することで、作業時間を短縮でき無駄な作業をカットすることもできます。

また時間がかかっていた案件も、ノウハウや情報共有を活用することでスマートな処理が可能です。無駄な時間を整理することで、新たな提案をする時間も増えるなど、生産性の向上につなげることもできます。

業務の効率化

営業ナレッジマネジメントを活用すれば、社員の知識やスキル・業務レベルなどのばらつきを減らすことができます。

その結果、組織全体のレベルを引き上げることが可能です。組織の能力レベルが高い水準で一定になれば、社員個々の能力アップにもつながり、業務の効率化も実現できるでしょう。

教育コスト削減

共有された営業ナレッジは、営業人材の育成にも役立てられます。業務遂行の能力を培っていく土台となるナレッジがしっかり蓄積・共有されていれば、効率的な人材育成が行えます。

また社員も営業ナレッジを活用することで自ら学ぶことも可能です。自社のナレッジの蓄積を利用して教育精度を向上できるため、育成にかかるコストを削減できます。

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営業ナレッジマネジメントの具体的な手法

営業ナレッジマネジメントとは、個人が持つ営業活動をする上で必要なスキルや知識を抽出し、形式知として企業内に蓄積・共有することです。ここでは、具体的な手法を解説します。

社内ナレッジの共有

営業職は知識やノウハウを個人で作って習得するケースが多く、自分の武器として「暗黙知」の状態にあることも少なくありません。

しかしトップ営業マンのナレッジが組織内で共有できれば、高いレベルで組織の営業力を底上げできるようになります。そのためにも、営業ナレッジを共有し形式知化することで、誰もが閲覧・活用できるようにする必要があります。

OJT

OJTとは、オン・ザ・ジョブトレーニングの略で職務を実行させる社員教育です。日本の企業では新人研修などで定着していますが、営業ナレッジマネジメントの手法としても有効です。

業務体験を通じた教育は、暗黙知ナレッジの共同化にもつながります。社内のトップ営業マンはもちろん外部から営業のプロを招くなどして、研修やセミナーを行うこともナレッジのレベルアップにつながるでしょう。

営業同行

経験豊富な営業社員に同行することも具体的な手法のひとつです。営業社員の商談を直接見て学ぶことで、一部の知識やスキルが共有されます。また共有された営業ナレッジの改善提案やノウハウ構築ができれば、社内の営業ナレッジは高いレベルになるでしょう。

ナレッジサイトの構築

ナレッジサイトの構築で、営業ナレッジを社内で閲覧・共有しやすくなります。たとえばナレッジマネジメントツールの活用もひとつの方法です。

社内の知識を共有するためのデータベース型ファイルサーバーや、コミュニケーションを活発にする企業内SNSや社内Wikiなどを活用し社員がデータを活用できる環境作りが大切です。

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営業のフィードバック

営業のフィードバックとは、営業行為の評価や修正点を伝えることです。フィードバックがあると次の行動に反映でき、営業活動のブラッシュアップにもつながります。

営業のフィードバックを社内や部内で蓄積し共有することも、営業ナレッジマネジメント手法のひとつです。目的に対する行動を見える化することでスキルや知識を客観視でき、社内全体の貴重な情報として活用できます。

営業ナレッジマネジメントでよくある失敗事例

営業活動の効率化や向上を目指して営業ナレッジマネジメントを活用しても、失敗することがあります。ここでは、営業ナレッジマネジメントでよくある失敗事例を紹介します。

事例1:ナレッジが集まらない

失敗例のひとつに、そもそもナレッジが集まらないことがあります。営業職は個人成果主義の場合も多く、個人の持つ情報やスキルは自身のキャリアにおいて大切な武器と考える傾向があります。そのため他人に手の内を明かしたくないと、ナレッジの共有を拒む社員もいるでしょう。

またナレッジを共有する気持ちはあっても、どのように共有してよいのかわからなかったり、共有する時間がなかったりという社員がいることも想定できます。さらには、自身のスキルや知識がナレッジとはいえないと考える人もでてくるでしょう。

営業ナレッジマネジメントは、まずナレッジを共有してもらわないことには実現できません。社内で営業ナレッジマネジメントの目的や重要性を周知させることも大切な取り組みです。

事例2:ツールが浸透しない

営業ナレッジの蓄積や共有のためのツールが浸透しないことも、よくある失敗の原因です。

ツールの操作性が悪く使いにくいのはもちろん、社内のパソコンでしか操作できないような使い勝手の悪いツールも浸透させるのは難しいでしょう。社内でツールの存在や操作方法などをしっかり周知しておくことも、営業ナレッジマネジメントを成功させるポイントです。

事例3:ナレッジが活用されない

ナレッジが活用されなければ、営業ナレッジマネジメントは失敗します。たとえばナレッジを集めて蓄積・共有しても、社員が欲しい情報がなければ活用されません。

また蓄積されている情報が古ければ、今必要な営業活動に活用できないことも考えられます。社内共有や閲覧がしやすく情報更新が容易なシステムやルール作りも、営業ナレッジマネジメントを失敗させないコツです。

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営業ナレッジマネジメントを成功させるポイント

営業ナレッジマネジメントの導入には、成功させるポイントがあります。そのため成功のポイントをふまえた上で、導入を進めていくことが重要です。ここでは、営業ナレッジマネジメントを成功させるポイントを3つ紹介します。

ナレッジを活用しやすい環境を整備する

ナレッジマネジメントという考え方は、野中郁次郎氏と紺野登氏による共著「知識経営のすすめ」が由来です。「知識経営のすすめ」の中で野中氏は、ナレッジを活用するポイントは共感だと述べています。

ナレッジが共有されにくい環境にあると、共感を促すことも困難で活用機会もなくなります。まずはナレッジの共有環境を整えることが、営業ナレッジマネジメント成功のカギといえるでしょう。

スモールスタートで始める

営業ナレッジマネジメントという概念が浸透していない段階で、いきなり全社で導入しても混乱を招きかねません。まずは部署やチームなど小さな単位でスモールスタートすることが重要です。スモールスタートで成功体験を少しずつ増やし、営業ナレッジマネジメントヘの理解や協力を求めていくようにしましょう。

社員が使いやすいツールを導入する

社員が使いやすいツールを導入することも重要なポイントです。たとえば、いきなり専門的な知識が必要な高機能ツールを導入してしまうと、社員が使いこなせず定着につながらない可能性があります。まずは営業ナレッジマネジメントを定着させる仕組み作りのために、誰でも使いやすいツールを選ぶことが大切です。

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営業ナレッジマネジメントにおすすめのツール

ナレッジマネジメントツールを導入するとナレッジの収集や検索だけでなく、社員のスキルアップや属人化の防止などさまざまなメリットが得られます。

ただしナレッジマネジメントツールは多くの提供元があるので、それぞれの部署やチームで活用しやすいツールの選定が必要です。ここでは、おすすめの営業ナレッジマネジメントツールをご紹介します。

ナレッジマネジメントツール

ナレッジマネジメントツールとは、社員個人が持つ知識や経験を社内で共有するツールです。

ナレッジマネジメントにはいくつもの手法があるため、ツールも画一的ではありません。営業ナレッジマネジメントのためにツールを導入する場合は、そのテーマに長けたツールの検討が必要です。

顧客関係管理ツール(CRM)

顧客関係管理ツールは、顧客と企業の相互で利益を向上させるためのツールです。顧客のニーズが多様化する中で、さまざまなCRMがリリースされています。

しかし多くのツールは、実際の営業担当者がナレッジなどデータを入力する必要があります。導入後すぐに結果がでるわけではなく、長期的に顧客のデータを蓄積することでより成果をあげやすくなるでしょう。

【最新】おすすめCRM(顧客管理システム)22選!機能や料金を徹底比較!

営業支援ツール(SFA)

営業支援ツール(SFA)は、営業を見える化するためのツールです。営業部門の情報や業務プロセスを自動化して、営業活動が効率化できるような様々な機能が搭載されています。

主な機能としては、顧客情報を管理できる顧客管理機能・営業部門の社員の結果や行動を記録する行動管理・売上や実績を管理できる予実管理などがあげられます。

その他にも商談をサポートしてくれる機能や営業活動を見える化してくれる機能など、様々な機能が搭載されているため営業のナレッジを積み上げていくには最適なツールです。

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社内Wiki

社内Wikiとは、情報検索サイトのウィキペディアのような社内専用のWebサイト編集システムです。ブラウザからサイト上のページに情報を追加・記載・更新でき、利用者は自由に閲覧・編集ができるので社内の情報やノウハウを蓄積・共有する際に役立ちます。

紙ベースで管理した場合の紛失や形骸化のリスクを踏まえると、Web上でいつでも気軽にチェックできる社内Wikiはナレッジ蓄積の視点で非常におすすめです。

営業ナレッジマネジメントを導入して組織強化を目指そう

本記事では、営業ナレッジマネジメントを解説しました。営業ナレッジマネジメントとは、営業の知識やノウハウを社内で蓄積・共有し活用するマネジメントです。営業ナレッジマネジメントを活用することで、属人化しやすい営業スキルや知識を会社の財産として蓄積することができます。また、データに基づき効率的な営業活動を行うことが可能です。しかし営業ナレッジマネジメントを成功させるには、まず社内でナレッジマネジメントの理解が必要です。失敗事例などを参考に、営業ナレッジマネジメント導入を成功させてください。

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ビズクロ編集部
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